2016年7月19日(火)
7月21日にコンパイルハートから発売されるPS4用ソフト『クロバラノワルキューレ』のレビューを、ライターのこむろっくがお届けします。
本作はキャラクターデザインを藤島康介さんが、シナリオを実弥島巧さんが担当するという、豪華スタッフが話題の大作RPG。“キメラウイルス”と名付けられたウイルスによって人ならざる怪物“キメラ”が登場した世界を舞台に、主人公・白峰アサヒ率いるキメラ討伐専門部隊・ワルキューレ隊の戦いが描かれています。
戦術的で奥深いバトルや、いずれ裏切るヒロインを見抜く面談のシステムなど、魅力的な要素がたくさん詰まっている『クロバラノワルキューレ』。ここでは実際にプレイしてわかったことを交えながら、ゲーム内容を解説していきます。
ブラックガーネットと呼ばれる隕石から発見された未知のウイルス。感染者を異形のモンスターへと変えてしまうこのウイルスは、キメラウイルスと名付けられ爆発的に拡大。世界的なパンデミックを引き起こしてしまいます。
本作の舞台となる“シンヤマト帝国”は、この危機に対して鎖国という選択をやむなくとることに。
▲ウイルス感染によって生まれたキメラ。感染者を増やそうと、見る者に襲い掛かる。 |
鎖国をもってしてもウイルス被害は完全に抑えられず、帝国はキメラ迎撃を目的とした専門の組織、特務機関ACIDを設けます。主人公の白峰アサヒが所属する特殊部隊ワルキューレは、このACIDの中の1部隊です。
▲白峰アサヒ(声優:浪川大輔) |
プレイヤーはアサヒと7人の隊員からなる特殊部隊ワルキューレを指揮し、キメラと戦っていくことになります。隊員に女性が多いのは、男性のほうが罹患率(りかんりつ)が高いというキメラウイルスの特性によるもの。決してサービスではない……ハズ。いずれにしても個人的には大歓迎な設定ですが。
▲八雲アイ(声優:三森すずこ) |
▲一之宮ルナ(声優:御伽ねこむ) |
▲柊ユエ(声優:橘田いずみ) |
▲アマル=フランソン(声優:新田恵海) |
▲クー=フランソン(声優:大橋彩香) |
▲風見ナオユキ(声優:三木眞一郎) |
▲篠原ケンゴ(声優:野村勝人) |
ワルキューレの隊員は対キメラ兵器“T・C・S”という武器を扱います。この武器にあるブラックボックスが原因でうんぬん……という展開が待っているのですが、それは後述する“面談”の項で解説します。
RPGというゲームジャンルにおいて、バトルのおもしろさは重要だと思います。この『クロバラノワルキューレ』においては、期待してもらっていいと断言できます。早速バトルの流れと、主な行動を簡単に説明していきます。
あと、参考までに書いておくと、戦闘画面に入るまでのロードはとてつもなく短いです。戦闘中も処理落ちを感じることはなかったので、ストレスフリーな作りになっています。
バトルに入ると、画面左側にある縦の線“タクティカル・ウェイト・ゲージ”の上を、仲間と敵のアイコンが上昇していきます。敵のアイコンはどれぐらいで攻撃されるかの目安になり、仲間のアイコンは大きな黒丸の位置(行動開始位置)に来ると、そのキャラクターへコマンドの指示ができます。
戦闘中はつねに時間が流れているため、自分が攻撃中でも敵から攻撃を受けてしまいます。ただし、コマンドを選択している間は時間が止まっているので、じっくり考えられるので安心です。
●コンボ
“コンボ”は基本となる攻撃で、使用回数に制限はありません。あらかじめ自分で設定した技を数回繰り出します。LV1、LV2、LV3のアタックレベルがあり、高いレベルを選ぶほど威力が上がる反面、攻撃するまでの時間が長くなります。
▲コンボを設定する画面。特定の順番で技を置くと、ライオット・コンボという強力な技に変化します。 |
●チャージ
チャージが当たると“タクティカル・ウェイト・ゲージ”上にある敵のアイコンを少しだけ押し戻します。敵の攻撃を遅らせることができますが、チャージ自体のダメージは非常に低いので、戦術的な運用が求められます。
●アーツ
非常に強力な攻撃手段。威力は高いのですが、APというポイントを消費するため、連発することは難しいです。また、アーツにもアタックレベルが存在し、強力であるほど発動は遅くなります。
▲アーツの中でも、複数人で発動する“連携アーツ”は高威力! |
●イグニッション
攻撃をしたり、ダメージを受けたりすると増えるTPを消費して発動する“イグニッション”。3ターンの間、消費したTPに応じてキャラクターの能力を強化します。
ただし、行動するごとに疲労度が上昇。疲労度が溜まりすぎるとイグニッションは解除されてしまうので、ここぞというときに使いましょう。
●オーバードライブ
イグニッション中にさらにTPを消費して発動可能。対キメラ兵器“T・C・S”をフル活用し、発動から3ターンの間イグニッションを超えるパワーアップを使用者に施します。行動順が回ってくる速度が早くなりますが、疲労度が溜まることに加えて、解除後は1ターンだけ行動不可になります。
そして! そして!! 戦闘中に受けたダメージがかさんでいくと、やがて服の耐久度がなくなってしまい……!
▲あられもない姿に! こちらは、男性キャラの服もしっかり破けますのであしからず。 |
拠点に帰れば服の補修ができるので、ご心配なく。とはいえ、別に直さずに戦うこともできます。ワルキューレ隊は訓練されているので、下着姿でも戦えるのです。
ワルキューレ隊が使う武器“T・C・S”は非常に強力な反面、使用者の人格が狂気的に変ぼうしてしまう、人格分裂という副作用を持っています。この人格分裂の現象はタチの悪いことに、キメラウイルス感染者の症状と酷似しているのです。
人格分裂が起きた際には、ただの副作用なのか? それとも感染してしまったのか? それを見極めるために、面談を行わなければなりません。
キメラウイルスの感染者は“ウソを付く”という大きな特徴があるのがポイント。隊員と話して得た情報から、矛盾する点を見つけていきましょう。この時に、“ウソと思う証言”を見つけたとしても、それに矛盾する“本当と思う証言”が1つだけでは、根拠にはなりません。“本当と思う証言”は必ず2つ以上用意します。
今回は面談の雰囲気を感じていただくのが目的なので、感染者探しではなく“隊長の抹茶プリンを食べたのは誰か”という、ゆるい面談を紹介します。
面談で証言を得られる回数には限りがあります。1人から詳しく聞くもよし、複数人からまんべんなく聞くもよし。この回数は隊長としての評価が高いと増えるので、日ごろから隊員たちとコミュニケーションをとることが大事ですよ。
▲相反する2つの証言があったとしても、それだけではどちらが本当なのかわからない。確証を得るため、証言は多ければ多いほど有利です。 |
面談が終わったら、最後に該当者が誰なのかを上官に報告します。もっとも疑わしい人物と、その根拠となる証言を2つ以上選択。もし見当がつかなければ、該当者なしという報告をすることも可能です。隊長としての手腕が問われる瞬間です!
正しく報告が行われた場合は、しばらくしてから報酬のアイテムを受け取れます。間違った報告をした場合でもアイテムはもらえるものの、少し見劣りするものになってしまいます。隊長の抹茶プリンを食べたのははたして誰なのか、それは本編をプレイしてのお楽しみに!
バトルのテンポやロード時間の短さなど細かな遊びやすさの配慮に加えて、シナリオのおもしろさも折り紙付き。本作にはたくさんいい部分があるのですが、私はやっぱりキャラクターのよさを一番推したいですね。立ち絵と3Dモデルの両方が美しいですし、随所に隊員とのコミュニケーションがあるので、どんどんキャラを好きになっていきます。
しかし、忘れてはいけません、裏切り者の隊員がいることを……。本音を言えば誰にも裏切ってほしくないのですが、大好きなキャラクターだからこそ見抜いてあげたい、助けてあげたい。そんな風に思うぐらい、のめりこんでしまう作品です。感染者になる隊員はプレイするたびに変わるため、何度も楽しめる点もうれしい!
良作のRPGを探しているなら『クロバラノワルキューレ』は自信をもってオススメできるタイトルです!
(C)藤島康介 (C)2016 IDEA FACTORY/COMPILE HEART
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