2016年4月2日(土)

『FF15』“UNCOVERED FFXV”現地カンファレンスでのQ&Aや開発インタビューをお届け

文:電撃オンライン

 現地時間3月30日に米国ロサンゼルスにて行われた『FFXV』の発表会“UNCOVERED FFXV”。発表会翌日にはメディア向けのカンファレンスや開発者インタビューなども実施され、『FFXV』の気になるポイントなどを改めて確認することができた。ここでは現地カンファレンスでの質疑応答や、開発者インタビューをお届けしていこう。

『ファイナルファンタジーXV』

 まずは“UNCOVERED FFXV”カンファレンスでの質疑応答について、その内容をピックアップして掲載! いくつかの地域のメディアが参加して、開発スタッフの面々に質問を投げかけた質疑応答。

 質問に答える開発スタッフとして、『FFXV』ディレクターの田畑端氏の他、フルCG映像作品『キングスレイブ』ディレクター野末武志氏、『FFXV』関連作品“FFXVユニバース”で幅広く楽曲を手掛ける下村陽子氏、アニメ映像作品『ブラザーフッドFFXV』プロデューサー大藤昭夫氏、『FFXV』内で楽しめるピンボールゲームをアプリ化した『ジャスティス モンスターズ ファイブ』プロデューサー本橋大佐氏の5人が参加し、さまざまな質問に答えていった。

『ファイナルファンタジーXV』

――『FFXV』の開発において、一番大きなチャレンジはなんですか?

田畑氏:グローバルモデルに切り替えることです。以前は日本でロンチ、それからローカライズをして輸出というモデルケースでした。今回のモデルは、そこが大きく異なり、一番困難が多かったところですね。

――下村さんは田畑さんたちとどのような話し合いのもと、楽曲を進めているのでしょうか?

下村氏:『FFXV』をメインに、『キングスレイブ』でも何曲か書かせてもらっています。今回たくさんのコンテンツがあるのに、作曲をメインでやっているのは私1人だけなので、不公平だなと思っていたりもしています(笑)。

 やはり1人で全曲を担当するのは難しいので、素晴らしい作曲家の方々やレコーディングなどを仕切ってくれているたくさんの優秀なスタッフの方々に支えてもらいながら、曲を作っているんです。

 そんな状況ですが、どうしても私が書いたほうがいいというところを田畑さん&野末さんたちにピックアップしてもらうのですが、やはりそういう楽曲はお2人とも思い入れの強いもの。いろいろと意見を聞きながら、いいものを作りたいと思い、日々がんばっています。

 彼らはかなり厳しいのですが、そのぶんいいものができていると思います。まだまだ公開していない曲もたくさんあるので、楽しみに待っていてください。

――『FF』シリーズの音楽といえば植松伸夫さんですが、植松さんの楽曲は『FF』を連想させる印象を強く残しています。そんな植松さんが築いたテイストと、下村さんのテイストを、どう融合させていっているのでしょうか?

下村氏:音楽はものすごく抽象的で、感情に左右されるものだと考えています。私は植松さんをすごく尊敬していますし、スクウェアに入社することになったのも、『FF』の音楽で育ってきたイチユーザーだからなんです。

 だからこそ、この場にいられるのだと思っています。その気持ちを忘れずに楽曲を作っていけば、歩み寄るとか踏襲していくとかといったことを意識しなくても、植松さんが築いた『FF』の音楽になっていくのではないかなと思っています。

――ピンボールゲーム『ジャスティス モンスターズ ファイブ』は、どれほど『FFXV』の本編にかかわるものなのでしょうか?

本橋氏:本編にてノクトたち4人がものすごくハマっているゲームで、ガソリンスタンドなどに立ち寄った際、ことあるごとにゲームを起動して遊んでいるというものになっています。

『ファイナルファンタジーXV』

――本編とアプリの連動、また課金制なのかF2Pなのかを教えてください。

本橋氏:まもなく提供するスマホのゲームと、『FFXV』本編内でのゲームは、まったく同じものになります。

 スマホでゲームをプレイした皆さんが、『FFXV』本編を買ってプレイした時に、「おっ! 『ジャスティス モンスターズ ファイブ』が遊べるじゃないか」と思っていただけたり、逆に本編内で『ジャスティス モンスターズ ファイブ』を遊んだあと、スマホでいつでもどこでも遊べたりできるわけです。

 そしてアプリとしてのビジネスモデルですが、F2Pのアイテム課金に制なります。ただし課金の要素は強いものではないことは、ここでお約束をしておきます。

――先日配信した『プラチナデモ』ですが、フレームレートが期待していたものよりも低くなっているようです。最終版は『プラチナデモ』と同じフレームレートになるのか、さらに製品版に向けて最適化や調整を行っていく予定なのでしょうか?

田畑氏:回答としては、製品版に向けて、もっともっと改善させていく予定です。今回の『プラチナデモ』は、実験的に動的な解像度を導入しており、その上限はフルHDになります。

 『プラチナデモ』の内容は、フレームレートの精密さをあまり求めるものではなく、『FFXV』の世界の一部を体験してもらうものなので、まずは解像度に関して技術検証を終え、それを導入しました。

 またこのデモは、PS4版とXbox One版を同じスペックで提供しています。それは、なるべくユーザーに対して敷居を下げて、差を付けたくなかったから。ただし本編に関しては、それぞれのハードウェアに対して最適化を行うので、まったく同じになるかは、今のところハッキリとは決まっていません。

『ファイナルファンタジーXV』

――『プラチナデモ』の雰囲気はすごくよかったと思いました。昔の『FF』の遊び心や楽しい雰囲気がよみがえってきたといった印象です。『キングスレイブ』などの作品が、よりダークな雰囲気&トーンなので、それとは違う方向性であったのが、すごくよかったのではないでしょうか。最終的な『FFXV』のトーンは、そうした遊び心は入ってくるのでしょうか?

田畑氏:完全に『プラチナデモ』と同じトーンになるかといったら、それはなりません。『FFXV』には『FFXV』のトーンがあるんです。

 幼少期のノクトの夢の中のトーンと、大人になったときのシリアスになったときのトーンと、大きく違いが出てくると思います。ただ、若い男たちの友情の物語になるので、女性から見たら子どもっぽいと思われるところはあるかもしれません。

 そういった意味では、明るく前向きなトーンは本編のなかにも入っていると言えます。ドラマのシリアスさとのコントラストが、うまく効いてくるのではないでしょうか。遊び心に関しては、僕も同様の考えではあるので、なるべく本編にも取り入れたいとは思っています。

『ファイナルファンタジーXV』

――オープンワールドを作りたいというインスピレーションを受けた作品はありますか?

田畑氏:今のウエスタン系オープンワールドのAAAタイトルはすべて、インスピレーションは受けています。しかし世界をシームレスにしていくというインスピレーションの原点は、ニンテンドー64の『ゼルダの伝説 時のオカリナ』です。これが一番です。

――発表会で多くの人が一番興奮したのは、空飛ぶレガリアだったと思います。空とぶレガリアが、どのようにゲームプレイのおもきを変えるのでしょうか?

田畑氏:レガリアのフライングモデルは、ゲームをかなり進めることで、カスタムが可能となります。ゲームとしてはやり込み要素に当たります。

 このフライングモデルを手に入れた後でしか行けない場所もあるのですが、物語の中で、こうしたカスタマイズが必要になるということはありません。

 フライングモデルの狙いは2つあります。1つは、ずっと旅をしてきた車で自由に空を飛びたいということ。もう1つは、本物の飛行機に乗ってフライトをしたときの、着陸のスリリングな感覚をゲーム性として取り込むということです。飛び立つのは簡単なんですけど、着陸はうまくやらないければ大変なことになりますよ。

――タッチパッドなどのPS4独自の操作手段は活用されるのでしょうか? また『FFXV』でVR的な施策や実験はされているのでしょうか?

田畑氏:PS4のコントローラに対する特別な施策の計画はあるのですが、実装はしていません。VRに関しては興味はあります。具体的なテストも、じつは1年以上前からいろいろとやっているんです。

 何らかの形で、我々としてもこれならいけるというところにたどり着ければ、提供を考えたいですね。ただしVRに対する捉え方は、限定的なわかりきった体験というよりも、新しい体験になるものだを考えています。

――PC版『FFXV』は出るのでしょうか? また、なぜPC版をやらないのでしょうか?

田畑氏:PC版を出す計画で進めているようなら、やっぱりコンソール版と近いタイミングで出さなければいけないでしょう。しかし、そんな計画はないので、コンソール版と近いタイミングでPC版が出ることはありません。

 なので、我々のDirect-XI世代で開発・研究してきたものは、コンソール版に一旦すべて入れていきます。その仕様をロックしたあとで、よりアッパーなスペックを考えながら、そこからPC版を研究する予定です。

――『ブラザーフッドFFXV』の今後のリリース予定を教えてください。今後はストリーミング以外のところで購入や視聴は可能になるのでしょうか?

大藤氏:エピソードの配信時期ですが、『ブラザーフッドFFXV』は全5話で成り立っています。すべては『FFXV』の発売日から逆算して、毎月1話を基本としているのですが、今回はこの発表会にあわせて、第1話だけを先行配信させていただきました。

 第2話以降は、6月から9月の発売に向けて、毎月1話ずつ配信していく予定です。この『ブラザーフッドFFXV』は『FFXV』を知ってもらうための入口の1つとして、まずは無料で皆さんに見てもらうということを大事にしたいと思っているのですが、ディスク版もゲームと同じタイミングで販売できたらいいなと思っています。

『ファイナルファンタジーXV』

 ただ、今ディスク版の発売が決まっているのは日本だけです。その他の地域では、これからどのような販売形態をとるのかなど、検討していきたいと思っています。ですが、アルティメットエディションを手に入れられた幸運な方は、ワールドワイドでディスク版で楽しむことができます。

――『ブラザーフッドFFXV』のエピソードは、すべて10分から12分ほどの尺になるのでしょうか?

大藤氏:第1話は、おおよそ10分を基準に作っています。各話はだいたい10分程度を想定して作っていますが、何を表現するかによって、尺は前後します。必ずしもこの尺でやると決まっているわけではありません。

――『ブラザーフッドFFXV』は全5話ということですが、制作はすべて終了しているのでしょうか? もし制作が終了していない場合は、ファンからのフィードバックを受けて、対応や変更など、演出を変えたりする予定はあるのでしょうか?

大藤氏:脚本はほぼ完了していて、第1話のみが完成している状況です。第2話以降は絶賛制作中です。第1話が公開されて、ネット上での皆さんのフィードバックなども見ていますので、何か対応できるものなどがあれば、反映していきたいとは思っています。

――アルティメットエディションに同梱するディスク版には『ブラザーフッドFFXV』の第6話が収録されていると聞いています。今後、それを配信する予定はありますか?

大藤氏:先にも言いましたが、ディスク版としての単体発売はあります。そして、そのディスクには追加シーンが入ります。しかしこれは第6話というわけではなく、あくまで追加シーンが入るというもの。アルティメットエディション以外でも、手に入る方法は必ずあると思います。

――『キングスレイブ』の映像のなかに、ユニクロやJALといった企業看板を見ることができ、企業コラボをしているように見えますが?

野末氏:まず、現実世界から徐々にファンタジー世界に移っていこうというコンセプトがありました。そして、今回の物語の舞台となるのはインソムニアという首都なのですが、そこはもともと東京をモデルに考えていたんです。

 それらのコンセプトに賛同いただいた企業さんから、広告をお借りして載せてもらっているという流れの取り組みになっています。

『ファイナルファンタジーXV』

――先日発表された声優さんやキャストについて、『キングスレイブ』はもちろんですが、ゲーム本編でのキャラの声も同じ人が担当されるのでしょうか?

野末氏:先日発表させていただいた声優さんは、基本的に『キングスレイブ』のみになります。

『ファイナルファンタジーXV』

――今作っている『FFXV』ユニバースを、今後出てくるであろう『FFXVI』の土台にする予定はありますか?

田畑氏:ないです。あくまでこれは『FFXV』のものです。

――これだけ巨大なアセット制作に時間を費やして、すごいものができあがっていると思います。今後『FFXIII』シリーズみたいにスピンオフだったりの、世界観を共有する別の作品を作る予定はありますか?

田畑氏:『FFXV』ユニバースの1つのゴールは、『FFXV』をできるだけ多くのユーザーさんに触ってもらうこと。そこにたどり着くコンテンツであれば、検討は可能です。あくまで『FFXV』というナンバリングタイトルをいかに最大化できるのか、いかに最高のものにするのかという視点で、すべてを考えています。

田畑氏&野末氏&大藤氏にインタビュー!

 ここからはカンファレンス終了後に行った、田畑氏&野末氏&大藤氏のインタビューを掲載。さらに気になるポイントを、いくつかうかがってみた。

――発表会で、天野さんの絵を3DCGとして動かしていましたが、あれはゲームで使われている技術を活用して、動かしているものなのでしょうか?

田畑氏:もちろんゲーム開発の中で培ってきた技術でやっています。これまでは、天野さんに絵を描いていただく場合、描いてもらった絵をありがとうございますと受け取って、リリースを出すときに載せさせてもらっていたというのがほとんどでした。

 でも今回は、我々『FFXV』はかなりの挑戦をしているので、天野さんも一緒に挑戦をしてもらえますかとお願いをしに行ったんです。で、どういう挑戦が欲しいかというと、『FF』はアートは強かったけど、テクノロジーが弱くなっていたいたのですが、『FFXV』では、この2つをもう1回両立させようとしているので、天野さんの絵に技術を入れて3D化させてくださいというものでした。

 それに対して天野さんにOKをいただいたんです。ゲーム技術をうまく使おうというのではなく、今回の取り組みの一番の目的は、天野さんの絵も『FFXV』の1つの作品にしようということだったんです。

――『FFXV』の今後の展開予定を教えてください。

田畑氏:まずはE3でのハンズオンを皮切り、そこからは実際の製品版をユーザーさんに触ってもらう機会をなるべく設けていきたいと思っています。

――以前の体験版のように、『プラチナデモ』のアップデートは考えていますか?

田畑氏:今はまだ検討していません。以前の体験版のときも、当初は検討していませんでしたけどね(笑)。

――『ブラザーフッドFFXV』の具体的なフィードバックとはどんなものでしょうか?

大藤氏:ユーザーフィードバックという言い方は難しところではあります。シナリオ自体は上がっていますので。先日公開された第1話に対して、すでにいろんな反応があったわけですが、例えば今から間に合うところで、もう少し別の見せ方があるんじゃないかなど、演出を差し替えるということは、ありではないかと考えています。

 とはいえ、どう具体的に変えられるかは、制作会社のA-1 Picturesさんや監督さんと話し合いながら、検討していきたいと思っています。

――レガリア以外に、空を飛べる乗り物が登場したりはするのでしょうか?

田畑氏:考えてないです。自分としては『FFXV』の物語と関係のないものが脈略なく、これが『FF』だからといって飛空艇のようなものを出すよりは、ずっと旅をしてきたレガリアで飛ぶほうが、絶対にいいと思っています。

――ボートもあるようですが、あれは単独の乗り物なのでしょうか? それともレガリアをカスタマイズしてできたものだったり?

田畑氏:あれは単独のボートですね。見た目も全然違いますしね(笑)。

――『キングスレイブ』内で登場する企業コラボですが、どれぐらいの企業数あるのでしょうか?

野末氏:5~6社の企業に賛同してもらっています。

――『キングスレイブ』の日本版のキャストはどのような顔ぶれになるのでしょうか?

野末氏:じつは出国直前まで、ボイス収録を行っていました(笑)。結構豪華な布陣となっていて、かなり大御所の声優の方々に担当してもらっているんです。発表まで、もう少しお待ちいただければと思います。

――9月30日に『FFXV』が発売され、10月にはPS VRが登場します。非常に発売日も近くなりそうですし、『FFXV』のVR対応がどうなるかは気になるところです。

田畑氏:VRの研究開発はしていますが、実際に決まっているものは何もありません。VRってヘッドマウントディスプレイとあわせて見られるところがあると思うんですけど、実際に体験していること自体は画期的だし、今後に有望だと思っています。

 そのうちに、現実とVRの境界はもう少しなくなっていくと思うのですが、どうしても今は頭部に装着するヘッドマウントディスプレイのイメージが強く、一般化させるのはなかなか難しいところ。どういうふうに取り組むと、スクウェア・エニックスらしさを出せて、ちゃんと楽しくユーザーさんに届けられるかを模索している段階です。

――『FFXV』発売後、ダウンロードコンテンツなどは考えられていますか?

田畑:考えています。目的は『FFXV』を購入してくださった方に、長く遊んでもらうということです。無料のものもありますし、当然制作にはコストもかかりますから、値段を付けるものもあります。ただし、まだ内容はFIXしていません。

 そんな段階で発表しても、ユーザーさんのためにやったものであっても、あまりポジティブには受け取ってもらえない場合もあるでしょう。ですので、ちゃんと準備ができて、これがいいものだと伝わる段階になったら、正式に発表します。長くかつ、『FFXV』買ってよかったなと思ってもらえるものを考えています。

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