2015年12月30日(水)

『FFグラマス』の2015年を振り返る開発スタッフインタビュー。暗黒騎士の情報も!

文:きっしー

 スクウェア・エニックスがサービス中のiOS/Android用アプリ『ファイナルファンタジーグランドマスターズ』(以下、FFグラマス)の年末特別企画として、運営・開発スタッフのスペシャルインタビューをお届けします。

 本作は、日本が誇る超大作『ファイナルファンタジーXI』(以下、FFXI)の世界観を継承した、スマホで遊べるオンラインRPGです。10月1日のサービス開始後、わずか3カ月間で会員登録数が150万人を突破し、多くのユーザーがヴァナ・ディールで冒険を楽しんでいます。

『FFGMインタビュー』

 今回、年末特別企画ということで、スクウェア・エニックスの『FFグラマス』プロデューサー・渕上貴史氏と、開発を担当しているクルーズの『FFグラマス』ディレクター・加藤督樹氏にインタビューの機会をいただきました。

 インタビューは、赤魔道士などの新要素が多数実装された12月21日の大型アップデートから間もない、12月24日に行われました。最新アップデートに対するユーザーの反響や大変だった話、評判がよいイベント、次期アップデートの最新情報などをお伺いしました。新ジョブ“暗黒騎士”や新コンテンツ“連戦”などの情報も飛び出したので、本作をプレイしているユーザーは必見です!

『FFグラマス』
▲『FFグラマス』プロデューサーの渕上貴史氏
『FFグラマス』
▲『FFグラマス』ディレクターの加藤督樹氏。

12.21大型アップデートの反響について

──12月21日のアップデートで新ジョブ“赤魔道士”をはじめ、新クエストなど様々な要素が実装されましたが、ユーザーさんの反響はいかがですか?

加藤督樹氏(以下、加藤):今回のアップデートで、赤魔道士やアーティファクト、モグミッション、交換所、周回スタンプカードなど多彩な新要素が実装されたことで、ユーザーさんが活発になっています。ひとりひとりのプレイ時間が飛躍的に長くなっていますので、おおむね好評だと思います。

──待望の新ジョブである赤魔道士は好評でしょうか?

加藤:赤魔道士は、味方を強化したり、敵を弱体化する魔法を使うことができ、さらに剣術で戦うこともできるオールマイティーなジョブです。いろいろな場面で活躍できるだけに、プレイヤーのテクニックが求められる玄人向けなジョブになっています。現在は、やり込み派のユーザーさんがどのアビリティが強いかなど、試行錯誤しながらプレイされているという印象を受けます。

渕上貴史氏(以下、渕上):赤魔道士を取得するためには、黒魔道士と白魔道士のレベルが25になっている必要があります。そのため、赤魔道士をプレイしている方がすごく多いわけではありませんが、最近になって黒魔道士と白魔道士が増えていますので、赤魔道士の取得を目指している方が多いのではないかと思います。

『FFグラマス』
▲赤魔道士を取得するには、黒魔道士と白魔道士のジョブレベルがともに25以上で挑戦できる“赤魔道士の試練”をすべてクリアする必要があります。
『FFグラマス』
▲ステータス異常を与えるアビリティが充実している赤魔道士。スロウやパライズといった新登場の魔法も使用できます。

──その他の新要素で評判がよいのはどれでしょう?

加藤:一番評判がよいのは、“周回スタンプカード”です。これが設定されているクエストをクリアすると、スタンプをもらうことができます。このスタンプを集めると、ジェムやアダマンタイト、装備品、交換所の素材など、さまざまなアイテムを入手することができます。

 これまでは、敵を倒すとドロップするレアアイテムは、運が悪いと何十回も倒し続ける必要がありました。何度挑戦しても入手できないと、やはりモチベーションが下がってしまいます。周回スタンプカードは、欲しいアイテムを手に入れるために何回戦えばよいのかが、わかるようになりました。ゴールが見えるようになったことで、不安を解消することができ、プレイ時間の増加にもつながっていると思います。

『FFGMインタビュー』
▲クエストを繰り返しやることで確実にアイテムをゲットできるので目標をもって頑張ることができます。

──スマホゲームでは、珍しいシステムですね。

加藤:PCのMMORPGと違って、スマホゲームはライトユーザーが多いので、アイテム集めが大変だと息切れしちゃいますから、毎日コツコツやればもらえる要素が必要だと思い、採用しました。

渕上:ジェムやマテリアを入手できる“モグミッション”も評判がよいですね。モグミッションは、毎日の目標となる“デイリーミッション”と、ミッション内容が追加されていく“エクストラミッション”がありますので、すでにメインクエストを最後までプレイされている方にとっても、毎日これだけはやっておこうという目標があることによって、活性化につながっていると思います。

『FFGMインタビュー』
▲毎日、手軽に挑戦できるモグミッション。

 周回スタンプカードもモグミッションも、コツコツやれば必ず報酬をもらうことができます。これまではNM(ノートリアスモンスター)狩りを1時間がんばったけど欲しいアイテムが出なかった……という方も、今は1時間やった分だけ(クエストのクリア回数によって)確実にアイテムをもらうことができるようになりました。

 あと、最高難易度の“超級”を超える“超絶級”のベヒーモス討伐戦を実装しているのですが、もう倒されてしまいビックリしました! 「こんなに強くていいのか?」ってくらいに設定したのですが……。

加藤:しばらくは倒されないと思っていただけに、ユーザーさんのすごさを痛感しました。

渕上:ワールドチャットで各ジョブのスペシャリストを集めて攻略された方もいるようです。こちらの想定以上に盛り上がっていただいたようで、本当にうれしいですね。攻略できている方は1000人にも満たないので、しばらくは“超絶級”が最高難易度になります。

『FFGMインタビュー』
▲ベヒーモス討伐戦は、2016年1月1日14:59まで実施中です。
『FFグラマス』
▲難易度は初級、中級、上級、超級、超絶級の5段階。
『FFグラマス』
▲気高き猛獣ベヒーモスを討伐することができれば、超強力な装備品がドロップすることも!

サービス開始からの3カ月間を振り返って

──サービス開始から約3カ月、運営を続けてきて一番嬉しかったことを教えてください。

加藤:通勤電車の中で『FFグラマス』をプレイしている人を見かけると、テンションが上がります。ニヤッとしちゃいますね(笑)。

渕上:私は、10月1日のサービス開始日を迎えられたのが、うれしかったですね。サービス開始までは、紆余曲折がありましたので、サービスインできて嬉しかったです。

──逆に一番大変だったことをお聞かせください。

渕上:サービスイン直後、たくさんのユーザーさんに集まっていただいたのですが、想定以上だったためアクセス障害が発生してしまいました。楽しみにしてくださっているユーザーさんに、本当に申し訳ないと思いましたし、悔しい思いもしました。

加藤:一番大変なのは、自分がやりたいことと、実際にできることが違うという点です。僕自身、MMOが大好きなので、『FFグラマス』でやりたいことがいっぱいあります。ただ、長く遊べるタイトルにしたいので、急いで作って雑になってしまうのは絶対に避けたいと考えています。

渕上:運営や開発側がやりたいことと、ユーザーさんが求めているものが違う場合は多々あって、どんな要素をいつ実装するべきか、それを取捨選択しなければならない加藤さんは、いつも大変そうにしています。12月21日のアップデート内容は好評なので、加藤さんの選択が当たっていたと思います。

──人気の高いジョブやイベントを教えてください。

加藤:一番人気が高いジョブは、扱いやすくて強い戦士ですね。『FFグラマス』ではプレイヤーひとりひとりの役割を大事にしているのですが、どうしても偏りが出てしまいます。モンクは、戦士に比べて弱いとよく言われていましたが、数々の調整を経て、今では人気のジョブになりました。ジョブのバランス調整は、今後も随時、行っていきます。

渕上:“ヒロインズコンバット クリルラ編”というイベントは、ユーザーさんの参加率が高く、人気がありました。クリルラはナビゲーターとして出番が多いので、ユーザーさんになじみの深いNPCということもあり、注目していただけたのだと思います。これに匹敵するくらい、クリスマスイベントの“星芒祭”など季節イベントも人気があります。

『FFGMインタビュー』
▲NPCのクリルラ。

加藤:季節のイベントは限定アバターを配布していることもあって、人気がありますね。一番最初にやったハロウィンではカボチャのアバターで、クリスマスはサンタクロースとトナカイのアバターを配布しました。

渕上:アバターで着せ替えが楽しめるので、ユーザーさんの反応が大きいですね。イベントが盛り上がるように、ホーム画面の演出にもこだわっていますので、ぜひ参加して楽しんでほしいですね。年末からお正月イベントも実施しますので、お楽しみに!

『FFグラマス』
▲“星芒祭”開催時のホーム画面では、クリスマス気分を存分に味わえます。

現在の課題と次期アップデートの新要素&新ジョブについて

──今後の課題についてお聞かせください。

加藤:ライトユーザーが気軽に長く遊べるようなバランス設計でありながら、やり込んでいるユーザーさん向けに奥の深いコンテンツも用意してきたいと考えています。

渕上:ユーザーさんのプレイスピード、成長スピードが想像以上に早いので、メインクエストの実装がおいつかないことですかね。『FFグラマス』ではスタミナ制を採用していないこともあって、新たにメインクエストを実装してもあっという間にクリアされてしまいます。新しいジョブを遊びたいという声もたくさんいただいておりますし、それらの要望にどういった順番で応えていくのか、永遠の課題ですね。

──今後のアップデートで実装されるコンテンツをお聞かせください。

加藤:“連戦”というバトルシステムを考えています。現在は火属性の敵に対して水属性の装備で挑むことで有利に戦うことができます。“連戦”では、属性の異なる敵と連続して戦うことになりますので、装備する武器や防具の選択肢に幅が広がります。また、連戦になるとTPを使うタイミングも重要になってきます。TPがたまっても温存して、強敵に対して使うなど、遊び方が変わると考えています。ランダムに出現する敵を相手に、何連勝できるかを競う遊び方も提供できると面白いかなと。

渕上:パーティ機能の追加を考えています。今でもワールドチャットを使ってパーティメンバーを募集している光景を見かけますが、パーティ機能が実装されることによって、もっと活発になると考えています。

加藤:友だち同士で遊びたいという方も多いと思います。パーティ機能を利用することで、パーティメンバー以外のプレイヤーが入ってくることがなくなります。パーティメンバーだけのチャット機能も考えておりますので、友だち同士で遊びやすくなると思います。連戦、パーティ機能の順に実装を考えています。あとは、次の新ジョブとして暗黒騎士が登場します。

『FFGMインタビュー』
▲ジョブのバランス調整は本当に大変だと語るお二人。

 『FFXI』の暗黒騎士は物理系の最高クラスで、見た目や戦闘スタイルがとがったジョブですから、その特徴を『FFグラマス』でも再現したいと考えています。ジョブの方向としては、攻撃力が高いかわりにリスクをあわせもつアタッカーを考えています。ただ、あまり強すぎてもいけませんし、弱いとリスクに見合わないので。調整が大変そうです。

渕上:『FFグラマス』はライトユーザーも多いので、難しすぎるジョブはよくないと思いますが、何かとがったところがないと『FF』ファンには満足されないジョブになってしまう……。このへんが開発としての課題ですね。

──シナリオはいかがでしょうか?

加藤:現在進行中の闇の王との戦いは、春くらいに決着がつくと思います。その後は、『FFXI』の『ジラートの幻影』に入っていく予定です。

個人的にやってみたい妄想企画

──妄想でかまいませんので個人的にやってみたいことをお聞かせください。

渕上:個人的には全国行脚をしたいですね。例えば、イベント専用フィールドを作って、各地のユーザーさんにタイムアタックをやってもらうとか。その場で集まった4人でパーティを組んで、固定の装備でボスを倒すミッションなど、環境を用意して遊んでもらうようなリアルイベントで、全国行脚ができたら面白いかなと妄想しています。

 あとは、サウンドトラックとかグッズも出したいですね。デフォルメしたキャラクターのグッズは、女性の方にも喜んでもらえそうですし。そんな具合に、オフラインでもいろいろやれたら楽しいですね。

加藤:僕は、GM(ゲームマスター)としてゲーム内に入って、ユーザーさんとコミュニケーションをとりたいですね。初心者にいろいろ教えてあげたり、時には一緒に戦ってみたり。他には、50人くらいのプレイヤーが参加できるイベントを用意したいです。そのイベント期間中だけ50人くらいのチームを組んで、チーム間で競い合うなど。

『FFGMインタビュー』
▲『FFグラマス』でやりたいことがつきないお二人でした。

──『FFXI』の要素で、個人的に早く実装したい再現したいものはありますか?

渕上:『FFXI』にはたくさんの人気NPCがいるので、早く登場させたいですね。シャントットとか(笑)。『FFグラマス』のオリジナルキャラクターも増やしたいです。

加藤:レリック武器も入れたいですね。NPCではアイドルであるミュモルなんかも歌姫的なポジションで出せたら面白そうです。

渕上:歌はいいですね。歌やBGMを聴いてゲームを思い出すことってありますから。

──最後に『FFグラマス』ユーザーに向けてメッセージをお願いします。

加藤:スマホゲームは短命なものが多いのですが、『FFグラマス』は息の長いタイトルにしたいと考えております。『FFXI』と同じように5年後、10年後も一線級のタイトルでいられるように、頑張っていきたいと思いますので、ご支援をよろしくお願いします。

渕上:ゲームが長く続く要因は、ユーザーさんとのコミュニケーションが大きいと思います。『FFグラマス』では公式フォーラムを公開して、ユーザーさんからご意見をいただいております。ユーザーさんからのご意見を参考に、運営の一方通行にならずに、みなさんが望むものを提供したいと考えています。みなさんと一緒に『FFグラマス』をよりよいタイトルへ成長させていきたいと思いますので、2016年もよろしくお願いします!

●インタビューを終えて

 渕上氏と加藤氏が目指している、ライトユーザーと『FFXI』からのコアなファン、両方に満足してもらえるゲーム開発、長く遊んでもらえるゲーム開発というのは、とても大変なことだと思います。だからこそ、公式フォーラムを開設し、ユーザーの意見に耳を傾け、真っ向から取り組んでいるのでしょう。『FFグラマス』のサービスは、まだまだ始まったばかり。お二人には、これからも全力で走り続けてほしいです。

 電撃オンラインでは、次期アップデートのタイミングで再びインタビューを行いたいと思いますので、お楽しみに!

和風装備が入手できる“お正月イベント”開催中!

『FFグラマス』

 2015年12月30日から2016年1月12日(14:59予定)まで、お正月イベントが開催されます。実施期間中、イベントクエストに登場するマンドラゴラ、オポオポを倒すと、お正月イベント限定の装備品を獲得することができます。また、オトシダマというアイテムを集めると、交換所でお正月イベント限定装備と交換できます。

『FFグラマス』
▲迎春装備一式 (男性用)
『FFグラマス』
▲新春装備一式 (女性用)

 お正月イベント限定の装備品以外にも、各ジョブごとのイベント限定武器が入手可能です。すでにプレイしているユーザーさんはもちろん、未プレイの方もこの機会にヴァナ・ディールでお正月イベント装備をゲットしてみては、いかがでしょうか。それでは、よい新年をお迎えください!

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