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2016年2月18日(木)

『FF14』パッチ3.2吉田Pインタビュー。ストーリー、新式装備の強さ、アレキ零式など気になることを聞いてみた

文:電撃PlayStation

 スクウェア・エニックスが運営しているPS4/PS3/PC用MMORPG『ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド』。本作の最新アップデートにあたるパッチ3.2が2月23日に実装される。

 そこで、今回のパッチでの注目ポイントをプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏に語っていただいた。パッチ3.2のタイトル“The Gears of Change 運命の歯車”が意図するものとは? 新たに実装される高難度レイド“機工城アレキサンダー零式:律動編”の難度具合は? そして気になる新装備やジョブ調整は?

『FF14』吉田Pインタビュー
▲パッチ3.2“運命の歯車”のイメージイラスト。パッチ2.5以来の登場となるミンフィリアの存在が気になるところだ。

 電撃の旅団のメンバーが、今回のパッチについて気になる部分をあますところなく聞いてきたので、少々長いインタビューだがご覧いただきたい。

『FF14』吉田Pインタビュー
▲おなじみ、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏。なお、今回のインタビューはPLL直後の2月2日に収録されたものとなる。

蒼天編はクライマックス目前! 『運命の歯車』から始まる“チェンジ“をその眼に焼き付けろ!

――パッチタイトルである“The Gears of Change”からもわかるとおり、今回のパッチでは“チェンジ“が重要なワードになっているとのことですが、具体的にどのような点に注目してプレイしてほしいですか?

 まず『FF』シリーズなので、メインストーリーに注目してほしいですね。物語のギアが、「ガツン!」と変わるのを感じていただけるかと思います。

 例えば“暁の血盟”に関して言うと、暁の血盟という組織自体の“エオルゼアの救済”という大義名分はあれど、それぞれの暁の血盟の面々が“何をもって暁の血盟の救済を成そうとしているか”という部分の掘り下げがされていませんでした。そこで『蒼天のイシュガルド』では、暁の血盟のメンバーの意識の持ち方の変化……アルフィノなんかは、すごく顕著に現れていますよね……その部分を明確にしていくというのがポイントの1つになっています。

 パッチ3.1ではサンクレッドの復帰と、ある程度ヤシュトラの掘り下げがされたので、今回はヤシュトラの話も継続しつつサンクレッドの行動原理が鮮明に描かれます。暁の血盟以外でも、イシュガルドは教皇が不在になったことで貴族も平民も変わらないといけないですし、ドラゴン族に対する憎しみも変えなきゃいけない。「忘れられるわけがない!」という人も当然いますが。エオルゼアの三頭首も含めて、「何ごとも変えていかないと前進はしない」というのが、大きなテーマになっています。

『FF14』吉田Pインタビュー

――たしかに、『新生エオルゼア(以下、新生)』時代ではふんわりとしていた暁の血盟のメンバーの印象が『蒼天のイシュガルド』でハッキリしてきた印象を受けます。

 キャラの掘り下げをすべて同時にやってしまうと結局ボケてしまうので、これが一度暁の血盟を離散させた理由の1つでもあります。『新生』から始めた人にとって暁の血盟に対する思い入れが浅いと感じていて。最初から全員そろっていて、最初から賢者と呼ばれている……そのわりには、光の戦士に頼りっぱなしだし……みたいな。

――ちなみに、現在のメインストーリーは『蒼天』全体から見ると、どれぐらいの割合まで進んでいるのでしょうか?

 少し昔の話になりますが、開発側の観点から言うとパッチ2.Xシリーズでアイメリクが登場したあたりから、『蒼天編』の物語自体は動き始めていたんです。極端な言い方をすれば、イゼルが登場したパッチ2.4ですでに半分『蒼天のイシュガルド』に入っている感じでした。『蒼天編』でイキナリ出てきたキャラは、そんなに愛着が沸かないと思うんですよ。

 例えば『新生』のメインストーリーの最後に教皇が出てきているのも、蒼天のイシュガルドにつないだときに「あぁ、あのときの教皇といよいよ……」となるように意図的に演出するためでした。もちろん、今回もその流れは維持していますが、『新生』のころよりも“『蒼天編』の完結“というところをしっかり作ったうえで4.0へ……という考え方をしています。

 そういう意味では、今回のメインストーリーで『蒼天編』はクライマックスに近いですね。パッチ2.5での崩壊があったうえで、崩壊から再生へ……そして今回のラストで「いよいよ次は!?」という感じになるので、そこはぜひ注目してほしいです。

――制作自体は、次のアップデートのぶんまで進んでいるのでしょうか?

 基本的に2パッチぶんをまとめてボイス収録するので、パッチ3.2と3.3のボイス収録は終わっています。また、開発サーバーのほうにはパッチ3.3のクエストも入り始めています。

――ミンフィリアといえば、今回のパッチロゴにも描かれていますが、雰囲気がガラッと変化しているのが気になります。

 これまでは意図的にパッチのイメージアートに暁のメインキャラを使ってこなかったのに今回はミンフィリアがいる……というところで、あれこれ想像してもらえたらと(笑)。

 ギリギリまでお話しますと、最近の暁の血盟のメンバーは、“消失”がテーマになっています。ヤ・シュトラは視力、サンクレッドは魔力を失っていますよね。その流れで、ミンフィリアの場合も何かを失っています。以前のミンフィリアは、プレイヤーからすると“自分ではなにもしないのに指示してくる人”になっていたので、彼女なりに抱えているものもあるという部分を提示していきたいですね。

 この先の彼女の運命も決めているので、そこに向かって進んでいく形になります。彼女は、純粋・純真で、だからこそルイゾワも彼女を認めていたんです。その辺りを含めて、イメージチェンジを図っています。

『FF14』吉田Pインタビュー

――ルイゾワが亡くなったことで、純粋さゆえに頑張りすぎていた感はあります。

 暁の血盟の面々も彼女の純粋さに助けられていた部分も多々あるので。リーダーになる人は理想家のほうがいいと僕は思っていて。逆にアルフィノは、理想が先行しすぎる熱血お坊ちゃん型なんですけど、そのあたりはメインストーリーでうまく語れたと思います。これは、エスティニアンという兄貴分がいたから……というのもありますが。

――パッチ3.0で、アルフィノの株はかなり上がったと思います(笑)。では、メインストーリー以外だと、どのあたりに注目してもらいたいですか?

 メインストーリー以外の部分では、やはり“機工城アレキサンダー零式:起動編”の要求DPSが高すぎたので、レイドやコンテンツの難易度に対しての捉え方をまた変えてみました。他にも、禁断のマテリアクラフトの仕組みなども変更しています。あとは、クラフターやギャザラーの座るのも大変、素材集めも大変……といった、本当にごく一部の人しか楽しめていなかった部分も調整しています。

 マーケットで取り引きされているものがすごく高額になって、一般の人には関係のないものとなっている部分を変えたかったんです。腕や装備がいい人が最初に作れる、つまり“座れる”というバランスは維持しつつ、素材の入手難易度はカンタンにしてあるので、どんどん作ってどんどんマーケットに流して、みんながどんどん買えるという形になっていけばと思います。

 もちろん、最初のうちは、今までの意識があるので高値になるとは思いますが(笑)。今回のクラフト装備はレイド早期攻略において、全ジョブで非常に有効になっていますので、ぜひ活用してほしいです。

――今までですと、まずトークン装備があって、そのかなり下にクラフト装備がありましたが、パッチ3.2ではどれぐらいのバランスになるのでしょうか?

 期間をかけて取るものなので、アラガントームストーン:伝承で交換する装備のほうがさすがに強いです。パッチ3.3付近での最終的な強さのヒエラルキーを見ると、伝承装備はかなり上の方にあります。ですが、これは週制限がかかっているので、せいぜい1週間に1個……胴装備なら3週間かかるようなものですからね。

 何度も言いますがクラフト装備の実用性をかなり高めていますので、どのあたりにくるかはだいたい想像できるのではないかと思います。今までは、そもそものアイテムレベル(IL)が低く設定されていて“禁断のマテリアクラフトを施して初めて実用的になる“という状態だったのが、“素の状態でも強い“になっています。パッチ3.2開幕のタイミングでは相当強く制限ナシで手に入る、さらにマテリアをたくさん付けられるというのは、すごくメリットだと考えています。

――マーケットもさらに活発化しそうですね。

 そうですね。なので、クラフターの方々には、できるだけたくさん流通させるために値段は下げていただきたいとは思うのですが……。そうは言っても、初期から値崩れするとクラフターの方々のモチベーションも上がらないでしょうし、難しい塩梅ですね。作れるようになるまでに、ある程度手間はかかりますし。

 あとは、染色可能なアラガン装備やハイアラガン装備もクラフターが作ることになります。あのデザインは昔から人気があるものなので、長く取り引きされるものとしてクラフターに渡してあげたいと思っています。素材に関しては、バトルコンテンツが得意な人たちが取ってきてマーケットに流せるようにしてあるので、そこがうまく循環してほしいですね。

――アラガンデザインの装備を作るための素材については“人数制限解除”でアイテムレベル(IL)シンクの制限をはずしても手に入るのでしょうか?

 制限解除でも手に入ります。“大迷宮バハムート:侵攻編”とかでも、制限解除であれば4~5人ぐらいいればクリアできるようになってきていると思うので、チャレンジしてみてください。

――ちなみに、今回のクラフト装備に武器はあるのでしょうか?

 データやグラフィックを作りはしたのですが……めちゃくちゃ悩んだ末にやめました。武器はDPSへの影響が最も大きいうえに、今回は本当にクラフト装備のILを高くしたので、ちょっと怖くて……。ここで想定が崩れない範囲に収まるのであれば、次はもう一段前向きにチャレンジしてみたいなと思っています。

――先月の30日に放送されたプロデューサーレターLIVE(PLL)で少し話題に出ていましたが、今回のアップデートでは“事件屋クエスト”が復活するとか。

 今回は帰還の挨拶程度ではありますが(笑)。ただ、セリフの1つ1つがアホっぽいので、周りの脇役のセリフにも注目していただきたいです。

――パッチ3.15では“聖アンダリム神学院”というサブストーリーが実装されましたが、これとは異なるクエストになるのでしょうか?

 神学院のほうでブリアルディアンが出ているので“もしかしたら合流するのか?”と思われる方もいるかもしれませんが、そうではないです。こちらはあくまで“学園モノドラマ”で、事件屋のほうは“おちゃらけ探偵モノ”なので、別ラインで動いています。この先の展開で入り乱れる可能性がなきにしもあらずなので、未来はわからないですね(笑)。

――それでも、ユーザー的には面白いシナリオが2本分楽しめるというのは、とてもうれしいですね!

 ただ、パッチでのシナリオの追加を同時にやるか交互にやるかは、まだちょっと未定です。

初心者の館とメンターシステムで、新規プレイヤーを手厚くフォロー!

――先日のPLLで触れられませんでしたが、今回いよいよ“初心者の館”が登場します。こちら具体的にどのようなものになるのでしょうか?

 メインストーリーの“天然要害 サスタシャ侵食洞”に行く直前に、各冒険者ギルドやサスタシャ侵食洞の前などから導線を作りました。初心者の館はエールポートに存在していますが、コンテンツ自体は導線用のNPCに話しかけることで開放されて、それ専用のメニューが増えます。

 それ以降は、専用のコンテンツファインダーを使って、トレーニングにどこからでもチャレンジできるようになっています。流れとしては、まず現在のロールに合わせたお題が“レッスン1”というように表示されます。UIも今までの『FFXIV』とは大きく違うものにしてあって、“敵の攻撃を避けよう!”とデカデカと表示されて参加ボタンを押すとコンテンツに突入します。

 1人でコンテンツに入ったあとは、教官NPCの“オレンジの範囲が出たら避けるんだ!”みたいな指示に従いながら練習していく感じですね。ほかには、タンクだったら“コンボで敵視を稼ごう”といったお題で、“ターゲットを集める“という仕組みを学んでいけます。

――かなり手取り足取り教えてもらえるんですね。

 少し話がズレますが、この間、プライベートでコンテンツルーレットを回していたら、お友だちから誘われて『FF XI』からやってきたという、初心者のタンクさんと組む機会があったんです。その時は、お友だちといっしょにコンテンツに参加していて練習しながらダンジョンを進めていたのですが、その初心者の方が“挑発は?”という話をしていました。やはり『FF XI』とは勝手が違って、『FF XIV』はコンボで敵視を集めるんだよー、などと話をしながら進めました。

 “戦闘が早い(笑)”と楽しんでくれていたのでよかったのですが、そのときは、お友だちがヒーラーとして支えながら、僕とそのお友達とでコンボの仕組みなどを説明していたのです。でも、そうじゃない方だとダンジョンでタンクをイキナリやるのは難しかったりするので、それに対応できるようなシステムにしてあります。

 先ほどのお題の話に戻ると、剣術士の場合は【コンボを使ってみよう→コンボで敵視を稼ぐ→“フラッシュ”を使ってみよう】という流れになっています。“フラッシュ”を使ってみようのお題では、3体の木人全員に“フラッシュ”が当たるように位置調整が必要だったり……。

 こういったお題がロールごとに6つぐらい用意されており、クラスに合わせて内容が変化します。また、すべてのお題をクリアするとフィールドの一部を切り取ったエリアで、今まで覚えたテクニックを駆使する卒業試験が開放されます。クリアするとレベル20ぐらいまで使える全身装備がもらえるので、それでダンジョンに挑んでもらう感じですね 。

――クリアすることで経験値ももらえたりするのでしょうか?

 少額のギルと経験値がですが貰えるようになっています。なので、これを期にタンクは難しそうだなって思って敬遠していた人への足がかりになってもらえたら嬉しいです。

――ちなみに、既存プレイヤーにとっても有用な施設だったりするのでしょうか?

 初心者の館自体には書物がたくさん詰まっていてDoTの説明などのメタな要素も含めて確認できるようになっていますので、プレイヤーがあとから訪れても役立つ施設にしてあります。

――初心者へのフォローという点でいえば、新たに追加される“メンターシステム”も活躍しそうですね。

 メンターと初心者が会話できる、“ビギナー(初心者)チャット”という専用のチャンネルが用意されます。メンターは、メンターフラグを立てた状態でログインすると、そのチャットチャンネルにアクセスできるようになります。メンターは“初心者を捜す”という機能を持っているので、それを使って若葉マークが付いた人を見つけてビギナーチャットへ招待していってください。

 招待された側は拒否権なく、チャットへ召喚されていきます。若葉マークの人を全員自動で振り分けると、RMT関連の業者と呼ばれるキャラクターまで入ってきてしまうので、メンターの方は一般の初心者プレイヤーをじゃんじゃん誘ってあげてください。もし「ダンジョンが怖いので、誰か手伝ってくれませんか?」と言われたら、積極的に遊んであげてくださるとうれしいですね。

――初心者の館とメンターシステムがあれば、初心者の受け皿としてはかなり充実しますね。

 これらの要素は、既存プレイヤーの皆さんへの新コンテンツを作りながらだとなかなか手が回らない部分でした。構想をお話してから実装までかなりの時間を要してしまいましたが、本当に少しずつ作ってきたものを2つ合わせて実装することができました。

 新規で始めた方を手厚くフォローできるようになったので、どんどん上を目指して行ってほしいです。また、新しい方がコミュニティに入るというのはその活性化にもつながるので、熟練のプレイヤーの人もメンターをやりつつFCやLSに勧誘していくのもいいと思います。

タンクの攻撃力の計算式を含めた全体的なジョブのバランス調整を実施!

――PLLでも大きな話題を呼びましたが、今回はジョブ調整が多岐にわたって行われるそうですが、具体的にどのジョブの調整が行われるのでしょうか?

 やはりILが大きく上がることに合わせて調整を行うというのがコンセプトですので、大小はあれど多くのジョブに調整が入ります。PLLで紹介した内容は、あくまでコミュニティのなかでもとくにユーザーの注目度が高い順に説明しただけなので、あの場で言ったものがすべてではありません。

 ただ、現状のDPS全体の横並びバランスは悪くないと思っているので、その部分はほぼ変わってないです。ですが、やはりポイントとなるのはタンクのダメージ計算式の変更と、ILが大きく上がること、そして新しいレイドが開放されることによるタンクのバランス調整ですね。

 PLLでお話したように、攻撃・防御スタンスでタンクが出すDPSと、防御特性、パーティ貢献というところを全部含めて調整しています。その結果、ナイトに対してかなり手が入ることになりました。

――具体的には、DPS面で戦士と暗黒騎士に近づいた感じでしょうか?

 今より近づいていますが、最終的なDPS面で横並びということは絶対にないです。ナイトは物理防御に関して圧倒的に有利ですし、操作難易度も異なります。逆に支援能力関係はかなり使いやすくしましたので、パッチノートが公開されれば、ナイトをお使いの皆さんには、ある程度納得感のある調整にできたのではないかと思います。

――ちなみに、パッチ3.15時点で全アクセサリをSTRにした場合の攻撃力と、パッチ3.2以降に同じILでアクセサリをVITにした場合の攻撃力では、どちらのほうが強くなりますか?

 パッチ3.2ではタンクがコンテンツで占める与ダメージの割合を下げました。IL210装備をSTRアクセサリからすべてVITアクセサリに置き換えたしても、今と同じ与ダメージは出なくて、相対的にタンクが出せる頂点のダメージが減っています。

 とはいえ、極端には下げてはいないですし、これからILはまた上がっていきますので強くなっていく感触は得られると思いますが、厳密に計算すると伸び代が抑えられています。ですので、あまり難しく考えずに主力パラメータは、全てVITにしちゃってください。

――パッチ3.15の段階ではDPS側が強すぎて、ターゲットを維持することが難しいという話をよく聞きます。パッチ3.2では相対的にタンクが占める与ダメージの割合が下がるとのことですが、ターゲットの維持がより難しくなったりはしないのでしょうか?

 もちろん、その部分も含めて、タンクの防御スタンス時の敵視ボーナスそのものを強化して調整を図っていますので、安心してください。このように変わるところが非常に多いので、全体的な調整も入っています。

――とりあえずはVITでもOKと。ですが、STRとVITの両方の影響を受けるということは、やはり上を目指す人はある程度のバランスを見たほうがよいのでしょうか?

 そのILで効果を発揮するメインパラメータの値にはキャップがあるので、そこまではVIT一辺倒の方が強いです。メインパラメータの禁断はできなくなりますので、キャップに到達しようと思えば、マテリア穴にもVITを挿すことになると思います。ですがひとまずは、難しく考えずVIT一辺倒でお願いします。

――VITが攻撃能力にも影響するようになるとのことですが、食事によるVITの補正も反映されるのでしょうか?

 そのIL範囲内でVITの値が上限に達していない場合は効果を発揮します。こちらも気にせず食事で上がると思ってください。

――クラフト装備や伝承装備、“機工城アレキサンダー:律動編”の装備などが追加されてパッチ3.2から装備の更新が始まりますが、イメージ的にはどういった流れで更新していくのでしょうか?

 トップレイド層、その攻略動画が出てからレイドに挑む層、それよりあとに挑む層、レイドに行かないけど“極蛮神”には挑む層、“極蛮神”もスルーの層、さらにカジュアルな層……といったように、今回はかなり想定層を細かく設定して考えています。

 これらは層によって装備更新速度や装備更新ルートが全然違うので、そのご質問にはお答えしづらいです。今回のクラフト装備は3.2実装直後だとかなり強いので、それを使うかどうかによっても異なります(笑)。いろんなバリエーションがあるので、いろんなルートで遊んでもらえればと思います。

――IL210から“零式”のILまでの幅は、どれぐらいの広さになりますか?

 3.0スタート時にレベル60に到達してからのIL幅をイメージしてください。パッチ3.Xシリーズでは、かなりILの幅は広くなっているので、それぐらいと思っていただければ。このILの幅は窮屈ではないはずです。ただ、全部を階段状にはしていません。階段状にしてしまうと全員が同じルートを辿ることになるので、それは意図的に避けています。

――ひと足飛びもできる感じですか?

 そここそが、今回のクラフト装備に割り振られたポジションです。以前までのいわゆる新式は禁断のマテリアクラフト前提で、そこまでしてやっと上の装備に追いつくかどうかというところだったのを、“今回は作った時点で強い“にしてあります。序盤からギルでガンガン強くなっていきたい人は、その方法でもいけるようになっています。

――こちらの伝承装備のデザインは蛮神がモチーフとのことですが、どのジョブがどの蛮神になるのでしょうか?

 今回の伝承装備はロール制に戻るので、全ジョブのバリエーションがあるわけではありません。『新生』のアラガントームストーン:神話のように最初はジョブ特化にして、あとはロール制に戻ります。

――ということは、タンク・モンク・竜騎士・忍者・レンジャー・キャスター・ヒーラーの7種類でしょうか? 善王モグル・モグXII世はどのロールになるのか気になります。

 善王モグル・モグXII世はありません(笑)。それを入れるなら、共通のおしゃれ装備にすると思います。『蒼天』の蛮神やタイタン、オーディン、バハムートなども入ってなくて……最終的には5種類の蛮神を振り分けています。

――PLLで話題に出ていたモンクの全エフェクト武器とは、具体的にどういうものなのでしょうか?

 武器全体がエフェクトでできていて、納刀中もずっと燃えています。この評判を見て、このシリーズを続けるかどうか、他のジョブにも対応するかどうかを考えてみます。

――ちなみに、“起動編4:零式”以外での禁書武器の強化に関してはパッチ3.2からの解禁になるのですか?

 そうなります。

――伝承装備なども増えてILが大幅に上がることになりますが、“雲海探索 ディアデム諸島”で手に入る装備にテコ入れはありますか?

 装備は排出されるアイテムの下限ILが150から160に変更になるくらいです。パッチ3.2のディアデム諸島は、錬成とマテリガ・マテリジャ稼ぎに使ってもらうといった感じになります。それに合わせて、コンテンツ時間も大きく変更しました。みなさんのフィードバックを反映して、大きく変化するのはパッチ3.3以降を予定しています。

 ただ、戦闘系のマテリガやマテリジャは、かなりいろいろなところで排出しているので、商売を考えている方はご注意ください。今回で思いっきり概念を変えたので、マテリア関連はもっと気軽にはめられるようになっていくと思います。装備更新のたびに、「また数十万ギル使うの……?」という印象にはしたくないと思いまして……。

 戦闘系のマテリガはデイリーで手に入りますし、マテリジャもウィークリーで必ず好きなものがもらえるようになります。なので、少なくともメインジョブのマテリアには困らなくなると思います。ディアデム諸島のスポイルでの交換レートも下がっていますよ。

――“戦闘系“ということは、クラフターやギャザラー用マテリアの入手手段は増えないのでしょうか?

 そうですね。それをカンタンに排出してしまうと、今のトップで活躍しているクラフターやギャザラーのモチベーションがガクっと下がってしまうと思うので。現在はまだ投資に見合う見返りがほとんどないのに、後続が突然ギャザクラ系のマテリガやマテリジャをはめて追いついてこられるのはいい気分はしないでしょうし、少しずつ排出を増やしていく予定です。

新コンテンツが多数追加され、ワールドファースト合戦再び!

――PVでカルコブリーナが登場したのは非常にびっくりしましたが、新ダンジョン“星海観測 逆さの塔”の見どころを教えて下さい。

 このダンジョンはメインストーリーと絡んでいるのですが、懐かしさを感じられるダンジョンにしてあります。……これはこのダンジョンに限らないのですが、我々はこれまでたくさんのダンジョンを作ってきたので、リアリティのあるダンジョンのバリエーションに困ってきているんです(笑)。

 それもあり、今回の2つのダンジョンはファンタジー色が強いものになっています。仕掛けも見た目の美しさも凝っているので、ぜひ楽しみにしていてください。

『FF14』吉田Pインタビュー
▲新インスタンスダンジョンの逆さの塔。

――追加される新ダンジョンはコンテンツルーレット:エキスパートに分類され、“草木庭園 モシャーヌ植物園”などはレベル60ダンジョンになるのでしょうか?

 そうなります。

――今回の一番の注目コンテンツは、やはり“機工城アレキサンダー:律動編”だと思ます。公開トレーラーを見る限り、今回は左腕から入るようですが内部の構成がかなりおもしろそうですね。最初こそ「前回と同じでは?」という印象でしたが……(笑)。

 あれは、あえてですね(笑)。ちょっと進めばすぐに変化に気づくと思います。いろいろな情報を見ずに突入したら「同じじゃねーか!」と言った直後に「あれ?」ってなると思います。

――新たな“零式”が実装されたことで、レイド攻略ワールドファーストの熱い戦いがまた始まるんですね。

 とはいえ、今回はDPSチェックを下げているので、トップチームは2週間ぐらいで攻略してくるんじゃないかと思っています。

『FF14』吉田Pインタビュー
▲機工城アレキサンダー:律動編はどのようなギミックが待ち受けているのか?

――“零式”の難易度は“大迷宮バハムート:真成編”ぐらいですか?

 プレイヤーのみなさんのスキル回しの効率も上がっていますし、それくらいにはしてあります。その分だけ、今回はギミック盛りだくさんですので、ギミックでワーワーしていただければと思います。

――逆にNORMALの難易度イメージは、前回と変わらないぐらいですか?

 パッチ3.0で“起動編”のNORMALがオープンしたときと同じぐらいですね。この前、あまり戦闘スキルが高くない勢の開発メンバーで通しのテストを行って、笑いながらプレイしていたのでいい感じかなと思っています。

 今回は、かなりアトラクション要素が強いです。NORMALはゲラゲラ笑いながら遊んでもらえる感じになっています。ゴリラがいたり、クレーンゲーム的につかまれたり。雲海探索で“ゴリランド“が話題になる前から制作に入っていたので、ゴリラが被ったのは偶然です(苦笑)。その時は被ったな~って言いながら作っていました。

 ちなみに、“起動編”ではなかったタンクスイッチがあるので、デバフは忘れずに見ていてください。あと、突入最低ILは200なので、禁書装備やヴォイドアーク装備を揃えて挑んでいただければと。

――タンクスイッチはそろそろ来そうだなとは思っていました(笑)。では、“律動編”と同じように期待している方が多いコンテンツの“ザ・フィースト”ですが、こちらはこれまでのPvPと比べても、競技性が強いなという印象を受けました。

 “ウルヴズジェイル”や“フロントライン”を通じて、ある程度MMOプレイヤーや『FFXIV』プレイヤーの特性が見えてきました。また『FFXIV』を使ってPvPを遊ぶんだったら、どこが着地点になるかも見えてきたので、ここからはひたすら“ザ・フィースト”と“シールロック”を洗練して広めていくことに注力していきます。

 PvPのバランス調整も、今まで以上に頻度高くやっていきます。現在進行形で、テストデュエル(1対1の決闘)とパーティを指名しての野良試合ができる仕組みや、個人観戦と大会中継用のモードのシステムを作っています。

 大会中継用のモードは定点カメラを切り替えながら実況できるようにしてあります。それらの準備が整いしだい、オフィシャルな大会も開催していくつもりです。あとは、まだ構想段階で、これから仕様書を書くくらい漠然としたイメージですが、PvPフリートライアルも用意していきたいと考えています。

――それは、PvPのみを楽しむためのフリートライアルですか?

 最初からレベル60で“ザ・フィースト”のみを遊べるフリートライアルで、PvP用のギアセットも所持しています。まさに、PvPを遊ぶためだけのアカウントになります。その状態で課金をしていただければ、PvPだけはずっと遊べるというルートを作れたらと思っています。もちろん、本編側に興味が移ったなら、PvEも遊んでもらえたらと。

 MMOの入口は、現代社会の生活サイクルからすると広くはないので、今まで以上にプレイヤー数を増やしていこうと考えたら、こういう入口も作っていかないといけないと考えています。“ザ・フィースト”に特化したオフィシャル放送もやっていきたいですし、僕もランキングに載るよう頑張ります(笑)。

『FF14』吉田Pインタビュー
▲もしかしたら対戦した相手チームのプレイヤーが吉田さんだったなんてことも……。

――直接、プロデューサーと戦える機会はなかなかないですよね。

 僕も公開後は自分のプライベートキャラでやるので、知らず対戦している可能性は高いですね。PvP放送の時は、何かしら一緒に楽しめるとよいなと思います。

――PLLで『FFVI』の“死闘”がBGMとして流れたことでかなり話題になった“魔神セフィロト討滅戦”ですが、難しさはどれぐらいでしょうか?

 今回は、いつもの“極”の難易度にしたつもりなので、“極ラーヴァナ討滅戦”ぐらいを想定してもらえればと思います。……が、難しいんですよね、アイツ(汗)。調整中なのですが「ちょ、難しいぞ(笑)」という状態ですので、もっと難易度を下げるようにバランスを取っています。そのぶん、今回は迫力がスゴイので、そちらに期待してもらえればと思います。

――ちなみに、魔神セフィロトは三闘神シリーズとしてつながっていくものと考えていいのでしょうか?『FFVI』をなぞるのであれば、このあとは“鬼神”と“女神”に続いていく形になると思いますが……。

 そこは、ちゃんとオマージュしていくつもりです。メインストーリーの進行必須条件には組み込んでいませんので、各自お好きなタイミングで攻略に望んでいただければと思います。

――難易度は“真”と“極”がある感じですか?

 はい。“三闘神”のストーリーは“真”だけで完結しています。“極”は、“真”を倒したあとにクエストを受けることで開放されます。ですので、“真”はコンテンツルーレットにも入ります。“真”に関しては難易度を抑えめにしてあって、ほとんどマップから落ちることはないでしょうね。ステージのギリギリの際で、特定の攻撃を受けないと落ちない……くらいの優しさにしてあります。

――あ、やっぱり落ちるんですね(笑)。

 その代わり、“極”は……。“極魔神セフィロト討滅戦”の報酬は武器なので、レイド攻略に役立ててもらえれば幸いです。ということで、レイド早期攻略組が最初に挑むのは“極セフィロト”になるかなと思います。

――腕試しといえば“木人討滅戦”も楽しみです。吉田さんや権代さんが中毒になるほど挑んでいるということですが、やっぱりタイムアタック的な要素が大きいのでしょうか?

 カウントダウン式なので、何秒残して木人を破壊できたかというところがキモで。スキルを詰めていくのが楽しい人にとっては、それがヤバイです。自分のゴースト(※)と戦っている気分になってきて。本当にゴーストを作ろうかと思ったぐらい……。

※ゴースト:レーシングゲームのタイムアタックモードなどでよく見られるシステム。最高記録時のプレイがゴースト(幽霊)のように表示されるため、現在の自分のプレイとの相対的な比較が可能になる。

――それはぜひほしかったです!(笑)

 『FFXIV』の場合、コンテンツに合わせたスキル回しがたくさん存在します。例えば僕がやっている黒魔道士の場合は、初速から高火力で押していくタイプと、初速は抑えめだけど時間が経つほど伸びが出るというタイプのスキル回しがあります。

 いわゆる“激成スタート”と“ブリザガスタート”と呼ばれるものですが、木人は3分間という絶対的な時間のなかで敵視を気にせずに最高火力を目指すものなので、“木人討滅”という遊びでは、激成魔スタートの方がいいかな、と今は思っているという感じです。

 この木人討滅戦は「最大3分間で木人を破壊できるようになったら、次は各コンテンツでの最適化を図ってみよう!」という考え方で作られてます。必ずしも木人討滅戦のスキル回しが最適解ではないので、まずは基本的なスキル回しを学ぶ場所だと思っていただけたらと。

 なので、PLLの放送で普段使う“サンダー”ではなく“サンダラ”を使っているのは、3分間のコンテンツだからですね(笑)。“ブリザガスタート”ではないのも同じ理由です。

――装備やマテリアの変更による強さの比較もしやすそうですね。ちなみに、クリアタイムの記録はゲーム中で確認できますか?

 それは記録していないので、動画やSSなどで保存してもらえればと思います。

――そう考えると、木人討滅戦の動画はかなりアップされそうですよね。

 それに特化した動画が作れるようになるのは大きいかと思っていて、遊びとして面白くなったと思います。

――暗黒騎士だと、敵から攻撃を受けないのでMP管理が大変そうです。

 そこはSTをやっていると考えてもらえれば。でも、メインはDPS用のコンテンツで、タンクやヒーラーはあくまでオマケのお遊びです。内部データのパターンは多く用意してありますので、真面目に遊べるようにはなっています。ちなみに、僕がPLLで挑んでいたのは“起動編:零式4”の難易度です。

 今のところ僕の最高タイムはヘヴンスタッフにフル禁書強化防具で15秒残しなので、黒魔道士で腕に覚えがある方は15秒残しを目指して挑んでみてください。

――“吉Pからの挑戦状!”ですね(笑)。ちなみに、これは特定の難易度をクリアしたということを他人が確認することは可能ですか?

 そういう仕組みは用意していません。たしかにパーティ募集で“木人撃破者募集”と書くとは思いますが、それを確かめる術はないです。あくまで“目安”です。

『FF14』吉田Pインタビュー
▲各コンテンツの難易度に合わせて用意される木人討滅戦。タイムアタック的な楽しさも。

2016年も『FFXIV』はゲーム内外問わず広がり続ける!

――では最後に、パッチ3.2も含めた今年1年におけるアップデートの想定を教えて下さい。

 パッチ3.2は、キャラたちの心情や価値観の変化、クラフト装備の変化、マテリアクラフトの変化、タンクのVITの変化、ちょっとしたUIの変化など、いろんなチェンジが詰まっているパッチになっているので、いい意味での変化をみなさんに楽しんでもらえれば幸いです。

 また、パッチ3.3では“雲海探索”でもない、まったく新しい1~4人向けの新しいジャンルのバトルコンテンツも鋭意製作中です。これも時期がきたら、またお話できればと思います。このように、今年は“安定した部分”と“不安定かもしれないけど変えていく部分”を、積極的に挑戦していきたいです。安定して同じパターンを繰り返していくのもアリなんですけど、せっかくなので変えられるところは変えていきたいですね。

――年末はファンフェスでも、何か大きな発表があると期待していていいのでしょうか?

 既定路線なので、否定のしようもないですね(笑)。ファンフェスをやるのに手ぶらはムリですから、映像は今からけっこう作っています。地図作りやシナリオも進んでいますので、大きな未来を提示できればと思っています。2016年もファイナルファンタジーXIVをよろしくお願いいたします!

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