2016年4月18日(月)
赤い目をしたライター・サガコが、先日開催されたニーアコンサート&トークライブ“滅ビノ シロ 再生ノ クロ”の完全主観レポートをお届け。『ニーア』を6年追いかけ続けたからこそ書ける、本音が詰まった内容はしょっぱいどころか、濃すぎてヤバい!?
2016年4月16日、東京・六本木にあるEX THEATER ROPPONGIには多くの人々が集っていた。心待ちにしていたコンサートが、遂に幕を開ける。電光掲示板タイプの看板に表示されるタイトルを見上げ、静かに胸は高鳴っていた。
NieR Music Concert & Talk Live “滅ビノ シロ 再生ノ クロ”。
それはおよそ6年の空白を経て訪れた、至福の時であり、まさしくひとつの“滅ビ”と“再生”とを目撃する、激しくも優しい、なによりも刺激的な音楽の宴となった。
今回のコンサートは2010年に発売されたPS3用ソフト『NieR Replicant(ニーア レプリカント)』およびXbox 360用ソフト『NieR Gestalt(ニーア ゲシュタルト)』の楽曲演奏の他、新作であるPS4用ソフト『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』についての新情報解禁も行われ、盛りだくさんのイベントとなった。
また4月26日まで(チケット購入は4月19日の23:59まで)は、コンサートの模様がニコニコ生放送のタイムシフトでも視聴可能となっている。
■ニコニコ生放送
【視聴期限】4月26日23時59分まで ※1回のみ視聴可能
音楽そのものの素晴らしさ、また新しく公開された『オートマタ』の実機プレイの美しさなどは動画で体感するのが一番だと思うので、ぜひ視聴をオススメしたい。
途中からは有料となってしまうが、正直なところ無料パートの前半を見るだけでも大いに価値はある。有料パートまで見れば、新作の情報もたっぷり、かつ、さらなる素晴らしい楽曲の数々に心を打たれるはずだ。
▲『オートマタ』の主人公、アンドロイドの2B【トゥービー】。 |
▲この日は2B役の石川由依さんが登場。ヨルハ部隊のような黒い衣装に身を包み、セリフの一節を舞台のように演じる場面も。 |
▲2Bのサポート的に立ち回る半ズボンの少年型アンドロイドの9S【ナインエス】(画像左)と、敵対して立ちはだかる旧型タイプアンドロイドのA2【エートゥー】(画像右)。 |
会場では9S役を務める花江夏樹さん、A2役の諏訪彩花さんからのビデオレターもオンエアされた。花江さんが語った“小学生時代に『DOD』の赤さんエンディングを見てしまって衝撃を受けていたところ、隣でその様子を見ていた母親がプレステの電源引っこ抜いた事件”は、ヨコオ適正値の高さを感じさせるエピソードだった。
また後半で見られる『オートマタ』の実機プレイでは、じつにプラチナゲームズらしい流れるような爽快アクションの一端を目にすることができた。
『レプリカント/ゲシュタルト』を知っている者からすれば「これが『ニーア』なの!?」と驚いてしまうほどのクオリティだ。ディレクターのヨコオタロウ氏が「アクションについては全部プラチナさんに任せている」と語るほど。
プラチナゲームズのカラーが色濃く反映された『オートマタ』のアクションについても、ぜひできることなら動画で確認していただきたい。
▲フェティシズムにあふれた黒い衣装。高いヒールを履きこなす2Bが空間を縦横無尽に駆け回る姿にはセクシーさも見受けられる。そんな2Bが黒と肌色のコントラストで、尾を引くように素早い身のこなしを披露するアクションに、プラチナゲームズらしさをひしひしと感じた。 |
▲ボタン操作はシンプルなコンボで、派手なアクションを繰り広げられるそう。プレイを見る限りは、状況に応じて周囲がゆっくりと動くようなストップモーション的仕様も存在するように見受けられた。 |
▲敵にあたる機械の顔がひたすらエミールっぽい丸顔なのも気になるところだった。『ニーア レプリカント』で生き残ったエミールが、自らに似せて機械を量産した未来なのか? デボルポポルと戦い、彼女たちがニーアに仇をなした経験から、アンドロイドを敵とみなし戦う未来世界……などと、妄想の余地も大きい。 |
またコンサートの中盤では『オートマタ』のPVで使用されているBGMと、公式サイトのトップで聞くことができる、未だタイトルのついていないテーマソングのフルバージョンも演奏された。
中川奈美さんの「どこからそれだけの声が!?」というような何種もの声が合わさって奏でられる『BGM ♯1』には驚かされた。民族音楽のような独特の声と、しっとりとした歌声とを一人で使い分け、曲中で入り乱れる異なるリズムすら完璧に歌い上げる中川さん。まさかこの曲をボイスの加工などもなく生歌で聞くことができるなんてと誰もが思ったはずだ。文字通りの鳥肌モノであった。
そして『BGM ♯2』はドラマチックという言葉では語りきれないほどの、深い物語性を感じさせる1曲だった。新たな歌姫として登場したジュニーク・ニコールさんの伸びやかな歌声は、長い歴史に育まれたゴスペルの力強さと荘厳さを併せ持ち、そのパワフルさは楽曲終盤の大サビでダイナミックに花ひらく。
厚みのある歌声が圧になって寄せては返す。まるで歌そのものが物語であり、1本の大作映画を見た後のような充実感を与えてくれた。
おそらくは『オートマタ』の世界をけん引していくであろうこれらの曲に、私はまたしても『ニーア』におけるMONACA音楽の重要性を再確認した。早く音源として発売されてほしいと思ったし、早く多くの人にこれを聞いてほしいと強く思う。この感覚は『レプリカント/ゲシュタルト』が発売されるあの頃に、そわそわとCD発売を待ち続けた高揚感そのものだ。
今思い返してみれば、ゲームの発売日よりも早くオリジナルサウンドトラックの発売に踏み切った『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』はあらゆる意味で枠にとらわれず、ヨコオさんの裏切り体質と自由さが他の関係者にもよい形で飛び火して、異例のことばかりが自然と巻き起こるようなタイトルだった。
半陰陽のヒロインという異例の存在にはじまり、短編小説の中では少年ニーアがタイヘンな苦労を経験していることが明らかにされ、それが一般ゲーム誌にさらりと掲載されることでいろんな読者の度肝を抜いた。
ゲームはゲームで、まるで制御を失ったおもちゃ箱。ヒロインの発言にはピー音が連発され、純粋すぎる妹は「見て、キレイ!」というたったひと言のタイミングでプレイヤーをドン引きさせ、歩いていると画面が突然サイドビューになったりして、容赦なく砂の中に沈んだりした。
緑の草原で弾幕はイクラのごとく飛んできたし、いきなり色彩が白黒になったかと思えばある時にはブラックアウトして容赦なくサウンドノベルがはじまった。
イノシシは生物の限界を突破してヒヅメでドリフトしたし、釣りと栽培は某有名オンラインゲーム並に時間を要し、“売買の街”の意味するところさえ知らず、ロボット山ではいつまでたっても素材が落ちなくて泣きそうになっていたら、2周目ではさらにツライ出来事が待ち受けていて、己の行いをどれほど悔いても引き返すことはできず、いろいろと号泣していたら、ヒロインに腹を蹴り上げられて壁ドンされるゲームだった。
とはいえ、最大の異例であり、最大の自由はおそらく、あの衝撃のエンディングだろう。
まさか○○○○○○が○○してしまうなんて。
そして設定資料集で新しいエンディングが追加されるなんて。
その後にカイネたちにあんな未来が待っているなんて。
そんな設定資料集が地味に売れ続け、異例の第15版だなんて(重版出来!)。
サントラが爆売れしたからって、あんなにいっぱいアレンジCDが出続けるなんて(全部買った)。
ドラマCDでテュランがあんなことになって、ニーア先生がそんなことになるなんて(体操服)。
なんて。なんて。
なんてヘンテコで、完璧なアンバランスを描き出したゲームだったんだろう(褒め言葉)。
不自由さと自由さが入り乱れ、発生したさまざまな化学反応が不思議な連鎖を起こした『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』。思えば、その連鎖の真ん中にはいつもゲームと一緒にサウンドトラックの存在があった。
コンサートのトークパートでヨコオさんが「音楽ばかりが評価されてジェラってる(嫉妬してる)」と語っていたが、やはりファンの目線から見れば『ニーア』からその音楽性を引き離すことは決してできない。むしろ心に残る楽曲の数々は、まさにニーアに寄り添う“白の書”のごとく輝きを放ち続けるものだ。
そんな過去を経て、ついに発表された次回作『ニーア オートマタ』。今回ほどに上機嫌で、饒舌に喋るヨコオさんを久しぶりに見たような気がした。田浦さんがイケメンで女性にすごくモテそうなことを除けば完全体とも言える豪腕デベロッパーのプラチナゲームズ。
開発陣に対して全幅の信頼を寄せながら製作に取り組んでいることが伝わってくるようなトークだった。そんなヨコオタロウの姿が新鮮で、エミールマスクの向こうにほがらかさすら感じられ、とても印象的だった。
そして私はヨコオさんや田浦さん、齊藤さんの解説を聞きながら、ひとつの新鮮な事実にたどり着くこととなった。それは過去作と次回作が初めてリアルタイムで居並び、比較が発生したことによるものだった。
まずは過去作。コンサートのBGVとして背面に映しだされたスクリーンに、かつてのニーアの姿があった。ニーアが走っている。ちょっと不格好だが、愛すべきニーアの姿だ。そうそう、これよこれとうれしく眺めていた。
しばらくしてスクリーンに『オートマタ』の実機プレイが映しだされたとき。主人公であるアンドロイド・2Bのあまりにも素早く滑らかな動きに唖然とした。
さっき見たニーアの走る姿や戦う姿とは、まるでクオリティが違う。もちろんハードそのものの性能差がある。それにしたって根本的に何かが異なるということが素人目にもわかった。
その時、歓声を上げるより先に私は固まっていた。胸に訪れたのはハイクオリティなものを前にした喜びと同時に、どういうわけか、一抹のさみしさだったからである。
ここで重要なのは、決してさみしさだけが胸を占めたのではない、ということだ。
うまい例えが見つからないが、6年前までインディーズだったバンドが人気を得て、大きな事務所に見出されて立派にメジャーデビューを遂げ、最高のサポートメンバーを引き連れ、あこがれの武道館でコンサートを実現するのを目の当たりにしたかのような、いとしさとせつなさと心強さとを感じてしまったのである。何を言ってるかわからないと思うが、つまりはそういうことなのである。
てっきり身近だった『ニーア』がまるで遠くへ羽ばたいていってしまったかのような……それこそ古いけれども、まるで『残酷な天使のテーゼ』の歌詞のような……。
不意にそんな思いにさらされてしまった。それほどに『オートマタ』のクオリティは圧倒的だった。すごくおもしろそうだし、かっこいいし、どこへ出しても恥ずかしくなさそうな、この安定感。
細かいところまで作りこまれていて(まだ過程ではあるが、今後も妥協がなさそうで)、職人のこだわりや技能が、時間と人手を存分にかけて詰めこまれていそうな。
そんなしっかりとした印象は、かつての『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』とは真逆に位置するものだ。
つまりヨコオさんの言うところの「しょっぱい『ニーア』」は、『オートマタ』のどこにも見当たらなかったのである。
このとき、これまであまりにも『ニーア レプリカント』を見続けすぎていたらしい私は、はじめて逆説的に自覚した。
あっ、私はキャビアみたいな、わりとしょっぱい料理も好きだったんだな……、と。
大画面でスマートに動く『オートマタ』を目の当たりにするまで、この感情には至らなかった、というわけである。
だが新たに生まれる『オートマタ』が、しょっぱいままでいいわけはない。この会場に集い、同時にニコニコ生放送を見守る熱心なファンの寵愛だけを受けていればそれでよし、ということも商業的にありえない。
『オートマタ』は、過去に『レプリカント/ゲシュタルト』で勝ち得た領域を超え、もっと多くのユーザーを満足させるためのコンテンツになることを目指して作られている。その心構えがひしひしと伝わってきた。贅沢かつ最高の手札を重ね、よりよい新作を目指す。
今後も発表されていくのは、ファンの想像を越えてくる究極の布陣から繰り出されるものばかりだろう。今回の豪華な声優陣の発表も、その気合の表れのように見てとることができた。
プラチナゲームズだからこそ実現しうるゲームとしてのクオリティの高さに、ヨコオタロウの伝家の宝刀“ファンの期待は全力で裏切ります!”が合わさって生まれようとしている『オートマタ』。
音楽の岡部さんはもちろん、キャラクターデザインの吉田明彦さんも加わって、こんなにも贅沢な座組みを仕掛けてきたプロデューサー・よーすぴこと齊藤陽介さんの手腕には改めて感服せざるを得ない。
『オートマタ』は確実にこの会場に集まったファンの期待値を越え、その先に広がるものを勝ち取りに行こうとしている。多くの期待を背負って生まれ来る『オートマタ』がどんな作品になっていくのか。興味深さを増した発表の場であり、実機プレイとなった。
正直なところ、私は『ニーア』の次回作がいつか来ることはあるかもしれないが、これほど豪華なものになるとは想像していなかったし、さらに言えば『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』での単独でのコンサートは、きっと無理なのだとこの6年ですっかり諦めていたフシがあった。
次回作はまだできていないかもしれないけれど、不朽の音楽はもうここにあるのになぁと、ずっとひそかに膝を抱えて思っていた。
だからこそ今回のコンサートの実現は本当に本当にうれしかった。6年もの時を経てピアノだけではないストリングスも加え、ギターも加え、歌姫たちが勢揃いして、れっきとした『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』コンサートが実現したことが、狂喜乱舞するほどにうれしかった。
そんな私なものだから、コンサートの最中はたびたび泣いた。いや、泣いたどころではない。お天気でいうなら「雨ときどき豪雨」なくらいに泣いてばかりだった。
特に号泣したのは、エミ・エヴァンスさんと中川奈美さんによる『愚カシイ機械』と、アンコールでの『イニシエノウタ/運命』だ。
どちらの曲も1人のボーカルだけでは成立し得ない。複雑で美しいコーラスとハーモニーが、重厚なリズムに乗ってこそ実現される。だからこそ、これらの楽曲を生で聞く機会に恵まれるとは思っていなかった。
二人の歌姫の声は、抜群の安定感でデボルとポポルのような素晴らしいハーモニーを奏で、会場を包み込んだ。そんな至福の音楽に、そっと映像が寄り添っていた。
『愚カシイ機械』では、P33とクレオのやりとりが克明に思い出せるムービーが流された。P33の上に乗ってはしゃぐクレオの姿に、はらはらと涙が溢れた。
そしてラストのアンコール。
『イニシエノウタ/運命』では、ニーアたちの歩んだ冒険の名シーンが次々と映し出された……ように思う。既に記憶はあやふやだ。正直、終盤はハンカチが重くなるほど泣いてしまって、まともに情景記憶ができていなかった。
私はとにかく、うれしくて泣いていた。素晴らしい音楽に包まれて、幸せな光景を見ていた。
かつてゲームをプレイした人にならわかるはずだ。
旅路の果てにあらゆる意味で“滅ビ”、一番大切なモノを喪失せざるを得なかった、あのエンディング。
『ニーア オートマタ』に名は冠されていても、そこにその姿はなく。
今回発売された公式グッズにも姿を見せることはなく、真なる意味で喪われてしまったように見える、ただひとつの存在。
その名は、ニーア。
最後の最後で「大切なモノをもらった」のに、もらったからこそ、もうどこにもいない。
そんな彼が、彼らが。
懐かしくも色あせない屈指の名曲『イニシエノウタ』とともに一斉に私の中へよみがえって、押し寄せてきたのだ。
少年のニーアも、青年のニーアも、父親のニーアも。
どれだけ時が流れても。
ああ、そうか、ここにいたんだ、と。ここにいてくれるんだ、と。
そう思ったら最後、涙が溢れて止まらなかった。
音楽が時を巻き戻す。音楽だけが、絶対に訪れることはないであろう夢を見させてくれる。
この歌声と音楽があれば、なくしたものに手が届くのだと本質的に理解できた瞬間だった。
いつかきっとと思い続け、ずっと言いたかった言葉が、涙に紛れて自然と口をついた。
「ニーア、ニーア……おかえりなさい、ニーア」
『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』の音楽は、今回のコンサートというイベントを経て、またひとつ私の中で新たな価値を得て、更なる輝きを放つ宝物となった。
いつかまたコンサートが実現することを切に願う。
そのたびに、私たちは“再生”するニーアたちに邂逅することができるだろう。
取材として参加した今回のコンサート。チケットは瞬く間に売り切れ、私も争奪戦に破れた一人だった。ファンであればあるほど、会場で生で聞きたいという気持ちは強くなる。きっと切ない思いをしたファンも多かっただろう。
一般開放された物販を求めて会場までやってくるチケットを入手できなかったファンのため、有志によって会場の近郊でニコニコ生放送を皆で見るというイベントも催されたと聞いた。
会場に飾られたエミールスマイルの花輪、物販に列をなす人々、そしてロビーに設営された設定資料などを食い入る様に見つめ、撮影する人たちの笑顔。その熱気にひたすら圧倒された。
ああ、こんなに『ニーア』を愛している人たちがたくさんいたんだ。
こういう人たちが『ニーア』における空白の6年を支え続け、見守り続け、信じ続けていたんだ。
自分もその一人でありながら、改めて体感する熱気に胸が熱くなった。
いつまでも鳴り止まない拍手が、すべてを物語っていた。
昨今“題名のない音楽会”のゲーム音楽回にも代表されるように、ゲーム音楽が持つ可能性は日々広がりを見せ続けている。私にとって『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』の楽曲は可能性の塊だ。
なぜなら発表されてからまだたった6年しか経っていないにもかかわらず、『ニーア』ほどにその枠組みを逸脱して一般性を持ち、世界中で評価され続けるゲーム音楽というのも珍しいからだ。そしてゲームを知らず、通りすがりに耳にした人さえひきつけてしまう魅力を確実に持っている。
ゲーム音楽や劇伴音楽は、どうしても作品の副産物として認識されがちだ。だが、ゲームや作品を彩る一要素としての控えめな部分を保ちながらも、一方でれっきとした創作物として立場と価値とを高めていくことはできるのだ。
『ニーア』の音楽には、その力が満ちあふれている。昔の懐かしいゲーム音楽だけが名作と呼ばれる可能性を持つのではないと教えてくれた。このコンサートは、その意味においてもとても大きな意味を持ったといえるだろう。
そんなわけで、さっきも某通販サイトを眺めたら『レプリカント/ゲシュタルト』関連のCDは軒並み売り切れていたから、私ひとりの買いかぶりではないようだ。
みんな、はりきって『ニーア』を聞き倒そう。そして遊ぼう。4月22日~5月16日の期間、PlayStation Nowでは脅威の80%オフで『ニーア レプリカント』がレンタル配信されるとのこと。
この機会を逃す手はない。むしろ『ニーア レプリカント』を違和感なく遊ぶなら、今しかないのだ。『ニーア オートマタ』が発売されてから振り返って遊んだら「なんだこりゃ、ずいぶんとしょっぺぇ!」と言い出す人がほとんどだとすれば、キャビアをおいしくいただけるのは、今このタイミングが未来永劫ほぼ最後のチャンスということになる。
『ニーア レプリカント』はいいぞ。表示される文字が小さいけれど、全力でなるべく大画面のテレビを選んで遊ぼう。
『ニーア レプリカント』はいいぞ。音量は大きくして、音楽をめいっぱい吸い込むみたいにして遊ぼう。
『ニーア レプリカント』はいいぞ。歌声が聞こえてくる村の噴水周辺から、どうしてもしばらく動けなくなるあの体験をぜひ味わおう。
そして震えそうな最後の決断を、どうかその手で、その指で。
最後には、最高に悲しくて美しいエンディング曲『Ashes of Dreams』を、その耳で。
素晴らしいコンサート&トークライブでした。本当に本当にありがとうございました。
岡部啓一さん:『ニーア』単独でお客様からお金を払ってきていただくようなコンサートは初めてだったので、とにかく「満足していただけるかな」というプレッシャーが大きかったです。
終わった今ではたくさん拍手やコメントをいただいて、きっと満足していただけたんだなとホッとしております。パワー溢れる歌声のジュニークさんを起用したりと、『レプリカント』とはまた違う、新たな『オートマタ』の音楽をお届けしたいと思っておりますので、楽しみに待っていてください。
ヨコオタロウさん:すばらしいコンサートだったと思います。いい冥土の土産ができました。『レプリカント』は発売直前までストーリーも音楽もつながらず、データだけが詰まったような状態で、ギリギリで発売にこぎ着けて、もう見たくない気持ちでいっぱいでした。
数年経ってファンの方々が楽しんでいるのを見て、よかったんだと確認できました。僕は今後、舞台がやりたいです。舞台は赤字で儲からないからやらせてもらえないとのことなので、メディアに向けて言っておこうと思います。
石川由依さん:とっても素晴らしいコンサートで、たくさんの方々が『ニーア』をこんなに愛していてくださるんだ、ということを心から感じることができました。
私は『オートマタ』からの参加ですが、皆さんが力を出し合ってステキな作品を作っているので、残っているアフレコも全力で頑張りたいと思います。門脇さんや他のキャストの皆さんにお会いするのもとても楽しみです。
門脇舞以さん:私にとって『ニーア』は忘れられない、ずっと色あせない作品です。ずっと待っていてくださった皆さんと、大好きな曲を一緒に聞くことができて本当に幸せでした。
もうホントに、今回のイベントに参加できただけで十分幸せというくらいの気持ちなのですが、『オートマタ』ではもちろん、これからもずっと一生懸命エミールを演じさせていただこうと思います。収録はまだなので、石川さんとのかけあいなんかもあるといいな、と。エミールの新しい曲にも期待しています。
田浦貴久さん:新作の『オートマタ』ができあがった後にも、こんな風なイベントができればいいなと思いました。よりいっそう、開発を頑張ろうという気持ちにもさせられました。次の機会では『オートマタ』のもっといろいろな魅力を、バリエーション豊富にお見せしたいと考えています。今後とも応援よろしくお願いいたします。
齊藤陽介さん:客観的に見ていて「自分がお客さんだったら絶対に泣く」と思える舞台が作れたと思います。『レプリカント』開発中に曲を聞き込みすぎて、何が名曲なんだかわからなくなったのも今ではいい思い出です。
今後はプロデューサーとして、赤字にならないようなイベントを開催していきたいと思っています。ヨコオさんが希望の舞台? それはスケジュールどおりにゲームがリリースできたら考えましょう(笑)。僕はとにかく、エンディングを有料ガチャにしようと真顔で言い出したヨコオさんが考えた、今フィックスさせているエンディングを早く世に出して皆さんに問いたいです。
もちろん有料ガチャではありませんが、それにしたって今のエンディングも賛否両論だと思います。それでこそヨコオタロウだとも思うわけですが、早く! 早くリリースしたいです! コンサートについても今回はチケットを買えなかったというお客さんも多くいらしたことですし、キャパシティなどをよく考えながらぜひ次回をとも思っています。『オートマタ』の続報とあわせて、楽しみに待っていてください!
▲司会進行でエミール役の門脇舞以さん(写真左から3番目)。『オートマタ』ではどんな風に登場するのか、想像もつかない。楽しみに待っていよう。 |
▲実はエミールヘッドの製作工程なんかも展示されていた。 |
本作の攻略情報と設定資料を収録した『NieR:Automata Strategy Guide ニーア オートマタ 攻略設定資料集 ≪第243次降下作戦指令書≫』を4月28日に発売します。価格は2,500円+税。仕様はB5判・304ページとなっています。
やり込みに役立つ攻略データに加え、ネタバレ注意のキャラクター&ストーリー解説も収録!
ディレクター・ヨコオタロウさんによる短篇小説、小説家・映島巡さんによる書き下ろし小説2篇も読める『NieR:Automata』ファン必携の1冊です。
(C) SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
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