2016年9月21日(水)

『うたわれるもの』がついに完結! 長き年月で紡がれた物語の魅力と長文レビューを掲載【連載特集第2回】

文:電撃PlayStation

 ついにファンが待ち望んだ『うたわれるもの』シリーズの完結編となる『二人の白皇(ハクオロ)』が本日発売! 全3回の連続企画第2回目では『うたわれるもの』シリーズ全体の概要や、プレイするうえで知っておきたいキーワードを紹介。また、担当ライター&編集によるレビューも掲載する。

仮面をつけた記憶を持たぬ青年が主役の1作目『散りゆく者への子守唄』

主人公・ハクオロ(CV:小山力也)
『うたわれるもの 二人の白皇』

 大怪我をしていたところを、獣の耳と尻尾を持つ少女・エルルゥに救われた主人公。記憶を失い、はずせぬ仮面を持つ彼は“ハクオロ”と名づけられ、平穏な日常を過ごしていた。だが、ある事件により、身を寄せた村は惨劇に見舞われる。そして、それを機にハクオロは大切な人を守るため、國を守るために立ち上がる。  やがてハクオロは新興國家“トゥスクル”を樹立し、多くの戦を乗り越えて國を平定する。だが、その戦いのなかで己の正体を知ったハクオロは「自分がいては世界のためにならない」と、その身を封印される道を選んだ。

記憶喪失でクオンに拾われた青年が主役の2作目『偽りの仮面』

主人公・ハク(CV:藤原啓治)
『うたわれるもの 二人の白皇』
ウコン(CV:利根健太朗)
『うたわれるもの 二人の白皇』
オシュトル(CV:利根健太朗)
『うたわれるもの 二人の白皇』

 記憶喪失のまま、雪山で遭難しかけた青年。旅の薬師・クオンに助けられた彼は“ハク”と名づけられる。体力はないが頭の回転が速く機転が利くハクは、ウコンという男と協力して立ち寄った村の危機を救う。彼に気に入られたハクは、ウコンの推薦でヤマトの右近衛大将・オシュトルを紹介される。が、その正体はウコン本人であった。やがて表だって動けない彼の代わりに、隠密として任務をこなしていくハク。

 そんななか、ヤマトは隣國ウズールッシャの襲撃と、トゥスクルへの侵攻という2つの戦いに突入。だが、トゥスクルの侵攻は帝の崩御とアンジュ暗殺という大事件により幕を引く。ヤマトに戻ったハクは、幽閉されたアンジュと首謀者として捕まったオシュトルを救い、帝都脱出を図る。そんな彼らの前に八柱将が1人、ヴライが立ちはだかる。オシュトルはアンジュを守るため、仮面(アクルカ)の力を解放。激闘の末に勝利するも、その身はすでに限界に達していた。そして、ハクに仮面とヤマトの未来を託し、命を散らすのであった……。

『うたわれるもの』シリーズにかかわる重要キーワードをチェック!

 ここでは壮大な物語である『うたわれるもの』シリーズをプレイするうえで、よく登場する重要キーワードをピックアップ。『二人の白皇』でこれらに残されていた謎もすべて明らかになる!?

●アイスマン
 古代の遺跡から発掘された、氷漬けの“仮面”の男。すべての物語の発端ともいえる人物。

●仮面(アクルカ)
 『偽りの仮面』で、帝が多大な功績を上げた者に与える“ヒトの力を超えた能力が発揮できる”装具。仮面を着けた者は“アクルトゥルカ”と呼ばれる。力を得る代わりに装着者は命を削られ、使い果たせば肉体が崩壊する。また、力の完全解放時には、ウィツァルネミテアを思わせる巨大な姿へと変貌する。『散りゆく者への子守唄』で、ハクオロが装着していた仮面と酷似しているが……。

『うたわれるもの 二人の白皇』

●亜人種
 『うたわれるもの』の世界での、一般的なヒトの姿。獣のような耳や尻尾などを持ち、人間とは比べものにならないほど高い身体能力を持っているが、高度な文明を知る者は数少ない。

●ウィツァルネミテア
 トゥスクルで信仰される大神の名前。巨大な獣のような姿で、対価と引き換えにヒトの願いをかなえる力を持つ。地域によっては悪神とされることも。

●オンヴィタイカヤン
 “大いなる父”と呼ばれ、遥か太古に世界を支配し、ヒトを創造したといわれる存在。ウィツァルネミテアに滅ぼされたとされている。

●皇(オゥルオ)
 ヤマトの属國の統治を行う為政者のこと。帝からの信任を受ける形だが、もともとその土地の豪族が着任するケースが多い。

●鎖の巫(くさりのかむなぎ)
 さまざまな祭事、神事を執り行う巫女のうち、特別な能力を持つ者を指す。『偽りの仮面』ではウルゥルとサラァナがこれにあたり、仮面の力を完全解放した“アクルトゥルカ”を鎮めるための“大封印(オン・リィヤーク)”を行使できる。

『うたわれるもの 二人の白皇』

●タタリ
 外見は赤いスライムのような姿で、主に暗いところを好む。ヤマトやトゥスクルなど、各地に点在する遺跡周辺でよく姿が確認される。その正体は『散りゆく者への子守唄』で明かされており、大いなる父(オンヴィタイカヤン)だった人類が、ウィツァルネミテアの逆鱗に触れたために変貌させられてしまった成れの果て。

『うたわれるもの 二人の白皇』

●鉄扇(てっせん)
 『偽りの仮面』で、クオンがハクに貸し与えた護身用の武器。金属製の扇で、毒を流し込むための溝が施された“エグい”武器。ハクの形見として、オシュトル(ハク)がクオンに返しているが、彼女は受け取らずにいずこかへ去っていった。また、『散りゆく者への子守唄』で、ハクオロが使っていた武器も鉄扇で、その関係性も気になるところ。

●白楼閣(はくろうかく)
 異国情緒あふれる女主人が経営する、帝都で評判の旅籠屋。値は張るものの質の高いサービスがモットーにしており、とくに大浴場は唯一無二の施設としてとても評判が高い。『偽りの仮面』では、ハクたちが帝都で活動する際の拠点としていた。

『うたわれるもの 二人の白皇』

●八柱将
 武力、知力、財力に長けた、文字通りヤマトの柱となる8人の大将軍。帝によって直接選ばれ、なかには“仮面”を授かっている実力者も多い。メンバーはライコウ、ムネチカ、ヴライ、ウォシス、ソヤンケクル、オーゼン、トキフサ、デコポンポ。

『うたわれるもの 二人の白皇』

●ヤマト近衛大将
 帝やヤマトの民を守る将軍で、定期的に帝都内を巡回警護している。右近衛大将にはオシュトルが、左近衛大将にはミカヅチが就任中。なお、両者とも帝から仮面を拝領している。

『うたわれるもの 二人の白皇』

長年のファンの期待に応えた『二人の白皇』を担当二人が熱く語る!

【担当ライター:袋こ~じ】キャッチコピーにはまさに“偽り”なし!

 「予想は裏切る。期待は裏切らない」。そんなキャッチコピーがつけられた本作でしたが、ゲームを開始して間もなくで、いきなり思い知らされることに。前作『偽りの仮面』をクリアしたあとは、事件の黒幕は誰なのか? 仲間のもとを去ったクオンはどうなったのか? など、ファンのみなさんと同様にいろいろ想像(妄想)していました。見事にハズれたものもあれば、「やっぱりそうか!」と納得したりと一喜一憂。前作を最後まで楽しんでプレイ出来た方は、これだけで本作を買う価値アリでしょう!

 アドベンチャーパートは、状況が状況だけに前作よりもシリアス成分が多いですが、キチンと緩急がつけられていて……お約束のギャグ展開が相当おもしろいです。プレイ中に思わず吹き出し、不審な目で見られてしまいました(笑)。細かい内容は本作のキモなので語れませんが、とにかく驚異の伏線回収です。オシュトル(ハク)はもちろん、ほぼすべてのキャラクターにスポットが当てられます。前作で消化不良を感じていた人も、広げた風呂敷はたたんでくれますので安心してください。

 そんな物語の濃さに隠れてはいますが、シミュレーションパートも手が加えられています。まず、前作では後半になるまで“総ユニットより出撃可能数が少なかったものが、本作ではかなり序盤からプレイヤーの個性を出した編成が可能になりました。それにともない控えメンバーにも経験値が入るようになったのも大きな点です。さらに自軍のメンバー同士で紅白試合を行ったりできる、“演習場”という新システムも導入。前作にもあった戦闘回想と合わせて、レベル上げやボーナスポイント(BP)稼ぎはかなり楽になりました。

 また、ある程度シナリオが進むと、新たに登場したシステム“協撃”が使えるようになります。威力面はもちろん、いろいろなキャラ同士の連携プレイは単純に見ていておもしろいです。とくに手数が多いキャラクター同士で行うと、相手をボコボコ殴りまくるのが爽快ですよ! ただ、“協撃”ありきでのバランス取りなのか、前作よりも若干(ほんの若干ですが)戦闘の難易度が上がってる感もあります。

 とはいえ、前述のように戦力増強がしやすくなっていたり、“巻き戻し”や“経験値を引き継いでの再挑戦”といった便利システムもそのままだったりするので、戦闘で詰まることはないと思います。逆にもっと戦闘を楽しみたい! という人には、いつでも戦闘難易度を変えられたり、前述の“演習場”で選択できる“ムネチカの試練”で、ミッションクリア型のステージがいつでもプレイできたりしますので、ぜひ挑戦してみてください。ともあれ、ここまでパーフェクトな続編は類を見ないです。これを遊ばずして、『うたわれるもの』は語れませんよ!


【担当編集:編集O】序盤の苦境からの逆転劇が1作目を彷彿させる!

 今回の物語は帝都からエンナカムイへと、いわゆる都落ちしたところから始まります。そして、ハクがアンジュを支えながら、いかにして都に戻るのかという部分が見どころになるわけですが、このいくさで状況を変えていく感じが『散りゆく者への子守唄』と重なるんですよね。思い返せばハクオロも、一難去ってまた一難な感じでいくさに明け暮れていたなと(笑)。個人的にもこの国盗り的な設定が大好物で、とくに中盤から終盤にかけて各地を転戦し、だんだんと凱旋していく展開には燃えました。この部分は『偽りの仮面』で少し物足りなかったので大満足です!

 もちろん、そんなにたやすく事が運ぶことはなく、いくさの合間にはさまざまなドラマがあったりするわけで、そこがまたうまい作りなんですよ。物語の続きが気になるからシミュレーションパートをがんばる→以下繰り返しで、ホントやめどきが見つかりません。気がつけば寝る間も惜しんでプレイを進めて、一気にクリアしてしまったぐらいです(笑)。それぐらい、本作は没入感がある物語だと断言します! あとは『偽りの仮面』では新しいメンツが中心で、『散りゆく者への子守唄』に思い入れがある方はすこし寂しさを感じていたと思います(自分も)。でもそこは大丈夫。そこだけは太鼓判を押したいです。「え、お前が!?」なんてサプライズもありますよ!

 また、フミルィルやイタクなどの新キャラも、まるで前作から存在したかのように溶け込んでいるので、出会ってすぐ好きになれるはずです。ぜひ登場を楽しみにしてください。そして最後にもう1つお伝えしたいのが、ゲーム中の挿入曲の豪華さ。「ここでこれがかかるか!」と鳥肌が立つ場面が何度あったことか。とにかく“泣かせに来ている”ので、そこにもぜひご期待ください!!


 なお、今回紹介した前2作を遊びたい! という人は以下の手段が用意されている。ぜひプレイ環境に合わせて選択してほしい。

『うたわれるもの 散りゆく者への子守唄』
 PS3ではPS StoreのPS2アーカイブスが617円(税込)。PS Vitaで遊ぶならば同じくPS StoreのPSPダウンロード版(PS Vita互換対応)が2,057円(税込)が用意されている。

『うたわれるもの 偽りの仮面』
 現在PS4、PS3、PS Vita版が発売中。全機種で価格は通常版が6,800円(+税)、ダウンロード版が6,000円(+税)、プレミアムエディションが9,800円(+税)となっている。

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