2016年3月29日(火)
4月2日より読売テレビ、日本テレビ系29局で放送されるTVアニメ『逆転裁判~その「真実」、異議あり!~』。本作のキャストと関係者へのインタビューを掲載する。
アニメ『逆転裁判~その「真実」、異議あり!~』は、15年続くカプコンの人気ゲームシリーズである『逆転裁判』を映像化したもの。新人弁護士の成歩堂龍一が、奇想天外な事件に巻き込まれた依頼人の容疑を晴らすために、奮闘していく。
インタビューに応じてくださったのは、成歩堂龍一役の梶裕貴さん、綾里真宵役の悠木碧さん、御剣怜侍役の玉木雅士さん、渡辺歩監督、原作ゲームを手がけたカプコンの巧舟さんだ。役を演じるうえでこだわっているところや、アニメオリジナル要素などを聞いているので、ぜひご覧いただきたい。
なお、インタビュー中は敬称略。
▲インタビュー会場にはなるほどくんと、まよいちゃんも駆けつけた。左から、なるほどくん、玉木さん、梶さん、悠木さん、巧さん、まよいちゃん。 |
――まず最初に、役が決まった時の心境を教えてください。
梶:僕はゲーム『逆転裁判』のいちユーザーでしたので、アニメ化に喜びと驚きを受けました。オーディションの話をいただき、なかば記念受験みたいな気持ちで参加させていただいたんですが、「異議あり!」とか「待った!」など作品の代名詞と言える台詞があり、(ゲームを)疑似体験できただけでもありがたいと思っていたんです。
なので、まさかアニメ版の成歩堂龍一として作品にたずさわれることになり本当にうれしく思っています。原作ゲームの大ファンの方もたくさんいらっしゃると思うので、大きなプレッシャーと責任を感じつつ、アフレコをさせていただいています。
悠木:私のようにゲームが大好きな人であれば、『逆転裁判』は一度は耳にしたことがあるタイトル。やはり記念受験のような気持ちで受けました。オーディション台本には真宵ちゃんがほとんど言うことがない「異議あり!」という台詞があり、それを言えてよかったと思っていたところ、ご縁がありやらせていただくことになりました。
ゲームにはシュールな部分やマジメな部分があるなか、どういう方向でアニメになるのか私も楽しみでした。そして私自身がどのように真宵ちゃんと向き合えば、ゲームのファンの方、アニメから知る方に楽しんでもらえるか、プレッシャーがありました。現在はのびのび楽しく演じることが、真宵ちゃんに一番近づけるのかなと思っています。
玉木:僕はアニメのレギュラーが初めてなうえに、オーディションに受かったのも初めてだったので、合格を聞いた時は喜びでいっぱいでした。ただ、原作ゲームをやったことがなかったので受かってからプレイしました。やっていくなかで、プレッシャーがドンドン増していきましたね。
合格から収録まで半年ほどあったので、プレッシャーで地獄のような日々でした。「早く始まってくれ!」と思っていたのですが、始まったら始まったでいろいろな苦労がありましたね……御剣というキャラが人気で、ファンから愛されていているため、期待に少しでもこたえたいと思い、頑張っています。
――渡辺監督は打診を受けた時にどう感じたのでしょうか?
渡辺:お話をいただいた瞬間に「あれ? アニメになっていなかったっけ?」と思いました。映画を始め、さまざまな展開をされているので、とうの昔にアニメ化されていると考えていました。改めて皆が知っている作品を手がけるということで、喜びと驚きと緊張が入り混じりました。
――原作ゲームの生みの親である巧さんは、アニメ化の話を聞いて率直にどう思いましたか?
巧:僕も「アニメ化されていなかったっけ?」と思いました。
梶:さすがにそれは嘘でしょう!(笑)
(一同笑)
巧:それは冗談です。15年前に作った際には“ゲームとして一番おもしろい形”を意識して作りました。舞台や映画になるなかで、「こういう風に『逆転裁判』が展開できるんだな」と思っているなかで、ついにアニメ化されました。
実は『逆転裁判』は2001年に発売され、15年後の世界を描いていました。つまり今年、2016年です。「ああ、これは運命なんだな」と思いました。監督に温かく迎えていただき、“逆転カラー”の再現には自信があります。アフレコでもゲームらしいニュアンスを組んでもらっているので、できあがりが楽しみです。
――演じてみて、キャラをどのようにとらえられましたか?
梶:成歩堂龍一は主人公なので、ゲームユーザーの皆さんにも極力違和感を感じられないように演じたいと思いました。
アフレコをしてみて、思っていた以上に作品全体が“いい意味で、気持ちのいいくらいバカバカしい作品だ!”と気付かされました(笑)。全員が1つのことに真剣で熱くて、決して視聴者を笑わせようとしていないのに、思わず笑ってしまうようなシリアルさがたくさん詰まっている作品なんだな、と。そこがアニメならではの魅力ですし、『逆転裁判』を新しく楽しむアプローチの1つとして感じていただけたらうれしいですね。
悠木:真宵ちゃんは元気で明るくはつらつとしていて、人とゼロ距離というイメージでした。アフレコで最初に「おっとりほんわかした子です」と言われ、ちょっとゆっくりのリズムであることを意識しました。
アフレコメンバーもキャラを知っているからこそ、頭に根付いているイメージが強い。ディレクションを受けて「本当はこうだったのか!」「アニメだとこういう表情が映えるんだ!」ということを認識しながらの毎日です。
あと、アニメでキャラ同士がかけあいをすることで今まで以上の勢いを感じられたので、実際の裁判を見てみたいと思いました。もっと粛々と行われていると思うんですが……。
梶:僕は傍聴しに行ってみたよ。やっぱり雰囲気は全然違いましたね(笑)。『逆転裁判』は、ある意味アトラクションに近いんだな、と。
悠木:え~、すごい! いいな~~!! アフレコで裁判を見ている傍聴人のガヤがあるんですね。そんなガヤは実際にはないだろうなと思っています。でも、傍聴人ガヤも張り切って作っているので、ぜひ楽しんでいただきたいです。
玉木:御剣はキザでクール、カッコいいのですが、どこか天然。完璧のようで人間味のあるキャラなので、リアルな気持ちで臨もうかと思ったのですが、「もっとキザに」「もっとクールに」というディレクションがありました。自分が思っている以上に表現しないと御剣にはならないということに気づき、意識しています。
(梶さんと悠木さんを見ながら)お2人の芝居に引っ張っていただいています。不安で悩みながら演じるのは御剣に失礼だと思ったので、とにかく自信を持って堂々と演じようと心掛けています。
梶:実は僕と玉木さんは同い年で、誕生日が2日違いなんです。成歩堂と御剣も同級生というつながりがあるので、不思議な縁を感じています。
――巧さんと渡辺さんにお聞きします。アニメに際してゲームになかった要素はあるのでしょうか?
巧:用意させていただきました。監督から「これをやりたい」という依頼がありました。
渡辺:ゲームのなかで、キャラの幼いころのエピソードが時々現れます。その行間に織り込まれているエピソードを凝縮して、映像化したいと。物語のちょうど真ん中あたりで現れて、そこを1つのピークとして盛り上がっていくのでご期待ください。
――アニメならではの演出、アニメで味わえるポイントがあれば教えてください。
渡辺:ゲームのテイストをすごく大事にしています。1話から見ていただくと「あれがこんな形で!」という仕掛けがございます。ゲームであまり語られなかった謎を浮き彫りにすることで、全体を理解しやすくする仕掛けを散りばめているんですね。
有名な吹き出しの演出がアニメになるとどうなるのか、そのあたりも期待してください。キャストやスタッフ全員、ゲームが好きすぎているので、客観的にできているのか、あやしいところもありますね。
他には、アニメを視聴していただいた後に、ゲームをやりたくなるような仕掛けを作っているのでお楽しみに。
梶:まだ未完成のもの(第一話)を見せていただいたんですが、ゲーム中の曲も使われていました。ゲームをプレイしていた側からすると、その曲がかかるとすごくテンションが上がるんですよ。あれはとてもうれしかったですね。
玉木:自分の芝居を客観的に見るために、音が入ったダビング(映像)を見させていただいたのですが、ゲームのBGMやSEがバンバン入ってくるので、作品を楽しんでしまうほどおもしろかったです。
巧:へーーー、それは楽しみですね。
梶:アフレコを監修してくださっている巧さんが、「へーーー」、なんですか!?(笑)
巧:アニメにたずさわることが初なので、わからないことだらけです。“ダビング”と言われて……「へーー、なるほど」と言うくらいですね。
梶:巧さんにはアフレコ現場に毎週来ていただいていて、細かい部分もご指摘いただいています。台詞を言い直す時には、我々役者と同じブース内に入っていただいてご指導いただいているので、原作ファンの方も納得していただけるのではないかと。
巧:現場全体の“逆転濃度”が高いということですね。
悠木:台本に付箋をたくさんつけて、ディレクションしてくれるんですよ。
巧:台本を折るのがもったいなくて……でも今度は付箋がもったいないんですが……。
――ゲームの初期の成歩堂は巧さんが演じられていますが、ご自身から見て梶さんの成歩堂はいかがですか?
梶:なんて恐い質問を!(笑)
巧:いやいや! (比べるのは)恐れ多いです!! あのころは7人しかいない開発チームが、ノリでボイスを取ったものですから。
梶さんは僕と声質が近いと思います。真宵ちゃんについては「しゃきーーん」だけで台詞を言っていないですがイメージ通りです。御剣についてもイメージ通りですね。実は15年前に作った時、御剣の声に違和感があったんですよ。もう慣れましたけど(笑)。
イベントバージョンや映画の時もそうでしたが、我々がお願いしたことを一発で越えてくるので、やはりプロの方は違うなと思いました。一言一言に感動しますね。
梶:原作の方に言っていただけるとうれしいです。
悠木:ホッとしますね。
――最後にメッセージをお願いします。
梶:ついにTVアニメとして『逆転裁判』をお届けできるタイミングが来ました。原作ゲームのおもしろさはキープしつつ、アニメならではの魅力もたくさん詰め込まれた作品になっていると思います。幅広く子どもから大人まで、老若男女楽しめる内容になっていると思います。
僕の演じる成歩堂龍一は、新人弁護士ということで青臭いところもたくさんありますが、全力で裁判にぶつかっている姿を見て、僕も一生懸命アフレコさせていただいています。きっと楽しんでいただけると思うので、ぜひご覧ください。
悠木:声がついて、キャラ同士がかけあいをするとより愛着が沸く素敵な作品になっています。原作ゲームのとおり、嫌なキャラはいっぱい出てくるんですが、全員大好きになると思います。
アフレコの本番時に笑いをこらえるのが、つらいくらい、全員で楽しんでいます。その楽しいが皆さんに伝わるんじゃないかと思います。夕飯を食べながらご覧いただくと鍋を吹くことになると思うので、落ち着いて楽しんでいただければいいなと思います(笑)。
玉木:15年以上続く偉大なる作品の歴史の一部になれることを、心からうれしく思っています。命をかけて演じていこうと思っています。映画や舞台など、いろいろやってきていますが、アニメ化ということでファンの方の日常により近づいた存在になれると思います。皆さまに愛される、御剣の魅力を引き出せるように頑張っていきますので、ぜひご覧ください。
渡辺:僕の方からは一言だけ。ゲームを携えてみていただけるとより楽しいと思います。
巧:ゲームとして作った『逆転裁判』ですが、渡辺監督から「キャラのドラマごとに焦点を当てていきたい」というお話を聞きました。アニメのお話として見ると、ゲームとは違った色で新しい魅力が出ていると思っているので、本当に感謝しています。僕も4月2日を楽しみにしているので、皆さん一緒に見ましょう。
■『逆転裁判~その「真実」、異議あり!~』
【スタッフ】(※敬称略)
チーフプロデューサー:菊川雄士
プロデューサー:永井幸治
監督:渡辺歩
シリーズ構成:川瀬敏文
キャラクターデザイン・総作画監督:阿部智之
シリーズ構成:冨岡淳広
キャラクターデザイン:太田恵子、渡辺浩二
プロップデザイン:佐々木守
美術監督:岩瀬栄治
美術設定:大平司
色彩設定:中尾総子
撮影監督:清水彩香
CGディレクター:福田陽
編集:後藤正浩
音響監督:小林克良
音楽:和田薫
原作・監修:カプコン
アニメーション制作:A-1 Pictures
制作:ytv、A-1 Pictures
【キャスト】(※敬称略)
成歩堂龍一:梶裕貴
綾里真宵:悠木碧
綾里千尋:中村千絵
御剣怜侍:玉木雅士
糸鋸圭介:岩崎征実
矢張政志:奈良徹
(C)CAPCOM/読売テレビ・A-1 Pictures