2016年9月4日(日)
『こち亀』9月17日に連載終了。神田明神での絵巻奉納式をレポート
9月3日に東京・神田明神で行われた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(著・秋本治)連載40周年記念完全描きおろし絵巻奉納式の記者発表で、同作が9月17日発売号の雑誌で連載終了することが発表されました。
1976年の連載開始から一度の休載もなく、読者に愛されてきた『こち亀』は今後は週刊連載の垣根を飛び出すとのことで、詳細は9月17日発売号で発表されます。
▲秋本治さん。 |
◆作者・秋本治さんのコメント
びっくりさせて申し訳ないです。今日、こんなめでたい席で終わっちゃうのは寂しいかもしれないけど、本当はすごくおめでたいことで、少年誌で漫画が40年続くってことはまずありえないですよね。
やっぱり、少年誌は読んでくれる方がどんどん変わるし、ましてや週刊の方はいろんな新しいのを入れながら動くってのが少年誌の王道なので。そんな場所で40年描かせてもらえたことは本当にうれしいことなんです。
ましてや200冊まで出してくれたっていう、集英社と週刊少年ジャンプ編集部に作家としては本当にどれだけ頭を下げても足りないぐらいです。200巻は作家にとって、勲章みたいなものですね。
両さんはお祭りが大好きなんですね。で、200巻ということで、区切れの200で止めるのが一番こう、ぱっと身を引くのもいいし、40周年でみんなで祝ってもらったときにスッと消える感じがやっぱり両さんらしいし、そしたらこれしかないなということで。
もちろん編集長とかはできるだけ描いてくださいというのもありましたけど、やっぱり両さんの引き際としては、200冊残して40周年で祝ってもらってスッと消えるのがやっぱり一番良い大団円の場かなと思いましてそれで決めました。
これ本当に作家冥利に尽きる話で、もちろんいつまでもずっと描きたい気持ちはもちろんあるし、『こち亀』のネタはまだまだ沢山あります。でもやっぱり両さんはこれで一区切りつけて、機会があれば時々遊びにいくぐらいはいいかなと思ってます。
ファンとしては驚きが大きいところもありますが、「機会があれば時々遊びにいくぐらいはいいかな」というコメントもあり、今後の展開も気になるところです。
完全描きおろし絵巻の奉納式レポート
1976年9月に連載をスタートして以来、休むことなく週刊連載を続けてきた秋本治さんが、神田明神遷座400周年と『こち亀』40周年を記念して、全17枚のイラストを描きおろし、全長8メートルを越える絵巻を製作しました。
この絵巻が、作中にもたびたび登場し、縁ある神田明神に“神宝”として永年奉納されました。
▲8メートルを越える完全描きおろし絵巻。 |
この絵巻の正式名称は、“秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」連載四十周年 江戸総鎮守神田明神 遷座四百周年 記念奉納絵巻”です。
▲奉納の様子。 |
この絵巻には、両さんが生まれた戦後の浅草から、少年時代にあたる戦後昭和の様子、『こち亀』が連載を開始する1976年を経て、現在にいたるまでのさまざまな時代や場所を、『こち亀』キャラたちが山車を引きながら練り歩いてゆく姿が描かれています。
また、東京・下町を中心とした各時代を代表する子供の遊びや流行、歴史的事象も描かれ、文化史としての性格も持つ、8メートルにわたる一大絵巻になっています。
当日の奉納式には、秋本治さんも参列し、コメントを語っていました。
◆秋本治さんのコメント
今回の企画があがったときに、漫画の作品を絵巻にすることに不安はありましたが、『こち亀』で出てくるような下町の生活を綴ってもらいたいということだったので、それなら両さんの子どもの頃から今に至るまでの風俗や流行りものを描こうと。
記念にもなるし、『こち亀』の歴史にもなるから、やってみようということでやりました。こうして実際にできてみると、ああ、引き受けてよかったなと思います。
漫画というジャンルの絵巻が神田明神に奉納されて後世にずっと残るというのは、漫画家としても大変嬉しく思います。
この絵巻は9月11日までの約1週間、神田明神の祭祀殿で展示する他、9月14日から26日まで、日本橋髙島屋で開催される“こち亀展”でも出張展示されます。
なお、その際は一部分の展示となり、また、会期中展示替えがあります。
▲巨大な両さんがそびえる特別山車。 |
また、巨大な両さんがそびえる特別山車は、9月3日11:00~17:00、9月4日10:00~17:00で境内に設置されます。
連載40周年&200巻発売記念企画が続々展開
今後も連載40周年&200巻発売を記念した企画が展開します。9月14日~26日には“連載40周年&コミックス200巻記念 こち亀展”が日本橋髙島屋 8階ホールで開催されます。
また、9月17日~30日にはJR亀有駅を『こち亀』がジャック。駅舎はもちろん、ホームや改札、階段などが、『こち亀』200巻分の表紙グラフィックや『こち亀』トリビアなどで埋め尽くされます。
(C)秋本治・アトリエびーだま/集英社