News

2016年2月25日(木)

【電撃PS】SCE・山本正美氏のコラム『ナナメ上の雲』を全文掲載。テーマは“台北ゲームショウ2016”

文:電撃PlayStation

 電撃PSで連載している山本正美氏のコラム『ナナメ上の雲』。ゲームプロデューサーならではの視点で綴られる日常を毎号掲載しています。

『ナナメ上の雲』

 ここでは、電撃PS Vol.608(2016年2月10日発売号)のコラムを全文掲載! 

第77回:台北ゲームショウ2016

 さて、2016年1発目となるゲームイベント、1月29日から4日間に渡り台湾で開催された、“Taipei Game Show 2016”に行ってきました。思えば昨年の『Bloodborne』出展に続き、2回目の参加。いやあ今年も熱かった! 今回は、『New みんなのGOLF』と『The Tomorrow Children』の試遊台を引っ提げて、台湾のゲームファンと接してきました。

 29日の初日に先駆け、28日に台湾入りしたわけですが、ちなみに1月28日は、『ドラゴンクエストビルダーズ』の発売日でもありました。PS4版の体験版ですっかりハマってしまい絶対購入を決めていた僕は、どうしても台湾へ出発前に手に入れるべく、手段を考えていました。なぜなら、体験版を遊んだ周囲の連中も購入を決めていて、ほら、ゲームって、周りで遊んでいる人が多いとより楽しくなるじゃないですか。なので、出張期間中に彼らに遅れを取るのが嫌だったので(子供か!)、行きの飛行機で遊ぶべく、なんとしても出発前に欲しかったのです。

 台北松山空港へ向かう飛行機は、朝8時35分羽田発。つまり、パッケージ版を買おうにも時間的にお店が開いていません。一方、PS Storeでダウンロード版を買うにしても、落とせるのは通常昼過ぎ。どちらにしても行きの飛行機では遊べない。しかし調べると、予約すれば28日の0時からダウンロードできるらしいじゃないですか! できればPS4版が欲しかったけど背に腹は替えられず、機動力の高いPS Vita版をPS Storeで前日予約し、出発前にダウンロード、無事機中で遊ぶことができたのでした。

 しかし台湾って近いですよね。行きの飛行時間はたったの3時間。日本人に人気なのがよくわかります。昼前には台北に到着し、ホテルにチェックイン。お昼を食べたあと、試遊台のセッティングを確認するためさっそく会場へ向かいました。

 東京ゲームショウもそうですが、開催前日のゲームショウの会場って、「え、これで明日間に合うの?」というくらい、準備中な感じが満載なんですよね。でもそれがなんとかなってしまうんだから、やはり設営のプロというのはどの国もすごい。『New みんなのGOLF』も『The Tomorrow Children』も、どちらともネットワークに繋げて遊んでもらうことを考えていたので、何度もテストプレイを重ねます。

 が、『New みんなのGOLF』がどうもうまく繋がらない。4台の試遊台で“ホール争奪戦”というモードを遊んでもらう予定だったのですが、SCE台湾のエンジニアや日本のスタッフとあれこれやりとりをしてもうまく繋がらず、結局タイムアップで会場の警備員に追い出される始末。それでも次の日の朝、会場前に再セッティングし、無事ネットワークプレイも可能に。ホッと胸を撫で下ろしたのでした。

 初日、試遊台も無事稼働し始めたので、会場全体をぶらっと歩いて回りました。なんといっても人だかりがすごかったのが、鳴り物入りで登場したPS VRのコーナー。“コンテンツの中に飛び込める”という点がVRのすごいところですが、その価値を体現したようなブース構成になっていて、そしてその中に、40もの試遊台がずらりと並んでいたのです。やるなあと思いましたね。そんなPS VRの人気ぶりを証明するのがこちらの写真。

『ナナメ上の雲』

 これ、開場して5分後の写真です。あっという間に周辺が人で埋め尽くされてしまったのです! VRが広げるゲームの可能性への期待は、アジアも欧米も垣根がない、ということを改めて実感しました。

 他、相変わらずスマートフォンのゲームは隆盛を極めていて、各メーカーとも、数を打つというよりは、一本一本を大きく見せることに腐心している気がしました。コンソール機タイトルのような“試遊”ではなく、既に自分のスマホにインストールされているコンテンツに紐づく“イメージの拡張”、たとえば、キャラを模したタレントさんのステージイベントや、世界観を表現したセットで写真が撮れるなどの施策が目立ちました。一方、PCのゲームも昨年同様多かったですが、こちらはひとえに“大会”ですね。アジアでのe-Sports強し、の構図は、まだまだ続いていきそうです。

 日本のメーカーももちろん負けていません。SCEはもちろん、セガさんやバンダイナムコさんがどーんとブースを構え、強力なタイトルを展開。多くのファンでブースが埋め尽くされていました。それと……。自分のブース付近に立っていると、どこからともなく聴こえてくるのです。初代ドラクエの、フィールド曲が。もちろんビルダーズも出展されていましたからね。それを聞くたびに、早くホテルに帰って遊びてえ……と思っていたことは、ミンナニハナイショダヨ。

※このコラムは電撃PS Vol.608(2016年2月10日売り号)に掲載されたものです。

ソニー・コンピュータエンタテインメント JAPANスタジオ
エグゼクティブプロデューサー

山本正美
『ナナメ上の雲』

ソニー・コンピュータエンタテインメントJAPANスタジオエグゼクティブ・プロデュ ーサー。PS CAMP! にて『勇なま。』シリーズ、『TOKYO JUNGLE』などを手掛ける。現在『トゥモローチルドレン』『NewみんなのGOLF』を絶賛開発中。最新作、『Bloodborne The Old Hunters』好調発売中!

 Twitterアカウント:山本正美(@camp_masami)

 山本氏のコラムが読める電撃PlayStationは、毎月第2・第4木曜日に発売です。Kindleをはじめとする電子書籍ストアでも配信中ですので、興味を持った方はぜひお試しください!

データ

▼『電撃PlayStaton Vol.609』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2016年2月25日
■定価:657円+税
 
■『電撃PlayStation Vol.609』の購入はこちら
Amazon.co.jp

関連サイト