2016年8月24日(水)
『ワールド オブ FF』千葉Dにインタビュー。『FF』好きも新しくプレイする人も楽しめる作品に!
スクウェア・エニックスより10月27日に発売されるPS4/PS Vita用ソフト『ワールド オブ ファイナルファンタジー』。
ドイツで行われたgamescom会場にて、本作のディレクターである千葉広樹さんにお話をうかがった。
▲ディレクターの千葉広樹さん。 |
――映像を見たところ、フィールド移動中にオオビトとプリメロが自由に切り替えられているように見えましたが、切り替えは自由なのでしょうか?
千葉広樹さん:フィールドでは、簡単操作でレェンとラァン1人1人の大きさをユーザーが好きなタイミングで変更できるようになっています。そして、それがそのままバトルの中に反映されるようになっています。
オオビトの編成とプリメロの編成で分かれているので、ユーザーはどういうスタイルでバトルに入るのかを、フィールドで選ぶことができます。もちろんメニューから切り替えることもできるので、気軽にその場その場にあった姿で楽しめるシステムとなっていますね。
――バトル中の切り替えも可能なのでしょうか?
バトル中は始まった時点での編成で戦う必要があります。あらかじめオオビトのときの編成とプリメロのときの編成を作っておくと苦労がないのでおすすめです。シーンに応じて、切り替えるのも楽しいと思うのでちょこちょこ気分で切り替えながらプレイしてもらってもいいかなと思います。
――ミラージュがフィールドでアビリティを自由に使えていたと思うのですが、あれはどのようなものなのでしょうか?
フィールドでも使えるアビリティを覚えられるミラージュがたくさんいて、それを覚えることによって、フィールド上で、例えば氷を溶かしたり、障害物をどけたり、ミラージュに乗って少し早く移動できたりなど冒険に役立てることができます。
――編成がとても重要そうですね。
ミラージュは全部で200体もいるので、入手したすべてのミラージュを同時に連れて行くことはできません。ですので、バトルで役立つものやフィールドで役に立つものなど、さまざまなジャンルのミラージュを選んで編成していく形になります。
気軽にホームに戻っていただき、編成を変えて旅をしていく感じになります。一度仲間になったミラージュたちは消えることはなく、自由に編成が可能ですから。
――ミラージュそれぞれに仲間にするための条件があるとお聞きしましたが、彼らを仲間にする方法をあらためてお聞かせください
ミラージュにはそれぞれに異なる条件を設定しています。“ライブラ”で見ると、何をしたらいいのかというヒントや答えがわかるようになっているので、それを見てこういうことをすればこいつが仲間になるんだといったこと理解し、バトル中に実践していただければ仲間にできますね。
シンプルなものから、すごく難しい条件のものまであるので、やりごたえはかなりあると思います。
――ミラージュの編成が大事だと思うのですが、ミラージュにはコストなどはあったりするのでしょうか?
ミラージュにはコストという概念はなくて、大きさが重要になってきます。大きいサイズのミラージュのうえにそれより小さなミラージュを乗せていくシステムになります。下のミラージュより大きいものを上に乗せることはできないので、それがコストの代わりといった感じになりますね。
――となると巨大なミラージュが仲間にいるかいないかがパーティ作りで大事になってきそうですね
レェンとラァンがオオビトとプリメロといった形でサイズを変更することができるので、大きいミラージュの上に乗ったり、小さいミラージュを乗っけたりすることができます。小さいのを2体乗っけることもできますので、大きいミラージュだけが重要というわけではないですね。
アビリティの組み合わせなどもありますからそこも重要になってきます。また、小さいから弱い、大きいから強い、といったようなこともありません。
――召喚獣のようなメガミラージュといったものもありますが、あちらはどのようなシステムになっているのでしょうか?
メガミラージュは普通のミラージュの最大であるLサイズよりさらに大きく、レェンとラァンがメガミラージュに乗っかって1つのパーティとなります。召喚中は編成していた他のミラージュは一度退場してしまう、ちょっと特殊なシステムです。
――レェンとラァンはオオビトの状態でメガミラージュに乗れるのでしょうか?
いえ、その時はプリメロの状態になります。けっこう見た目もこだわっていて、メガミラージュによって乗り方が違っています。はじめはオオビトの状態でメガミラージュにしがみついていればいいじゃん、という話もしていたんですが、「そこまで作っていられません!」と怒られてしまいました(笑)。
ですが、そもそもシステムとマッチしている部分が大きいので、プリメロの姿で楽しんでいただければと。
――プレイムービーではイフリートやシヴァといった召喚獣たちの会話シーンがありましたが、メガミラージュはみんな重要な登場人物なのでしょうか?
メガミラージュだから重要、というわけではないですね。他のサイズのミラージュもそうですが、普通に入手することができるものもいますし、物語の中で出会って仲間になるものもいたりとさまざまです。
――レジェンド(歴代『ファイナルファンタジー』シリーズで登場したキャラクター)という重要な登場人物がいますが、彼らは、プレイデモにあったように、メダルを使用して必殺技として呼び出すような感じでバトルにかかわってくるのでしょうか?
そうですね。物語の中でレジェンドキャラクターたちと出会い、彼らが抱える問題を解決したあたりで、あるアイテムと交換でメダルを貰うことができます。それが彼らを呼び出すことができるシルシになります。そして、そのメダルをレェンとラァンに装備させることによって彼らの助けを得ることができます。
――原作のキャラクターたちはみんな人気のあるものばかりだと思うのですが、主役以外のキャラも多く登場していますね。レジェンドキャラクターの採用基準みたいなものをぜひ教えてください
このレジェンドを出そう。そして、そのレジェンドに合ったストーリーを作ろう。という形ではなく、まず世界を作り、こういうシチュエーションでこういうストーリー展開だったらこのキャラがベストマッチだろう、というような形で決めていきました。
例えば港があって、海賊船があって、という物語があったらここにあうのはファリス(FFV)だろうといった具合ですね。スピンオフのキャラでいうと、シェルロッタ(FFCC)が宿屋の女将として登場するのですが、これはなんでだろう、というのは仕掛けがあったりするのでぜひストーリーを進めてみていただきたいですね。
なんでこのキャラ選択!? というのは野村哲也も驚いていたりするものもあります(笑)。
――レジェンドはメダルとして手伝ってもらうだけでなく、一緒に戦うことができたりもするのでしょうか?
彼らとともに戦ったりしながら冒険することも、キャラクターによってはありますね。
――レジェンドは基本的に小さいサイズのプリメロとして登場するのでしょうか?
今作の舞台である“グリモワル”という世界は、あの小さなキャラクターたちが住んでいる世界になります。レジェンドは”この世界に生まれた”キャラクターたちなので、彼らは原作のように大きくはなりません。レェンとラァンは大きな世界から“グリモワル”に旅立ってきたから2つの姿をとることができる形ですね。
とはいえレジェンドたちは本作独自の人格、というわけではなく、ちゃんと『ファイナルファンタジー』シリーズに登場したキャラクター性のまま。作中には、原作を知っている人ならニヤリとするようなシチュエーションがあったりもします。
ただ、原作を知らない人でもともに冒険していくうちに彼らの人となりがわかるようになっているので、そのあたりはご安心を。
――それは本作の”世界”を探っていくうえでもおもしろそうですね。『ファイナルファンタジー』という今までの世界は過去の歴史みたいな形で存在していたりするのでしょうか?
彼らの今までの冒険だったりエピソードだったりという部分は、そのままの形としては入れてはいません。しかし、それを匂わすようなものはもちろん要所に入れています。
また、彼らの原作でのイメージが変わってしまうことは避けたかったので、クラウドはクラウドらしく、ライトニングはライトニングらしく、ということはかなり意識しました。2頭身にすることで容姿だけはかなり変わってしまっていますが、そのうえで違和感がないように、と(笑)。
ボイスも聞いていただくとわかると思うのですが、あの姿で、いつものトーンで演技してもらっています。声優さんたちもだいぶ戸惑っていました(笑)。櫻井孝宏さんも、「今回、かわいく演技したほうがいいですか?」なんて言ったりされたんですが、「いつものクラウドでキメてください」とお願いしました(笑)。
――今回の小さいキャラクターのデザインを決める際ももちろん苦労されたと思うのですが、そのあたりのお話をお願いできますでしょうか。
デザイナーの泉沢康久がこういったデフォルメするのを得意としていたので、『ファイナルファンタジー』キャラクターのかわいさ、かっこよさを残しながら非常にうまくやってくれたんです。野村哲也も驚いていて、彼の厳しいチェックを一発でくぐり抜けたりしていたんですよ。
ですので、苦労というような感じではなく、非常にうまく1.5等身のプリメロたちを創造していくことができたと思います。
――今までの『ファイナルファンタジー』の全シリーズからキャラクターが登場するのでしょうか? キャラが登場しないシリーズ作品もあるのでしょうか。
あります。まず端的に言えば『ファイナルファンタジーXV』からは出てきません。『ファイナルファンタジーXV』はこれから出るタイトルなので、まずあちらを触ってキャラクターに出会っていただき、機会があればこちらの世界で出会ってもらいたいなと。
他の作品でも、明言はできないのですが出てこない作品もあります。先ほどもお話ししましたが、ストーリーにベストマッチするキャラクターたちを置いていったときにハマらなかった結果、すっぽり抜けてしまったナンバリングも出てきてしまいました。
――歴代シリーズ作品のキャラクターが登場するゲームとして、どうしても『キングダム ハーツ』シリーズと比べられてしまいがちかもしれません。コンセプトそのものが違うというお話は理解していますが、あらためて本作が目指すところなど、お話をお願いできますでしょうか。
もともと、野村哲也に本作のデザイン、『ファイナルファンタジー』らしいけれど新しいデザインをお願いしにいったときに、歴代の『ファイナルファンタジー』と『キングダム ハーツ』の中間を狙ってみたらどうだ、という提案をもらったんですね。ですので、本作は『キングダム ハーツ』の雰囲気を残しながら、『ファイナルファンタジー』らしさを出していけたらと。
じつは自分、スーパーファミコン時代に『ダイナマイトレーサー』というサテラビューの作品をディレクションさせていただいたことがあります。この作品で野村哲也と一緒だったのですが、これも『キングダム ハーツ』のように、星を宇宙船で回ってクリアしてくという作品なんです。
『ファイナルファンタジー』はシリーズごとに新しい世界観、新しいキャラクターを作っていっているので、『ファイナルファンタジー』のキャラクターを、シリーズの垣根をまたいで出す、というだけでものすごく世界が広がっていくんですよ。
いろいろな冒険が想像できてしまうので、それを実現させるためのプロセスとして『キングダム ハーツ』と同じようなイメージを持っていくようになったのかなと思っています。
現在『ファイナルファンタジーXIV』や『ファイナルファンタジーXV』を遊んでくれていたり、歴代シリーズ作品のキャラクターの登場を楽しみにしてくださっている人はすごく多いと思うんです。しかし、どうしてもそこに狙いを絞ると対象の年齢層が高くなってしまうと思うので、作品としては、今の子どもたちも楽しめるような形を目指しています。
とはいえ、だからといってまったくの子ども向けにしてしまうと『ファイナルファンタジー』というタイトルから受けるイメージと違ったり、シリーズを好きな人が楽しめなくなってしまうと思ったので、プロデューサーの橋本真司ともじっくり相談しながら、子どもも楽しめて『ファイナルファンタジー』好きにも絶対にがっかりさせないような作品に仕上げています。
その両立は非常に苦労しましたが、満足のいく出来になったと思いますので、ぜひ皆さんに楽しんでいただけたらなと。
――ちなみにPS4だけでなく、PS Vitaでも発売するということですが、操作方法の違いなどはあったりするのでしょうか?
PS Vitaだから操作感を変えたといったことはしていないです。全機種で同じゲーム体験ができるように、ということを意識していますね。
――最後に、待っているユーザーさんに向けてのメッセージをお願いします。
『ファイナルファンタジー』好き、RPG好きがどなたでも楽しめる作品となっております。
今週頭に発売が前後してしまったので、『ファイナルファンタジーXV』が待ちきれないという方はぜひ、まずこの『ワールド オブ ファイナルファンタジー』をプレイしながらスタンバイしていただいて、『ファイナルファンタジーXV』に臨んでいただければと! ですので、ぜひ買ってください!(笑)。
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