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2016年8月18日(木)

『KOF XIV』感想をレポート! 6年振りの新作をシリーズ“らしさ”を確かに感じられるものと評価

文:ophion

 SNKプレイモアから8月25日に発売予定のPS4用ソフト『THE KING OF FIGHTERS XIV』を、ライターのophionがレビューします。

『THE KING OF FIGHTERS XIV』

 前作『KOF XIII』の発売から約6年……8月25日にシリーズ最新作『KOF XIV』がついに発売されます。思い返せば22年前、アーケードで「チーム戦の対戦格闘なんて初めて見るなあ」と思ったことが、自分と『KOF』シリーズの出会いでした。当時は『餓狼伝説』も『龍虎の拳』も知らなかったので、ただなんとなくおもしろいというだけでプレイをしていたら、いつの間にかハマっていました。

 そこからの自分と『KOF』シリーズの付き合いは長いですね。『KOF ’94』ではシャイニングクリスタルビットを出せず、『KOF ’96』では鎮元斎を使って寝て起きるだけでゲーニッツを倒し、『KOF ’98』では七枷社の近距離立ち強キックが中段でなくなっていることに涙し……長くなるのでこの辺で。

『THE KING OF FIGHTERS XIV』

 そんな思い入れのある『KOF』シリーズの最新作を発売に先駆けて触ったところ、6年ぶりとは思えないくらいもう完璧な『KOF』だったのです。その魅力を語っていきましょう。

速さも重さもストーリーもまさに『KOF』

 実は本作に触れる前、1つ大きな心配がありました。それは「6年振りの新作が、描写を2Dから3Dにしてナンバリングの『KOF』らしさは出るのか?」という点です。

 ここでいう『KOF』らしさというのは“スタンダードなキャラクターが1画面ぶん移動するのにかかる時間”や“攻撃がヒットしたときの攻撃側の硬直時間(いわゆるヒットストップ)”など、細かいながらプレイ体験に直結する部分のこと。正直本作にささいな違和感があるだけで『KOF』らしくないと思ってしまったことでしょう。

 ですが、プレイしてみると上で挙げた心配はまるで杞憂でした。キャラクターの動きや攻撃の独特の重さはまさしく『KOF』!! 3Dで描かれているのに、プレイ感覚が前作までと変わらないのは感動しましたね。

『THE KING OF FIGHTERS XIV』
▲ジャンプ直後に出したレオナの垂直ジャンプ強キックがしゃがみ状態の相手に当たるなど、細かいけれどなくてはならない部分も完璧です。

 もちろん、本作初登場のキャラクターも『KOF』らしい操作感。その中にキャラクターごとの個性があり、誰を操作していても楽しいですよ。

 そして大事なのは本作にはストーリーがあるということ。シリーズ作品をプレイ済みの人にはおなじみですが、『KOF』のストーリーは複数のタイトルにまたがって語られます。

 詳細を語るわけにはいきませんが、ストーリーの印象は序破急の“序”の部分というイメージ。これから先に期待せずにはいられない内容でした。

『THE KING OF FIGHTERS XIV』
▲本作の主催者は自称“KOF初代チャンピオン”のアントノフ。彼の目的は?

 チーム別のエンディングもギャグあり、シリアスありとこれもまた『KOF』らしさが満載。意外なチームがギャグシナリオでエンディングを迎えることもあるので、発売後は全チームのエンディング必見ですね。

『THE KING OF FIGHTERS XIV』
▲ストーリーでは特定のキャラクターの組み合わせによる会話劇も。ここから各キャラクターの人間性や裏の部分が見えてくることもあります。

爽快かつわかりやすくまとまったシステム!

 ここまで『KOF』らしいという点を語ってきましたが冒頭で書いたように本作は6年振りの続編。対戦格闘の経験はあっても『KOF』シリーズは知らないという人もいるでしょう。そこでここからは本作のシステムについて語っていきます。

 本作の試合はシリーズでおなじみの3対3のチーム戦(対戦プレイでは1対1も可能)。各キャラクターは通常技、通常投げ、レバー+ボタンで繰り出せる特殊技、コマンド入力で繰り出す必殺技を使用できます。

 そして攻防によって増加するパワーゲージを消費して超必殺技(1ゲージ消費)、MAX超必殺技(2ゲージ消費)、CLIMAX超必殺技(3ゲージ消費)を繰り出すことが可能です。

『THE KING OF FIGHTERS XIV』
▲各種超必殺技の使用条件はパワーゲージだけ。残り体力などに関係なく繰り出せます。

 上記アクションのうち通常投げ以外はキャンセルで続けざまに繰り出すことができ、技の組み合わせしだいではコンボになります。このキャンセルの順番は通常技>特殊技>必殺技>超必殺技>MAX超必殺技>CLIMAX超必殺技です。より右側にある技でキャンセルできます。

 キャンセルできない通常技や、ヒット後に通常技で追撃可能な必殺技などもありますが、それは各キャラクターの性能や個性。全キャラクター、基本的に上記のルールを踏襲しています。

 文章で書くと長くなってしまいますがこのキャンセルの構造、ものすごくわかりやすいんですよ。通常技>特殊技>必殺技の部分は、言い換えれば“より入力が複雑な技でキャンセル可能”、必殺技>超必殺技>MAX超必殺技>CLIMAX超必殺技の部分は“よりパワーゲージの消費が多い技でキャンセル可能”。それだけです。

 対戦格闘に触れたことがある人なら少しプレイしただけ、前述の文章を読んだだけで『KOF』のキャンセルを理解できるかもしれません。

『THE KING OF FIGHTERS XIV』
▲各種超必殺技がつながるので、1回のコンボで4本以上のパワーゲージを消費することもできます。

 と、非常に簡潔にまとまった本作のキャンセルの構造。初心者にとってステップアップしやすいものになっていると思います。

 通常技>必殺技というコンボができるようになったら、通常技>特殊技>必殺技、もしくは通常技>必殺技>超必殺技というコンボを覚えれば1つステップアップ。さらに通常技>特殊技>必殺技>超必殺技というコンボを覚えれば、もう1つステップアップ。コンボを覚えるごとに技数を増やす、もしくは使う技を変えることでどんどん自分のできることが増えていくんですよ。

『THE KING OF FIGHTERS XIV』
▲ミッションモードのトライアルで出題されるコンボは、デモプレイを選べばお手本を見ることもできます。

 また、本作にはシリーズ初となる“RUSH”という、誰でも簡単にコンボを繰り出せるシステムが用意されています。

 これは相手の近くで弱パンチボタンを連打すれば自動でコンボを行うもの。しかも、パワーゲージが1本以上あれば自動で超必殺技を繰り出してくれる秀逸なシステムになっています。

 さすがに複雑なコンボに超必殺技を組み込んだ時よりはダメージが落ちますが、初心者でもためたパワーゲージを使ってハデな演出の超必殺技を繰り出せるのは大きな魅力でしょう。

『THE KING OF FIGHTERS XIV』
▲ミスなくコンボを出せるという点は、腕前を問わずRUSHを使うメリットになりそうです。

 またもう1つの主なパワーゲージの使い道としてMAXモードの発動があります。MAXモードを発動すると、一定時間強力な必殺技“EX必殺技”を使用可能。EX必殺技は追撃可能なものや、多段ヒットするようになるものなどさまざまな性能の強化がされており、コンボ立ち回りともに通常時と異なる動きができるのが楽しいですね。

 ただこのパワーゲージを消費して、一定時間キャラクターを強化するシステムはこれまでの『KOF』シリーズにも登場しておりそれと比べるとメリットは控えめです。なにせ以前は攻撃力が上昇したり、必殺技をキャンセルして必殺技につなげたりできたのですから。

『THE KING OF FIGHTERS XIV』
▲EX必殺技を使用すると一定量MAXモードゲージを消費。

 と言っても、別に本作のMAXモードがつまらないというわけではありません。攻撃力が上がれば一歩間違えば大味な試合になりますし、必殺技同士をキャンセルでつなげられるというのは正直6年振りの『KOF』としては複雑すぎるかと思います。

 そしておそらく本作で極限まで大ダメージを求めたらはずせない存在になるのが、通常技や特殊技からMAXモードを発動する“クイックMAX発動”。これを使ったコンボが楽しいんですよ。

 通常技や特殊技からEX必殺技につないで、さらに必殺技>超必殺技とつなぐ。矢継ぎ早に攻撃をたたきこむ感じがたまりませんね。しかも、このクイックMAX発動を使ったコンボが昨今の対戦格闘と比べると簡単なのもポイント。

 上で書いたとおり、本作のコンボは順序立てて覚えやすい構造になっています。そしてクイックMAX発動を使ったコンボはあくまでこの延長線上。クイックMAX発動を使わないコンボの修練がそのまま役立つのがクイックMAX発動を使ったコンボを簡単に感じられる要因かと思います。

『THE KING OF FIGHTERS XIV』
▲基本となるコンボから少し使う技をアレンジするだけで、MAXモード時限定のコンボができてしまいます。

 ちなみに、MAXモード中にさらにパワーゲージが1本以上残っている場合は、“RUSH”のフィニッシュがMAX超必殺技になるので、とりあえずMAXモード中ならではのコンボを繰り出してみたいという人は“RUSH”を使うのもありでしょう。

 他にも本作にはガードキャンセルふっとばし攻撃をはじめとした独特のシステムがありますが、とりあえずは各種超必殺技、RUSH、MAX発動の3つを覚えておけば気持ちよく戦えるかと思います。

 もし、攻めや守りに物足りなさを感じるようならその時は“チュートリアル”で各種システムについて学べばOKです。

初めての『KOF』ならこのキャラクターを使え!

 さて、システム面について長々語ってきましたが『KOF』を語るうえでもう1つはずせないポイントがあります。それは、一部のモードを除いて3人のキャラクターを選択するということ。一般的な対戦格闘が1対1ということを考えると、実に3倍もの人数を選ぶことになります。

 冒頭にも書きましたが本作は6年振りの『KOF』シリーズ最新作。対戦格闘の経験はあっても『KOF』は初めてという人や、本作が初めての対戦格闘という人はどのキャラクターを使おうか迷ってもしょうがないでしょう。そんな人のためにオススメのキャラクターを何人かチョイスしてみました。

●オススメキャラクターその1:草薙京

『THE KING OF FIGHTERS XIV』

 京は本作のみならず『KOF』シリーズを通しての主人公。それだけに本作を遊ぶうえでの基本が詰まっています。

 対空技あり、追撃可能な必殺技あり、けん制とコンボ両方に使える技ありと立ち回りに役立つ技が豊富。クイックMAX発動を使うのに適した特殊技も使えるため、本作に触れるのにうってつけです。

 飛び道具がないという欠点はありますが、実は本作では画面の端から端まで届く飛び道具を持つキャラクターは少なめ。むしろいかに近づくかと近づいてからどう攻めるかという点だけを考えればよいというメリットとも取れます。

●オススメキャラクターその2:八神庵

『THE KING OF FIGHTERS XIV』

 庵は京のライバルキャラクター。ジャンプの滞空時間が短いというクセはありますが、飛び道具あり、対空技あり、突進技ありと対戦格闘のお約束を備えています。

 特にヒットすれば相手を確実にダウンさせられる百弐拾七式・葵花が強力です。

●オススメキャラクターその3:バイス

『THE KING OF FIGHTERS XIV』

 バイスは上の2人とは違い、強力なコマンド投げを持つキャラクター。反撃やコンボに便利なメイヘム、ヒット時にコマンド投げがつながるディーサイドと打撃技にも優れた性能のものが豊富です。

 ただ、コマンド入力が複雑な超必殺技もあり入力タイミングがシビアなコンボも多いので、トレーニングでの修練は必須でしょう。

●オススメキャラクターその4:シュンエイ

『THE KING OF FIGHTERS XIV』

 新作なのだから新キャラクターを使いたい! という人にオススメのキャラクター。追撃可能な必殺技が多く、空中で取れる行動が多彩なのが特徴です。

 ただし、空中ではMAX発動ができないのでコンボの選択を素早く行う判断力が必要そうです。

 上記4人のうち、1~2人をチームに組み込んでおけば慣れないうちでも一定の活躍はしてくれると思います。とはいえ“RUSH”の存在があるため、どのキャラクターでも最低限のコンボは簡単。必殺技のカッコよさや、キャラクター自体のビジュアルなど見た目で選んでもよいでしょう。

 もちろん、プレイに慣れたころに使用キャラクターを変更するのもあり。上で書いたとおり、本作はキャラクターを問わず基本的なコンボの構造は同じ。途中で使用キャラクターを変えてもそれまでの経験は生かせます。

 ただ、あえて言うならアンヘルとネルソンは必殺技が独特なため、他のキャラクターの常識が通じない部分がありますのでご注意を。

『THE KING OF FIGHTERS XIV』
▲CLIMAX超必殺技の演出にひかれてアンヘルを使う。そんな選び方もありですよ。

対戦格闘を楽しんでいる人だけでなく、これから対戦格闘を始める人にもオススメ

 さて、6年振りの新作となる本作。昨今の対戦格闘のなかでも遊びやすさはトップクラスです。コンボもあくまで地上の相手に決めるのがメインとなるため、相手キャラクターごとにコンボ内容を変える必要もほぼなし。初心者向けのフォローもあるため、現在対戦格闘を楽しんでいる人だけでなくこれから対戦格闘を始める人にもオススメです。

 そして昔『KOF』シリーズをプレイしていたけれど、今はご無沙汰という人には特に遊んでほしいタイトルでもあります。正直なところ、シリーズを何作かプレイしていれば、本作を遊ぶうえでの下地は十分。さらに1990年代後半以降にリリースされた対戦格闘をプレイしていれば、各種超必殺技へのキャンセルの概念もすんなり頭に入るでしょう。

 迷っている人はまず、PlayStation Storeで配信されている本作の体験版をプレイしてみてください。この体験版には上で挙げた京、庵、シュンエイを含めた7キャラクターが使用でき、トレーニングやチュートリアル、そして対戦プレイを楽しむことができます。

 一度体験版に触れてしまえば、きっと本作をもっともっと遊びたくなること間違いなしですよ。

8月19日19:00からスペシャル番組を配信!

『THE KING OF FIGHTERS XIV』

 8月19日19:00より、格闘ゲームのトッププレイヤーが『KOF XIV』で対戦する番組“THE KING OF FIGHTERS XIV DREAM MATCH”がライブ配信されます。出場するのは、Justin Wongさん、sakoさん、小川さん、GO1さんという、世界で活やくする格闘ゲーム界のトッププレイヤー4名。これまでに磨き上げた技術と知識を駆使して、『KOF XIV体験版』で激突するので、TwitchのSNK公式チャンネルをお見逃しなく!

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データ

▼『THE KING OF FIGHTERS XIV 対応スティック for PlayStation4』
■メーカー:ホリ
■発売日:2016年8月25日予定
■価格:18,144円(税込)
 
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