2016年8月28日(日)
世界基準“AAAタイトル”を目指す『FF15』の開発秘話を語る! 田畑端氏×吉田修平氏のトークステージ
全世界のユーザーが期待に胸を膨らませている超大作RPG『FFXV』の魅力に迫る“FINAL FANTASY XV powered by 電撃PlayStation プレミアムイベント”。ステージイベントの第3部では、『FFXV』のテーマの1つである“世界への挑戦”について、ゲーム業界のキーパーソンである2人のクリエイターによるトークが交わされた。以下では、このスペシャルトークステージの詳細をお届けしよう。
このイベントでは、第2部に引き続いて出演する『FFXV』のディレクター・田畑端氏と、ソニー・インタラクティブエンタテインメント ワールドワイド・スタジオのプレジデントである吉田修平氏の両名が登壇。電撃PlayStation編集長の西岡美道を交えて、いくつかのテーマについてのトークショーが催された。
▲田畑端氏(左)と吉田修平氏(右) |
世界基準のゲーム“AAA”タイトルとは?
“AAAタイトル”とは、厳密な定義はないが、端的にいうと“大ヒットしたゲーム”、または“大ヒットが見込まれるゲーム”。そのほか“メーカーの顔となるゲーム”、“莫大な予算をつぎ込んだゲーム”や“クオリティの高いゲーム”なども含まれる。
海外作品をはじめ“AAAタイトル”作りに長年かかわってきた吉田氏は、「最近の“AAAタイトル”は、規模が大きくなりすぎて、開発にかかる人材と時間がものすごいが、そのぶんできあがるものは素晴らしい」と語る。そのうえで、「『FFXV』は当然“AAAタイトル”」と吉田氏は断言した。
田畑氏は“AAAタイトル”を「一点ものというイメージが強く、そのゲームでしか味わえない体験というか凄みというものがあるもの」とのこと。また、「ほかの“AAAタイトル”が出ているなかでも、なんらかの分野で規格外の部分を持っているものが“AAAタイトル”」とも語った。
また“AAAタイトル”は、世界規模でのグローバルな開発環境が求められるとのこと。たとえば膨大な作業量を処理すべく、開発スタジオは国内だけではなく、海外のスタジオを交えて複合的に取り組む必要がある。タイトルのローカライズやマーケティングも、世界各地の地域に応じた対応が求められるし、ゲームイベントでの情報の出し方についても注意が必要になるという。
『FFXV』はどこが世界基準なのか? そしてこのクラスのゲーム作りに必要なことは?
続けて両氏は、日本と欧米におけるゲーム作りやRPGの違いについて議論。欧米の進んだ開発環境や、日本のRPG、いわゆるJ・RPGのよさなどについて語り合った。そのうえで田畑氏は、『FFXV』を「メイドインジャパンのよさを全部持ったまま“AAAタイトル”クラスの内容に仕上がっている」と表現。吉田氏も、「まるで本当の人間のように行動する、AIの作り込みがスゴい」と、AIのクオリティに世界基準の太鼓判を押した。
▲「AIの作り込みはもちろん、それに対応したモーションなども実現できるよう、開発環境を整えました」と田畑氏。 |
「ビッグタイトルを作る際に必要なことは?」と尋ねられると、吉田氏はマーケティングの重要性について発言。全世界に向けて発売するタイトルだけに、各地から寄せられる意見は重要で、内容によってはゲームの仕様が変更されることもあるという。
田畑氏は、ビッグタイトルの開発期間の長さを問題点にあげ、「まずゴールをはっきりさせ、それを信じきること」が重要だと主張。長い開発期間でさまざまな変化があっても、ゴールが決まっていれば進む方向に迷わずにすみ、変化に対応するなかで開発チームも成長していけるからだという。両氏のゲーム作りにかける情熱を感じてか、観客も関心しきりだった。
最近スゴいと思ったPS4のゲームは?
ここから話は打って変わって、両氏が“最近スゴイと思ったPS4のゲーム”が話題に。田畑氏は、E3で開発が発表されたばかりの大作アクション『God of War』の最新作を挙げた。老いたクレイトスのビジュアルやゲーム性に衝撃を受けたという。吉田氏も“父と子の関係”という、『FFXV』と共通するポイントをあげて会場を盛り上げた。田畑氏は『アンチャーテッド4』についても言及し、「このタイトルにゲームの間口の広げ方を学んだ」と語った。
「インディーゲームとVRが大好き」と公言する吉田氏があげたタイトルは、インディータイトルの『No Man’s Sky』と『INSIDE』。前者は「アルゴリズムで宇宙を作ってしまうという、発想のすごさにやられた」とのこと。後者は「白と黒の美しいグラフィックが魅力的」だという。昨今のインディーゲームの進化を、心から歓迎しているようだ。
PlayStation VRに期待することは?
最後のテーマは、PlayStation VRについて。『FFXV』でVR対応のモードを手がけた田畑氏は、「実際に作ってみて、その可能性を実感した」と述べた。吉田氏は、「これまでゲーム機が進化してもできなかった“ゲームの世界”に入ることを実現できる機械」として評価した。
そのうえで両者は、VRが一般化したあと、どんなエンターテインメントをユーザーに提供できるかについても言及。バンダイナムコエンターテインメントが開発中の『サマーレッスン』への期待も口にした。吉田氏いわく、「クリエイターのみなさんを信じています」とのこと。今後のVRタイトルの動向にも注目したい。
▲『FFXV』のVRモードでは、主人公・ノクティスの仲間であるプロンプトとなり、銃撃やワープを駆使するバトルが体験できる! |
各テーマについて語り尽くしたあとは、西岡を含めた3人でイベントを総評した。
田畑氏:『FFXV』をフィーチャーしたイベントを開催していただきありがとうございます。発売は延びてしまいましたが、そのぶんみなさんが満足する内容に仕上がっていますから、発売を楽しみに待っていてください。8月30日には『KINGSGLAIVE FFXV』、『Justice Monsters Five』の配信も開始されますので、そちらもよろしくお願いします。
吉田氏:『FFXV』は『FF』シリーズの新作ということを超えて、1つの新しいゲームとして期待しています。映画を見たあとは、ストーリーやキャラクターについてもより深く知りたくなりましたので、発売を楽しみにしています。
西岡:とても楽しく、いいイベントができました。本当にありがとうございます。今後もこういったイベントは続けていきますので、よろしくお願いします。
以上で、“FINAL FANTASY XV powered by 電撃PS プレミアムイベント“のステージイベント第3部は幕を閉じた。第1&2部を含め、ステージイベントの模様はニコニコ生放送で視聴できるので、興味のある人はぜひチェックしよう。
▲お二人とも終始笑顔で、会場にも笑いが起こる楽しいステージとなった。 |
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