2016年4月15日(金)

【電撃PS】『神獄塔 メアリスケルター』のキーマンによる対談インタビュー! 血まみれ&パニックは必至!?

文:電撃PlayStation

 コンパイルハート×電撃文庫×電撃PlayStationが贈る注目作『神獄塔 メアリスケルター』。4月14日発売の電撃PS Vol.612から連載がスタートしている前日譚小説、PS Vitaに登場するゲーム、電撃文庫から発売される小説の3つが展開される。

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『神獄塔 メアリスケルター』
▲3つの物語はどれも単独で楽しめる内容だが、すべてを知ったときに謎の真相が明らかになる!

 ここでは、本作のキーマンたちによる対談インタビューをお届け。企画が立ち上がった経緯や、どんな内容になるかなど、さまざまな話をきくことができた。なお、このインタビューは3月31日発売の電撃PSに掲載された内容となる。

■対談メンバー

 プロデューサー・東風輪敬久氏
 『ネプテューヌ』シリーズをはじめとする、コンパイルハートの多彩なタイトルを統括してきたプロデューサー。

 ディレクター・石塚篤史氏
 コンパイルハートの各タイトルの制作に関わってきた本作のディレクター。斬新な発想を武器に、制作現場の指揮を取る。

 キャラクターデザイン・ナナメダケイ氏
 『圧倒的遊戯 ムゲンソウルズ』『魔壊神トリリオン』などでキャラクターデザインを務めてきたイラストレーター。

 原案・乙野四方字(おとのよもじ)氏
 『ミニッツ』シリーズ、『ラテラル ~水平思考推理の天使~』などで知られる電撃文庫作家。本作の緻密な設定を手がける。

このメンバーなら間違いなくいい作品、いいゲームができる

――まずはじめに、『神獄塔 メアリスケルター』をコンパイルハート、電撃文庫、電撃PlayStationでタッグを組んで制作することになった経緯からお話していきましょうか。

東風輪敬久氏:以前から電撃PlayStationさんに、電撃文庫さんを巻き込んで一緒に何かできたらいいねと話をしていたんです。今回は弊社のほかのプロジェクトが落ち着いたタイミングに、あらためて電撃PlayStationさんにお声がけをして、電撃文庫さんとつないでいただきました。用意していた新規の企画をお持ちして3者で打ち合わせを行い、これはおもしろい作品が作れそうだということで企画がスタートしました。

『神獄塔 メアリスケルター』

――これからゲームと文庫、連載小説の3本柱で展開していくわけですが、いかがですか?

東風輪:この3本柱の構想がまず最初にありました。弊社が文庫、連載小説とあわせて展開したいと思ったのは、小説作家さんの文章だと“言葉の響きが大きく違う”という点が一番にあげられますね。

――乙野先生は最初にこの企画を聞いたときどんな印象を受けましたか?

乙野四方字氏:企画のお話をいただいたときは、自分と相性が良さそうな内容だなと思いました。著書の『ミニッツ』と似た雰囲気があり、ちょっとくさい言い方になりますが運命的なものを感じましたね。

――『ミニッツ』を簡単にご紹介いただけますか。

乙野:『ミニッツ』は1分間だけ人の心を読める高校生が、その能力を使って生徒会長を目指すという物語です。そこにもう1人、生徒会長を目指している女の子がいて、壮絶なだまし合いが繰り広げられていきます。

――“だまし合い”は乙野先生の得意分野ですよね。

乙野:そうですね。人を驚かせるのが好きなんですよ。どんでん返しを物語に入れ込むのが好きで、それをやりやすいのが“だまし合い”という題材なんです。

石塚篤史氏:私もいつも驚いてばかりです。本作のプロットや連載小説の原稿などを読んでいると、「そう来るのか!」と感じることが多いですね。

――今回の『神獄塔 メアリスケルター』でも驚きの展開が待っていますよね。

乙野:根っこにあるのはやはり“だまし合い”の要素ですね。ウソとか、そういうものを散りばめています。

――本作でユーザーさんをだます自信はありますか?

乙野:だまされてほしい(笑)。ゲームや小説を体験した人は、一度はだまされると思いますよ。

石塚:ゲーム版のほうは、システム的に謎を解く楽しみを詰め込んでいます。乙野先生の原案とあいまって、かなりおもしろいものになると思います。

――乙野先生にお声がけしたのは、先生の作風とこの企画が合っていたという部分が大きいですよね。

ナナメダケイ氏:最初は僕と東風輪で企画を練っていました。そんなときに乙野先生の『ミニッツ』と『ラテラル』を読み、「これを書いている作家さんとゲームを作ったら、どんな化学反応が起きるだろうか」と思ったんです。

――乙野先生から上がってきたプロットを読んだときはどう思われましたか?

ナナメダ:「このキャラクターの絵を早く描きたい!」と思いました。乙野先生は私たちが投げたネタのピースをうまく組み合わせてくださっただけでなく、さらなる広がりを加えて返してくださいました。

東風輪:弊社だけで企画を進めていたら出てこなかったアイデアがたくさんありましたね。

――続いて、本作の内容について話していきましょう。まず、主人公のジャック。かわいい少年という見た目をしていますよね。

石塚:ビジュアルからは弱々しい印象を受けると思いますが、なんだかんだかっこいい子ですよ。メルヒェンと戦う力もないし、イラストでは鉄砲を持ってますけど、あれは血を吸う水鉄砲みたいなもので、メルヒェンと戦える装備ではありません。でも、ジャックだから活躍できるポイントを用意しています。

乙野:じつは、最初に思いついたジャックのキャラクターは“熱い少年”という感じだったんです。でも、メルヒェンに襲いかかられても殴り返しそうなキャラクターになりそうだったので、それはちょっと違うかなと感じました。戦闘力はないけど女の子のために身体を張ってボロボロになっていく、それはそれでかっこいいかなと思っています。なので、ジャックは戦いません。ただ、女性に戦わせて自分が戦わない男にはならないように気をつけました。

『神獄塔 メアリスケルター』
▲主人公のジャック。

――次はヒロインのアリスについて話しましょうか。キービジュアルにも描かれていて、すごくいいキャラクターに仕上がったと思いますが、どうでしょう?

石塚:もともとナナメダが描いていたキャラで、第一印象で「こいついいな!」という感じでした。この娘から物語が組立てられていったと言ってもいいくらいです。

――乙野先生はアリスのイラストを見たときにどのような印象を受けましたか?

乙野:すばらしいと思いました。アイデアとしていろいろなイラストを見せていただいていて、みんなかわいかったんですよ。でも、アリスが一番ビビっときました。

ナナメダ:制服や髪型など、かなり試行錯誤して描いたキャラクターですね。スカートのチャック部分なんかは最後の最後まで調整しました。

石塚:最初はほんのちょっとしか開いてなかったんですよ。今は絶妙な開き具合になったと思います。

『神獄塔 メアリスケルター』
▲ジャックの幼なじみ・アリス。

――そんなアリスの声は、上坂すみれさんに担当していただきますよね。

石塚:乙野先生と相談した結果、1番アリスのイメージに合う方だと思いました。

東風輪:上坂さんが持っている芸術的な感性が、『メアリスケルター』の作風とマッチしていると思います。

――赤ずきんも要注目のキャラクターですよね。

石塚:本作におけるムードメーカーです。年長者なのでお姉さん的な部分もありながら、たまにとんでもないことをしでかします。

――乙野先生は赤ずきんのビジュアルを見てどう思われました?

乙野:かわいいですよね(笑)。健康的にかわいいので、ショートカットの娘が好みなんですよ。元気で素直そうで、ビジュアル的には赤ずきんが大好きですね。

――ご自身がイメージされたとおりの見た目でしたか?

乙野:想像していた以上です。赤ずきんの象徴であるフードが入ったデザインで素敵です。

ナナメダ:赤ずきんにフードは欠かせませんよね。ただそれだけだとおもしろくない。フードのキャラってミステリアスな娘が多い気がしますが、赤ずきんは元気よく見えるように工夫しました。本作では黒と赤がベースの人物が多いので、どこで赤を使うかは悩みどころでした。武器がハサミなのは童話の赤ずきんから取りました。

『神獄塔 メアリスケルター』
▲異能の力を持つ血式少女の1人・赤ずきん。

――赤ずきん以外の血式少女隊も公開しましたね。

石塚:みんなかわいいですよ(笑)。女の子のいろいろなタイプのかわいさを詰めたビジュアルになっています。また、赤ずきんみたいに童話をモチーフにした武器を持っています。これはビジュアルだけでなくゲーム性にも関わりますよ。たとえば、はさみならダンジョンで漏電しているケーブルを切ったりとかがありますね。

『神獄塔 メアリスケルター』
▲血式少女隊に所属する三姉妹の長女・親指姫。
『神獄塔 メアリスケルター』
▲次女・白雪姫。
『神獄塔 メアリスケルター』
▲三女・眠り姫。

――ゲーム性のほうもすごく力が入っていますよね。

石塚:3DダンジョンRPGのおもしろさをベースにしつつ、さらに進化したものをお届けする予定です。

――ゲーム制作サイドとして、新たにチャレンジしていることはありますか。

石塚:謎解きやダンジョンギミックにはチャレンジしています。そもそも3DダンジョンRPGというジャンルを選択したのは、乙野さんの作品を読んで、これが最もふさわしいと感じたからです。トランポリンがあったり、いろいろ物に乗ったり、プレイヤーに閃きを感じてもらう仕組みが用意されています。

東風輪:あまり普通なものは作りたくなかったので、3DダンジョンRPGらしくないものを入れています。ナイトメアの存在もそうです。

石塚:あいつは歩数ではなくリアルタイムで追ってきます。バトル中でも動いていますから要注意ですよ。

『神獄塔 メアリスケルター』
▲ダンジョンで主人公たちめがけて全速力で追ってくるナイトメア。

――ところで、ゲームでお色気シーンはどれくらい見ることができそうですか?

石塚:主人公の血で血式少女たちの“狂気”な部分を治すシステムがあるのですが、そこでお色気シーンが入ります。お色気についてはいつものコンパイルハートです。

東風輪:社風です。

乙野:社風なら仕方ないですね(笑)

『神獄塔 メアリスケルター』
▲メルヒェンの血を浴びて狂気が増した血式少女たちを、ジャックの血で生成した聖水で洗い流せ!

――そんな『メアリスケルター』ですが、4月14日発売の電撃PlayStationから小説 連載が始まりますね。

乙野:ゲーム版と文庫版のストーリーまでの前日譚をお届けしていきます。舞台となっている街が陥没したのは、ゲーム版、文庫版の20年前なんですよ。ナナメダさんのイラストとあわせて連載していくので、楽しみにしていてください。

――最後に、『神獄塔 メアリスケルター』を楽しみにされているユーザーへ、ひと言ずつお願いします。

石塚:本作は、簡単に言うと“謎解きを楽しむ3DダンジョンRPG”です。ナイトメアが追ってくる恐怖でパニックになりながらも、謎を解いたときの爽快感は格別ですよ。3DダンジョンRPGファンはもちろん楽しめますし、このジャンルに飽きてきたな、という方も新しい感覚で楽しめるようにしています。3DダンジョンRPGの進化を目指せたら……と思っています!

ナナメダ:本作のダークでホラーな雰囲気に合ったイラストを描くのは大変ではありましたが、たくさん試行錯誤をしたぶんいいものができたと思います。イラストからも作品を楽しんでいただけるとうれしいです。

東風輪:電撃PlayStationさんや電撃文庫さん、乙野先生とお仕事をして思ったことは、本作に関わるみんなの相性がすごくいいということです。いいメンバーがそろっているからこそ、間違いなくいいゲーム、いい作品ができるはずです。ぜひご期待ください。

乙野:ゲームと雑誌、文庫がコラボレーションし、同時進行していくのはこれまでにない試みです。ユーザーのみなさんもコンパイルハートさんは知ってるけど、乙野四方字は知らないだとか、またはその逆である人がたくさんいると思うんです。そういう人が興味をお互いに持ち合って、すそ野を広げられるようなコラボになったらいいと思います。そして、体験してくれた方々から「またこんなコラボが見たい」と言ってもらえるような作品にしていけるよう、がんばっていきたいと思います。

データ

▼『電撃PlayStaton Vol.612』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2016年4月14日
■定価:667円+税
 
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