2016年2月10日(水)

『ただ、それだけでよかったんです』第22回電撃小説大賞《大賞》受賞の松村涼哉先生にインタビュー!!

文:電撃オンライン

 第22回電撃小説大賞で《大賞》を受賞した『ただ、それだけでよかったんです』。電撃文庫から2月10日に発売となる本作の魅力を、著者の松村涼哉先生に語っていただきました。

『ただ、それだけでよかったんです』

『菅原拓は悪魔です。誰も彼の言葉を信じてはいけない』
――14歳で自殺した被害者Kの遺書

【作品紹介】

 生徒同士が互いの人間性を評価する“人間力テスト”の実施によって崩壊してしまった学級で起こる悲劇――。

 自殺の真の原因を探るという衝撃的な内容で、選考委員の間でも物議を醸した第22回電撃小説大賞《大賞》受賞作!!

動画:『ただ、それだけでよかったんです』PV

――電撃小説大賞に作品を応募しようと思った理由は何ですか?

 小説を本格的に書き始めた頃から毎年応募してました。正直、最初はメディアワークス文庫での出版に憧れていて、「月9で実写ドラマ化したいなぁ、うへへ」と妄想したりしてました。

 電撃大賞は、電撃文庫とメディアワークス文庫の両方のチャンスがあるので応募も気合が入りました。

――この物語が誕生したきっかけは何ですか?

 理由はいくつかあれど、イジメを題材とする小説を読んだとき、なにか強烈な違和感を抱いたのがキッカケかもしれません。

 加害者の描写のされ方が大抵、性格が悪く底の浅い小物で、自分ならもっと違う風に書くだろうなと調子に乗ったのです。そして、イジメの加害者に焦点を当てた物語を書くことにしました。

――本作では、生徒同士で他人の性格を点数化する“人間力テスト”が実施されています。このテストで追い詰められていく生徒たちの姿がリアルでした。ご自身は書いていてどうでしたか?

 最初は自分自身の中学時代を振り返りながら、書こうとしました。しかし、そんなもの大して面白くはなりそうもなかったので、ほとんどを想像で補っております。リアルと褒めていただき、ほっとしております。

――“読む人によって評価がわかれる、非常に野心的な作品”という意見も選考会ではあったようです。そのような評価をご自身はどう受け止めていますか?

 “読む人によって評価のわかれない、ただのゴミ”と書かれていなくて安心しました。狙って読者を絞る真似はしたくないのですが、結果的にそうなったのであれば「ま、いっか」と前向きに捉えています。

――本作では、スクールカーストの最下位にいる菅原拓という少年が物語の鍵を握っています。彼のキャラクターを生み出すうえでの苦労などがありましたら教えてください。

 生み出したときは苦労がなかったものの、菅原拓の外見、行動、成果などが一番、僕と担当の編集者さんの思惑と食い違い、戸惑いが大きかった部分でした。上がってくるイラストやPVを見るたびに「そうか、実はキミはこんな子だったのか」と感心しています。

――どの部分が評価されて《大賞》を受賞したのだとお考えですか?

 とにかく物語の進め方、謎の出し方のタイミングは練りました。被害者の姉と加害者の少年が交互に展開されて、次第に重なり合っていく構成が評価されたんだと思います。違うなら自分でもよくわかりません。

――読者の皆さんへメッセージをお願いいたします。

 本作におけるキーワードは“菅原拓の革命”です。悪魔と呼ばれる少年は何を思い、何を目指して、クラスメイトを自殺へと追い詰めていったのか。そして、その全てが明かされたとき、展開されていく第二次革命の結末とは?

 “革命”を中心に展開されていく、これらの謎が作品の読みどころとなります。何を伝えたいかをこちらから明示することはしませんが、読んだ人に各々感じ取っていただけたらこれほど嬉しいことはありません。

【CHECK】担当編集の“ココが推し!!”

●衝撃の連続、逃れられない感動に震えます!

 謎が謎を呼ぶ衝撃的な展開の連続に、読む手が止まりません。閉塞しきった教室、人の悪意がリアルに描かれていて、「恐い、でも見たい!」とのめり込むことのできる1冊です。

 また、壊れた世界で、信念を持って、たった一人でもがき続ける主人公の姿には思わずグッとさせられます。そんな物語世界を彩る竹岡美穂さんの美麗なイラストに、読み手の涙腺は崩壊すること間違いなしです。

 ミステリ、青春、キャラクターとどの要素でも楽しめる、大賞受賞も納得のエンターテインメントです。

著者紹介

松村涼哉(まつむら りょうや)
●名古屋市在住。ライトノベルの流行や王道を考えず、自身の書きたいものを突き詰めた作品で《大賞》を受賞した。自己紹介をするのが苦手と語る21歳。

データ

▼『ただ、それだけでよかったんです』
■著:松村涼哉 イラスト:竹岡美穂
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:KADOKAWA
■発売日:2016年2月10日
■価格:本体550円+税
 
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