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2016年4月6日(水)

【電撃PS】学園RPG『カリギュラ』μ役を務める上田麗奈さん&コンポーザーのcosMo@暴走P氏にインタビュー!

文:電撃PlayStation

 豪華スタッフが集結し制作を進めているPS Vita用学園RPG『カリギュラ』。ここでは、本作のキーキャラクター・μ(ミュウ)を演じる上田麗奈さんと、作中の楽曲を手がけるコンポーザーの1人・cosMo@暴走P氏へのインタビューをお届けする!

『カリギュラ』
▲本インタビューは電撃PS Vol.610に掲載されたもののロングバージョン。本作の制作秘話をうかがった。
『カリギュラ』
▲上田麗奈さんが演じるμ。

楽士自身が作曲したバトル曲、音楽とゲームの新しい組み合わせ

――最初に『カリギュラ』の企画を聞いたときに、どんな印象を抱かれましたか?

上田麗奈さん:今まで見てきたものとは違うニオイがしましたが、あまり想像できませんでした。「あ、おもしろそうだなあ」と漠然とは思ったのですが、具体的にどんなゲームなのか、よくわからなかったんですよ。

 最初に見たときは、さわやかそうな学園物のイメージだったのですが、まさかここまで“闇”が深いゲームだとは思いませんでした。コンセプトアートも綺麗ですが、花がいっぱい散っているのが花葬みたいで切ないですよね。この絵からも、どろっとしたものが見えてくると思います。

『カリギュラ』
▲『カリギュラ』のコンセプトアート。

cosMo@暴走P氏:企画が立ち上がった頃に、ジュブナイルの少年少女が活躍するRPGと聞いていました。ただ、コンセプトをいただいたときに、音楽との組み合わせが新しいと感じましたね。RPGだと、音楽はBGMとしての裏方的な立場なのですが、本作では前面に押し出されているので。

 とくに、楽士として音楽を作っている人たちがフィーチャーされているのは興味深く、ゲーム中のコンポーザーになりきって曲を作る、というのもおもしろい経験でした。キャラクターソングの場合は、そのキャラクターになりきって曲を作るのですが、ゲーム中のコンポーザーになりきって作るというのは例がないですね。

『カリギュラ』
▲楽士(執拗反復の楽士)たちは主人公たちと敵対する存在として登場。以下の文中の、ソーン、イケP、シャドウナイフ、ミレイ、少年ドールは楽士のメンバー。

――タイトルの由来である“カリギュラ効果”は、“見てはいけないものほど見たくなる”という意味がありますが、自分のなかでカリギュラ効果だと思うエピソードを教えてください。

cosMo@暴走P:うーん、逆に見たくないけど見なきゃいけないもののほうが多いですよ。しめ切りとか……(笑)。

上田:してはいけないけど、したことなら。私は、子どもの頃に門限が19時だったんですよ。昼間はいい子にしていたのですが、どうしても悪いことがしたくなって、夜にだまって家を抜け出しました。でも、悪いことといっても思いつかなくて、学校の屋上に忍び込んで星を見てるだけだったのですが……(笑)。

cosMo@暴走P:してはいけないけどしたことといえば……自分の場合は、人間が歌うとわかっているのにテンポの早い曲を作るとか……(笑)。

上田:歌うのたいへんでした……。あとは、いい子にしているうっぷんを晴らしたくて旅に出たことがありましたね。旅といっても、最寄り駅より遠いところで降りて探検する程度だったのですが、未知の世界に行きたがっていた頃がありましたね。

cosMo@暴走P:自分は家出したことがありますね。自転車で60kmくらい爆走したあと、親に発見されて連れ戻されました(笑)。

――お二人ともほほえましい(?)エピソードですね。今回、cosMo@暴走Pさんはソーンというキャラクターの曲を担当されていますが、cosMo@暴走Pさんが担当されているソーンは、どのようなキャラクターになっているのでしょうか?

cosMo@暴走P:闇の深い人物です。設定がとてもこじらせているキャラクターなので、音楽もこじらせないといけないと思いました。基本的な部分は90年代の前半に流行ったV系を意識していて、こじらせた部分はドスの効いたメタル。ソーンのきれいな部分をウィスパーにし、3部構成にしています。

 私がイメージするちょっと昔のカッコイイポップスやメタルを意識しつつ、歌詞も普段の自分では書かないようなものを書いていて、ソーンが作った曲ということを意識して作りました。

上田:ソーンの設定を見たあとに曲を聞いたのですが、実際に聞いて「ああ、なるほど」と思いました。ソーンは本当に切ない感情が強い人なのですが、その感情を激しい曲で表現したことに、すごく納得したんですよ。あえて切ない系統の音楽ではなかったのがしっくりきたので、ボイスの部分で切ないニュアンスを入れようと考えました。だから「うるさいな!」というセリフの部分も「もう、いやだよ」という切ない感じが出るように歌っています。

cosMo@暴走P:ソーンの曲は、この世界の若者に人気の曲というオーダーがあったので、早くて激しい曲にするのは最初から決まっていました。自分の持ち味を出すのはもちろんですが、切なさよりも、この世界(メビウス)でゆがんでしまった感じを出すことを強く意識しています。ソーンは理想の世界にいるのに、主人公たちが邪魔をしてくるので強い憎しみを持っている。さびしい感情と憎しみの両方が混ざっている人物なんです。

上田:ソーンは、メビウスの存在が間違っていることを知っているのですが、だからこそいいキャラクターなんですよ。私が作中で唯一共感できるキャラクターかもしれません。ソーンの曲を聞いて、これは本当にいい意味での“中二クリエイト”だな、と思いました。突出していて、スゴイです。

――曲を歌うのは上田さんが演じるボーカルソフトμ(ミュウ)ですが、実際のボーカルソフトに歌わせるイメージで作曲されたのですか?

cosMo@暴走P:はい。人間離れしたボーカルソフトの曲というオーダーがあったので、実際にそのつもりで、普段のボクがボーカルソフト用に作るようなテンポの早い曲にしました。

上田:自分で歌ってみてくださいよ。μはボーカルソフトですけど、実際に歌う私は人間ですから!(笑)

『カリギュラ』

――そんな上田さんにとって、μはどんなキャラクターだと感じていますか?

上田:ビジュアルがカワイイですよね。白くてかわいくて害がなさそうで魅力的。この作品はμ自体に魅力がないとダメですが、絵に説得力があると思います。

 私が持つμのイメージとしては、白い空っぽの世界に“人々が幸せになれば、私も幸せだ”という意識がぽつんと置かれていて、そのためだけに生きている感じです。台本を読んでいても、そのために行動しているキャラクターだと感じました。

 彼女は人間がみんな幸せじゃないとダメだと思っていて、敵に対しても同じことを考えているんですよ。本人にとっては白黒がハッキリしているのですが、ほかの人から見るとすごくグレーゾーンを歩いている。そんなキャラクターです。

――なかなか複雑なキャラクターだと思いますが、演技されて難しいと感じたところを教えてください。

上田:“こうしたい”という意思がハッキリした子なので、そこまで演技は迷いませんでした。ただ、彼女は人との距離感や熱量が人間と同じではなく、どこか神秘的なんですよ。“人を救いたい”という軸だけで生きている存在なので、あえて深く考えずに動物的な感覚で演じました。

 演じたなかで印象に残っている場面は、一番最初の登場シーンです。「こんにちはー。私、μって言うんだ。この世界はねー」と言っているところがオーソドックスなμなのですが、これは彼女の上っ面な部分にすぎないんですよ。それがゲームの一番最初に来ているのが、すごく『カリギュラ』っぽいと思います。

cosMo@暴走P:μは無垢な感じがいいですよね。すごく白い。登場人物は全員黒いイメージがありますが、逆に純粋な白さが怖くていいと思います。

『カリギュラ』

――今回歌った曲の中で、印象に残ったフレーズや歌唱に苦戦した楽士を教えてくだ さい。

上田:どれがというのは難しいのですが、最初に収録したときはμがどういう心持ちで歌っているのかわからなかったので、すごく話し合いました。作曲者の考えに寄せて歌うのか、それともμ自身のままで歌っていいのか。ボーカルソフトなので感情を乗せてもいいのか……何度もディレクターさんと話し合ってμの歌い方を決めました。

 最終的に、μは“人間にとって何が一番幸せなのか”という考えで行動していると思うので、“それぞれの楽士たちがこうありたいと思っている部分をつかむ”という方向性で歌いました。たとえば、一番最初に収録した曲はスイートPなのですが、彼女の場合は“かわいくありたい”と願っているので、とにかくカワイらしく歌っています。

 苦戦したのは、イケPとシャドウナイフとミレイですね。最初、彼らの気持ちが最初全然わからなくて、とくにイケPが一番苦戦しました。「ナルシストの気持ちがわからない」と悩んで……。イケPの曲を担当した亜沙さんの曲がすごくよくて、本当にイケPが書きそうな内容なんですよ。

 あとは、わざと表情を出して歌っている曲もあります。YMさんが担当した名前が未公開の楽士やPolyphonic Branchさんが担当した少年ドールの曲は、とくに人間らしい二面性を出すようにしました。YMさんが担当した楽士は、そのキャラクターの嫌な部分を出すように歌っていて、少年ドールは人間らしくて悪い二面性ではないと思ったので、そこが伝わるように意識しています。

――実際に曲を聞くのが楽しみです。予約特典もフルアルバムがついてくるので豪華 ですよね。

上田:フルアルバムですよ! フルアルバム!! みなさん、1人5つ予約してください(笑)。

cosMo@暴走P:本作は、通常曲のほかにボス戦闘のリミックス曲があるんですよ。ボス戦は全然違う曲に仕上げているので、そちらもじっくり聴いていただきたいですね。

 自分の場合は上田さんの声を生かしつつ、原曲からは想像もつかない曲に仕上げました。原曲の素材だけを使って180度違うニュアンスの曲になっています。もともと激しい曲なのですが、さらに激しくゆがんでいる部分を強調した曲になっているので、ゲームを遊んで聞いてほしいですね。

『カリギュラ』

――では、最後にファンの方へメッセージをお願いします。

上田:本作はやればやるほど、表面上は薄っぺらいと思っていた相手にはじつはこういう理由があったんだという部分が見えてくるので、キャラクターを掘り下げても楽しいと思います。楽曲も、いろいろな方たちがキャラクターの中身を想像して、作って演じて歌っていますので、ぜひ、キャラクター1人1人に注目してもらいたいです。どれも見逃せない、欠けちゃいけない要素になっていますから隅々まで見てください。それから、私が出演するイベントの抽選券もついてくるので、予約してもらえたらうれしいです。

cosMo@暴走P:まず、これだけ方向性が違うコンポーザーを9人も集めることができたのがスゴイと思っています。全員方向性が違っていますし、音楽面のほうでも、みなさんとても良い曲を作っていると思うので、ぜひ遊んで聞いてみてほしいです。

『カリギュラ』

(C)FURYU Corporation.

データ

▼『電撃PlayStaton Vol.611』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2016年3月31日
■定価:694円+税
 
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