2016年4月27日(水)
『やがて君になる』仲谷鳰インタビュー第2弾。公式サイト&PV公開、着せ替えアプリ、そして第二巻発売!
いまだ恋愛感情を知らない高校1年の小糸侑(こいと ゆう)と、学業も運動もこなす優等生の高校2年・七海燈子(ななみ とうこ)の二人による、新たな恋愛のカタチを描く話題作『やがて君になる』(略称:「やが君」)(『月刊コミック電撃大王』連載)。
昨年10月に発売された第1巻は百合漫画系ブログを中心に高い評価を得ており、TwitterなどSNSを中心に大きく盛り上がった話題の漫画である。
また、先日公式サイトとともに『やがて君になる』プロモーションビデオ(PV)が公開され、小糸侑役を金元寿子さん、七海燈子役を寿美菜子さんが演じた事も大きな注目を浴びた。さらに東京と大阪で開催された百合展2016でもグッズが大好評だったとか。
ますます加速する『やがて君になる』ワールド。その作者である仲谷鳰さんに、金元さんと寿さんのPVアフレコ現場の様子や第2巻に向けての意気込みなど、『やが君』の今を切り取るインタビューを敢行した。
インタビュアー:かーず(かーずSP)
金元寿子さん(侑役)と寿美菜子さん(燈子役)が演じるアフレコ見学レポ
──第1巻は発売されてから即重版など、大きな話題になりましたが、反響はいかがでしたか?
ありがたいことに予想外に大きくて、いろんな感想をいただくことができました。まず、百合作品(※女の子同士の特別な関係を描いた作品)を好きな人達に気付いてもらえるか、手にとってもらえるかと気にしていたんですが、ちゃんと届いたみたいでよかったです。
Twitterのリプライで感想をいただいたり、ネットでも話題にしてもらえて、恐縮で恥ずかしくなりながらも見ていました。他の人に勧めてくださる方も多いみたいで、口コミ的な広げ方をしていただき、ありがたいなあと感じています。
――サイン会も盛況だったとか。
3月に電撃コミック祭2016というイベントで初めてサイン会をさせていただきました。普段引きこもって漫画を描いているので、本当に私の漫画を読んでくれてる人っているのかなぁ? 誰も来なかったらどうしようと不安になっていたのですが、大勢の方にお越しいただいて……直接ファンレターやプレゼントをくれた人もいて感激しました。
それに海外から、シンガポールやタイなどの方まで来てくださいました。外国にも百合が伝わるんだと。百合は万国共通ですね。
――海外からのファンがサイン会にまで来られるのはすごいですね! そういえば、PV!(「電撃コミック大賞金賞受賞作家作品『やがて君になる』特設サイト」)ヒロイン2人に声がついてるPVが公開されましたけど、こちらを観てどう思われましたか?
大変照れくさいです(笑) ここまでしてもらっていいのかなあって。PVはめっちゃ嬉しいのと恥ずかしい気持ちが混ざって、自分でも繰り返し観るんですけど、いまだに平常心で見れなくて、だいぶ恥ずかしいです。
――最初にPVの話が来てどう思いましたか?
またまたーって、信じていなかったです。でもだんだん具体的な話になっていって本当だったのかって。アフレコ現場に伺う際には、そもそも初めての体験で、かなりミーハー心で浮かれながらアフレコ現場に行きました。
――金元寿子さん、寿美菜子さんにお会いしての印象は?
お二人ともすごく綺麗な方だったので、ガチガチのまま名刺をお渡ししてしまいました。お二人とも、すごく丁寧に作品のキャラを読み取ってくださって……。
『やが君』のキャラってめんどくさい性格していると思うんですけど、そんな性格の要領を得ない説明をしっかりと汲んでくださいました。プロの声優さんのすごさを思い知りました。あと、寿さんがブログで『やが君』の紹介をしてくださいまして……。
関連ブログ:2016-03-28|寿美菜子オフィシャルブログ「みなころび八起き」
まさかこんな風に紹介していただけるとは思わなかったので嬉しかったです。収録中もリテイク含め、寿さんに何回も「大好きだよ」とか言ってもらって……、こんな嬉しい事があっていいのかなって。
燈子は二面性のある部分が超難しいと思うんですけど、寿さんは素晴らしくて。「頼れる先輩だけど、実際は弱い部分も持っている」という二面性ですね。寿さんの声は甘さというか可愛さが残る感じで、私の燈子のイメージと一致してて、実によかったです。
――金元さんが演じる侑はいかがでしたか?
侑も本当に難しいキャラだと思っていて「可愛い声なんだけど冷めてる演技・感情の起伏がない感じ」という……。ですが、金元さんならぴったり、演じていただけると思っていました。
以前、テレビアニメで、金元さんが新人声優の役をやられていたんですよ。新人声優っぽさを伝えるように演じるってすごいなって思って……。実際、侑の可愛いんだけど冷めた感じの演技もステキに演じていただけました。完成された音源を聞くと「これだわ……!」って感じで、「侑、可愛いじゃん」って私の中で、より侑の印象が固まった気がします。
――自分の考えたセリフを声優さんが喋るという経験はどうでしたか?
現場では浮かれつつも仕事なので「イメージを伝えなきゃいけない」って責任感であんまり恥ずかしさはなかったんですけど、後で完成された音源を聴いたら、すごく恥ずかしかったです。2巻の後書きにアフレコの様子がさらっとですが描いてますので、よかったら読んでみてください。
――PVのように、ご自分の作品に他人の手が関わってくるお気持ちはどうですか?
自分の手を離れた後に、ほかの方に仕事をしてもらうのはすごく好きです。今回のPVに関してはお任せというか、一ファンとしてワクワクしながら見ていました。
1巻発売後の反響、「恋愛する気持ちがわからない」主人公が受け入れてもらえてホッとしてます。
――ここからは『やがて君になる』の内容について伺っていきます。第1巻発売後に、予想していなかった感想は届きましたか?
とにかく、ほっとした部分が多かったです。思っていたより多くの人に読んでもらえたんだっていう実感がありました。正直、少し怖い部分もあったんですよ。
――怖いとは?
恋愛漫画なのに、恋愛を知らない、恋愛に興味が持てないというキャラを主人公にすることに対する怖さですね。こういった主人公が共感を持ってもらえるのかという不安もありました。
けれど、1巻が発売されてからすごく共感できるっていう意見を多く見ることができて……。ただ、共感できないという人にも「理解はできる」ように編集さんと突き詰めて打ち合わせをしていきました。その成果が出たのかなと思っています。
▲恋愛感情を「羽根が生えたみたいにフワフワしちゃったり」と表現しつつ、その感情が芽生えないことを「依然しっかり地面を踏みしめていて」と表す。比喩的な表現方法を用いる事で、感情を視覚的にも読者に伝えようとする工夫が見られる。 |
――そんな恋愛を知らない侑ですが、2巻ではますます燈子との仲が進展していきます。
そういう(恋愛を知らない)子が燈子と一緒にいることになった状態が2巻なので、一緒にいることで侑がどうなっていくのか、その変化を楽しんでいただければと。侑が「好き」って感情をわからないままなのか、変化していくのか、ちょっと揺れ動きがあるのでそこを見てもらえたらいいなって思います。
百合展でも大盛況だった『やが君』グッズ
【百合展】
池袋マルイや、梅田ロフトで行われたイベント──百合展。著名な百合漫画家や写真家が多数参加し、グッズの販売や複製原画の販売を行った。Tシャツとトートバッグは現在も通販で購入が可能になっている(仲谷鳰 / やがて君になる / ヴィレヴァン通販)。
――今年は百合展2016という催しも開かれまして、『やが君』も参加されたとか。
はい、Tシャツとトートバッグを描きおろしで描かせていただきました。私は普段そこまでグッズを買わない方なので、「大丈夫かな、使ってもらえるのかな」って不安だったんですけど、多くの方に手に取っていただけたようで安心しました。
――主催の方の話では、仲谷さんのグッズが大人気だったとか
「グッズっぽい絵ってどんなんだろう」って悩んで、あまり普通のカラーイラストっぽくしないで、色数を抑えたりとか、センスが足りないなりにおしゃれ感を出したいと頑張って描きました。うまくできたかはわかりませんが……。実際、蓋を開けてみたら、他の作家さんも同じような色数でイラストを描いてらしたので、ああ、間違ってなかったなって。これもほっとしましたね。
――実際に百合展に行ってみてどうどうでしたか?
普通にマルイのエスカレーターを上がっていって、4階に辿り着くと、そこは百合空間だった。
――詩的な表現ですね
予想以上にいきなり百合展の空間が出現していたので意表を突かれたというか、ちょっと薄い白いレースで区切ってあって、隔離された世界観が作られてました(笑)。
着せ替えアプリで、スマホを『やが君』一色にしよう!
――ここで少し、編集の方から「やが君」の新しいコンテンツについて、お伺いしたいと思います。
編集:ありがとうございます。先日、「やが君」の特設サイトが公開されまして、こちらで先程話にあがりましたPVを見ることができます。さらに、この特設サイトにて、『やが君』着せ替えアプリが無料配信中です。壁紙やホーム画面が『やが君』一色に染まるアプリとなっていまして、こちらはAndroid専用となっています。(特設サイトはこちら)
編集:iPhoneの方には壁紙が配布されています、どちらも公式サイトからダウンロードできますので、ぜひ使ってみてください、スマホでいつでも侑と燈子を眺められますよ!
ついに発売される『やが君』2巻の見どころは「ダメな先輩」!?
――そしていよいよ第2巻が4月27日に発売されます。
ぐいぐい押してくる燈子に、振り回されている侑をお楽しみください(笑)
――作者がオススメする2巻の見どころはどこでしょうか?
……燈子がダメになっているところでしょうか(笑)。付き合いたての浮かれてる感じが本当にもう、描きながら燈子については毎回「この人大丈夫かな?」って言い続けてます。
初めて部屋に入った時のソワソワ感とか、「ほんとにこの人大丈夫なの?」ってずっと言いながら描いてました。2巻が発売されましたら、1巻ともども、よろしくお願いいたします。
――最後に、読者の方々に一言お願いできますでしょうか?
予想以上多くの方に1巻を手に取っていただき、本当にありがとうございます。侑と燈子を好きになってもらえるか不安だったのですが、好きという言葉をいただく度に嬉しく思っています。沙弥香を好きという言葉もよく届くのですが、彼女も今後どんどん出番が増えてくるはずなので、楽しみにしてください。
――本日はありがとうございました。
4月某日 株式会社KADOKAWA アスキー・メディアワークス会議室にて
データ