2016年2月12日(金)
モスは、2月25日に発売するXbox One用ソフト『雷電V』のメディア&ブロガー体験会を2月11日に開催した。
▲体験会が行われた東京・神田にある神田FLUX。会場には高田馬場ゲーセン ミカドの池田代表の他、同店を代表する『雷電』勢の面々も参加していた。 |
『雷電V』は、セイブ開発よりアーケード向けSTGとしてリリースされていた『雷電』シリーズの流れを汲む2D縦スクロールシューティングゲーム。現世代機であるXbox One用ソフトとして発売されるにあたり、ネットワークを活用した機能など、さまざまな要素が盛り込まれている。
『雷電V』がメディア向けに実機でのプレイとなるのは今回が初めて。会場には日本マイクロソフトの協力により、同日に発売されるXbox One Eliteコントローラが導入され、Eliteコントローラでのプレイが可能となっていた。
▲会場にはXbox One Eliteコントローラが用意されていた。個人的には皿状のキーをかぶせて4方向を8方向にできる機能が神。純正コントローラは4方向に特化しすぎていて、斜め入力が致命的に難しいのである。 |
縦スクロールSTGの中ではどちらかと言えば硬派の部類に入る『雷電』が、現代ではどのように進化しているのか。実際のプレイとともにレポートをお届けする。
2007年にアーケードでリリースされて以来、9年ぶりの完全新作となる『雷電V』。本作はナンバリングタイトルとしては初の家庭用ゲーム専用タイトルとして登場する。現世代機の性能を生かした演出の強化もあるが、本作の特徴はなんといってもマイクロソフトが提供しているクラウドサービスを利用したネットワーク機能だ。
▲『雷電』シリーズの説明。1990年の初代登場以来、縦スクロールSTGの標準とも言える仕様を確立した。 |
▲クラウドを使ったネットワーク機能が本作の特徴。 |
クラウドを使ったネットワーク機能は2つ。1つはステージ道中におけるトップスコアおよび100位スコアと現在の自分のスコアとの比較&参照機能だ。これは、ステージの進行を横軸に、スコアの上昇を縦軸に折れ線グラフとして表示し、ステージのどこでスコアが上昇しているのか、トップや100位のスコアと自分との差がどれくらいあるのかを確認できる。
▲折れ線グラフがスコアグラフ。道中のどのあたりでトッププレイヤーが稼いでいるのか、どれくらいの差があるのかが参照できる。 |
クラウドを使ったもう1つの機能は、チアー機能だ。これは、同時間に『雷電V』をプレイしているユーザーが、ボスの撃破や勲章の大量取得などといった“ナイスなプレイ”を行った際に、リアルタイムで自分の画面左上に表示される。この際に“チアーを送る”ボタンを押すと、相手側のチアーゲージを溜めることができる。
▲画面左上の表示がチアー情報。他の場所でプレイしている人が隠しキャラのミクラスを取ったことで、こちらの画面にも表示された。 |
このチアーゲージがたまると、支援機を呼び出して一定時間の間、強力な攻撃を行うことができる。チアーゲージはチアーを送った側と送られた側の双方で溜まるので、他のプレイヤーのチアー情報が表示されたら積極的に送っておいた方がいいだろう。また、チアーゲージは時間によっても溜まっていくので、チアーを送らないと支援機が呼べないということはない。
従来シリーズでは残機制を採用していた自機が、今作ではライフ制に変更された。『雷電V』はシリーズ初となる複数の自機の種類が用意されているが、ライフ制になったことで、種類による自機の体力差なども表現できるようになっている。また、道中で登場するシリーズおなじみの隠れキャラ“フェアリー”が点数だけでなく体力回復の役目も持るようになった。
前述したように『雷電V』では、『雷電』シリーズでは初となる複数の機体から自機を選べるようになった(『ライデンファイターズ』シリーズでは複数の機体が用意されている)。
自機は日本製の“AZUMA”、アメリカ製の“SPIRIT OF DRAGON”、フランス製の“MOULIN ROUGE(ムーランルージュ)”の3種類。AZUMAは平均的な性能を持ち、SPIRIT OF DRAGONは攻撃力が高い分、機動性が劣り、MOULIN ROUGEは機動性が高く、攻撃力が低めという特徴がつけられている。また、各機には体力差も設定され、SPIRIT OF DRAGONは他の機体と比べると多めに被弾から耐えられるようだ。
▲日本機の“AZUMA”。 |
▲アメリカ機の“SPIRIT OF DRAGON”。 |
▲フランス機の“MOULIN ROUGE”。 |
メインウェポンはバルカン、レーザー、プラズマレーザーの3種類が用意され、道中に登場するアイテムを取得することで切り替え&レベルアップが可能だ。また、各カテゴリーごとに2種類ずつの武器が用意され、自機選択時に武器も選択する。ここで選んだ武器はステージ中に切り替えることはできない。サブウェポンは、自機に紐付けられた武装となり、従来シリーズのようにアイテムで切り替えることはできない。
『雷電V』のゲームモードは、ストーリーを追いつつ全8ステージをクリアしていく“ストーリーモード”と、決められた条件でボスを撃破する“ボスミッション”の2つが用意されている。
ストーリーとキャラクターが『雷電』というゲームに導入されたのはもちろん初の試み。ゲーム中は画面右のスペースでキャラクターによる会話シーンが展開される。キャラクターデザインはことぶきつかささんが担当している。
▲ストーリーモードでは、ステージの進行状況によって次のステージで分岐が発生する。ステージのボスなどの大枠に変更はないが、道中でのキャラクターのやり取りや敵機の状況などが変化するようだ。 |
ボスミッションは、前述したように決められた条件内でボスを撃破するのが目的のゲームモード。ボスと連続して戦う“ボスラッシュ”モードは『カラドリウス・ブレイズ』にも採用されていたが、『雷電V』のボスミッションは、その名の通りミッションに挑戦するような形となる。例えば、武器がレーザーに固定されていて、なおかつ体力が半分しかない中で制限時間内にボスを倒さなくてはならないなど、簡単なものもあれば一筋縄ではいかないものまで、多数用意されている。
▲ボスミッションは各ステージのボスを倒していくことで開放されていく。 |
ボスミッションは、RANK1から5まで細かい条件で用意され、ストーリーモードでステージをクリアしていくごとに挑戦できるミッションが増えていく。中にはVERY HARDレベルの難易度で複数のボスを連続して倒さなければいけないものも……。なお、このボスミッションモードは発売当日にオンラインを介してパッチを当てることで実装されるとのこと。
▲RANK1のミッション2では、武器がレベル3のレーザーで固定となり、50秒以内で倒す必要がある。 |
▲パッケージ版の初回生産分には、本作の楽曲を収録したサントラCDが付属する。楽曲を担当したのは『カラドリウス』でも担当したベイシスケイプの工藤吉三さん。 |
『雷電V』のプレイを開始して、まず初めに感じたのは現世代機に合わせた今風のオシャレなインターフェース。もちろんゲームのおもしろさに直結する要素ではないが、古臭いという印象はない。なお、本作には縦画面モードはなく、横画面のみでのプレイとなる。
▲スタート直後のメインメニュー。 |
ストーリーモードを開始すると、まず物語のプロローグが表示される。Aボタンを押せば文章を早く進められる他、メニューボタンを押すことでスキップできる。
画面は、左側にチアーやスコア情報、フラッシュショット(倍率)情報、ライフ情報などが表示される。右側にはキャラクターグラフィックや会話ログ、自機周囲のレーダー情報などが表示される。
▲画面右側にはキャラクターのグラフィックや会話ログが表示される。 |
画面左側の情報は、左トリガーを押すごとに攻略情報、パーソナル情報と切り替えることができる。パーソナル情報にはステージの破壊率や勲章の取得数などの細かな情報が表示される。
▲攻略情報は道中の進行状況によって適宜変化していく。 |
▲プレイデータも表示される。 |
実際のプレイ感としては、弾幕STGと比べると結構速い弾速といやらしいほど自機を狙う射出角度、その上で結構厚めの敵弾と、まさに『雷電』といった印象。また、初回プレイということもあり、ステージ進行中に右側のキャラクターたちの掛け合いを見る暇はまったくなかった。
▲会話をよく見てみると、結構ゆるい会話が交わされているが、必死になって敵弾を避けている自分には見る余裕はほぼない。じっくり見たい場合はVERY EASYやPRACTICEで。 |
武器は新武器のレーザーとプラズマレーザーが新鮮。特にレーザーはボタンを押してない(攻撃していない)間にパワーを溜めて、押すと極太のレーザーを一定時間発射できる。これはとても気持ちがいいのだが、攻撃していないということは、敵が画面内に生存しているということであり、すなわちそれは敵弾が画面内に増えるということにも繋がる。このあたりの戦術とパターンを考えるのもおもしろそうだ。
▲レーザーが太い! これでもレベル2の状態。 |
NORMAL難易度でのプレイとなったが、ステージは2面から攻撃が激化し始める。攻撃を加えないと破壊できない中型機の攻撃は強力で、出現させたままにしておくと画面内に逃げ場がなくなってしまうほど。NORMALのままパターンを覚えていくのもいいが、難易度を落として練習するのもいいだろう。PRACTICEであれば敵機が弾をまったく撃たなくなるので、出現パターンを覚えるのに最適だ。
ただ、ステージによっては美麗に動く背景と弾の色が少し同化してしまい、見づらくなる場面があったのもやや気になった。
体験プレイ後に、来場者からの質問コーナーが設けられた。いくつかの質問が寄せられたが、やはり気になるのは『雷電V』の他プラットフォーム展開に関する話題。これは高田馬場ゲーセン・ミカドの代表である池田さんからの「アーケード版はどうか?」という質問からだが、これについてモス代表取締役社長でプロデューサーの駒澤さんは「まったくの未定」との回答。
というのも、今回の特徴とも言えるネットワーク機能は、マイクロソフトが提供しているクラウド機能を活用したものであり、PS4やSteamなどの他プラットフォームで『雷電V』を出そうとすると、まったく別のものを考えないといけないとのこと。
ハードに密接に関わるサービスを使用している以上、別のプラットフォームへの展開はただ移植するだけには留まらない大改造が必要となってしまうのかもしれない。ともあれ、この仕様で現在遊べるのはXbox Oneだけということである。
最後に駒澤さんは『雷電』について、「大切なタイトルであり、昔こういうSTGがあった、という昔話にしてしまうのではなく、今も遊べるSTGということで時代に合わせて進化させていきたい」と語った。
▲広報担当の森岡さん(左)とプロデューサーの駒澤さん(右)。 |
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