2016年9月2日(金)
日本ファルコムより9月8日に発売されるPS4用アクションRPG『東亰ザナドゥ eX+(エクスプラス)』。本作のレビューをライター・Z佐藤がお届けします。
『東亰ザナドゥ eX+』は、2015年9月に発売されたPS Vita用アクションRPG『東亰ザナドゥ』をベースに、フルHDの高画質とフレームレート60fpsによるなめらかなアクションを実現。さらに新シナリオや新プレイアブルキャラなどを追加して発売される、日本ファルコム初のPS4タイトルです。
ここで『東亰ザナドゥ』について説明します。ファンタジーの世界を題材にゲーム制作を行ってきた日本ファルコムが、初めて手がけた現代劇として注目を集めた作品。架空の都市“東亰”の郊外に位置する杜宮市を舞台に、杜宮学園に通う高校2年生の主人公・時坂洸(トキサカコウ)が、仲間とともに異界をめぐる謎に挑んでいきます。
街や学園で展開する“穏やかな日常”と、異界のダンジョンで敵グリードと戦いを繰り広げる“不可思議な非日常”の2つを柱とした独自の作風が大きな魅力となっていました。
ゲーム本編の内容について変更はありませんが、多数の新要素が加えられたことで『東亰ザナドゥ eX+』はいかなる進化を遂げたのか? 各種追加要素を紹介しながら、実際にプレイした手ごたえをレポートしていきます。
グラフィックの解像度がフルHDになったことで、攻撃時のエフェクトが全般的に色鮮やかになっています。また、ダンジョンは“異界”感のような雰囲気を強く感じられるようになって、その構造や色彩なども1つの見どころ。臨場感たっぷりに探索できるようになりました。
その他、敵であるグリードの不気味さもアップしていて、細部まで作り込まれた造形やデザインをじっくり観察してみるのもよさそうです。観察するといえば、書店に並べられているさまざまな書籍ですね。表紙や背表紙に書かれた文字までハッキリと確認できるようになりましたので、「これは読んでみたい!」という本が見つかるかもしれません。
▲攻撃時に発生するエフェクトがド派手に! またフレームレートが60fpsになり、なめらなかアクションでバトルが楽しめるようになっています。 |
▲凝りまくりのデザインで“異界”感たっぷりになったダンジョンや、グリードの不気味な造形もクッキリ見えるようになりました。 |
アフターストーリーは本編クリアの時間軸で構成された完全新規のエピソードで、平穏な日常を取り戻した仲間たちが再び巻き起こる事件に立ち向かう姿が描かれます。新たなエリア、ダンジョン、グリードなどが追加されていて、もちろん再生されるセリフも新録。
《杜宮千秋祭》の夜、コウたちの前に黒い狐面で顔を覆った謎の少年が姿を表します。その衣服に描かれた模様は、本編に登場する異界の子“レム”のものと酷似しているように見えるのですが……。彼の目的とは、そしてレムと関係があるのか? そのあたりが見どころになっているので、お楽しみに!
さらにキャラクターの詳細が記録されるフレンドデータが更新されたり、ステキな報酬が入手できたりと、本編の1つの話と同等、もしくはそれ以上のボリュームに仕上げられています。また新プレイアブルキャラとして伊吹遼太(イブキリョウタ)が登場し、霊木の木刀を武器に戦いを繰り広げます。
リョウタは適格者でないため、適格者だけが使える武器ソウルデヴァイスは使えないのですが、その代わりに霊木の木刀を使用。とはいえ、各攻撃はメインキャラたちと同じように繰り出せますので、その力を存分に発揮できます。
本編では描ききれなかったエピソードが、新たにサイドストーリーという形で追加されました。サイドストーリーは本編の合間に“一方そのころ”とか、“じつは事件の裏で……”といった感じに挿入され、主人公であるコウ以外のキャラクターの目線でドラマが展開していきます。
本編にも登場する白装束や、拘束術式を解放したアスカを主人公とするエピソードもあり、そこでは新プレイアブルキャラとなる2人のキャラクターを操作して戦うことができます。仲間の意外な一面や本編で描かれる事件に関連することも明らかになり、こちらも興味深い内容になっています。
白装束編【白き影】について軽く紹介します。コウが異界の存在を認識し、自身のソウルデヴァイスを顕現させた翌日。杜宮総合病院に白装束の人物が姿を現しました。通常とは異なる奇妙な形状のゲートを発見した彼は、1人でゲートの中へと足を踏み入れる。新プレイアブルキャラの1人、白装束を操作してダンジョンを突き進んでいきましょう!
術式解放状態のアスカは、攻撃力、移動速度、スキルゲージの回復速度が上昇。さらに状態異常とダウンが無効化され、無類の強さを発揮して戦うことができます。ただし、HPが徐々に減少するため、確実に攻撃をヒットさせ、なるべく短時間で決着をつけることが求められます。
バトル関連の新要素として、射撃、剛撃、飛翔スキルに続く第4のスキルとして各キャラクターにEXスキルを追加。さらにXドライブの効果がリニューアルされ、発動するとパートナーキャラが戦場に出現して一緒に戦えるようになりました。これらによって攻撃の幅が広がり、バトルがより頭脳的に楽しめるようになっています。
EXスキルはストック制で、敵に攻撃を当てるEXポイントがたまり、ポイントを消費して使用します。キャラクターごとに特徴や効果範囲などが異なるため、それを把握して使っていくことが重要になりそうです。
Xドライブの効果は、PS Vita版ではキャラクターの能力アップのみでしたが、本作ではパートナーとして設定しているキャラクターが戦場に出現し、自動戦闘でプレイヤーをサポートしてくれるようになりました。かなり実用的なうえに、仲間たちとの共闘感も味わえるようになっていて、好感触です。
難易度はPS Vita版から名称が変更されています。ビギナー、ノーマル、アドバンスド、エリートに加えて、逆境と試練を楽しみたい人に向けて“カラミティ”が存在。また、本編に登場したボスと再戦し、最速撃破を目指す“タイムアタック”、“ボスラッシュ”モードの追加によって、ボスとのバトルを極めたいプレイヤーも満足できる仕様になりました。
さらに、特定のエリアに設置されていたガチャガチャがプレイ可能になったり、コウの自室に飾る家具を集める“コウの家具コレクション”が実装されたりと、ストーリー、バトルだけでなく、“遊び”の厚みもアップした印象です。
▲ボスと再戦する“タイムアタック”は、難易度別にチャレンジすることが可能。選択できるボスは本編で倒すと追加され、ゲームをクリアすると連戦形式ですべてのボスと戦う“ボスラッシュ”を選べるようになります。 |
▲家具を入手してから、杜宮市内の移動メニューに追加された“コウの部屋”に戻ると自動で設置されます。特定の家具を揃えると“コウの家具コレクション”限定イベントが発生するので、収集したくなります。 |
お気づきかと思いますが、たくさんの追加要素で彩られたその姿は単純な移植作ではなく、まさに“『東亰ザナドゥ』の完全版”とも言える充実ぶりです。PS Vita版よりも全般的にロード時間が短くなっていたり、画面とシンクロしてコントローラの振動も楽しめるようになったりしているので、未プレイだった人はもちろん、PS Vita版をやり込んだ人も再度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
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