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2016年7月17日(日)

『イース8』担当ライターが30時間以上プレイした感想をお届け。進化したパーティバトルを評価

文:Z佐藤

 日本ファルコムより7月21日に発売されるPS Vita用アクションRPG『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』を担当ライターのZ佐藤がレビューします。

『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』

「アドルが歩けば冒険に当たるってな」(byドギ)

 2012年9月27日にPS Vita『イース セルセタの樹海』が発売されて3年と10か月。2013年12月に“鋭意制作中の極秘タイトル”として第1弾のイメージビジュアルが公開されて2年と7か月。待望の『イース』シリーズ最新作が、いよいよPS Vitaで発売されます!

 『イース』シリーズといえば、1987年にパソコン(PC-88)用として第1弾が発売されて以来、日本国内のみならず海外でも人気を博する日本ファルコムの看板タイトル。その最新作となる『イースVIII』は、シリーズの伝統である遊びやすさ、1作完結型の作風、爽快なアクションバトル、ドラマチックなシナリオ展開、ハートに響くサウンドなどを継承しつつ、新たな要素を加えて進化させた作品です。

『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』

 主人公は1作目から変わらず、燃えるような赤毛と少年のように澄んだ黒い瞳を持つ稀代の冒険家アドル=クリスティンですが、今回はシリーズ初の試みとしてもう1人主人公が登場! そのあたりも含めて、本作の見どころや実際にプレイした感想についてお伝えしていきましょう。

 なお、PS4版は2017年発売予定です。

現実と夢の世界を舞台にダブル主人公でつむがれる壮大なストーリー

 ストーリーの時間軸は『イースV 失われた砂の都ケフィン』と『イースVI -ナピシュテムの匣-』の間で、主人公のアドルが21歳の時にゲーテ海の孤島《セイレン島》で体験した冒険が描かれます。ゲームのプロローグでそのことが会話で明かされたり、最初にドギから渡される“イシオスブレード”が『イースV』で入手できる最強の剣だったりと、シリーズのつながりを連想させる演出も。

 とはいえ各作品のストーリーは1作で完結する作りですので、前後のつながりやシリーズの知識がまったくなくても十分楽しめる内容になっています。

 新たな冒険は、主人公のアドルと相棒のドギが、旅客船ロンバルディア号で船員として働いているシーンからスタート。その後、船が正体不明の触手に襲われて沈没し、海に投げ出されたアドルは見覚えのない砂浜で目を覚まします。ここはどこなのか? ドギは、他の乗客たちは無事なのか? よろめきながらもアドルは漂着物の錆びた剣を手に取り、周囲の探索を始めます。

『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲アドルと相棒のドギはサンドリアでの冒険を終え、定期旅客船ロンバルディア号で船員として働きつつも次なる冒険の地を目指していました。
『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲正体不明の触手がロンバルディア号に迫る! アドルはドギから渡された“イシオスブレード”を手にして立ち向かいますが、船は沈没してしまいます。

 作風としては、街や村を転々としながら武器や防具を揃え、クエストを達成して次の地域に向かう……といった展開ではなく、1つの拠点にどっしりと根を下ろし、自給自足で生き延びながら新しい道を自分で切り開いていくという作りになっていて、これまでの作品よりもアドベンチャー的な色合いが強い印象を受けました。

『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』

 なにより「無人島に流れ着いたら、こういうことが起こりうる」ということもしっかり練られて表現されているところも好印象。例えば、漂着物を集めて生活の場を作ったり、海賊の地図を頼りにお宝を探したり、意見の合わない人がいたり、島に棲息する獣たちと戦ったり、拠点が獣たちに襲撃されたり。

 次に何が起こるか予測不能でハラハラ・ドキドキする部分もあって、独自の世界観にグイグイ引き込まれていきました。

 《セイレン島》に漂着してから、アドルは奇妙な夢を見るようになります。それはダーナと呼ばれる少女の生い立ちを追体験していく内容で、ゲームを進めると文明の発達した見知らぬ世界を舞台にダーナを操作してプレイできるようになります。

『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲もう1人の主人公ダーナ。非常に高度な文明を持った地域で生きているらしく、とある目的を成し遂げるため1人で戦いを繰り広げていきます。

 ダーナとは何者なのか? なぜアドルの夢に現れるのか? そして2人のつながりとは? 数々の謎がドラマチックに解明されていく細やかな作りがストーリー部分の見どころですね。

『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲ダーナのストーリーには漆黒のローブで身を包んだウーラと、人外の存在であるヒドゥラ、ミノス、ネストールが登場。彼らの動向からも目が離せません!

パーティバトルが進化! “ブレイク”を利用しながら屈強な獣に挑め!!

 アドルの物語のパーティは、戦闘に参加する行動メンバー3人+待機メンバー2人の最大5人。プレイヤーは行動メンバーから1人を選んで操作し、残る2人は自動戦闘でプレイヤーをサポートします。操作するキャラは△ボタンで交代可能で、各キャラが備えている攻撃属性と敵の弱点属性から判断し、たくみに交代しながら戦うのが基本になります。

『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲序盤はアドル、サハド、ラクシャの3人で冒険。その後、ヒュンメルとリコッタが加わり、5人で冒険を繰り広げていきます。

 有利な属性で攻撃を続けると“ブレイク”が発生し、弱点が斬撃属性の敵は防御力がダウン。弱点が射撃属性の敵は、防御力ダウン+飛行不可。弱点が打撃属性の敵は、防御力が大幅にダウン! さらにレアアイテムの出現率が上がり、ブレイク状態の敵に対しては属性に関係なくダメージが与えられるようになるので狙っていきましょう。

『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲敵をブレイク状態にすると動きが止まり、反撃の大チャンスとなります。そのタイミングで集中攻撃を仕掛けて倒しましょう。

 基本部分のシステムは前作『イース セルセタの樹海』を踏襲していますが、キャラの3Dモデルの頭身が上がっていたり、視点がフリーカメラになったりしたことでスピード感や爽快感、それにアクションのダイナミックさが確実にアップしている印象ですね。かなりイイ感じです!

『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲アドルの夢の中ではダーナを操作してプレイ。ダーナのアクションは流麗かつスピーディで、まさに舞い踊るかのように攻撃を繰り出します。
『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲ダーナは魔法のような能力を備えていて、氷柱を出現させて攻撃することも可能。スキル攻撃もダイナミックで、いずれもかなり強力です。

 敵の攻撃を受ける直前にRボタンを押してガードを行うと“フラッシュガード”が発動し、敵から受けるダメージを無効化しつつ、SP(スキルポイント)とEXTRAゲージが蓄積。さらに一定時間、すべての攻撃がクリティカルになります。

『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲フラッシュガードに成功すると、画面上部に導火線のようなゲージが出現。ゲージが0になるまで、すべての攻撃がクリティカルになります。

 この時スキル攻撃やEXTRAスキルを使えば、通常よりも多くのダメージが与えることが可能に! 大型の獣と戦う時に使えば効率にダメージが与えられるので、この戦法を覚えておけばラストバトルまで役立ちます。

『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲フラッシュガード後は、攻撃力の高いEXTRAスキルがオススメ。Rボタンを押しながらLボタンを押し、的確に攻撃を決めましょう。

《セイレン島》を隅々まで冒険して地図を作成。漂流者を残らず救出しよう!

 本作ではストーリーを進めるのと同時に、《セイレン島》の地図を作成すること、島に流れ着いた漂流者たちを救出することが大きな目的になります。

 地図の作成は、移動した周囲の地形が自動的にマッピングされる方式で、隅々まで探索することで完成に近づいていきます。エリアの探索率によってアイテムがもらえますので、そちらも励みに少しずつ進めていきましょう。

『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲各地にある水晶石に触れておけば、その場所まで地図で指定して瞬間移動が可能。長距離を歩いて移動しなくてもOKなのでラクチンです。

 そして漂流者は《セイレン島》のあちこちに流れ着いており、見つけて救助すると冒険の拠点《漂流村》で共同生活を送ることができます。なお、漂流者を救助することで村の機能が拡張されたり、クエストや支援イベントが体験できたり、“迎撃戦”と呼ばれる特殊バトルで一緒に戦うことも可能に!

『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲漂流者にはゲームの進行上で必ず救助できるキャラと、捜して声をかけないと救助できないキャラがいます。すべての漂流者を見つけることができるかな?

 贈り物を渡して好感度を上げれば、各キャラの“人物メモ”がオープンされ、秘められた意外な素顔が明らかになっていきますので、積極的に取り組んでいきましょう。

『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲ツタをよじ登れる“グリップグローブ”や暗闇を明るく照らす“夜光石”など、冒険具と呼ばれる特殊なアイテムが登場。これらを利用することで探索範囲が拡大します。
『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲ゲームを進めると、獣の襲撃から《漂流村》を守る“迎撃戦”が発生。アドルたちを操作し、自動でサポートしてくれる村人たちと力を合わせて獣たちを撃退しよう。

 漂流者を見つけると《漂流村》にはショップがオープンし、新たな武器の練成や強化、そして防具やアクセサリーの作成などが可能になります。なお、お金の概念はありませんので、新しいアイテムがほしければ相手に素材を渡して作ってもらったり、物々交換をしたりして手に入れていくことになります。

 このあたりも無人島ならではの要素で、本作の“味”といえるところですね。そのため素材集めがポイントになりますので、各地にある壊すと素材が出現するブレイクオブジェから、こまめに素材を集めていくようにしましょう。

『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲序盤は武器の強化のみですが、カトリーン救出後は新たな武器を作成する“練成”が実行できるようになります。
『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲仕立て屋では各キャラの衣装アイテムに加え、腕などに装備するアタッチアイテムも作ってもらえます。

宝箱の回収、魚釣り、料理、謎めいたメモの収集など、じっくり楽しめる要素が盛りだくさん!

 いわゆる“やり込み要素”といわれるものも充実していて、本編では立ち寄らないダンジョンの探索、宝箱の回収、魚釣り、料理、謎めいたメモの回収など、取り組みがいのあるものが揃えられています。

『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲木箱には素材や消費アイテム、頑丈な作りの箱には重要なアイテムが入っていることが多いです。すべての宝箱を回収しましょう。

 魚釣りに関しては、通常の魚に加えて素材などが入手できる漂流物、さらに強力な獣が釣れることも! 釣り上げた魚や獣は“冒険手帳”という、ゲームの進め具合やクエストの内容、そしてヘルプ機能などを備えた記録帳に記載されますので、魚釣りだけでも取り組みがいがタップリです。

『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲水辺ならどこでも魚釣りが可能。魚影が見えないポイントで挑戦すると“漂流物”を釣り上げられ、そこからは素材などが入手できます。

 さらにストーリーには分岐の要素があり、さまざまな要素によって変化する仕掛けも用意されていたり。そのボリュームゆえ、夏休みが吹っ飛んでしまっても保障はできませんが……。

『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲素材とレシピがあれば、各所にある焚き火で料理が作れます。それぞれの料理にはHP回復+追加効果があり、バトルで使うひん度はかなり高めです。
『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』
▲“迎撃戦”には、巨大な獣が続々出現する“果て無き脅威”と呼ばれる超難度のバトルも存在。メンバーをしっかり強化していないと勝利はない!?

 本作でも、日本ファルコム作品ならではの“親切設計+ていねいな作り”といった部分は堅守されていますし、難易度もEASY、NORMAL、HARD、NIGHTMAREの4つから選択可能。こちらはゲーム開始後でも変更できるので、物語は気になるけど『イース』シリーズは知らないし、アクションは苦手という人でも、ぜひプレイしてほしいです。

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