2016年3月11日(金)
『血翼王亡命譚I ―祈刀のアルナ―』第22回電撃小説大賞《銀賞》受賞の新 八角先生にインタビュー!!
第22回電撃小説大賞で《銀賞》を受賞した『血翼王亡命譚I(けつよくおうぼうめいたん)―祈刀のアルナ―』。電撃文庫から好評発売中の本作の魅力を、著者の新 八角先生に語っていただきました。
「約束してくれる?
またいつか、こうやって二人だけで話すの。
静かな書庫で、二人だけで話すの。
もう六つ時の鐘なんか気にしないで、昼も夜もずーっと」
【作品紹介】
言葉を話すことを禁じられた王女とその護衛を任された少年剣士が、王族の陰謀に巻き込まれて運命を共にした5日間の逃走劇を描いた本格派冒険ファンタジー。
読む者すべてを物語に没入させる圧倒的な世界観を持つ、第22回電撃小説大賞《銀賞》受賞作!!
動画:第22回電撃小説大賞受賞作まとめPV(電撃文庫)
――電撃小説大賞に作品を応募しようと思った理由は何ですか?
私は沢山ライトノベルを読んでいるわけではないのですが、それでもいくつかの心動かされた作品の中で電撃文庫のものが多かったから、でしょうか。
レーベルとしての懐が深く、自分が書きたいと思った作品も受け入れていただけるのではないかと思いました。
――王位継承の日に命を狙われ、逃亡生活を余儀なくされた王女・アルナリスとその護衛剣士で幼なじみの少年・ユウファ、放浪の少女・イルナが直面した運命と心の交流を描いた本作。この物語を書きたいと思った動機を教えてください。
最初に書きたかったのはとにかく剣戟シーンです。正確には秋山瑞人先生の『DRAGON BUSTER』シリーズが待ちきれず、いっそのこと自分で描いて自給自足しようと一念発起しました。
他方、随分と昔からファンタジーの構想を練っていたものの、そちらは茫漠とした世界観だけという状態。先人の真似だけでは意味がないと思い、この際一緒にしてしまおうと一つの鍋に突っ込んでみた次第です。
――無言を強いられている王女・アルナリスの代わりに、人語を理解する赤い燕が彼女の想いをしゃべる……という設定が印象的です。“想いを伝える”という行為が大切に描かれた作品だと思うのですが、本作を通じて読者へ何を伝えたいですか?
“想いを伝える”ことを描くため、“想いが伝わらない”とはどういうことかを丁寧に描こうと心がけました。
そして伝えられずにいる想いをそれでもどうやって伝えるのか、一人ひとりのキャラクターが皆、この問いを抱えて奮闘している物語です。そのほろ苦さと懸命さを感じ取っていただければ幸いです。
――本作には猫の血を引いた情報屋の娘・イルナをはじめ、蛇や鳥などの動物と深い絆で結ばれた人間が多く登場します。著者の新さんが一番好きな動物はなんでしょうか?
うーん、猫も蛇も好きですが、やっぱり鳥でしょうかね。可愛いですし。いや、猫も蛇も可愛いですし、好きですけどね。猫や蛇と違って絶対に手で捕まえられそうにない、というところも堪りません。
この作品を読めば、伝えきれない私の鳥への想いが至る所に見つかるはずです。
――どの部分が評価されて《銀賞》を受賞したのだとお考えですか?
正直、この作品には読者がアッと驚くような、私にしか思いつかない特別な発想、みたいなものは何もなかったと思います。それでも文章や構成、世界観のバランスなど技術的な面を一つひとつ積み重ねたおかげで、なんとか拾っていただけたのかな、と。
――最後に、本作の読みどころや魅力を3つのキーワードでアピールしていただけますか? それを選んだ理由もぜひ教えてください。
“静かで淡い恋”に“手に汗握る剣戟アクション”を添えて、『血翼王という世界』を存分に楽しんでください。
書いている人間も恥ずかしくなるくらいに青春して、疲れるくらいに戦って、身を投げたいくらい好きなものを詰め込んだ作品です。
【CHECK】担当編集の“ココが推し!!”
●「これぞファンタジー!」と喝采を送りたくなるような作品!
設定・世界観は独創的ですが、根底にあるのはシンプルな“ラブストーリー”です。
ユウファとアルナの二人がどのような想いで旅を続けるのか、そして最後に彼らがどのような結末を迎えるのか――。一本のRPGをまるまる詰め込んだような、壮大なドラマをお楽しみ下さい。
あと可愛いワンコや、おしゃべりな鳥さんも登場するので、動物好きの方にもオススメです!
著者紹介
新 八角(あたらし やすみ)
●大河のほとりで生まれる。小説を書き始めたのは中学生の頃。家の引き出しから出てきたまっさらなノートに心を動かし、ファンタジー小説を書き綴ったのがきっかけだそう。今後の抱負は「ファンタジーに限らず色々なジャンルに挑戦していきたい」とのこと。
(C)新 八角/KADOKAWA CORPORATION 2016
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