2016年2月11日(木)
『ヴァルハラの晩ご飯』第22回電撃小説大賞《金賞》受賞の三鏡一敏先生にインタビュー!!
第22回電撃小説大賞《金賞》を受賞した『ヴァルハラの晩ご飯 ~イノシシとドラゴンの串料理(ブロシェット)~』。電撃文庫から好評発売中の本作の魅力を、著者の三鏡一敏先生に語っていただきました。
「あぁ……やだやだ死にたくないよ。
つまりポクってまだまだいい人生を送れてるんだなぁ」
【作品紹介】
「ぎゃあああっ! あっぢいいぃぃぃぃいいぃぃぃぃッッッッ!!」北欧の神々が住まうヴァルハラのキッチンにコダマする悲鳴――。
毎晩、鍋に飛び込んで食材になっては生き返る“イノシシ”セイの冒険劇を描いた第22回電撃小説大賞《金賞》受賞作!!
動画:第22回電撃小説大賞受賞作まとめPV(電撃文庫)
――電撃小説大賞に作品を応募しようと思った理由は何ですか?
色んなきっかけが一斉に押し寄せてきて思い立った感じなので、この質問に答えるのはノットイージーです。
あえて1つだけ挙げるなら、「自分なら受賞できる」と思ったから。大切な事だとは思うけど一体どこから湧いてきたんだその自信……。
――神界の人々の食事になるために毎日殺されては生き返る、食料兼料理人見習い(?)の“イノシシ”が主人公です。この北欧神話をベースにした世界観はどうして思いついたのでしょうか。
昔好きだったゲームの影響で北欧神話に興味を持ち、いつかヴァルキューレが登場する物語を書いてみたいと思っていました。 ですが、キャラ設定だけ考えたところで挫折(当時は“異能バトルもの”にするつもりでした)。
長らく封印していたのですが、兄との小説談義の中で北欧神話ネタが再浮上。永き封印から解き放たれた禁断の黒歴史がニーベルンヴァレ●ティしたのです(謎)。
――魅力的なヒロインと主人公の交流も楽しい本作。あえてオススメの女の子を1人選ぶとしたら誰になりますか?
“あえて”と添えられてしまったら、これはもう子ヤギのヘイズルーンちゃんです。
「それヴァルキューレちゃうやん!」というツッコミはさておき、彼女は作者が思っていた以上の凄まじい破壊力を持っておったのです……絵の力って恐ろしい!
――ギャグを交えた楽しい物語が展開しますが、与えられた命を“いかに生きるか”と考えさせられるシーンも多いです。毎日死んでは甦る主人公の姿にどんなメッセージを込めましたか?
えっとメッセージですか? そんなの込めたっけ……あ~!「生と死を繰り返す主人公の姿は、辛くもあり楽しくもある日常を送る“私達自身”です。彼は事件に巻き込まれる度にボヤくのですが、何だかんだで結局はポジティブに行動しています。私達も彼のように明るくめげずに生きれば、きっと良い事がありますよ!」
……というメッセージを込めました。えぇ、別に今込めたワケじゃなくて。
――どの部分が評価されて《金賞》を受賞したのだとお考えですか?
一言で言ってしまうと、純粋に“面白さ”でしょうか。
でも面白い作品なら落選してしまった作品の中にも山ほどあったはずなので、主人公がイノシシ(食材)といった部分や、北欧神話という題材を使った上で展開される独特の“奇抜さ”が評価して頂けたのでは、と思っています。
――本作は食事のシーンが多く登場します。三鏡さんご自身は、得意料理や創作中に必ず食べるものはありますか?
学生時代、ある系列の飲食店でアルバイトをしていた経験上イタリア料理全般が得意です。
ピザをはじめ、リゾットやラザニア、キッシュなども。ただし……作り置きと専用オーブンがあればですが。
冷凍食品の解凍やカップ麺にお湯を注ぐのも得意ですよ。創作中に必ず食べるものは、昼食です!(当たり前)
――読者の皆さんにメッセージをお願いいたします。
北欧神話そのものが持つ魅力と、本作にしかない視点との化学反応をお楽しみ頂ければ幸いです。
あとはこの主人公ならではの発想や言い回しなども一風変わったものになっているはず。そして各所にさりげなくネジ込まれたパロディにも注目!
伝えたい事は尽きませんが、この作品に私が感じた“面白い”が少しでも皆様に届きますように──。
【CHECK】担当編集の“ココが推し!!”
神話というファンタジーと、コメディの見事な融合!
本作は“北欧神話”という実在の神話をモチーフにして描かれているため、難解で堅苦しいイメージを持たれる方もいるかもしれません。が、本作の内容は、そんなことは一切ございません!
主人公のセイくんやブリュンヒルデさまをはじめとするキャラクターの魅力と、そのシーンをバッチリ想像させる愉快なコメディ描写できちっと“料理”されております。
硬い題材をじっくり煮込んだ“やわらか神話”な晩ご飯の物語を、皆さまもぜひご賞味ください♪(あ、あとひとつ目の挿絵はひじょーにe……インパクトでかいと思いますが、読んだ皆さま、著者さんや絵師さんや編集部を訴えないでネ♪)
著者紹介
三鏡一敏(みかがみ かずとし)
●埼玉県在住。電撃小説大賞には第14回から作品を応募。一次選考での落選を繰り返し、第22回で見事《金賞》受賞を果たす。アニメ、ゲーム、マンガが大好き。
(C)三鏡一敏/KADOKAWA CORPORATION 2016
イラスト:ファルまろ
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