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2016年11月5日(土)

【電撃PS】SIE・山本正美氏のコラム『ナナメ上の雲』を全文掲載。テーマは“TGS 2016”

文:電撃PlayStation

 電撃PSで連載している山本正美氏のコラム『ナナメ上の雲』。ゲームプロデューサーならではの視点で綴られる日常を毎号掲載しています。

『ナナメ上の雲』

 この記事では、電撃PS Vol.623(2016年9月30日発売号)のコラムを全文掲載!

第92回:TGS 2016

 9月15日から9月18日まで開催された“TOKYO GAME SHOW 2016”。今年は、37の国と地域から、600以上の企業や団体が出展ということで、来場者数も過去最多、なんと27万人を超えるお客さんが遊びにきてくださったようです。僕も久しぶりに4日間すべて会場入りしましたが、とくに一般公開日である土日に至っては、我がPlayStationブース近辺は終始黒山の人だかりで、歩を進めるのに苦労するほどでした。写真は、一例としてPlayStation VR専用期待の新作『RIGS』のステージイベント時の光景です。いやすごい。とにかくたくさんの方に集まっていただきました。

『ナナメ上の雲』

 これほどの集客に至った理由は大きく2つあると思います。まず1つは、『ファイナルファンタジーXV』や『バイオハザード7』に代表される、これまで多くのファンを培ってきた期待の大型ナンバリングタイトルが出展されていたこと。そしてもう1つは、やはりなんといっても、コーナー自体を新設し大きく展開した、バーチャルリアリティ関連の出展への注目度でしょう。今回は、メインのHALL1からHALL8が、コンソールゲームやモバイルコンテンツのブース、道路を挟んだ反対側の建物にあるHALL9からHALL11が、VR関連と、インディーズ、物販のブースという切り分けになっていましたが、この両方の建物を繋ぐ通路が人で溢れるほど、往来が盛んに行われていました。

 さて、前回のコラムでも少し触れさせていただきましたが、今回のTGSでは、久々の現場復帰タイトルとして、9月13日のカンファレンスで発表させていただいた、『V! 勇者のくせになまいきだ R』を試遊出展させていただきました(読み方は、“ぶいっ! ゆうしゃのくせになまいきだりたーん”でお願いします)! 非常に申し訳ないのですが、一般公開日の両日ともに、開場早々に整理券がなくなってしまう状況で、遊んでいただけなかったファンの皆さんも多かったと聞いています。それでも遊んでいただけた皆さんからは、「ドット絵じゃなくなったり、舞台が地下から地上に変わったけど、この遊び心地は確かに『勇なま』ですね!」という言葉をいただき、スタッフ一同ホッと胸を撫で下ろしている次第。IPとして、これまでと同じことをやっていても発展性がないのは前作でわかっていたことなので、いかに保ち、そして変えるか、という苦労が報われた思いでした。

『ナナメ上の雲』

 写真は、ウチの鳥山プロデューサー(右)と、アクワイアの大橋ディレクター(中)、そして僕(左)で撮った記念写真です。いい歳したおっさん3人がピースサインをしているわけではありません。タイトルの“ぶいっ!”に引っかけて、Vサインをしているのです(笑)。

 僕と鳥山Pでアテンドをした4日間。ともに戦ってくれた優秀なアテンドコンパニオンは、5名いました。彼ら彼女らが、本当に頑張ってくれた。VRタイトルは、プレイしたときの没入感を大事にしてもらいたいため、HMDと呼ばれるヘッドセットと併せ、ヘッドフォンも装着してもらいます。それもありゲーム世界に入り込んだようなあの体験が可能になるのですが、一方アテンドという意味で困るのは、画面を指さしながらゲームルールを伝えたり、困っているときに声を掛けるといったことがしづらいということです。つまりプレイ中、試遊者は周囲のことが見えていないし聞こえてもいない。にも関わらず、彼ら彼女らはそんなことはおかまいなしでした。上手いプレイには拍手をし、やられれば悔しがり、クリアをすればガッツポーズをし、遊びに来てくださったお客さんを歓待してくれたのです。環境や状況に関わらず、“今自分ができる最大のことをやる”というピュアな熱量。これをプロの仕事と呼ばずになんと呼ぶのでしょう。それを教えてくれた精鋭が、こちらです! ありがとうございました!

『ナナメ上の雲』

ソニー・インタラクティブエンタテインメント JAPANスタジオ
エグゼクティブプロデューサー

山本正美
『ナナメ上の雲』

 ソニー・インタラクティブエンタテインメント JAPANスタジオ 部長兼シニア・プロデューサー。PS CAMP!で『勇なま。』『TOKYO JUNGLE』、外部制作部長として『ソウル・サクリファイス』『Bloodborne』などを手掛ける。現在、『V!勇者のくせになまいきだR』を絶賛制作中。公式生放送『Jスタとあそぼう!』にも出演中。

 Twitterアカウント:山本正美(@camp_masami)

 山本氏のコラムが読める電撃PlayStationは、毎月第2・第4木曜日に発売です。Kindleをはじめとする電子書籍ストアでも配信中ですので、興味を持った方はぜひお試しください!

データ

▼『電撃PlayStaton Vol.625』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2016年10月27日
■定価:694円+税
 
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