2016年11月14日(月)
『FF14』吉田P/Dにインタビューでアディショナル調整や“禁断の地エウレカ”などの詳細を聞く
10月14日(日本時間10月15日)から2日にかけて開催された“FINAL FANTASY XIV FAN FESTIVAL in Las Vegas”。基調講演で新たな拡張パッケージ『STORM BLOOD 紅蓮のリベレーター』が公開され大いに盛り上がったその日の夜、『FFXIV』のプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏にお話をうかがうことができた。
『紅蓮のリベレーター』にまつわる諸情報はもちろん、3.Xシリーズのパッチについてや、世界観にまつわる話などが聞けたので、ぜひチェックしてみてほしい。
基調講演を終えて――
今回の基調講演は、生涯でベスト1、2……第1回PLLと同じぐらいのプレッシャーでしたね。
――え、全然そんな感じしませんでしたよ。すごくリラックスして見えました。
見てた人はみんなそう言ってくれたのですが、2014年の北米ファンフェスで、ちょっとトラウマになるぐらい失敗したと思ってることがあったので……。初のファンフェスで、有料放送の基調講演を1時間やるはずだったんです。そしたら、あまりの緊張に、短くなり、40分ぐらいで終わってしまったのです。
僕はすごくやりきった感があって、終わったらスタッフもみんな「よかったです! よくやってくれました!」言ってくれたんだけど、自分の時計を見たら、「エッ!?」となりまして。……案の定、ネットを見たら、「有料なのに短けーな!」みたいな反応もあって。あれが実はけっこうトラウマで。それまで僕はタイムキープを肌感覚でうまくやりくりしてきたのですが、大失敗しました。
あの時、しゃべる内容の取りこぼしはない代わりに、ゆったりプレゼンする、ということができなくて、結果短くなっちゃったのです。だから今日は、2014年のトラウマを払拭できるように……とにかく、短かったって言われないように心がけました。
今回のファンフェスは、あくまでも新たな拡張パッケージ『紅蓮のリベレーター』の発表というのがすべてのニュースです。具体的なことは日本やドイツのファンフェスのためにとっておいて、そのうえでいかに期待感をもってもらえるかを考えてプレゼンをする必要があったので、そこがホントに悩みどころでした。
『蒼天のイシュガルド』の時は、そもそも拡張パッケージをまさに突然発表したので、それだけである意味達成だったのですが、今回のファンフェスはもう「絶対拡張パッケージ来るんでしょ?」という空気だったので、ものすごいプレッシャーでした。
今回は5000人のオーディエンスを目の前にして、大歓声に迎えられて、一気に緊張しました。台本ナシ、タイムキープも自前ということで、あれ以上のプレゼンは、僕の能力では無理だと思います(苦笑)
――台本なしですか!? 今日。
なしです。返しのモニターも検討したのですが、目線がどうしてもそちらへ行くので、結局止めてしまいました。リハーサルも1回だけザラッとやって終わりにしました。
――時間ピッタリでしたよね?
デジタルの大きなカウントダウンタイマーだけ、壇上近くにおいて、それをチラ見しながらタイムキープしていました。PS3のサポート終了のお知らせが終わった段階でちょうど残り時間が0秒になったので、「よし!」って思って、天野先生の画に行ったのですが、実はあそこにまだ2枚スライドがあったんです。思いっきり抜けてしまいました(笑)
次回ファンフェス東京の予告だったのですが、結果流れはよかったから、いいかなと。スタッフはびっくりしたと思いますが……。
――もうすでに、ティザートレーラーに出てきた女性は「あの人なんじゃないか」、「いや違うだろ」みたいな予想が、国内で始まってますね。
どうなんでしょうね……。これから更にプレイヤー間の議論になるんだろうなあと思っています。『旧FFXIV』からシナリオを追っている人だと、「あれ?」って感じたりもしていると思うので。そのあたりを、じわじわ議論してもらいたいです。
未来の話を議論するっていう雰囲気が、他のゲームにはない感覚だと思いますので、その辺りも次回情報公開まで楽しんでいただけたらと思います。
パッチ4.0がきて、物語を進めていった時に、あのファンフェスやインタビューでなぜ言えなかったのか……という辺りも、あれこれ後でご想像できると思うのです。
――4.0の舞台にアラミゴを選んだのは、『旧FFXIV』からの伏線を回収したいという気持ちがあったからでしょうか?
そうですね。とくにアラミゴの話に関しては、ウルダハがらみで、あれだけ根幹に絡まってきていますし。光の戦士は、イルベルドの暴走もあって苦境に立たされ、その結果イシュガルドに行ったわけですから、あのまま放っておくというのはないかなと。
――ではわりと初期の段階で、アラミゴを舞台にすることは決まっていたんですね。
イシュガルドほどすんなりではなかったです。僕が『旧FFXIV』を引き継いだ時、「ファンタジー要素足りなくない?」とスタッフに聞いたら、「イシュガルドっていう国があって、もともとはサービス開始時から行ける予定だったのに、間に合わなかったのです」って言われまして。「竜と騎士と……みたいなわかりやすいファンタジー要素は、すべてイシュガルドにあるんです」って説明されて、「いや、でもリリースできてないと、意味がないよ……」と。
だから、新生の次に必ず最初にやらなきゃいけないのは、大審門を開けて、プレイヤーの皆さんにイシュガルドに行ってもらうこと。拡張パッケージを出すなら、まず最初にイシュガルドを!と思っていたので、前回は早かったのです。しかし、今回のアラミゴはどうしても日本向きではないかもしれない、とも悩んでいて。日本は世界一平和な国だなと思いますし、スラムで厳しい生活を送る難民とか、支配する者とされる者、そこから、自分たちの場所を取り戻していく……みたいな物語が受け入れられるかどうか、ちょっと悩みはしました。
ですが、国はあり、物語に深く食い込んでいる以上、避けては通れません。ならばおもしろい物語にしてお届けすることで、気に入っていただこうと決断にいたりました。
――いつぐらいに「次はアラミゴを舞台にしよう」と思ったのですか?
3.0がリリースされた直後です。そうしないと4.0に予定しているボリュームが作り切れません。
毎回のパッチを大ボリュームで作りながら、裏で4.0の開発を進めないといけないため、決断は早ければ早いほど、後の作業が楽になるのです。
――メインクエストの3国合同演習でラウバーンと戦ったのも、次はアラミゴを舞台にするということからきたものですか? それとは関係ないですか?
無意識のうちに、シナリオチームの考えがそうなっていった可能性はあります。ラウバーンは、己の腕1つでのしあがってきたと言ってるわりには、どうも歯切れの悪い立ち位置だったように感じていました。
パッチ2.55の時に大暴れはしていますが、正々堂々正面からの激突っていうものは描かれてなかった。3都市の主要人物の中で、一番動かしやすいキャラでもあるので、次回の舞台がアラミゴに決まり、もしかしたら意識の中にはあったかもしれません。
合同演習でのラウバーンの登場について言うなら、ラウバーンというキャラが、僕らの中で完成しつつあるというところもあります。合同演習をやったら、間違いなく、代表でラウバーンが出てくるだろうな、というのがスタッフの総意だったので。
――今回アラミゴの解放ということで、帝国軍との衝突が発生すると思うのですが、「解放」というものの描き方が気になっています。
そうですね。ちょっと変わった演出も考えています。もともと帝国に占領されているところを奪還していく話なので、仮に、奪還できたとしたら、その後も……うーん、言い方が難しいですね。
――プレイヤーによって、ここは解放したから拠点になったとか。進行度によって違いが出たりするのでしょうか?
そこはうまくやっているんですけど……。3都市の首脳陣が政治的配慮によって具体的な行動をあまり起こさないという現状を、そろそろ終わりにしたいと思っていて。新しいことはやります、シナリオを盛り上げるために。
これ以上はまだちょっと言えないのですが、やっぱり『FF』なので、シナリオを盛り上げるためにコストをかけることは惜しみません。普通のMMOじゃやらないことをやろうとしている場所はあります。
――パッチ4.0のタイトルに込めたメッセージなどはありますか?
『蒼天のイシュガルド』は、フライングマントなどもあって、“空へ”というイメージなのは早い段階で決まっていました。それによって“蒼天”っていう単語はすんなり出てきたのです。“Heavensward”も、エオルゼアには天国にいたるための道がたくさんある、という意味が込められています。
前回のテーマカラーが“青”だったので、今回は“赤”かなと、まず単純に入りました(笑)。
僕の中ではアラミゴ奪還には、革命みたいなイメージがあって、革命の旗印をもとに、その熱に動かされた人たちが集まってきて、政治思想や軍隊相手でも、最後は民衆の力が打ち勝つみたいな印象が、僕の中では強かったのです。
そのイメージカラーが“赤”。“灼熱”など、他のキーワードも出たのですが、“蒼天”も普段使う言葉ではないので、今回は“紅蓮”がしっくりくるかなあ、ということで日本語は“紅蓮”となりました。
ただ、“解放者”にあたる英語が、日本人が聞いてなんとなく意味がわかるものがなくて、英語はかなり苦労しました。“STORMBLOOD”も苦労しましたね……。『新生エオルゼア』、『蒼天のイシュガルド』ときたので、日本語は漢字+カタカナはできるだけ踏襲しようと。
日本版の正式タイトルは『紅蓮のリベレーター』ですが、リベレーターの意味がわかりづらいので、ロゴの場合だけルビとして漢字の“解放者”をつけます。文字の時は『紅蓮のリベレーター』が正式です。これも混乱しそうだということで、そういうルールを決めてあります。後は単純に、“紅蓮のアラミゴ”はカッコ悪いなと思って(笑)。
ティザートレーラーの主役は新AFを着たモンク
――今回のティザートレーラーは、いつごろ完成したのですか?
(日本を出国した日を確認して)えーと、日本時間金曜の深夜ですね(苦笑)。最後まで僕が指示していたのは、長尺のフルPVからの切り出しだったので、一部演出がもっさりしてしまう部分と、世界観が掴みにくい部分です。
ここはヴィジュアルワークスに無理を言ってシーンを追加してもらいました。他にもキャラクターの表情や、空気が歪む表現なども調整対象で、光の戦士と謎の女性がぶつかった時、衝撃波で空気が歪むのですが、当初は集中線を入れるなど、マンガ的な手法が強かったのです。ただベースは完全CGですので、さじ加減は細かく調整させてもらいました。
――公開されたティザートレーラーは、全体の映像の中の一部とのことですが、今回格闘シーンを軸にした狙いはなんでしょう?
他の部分がネタバレが強く、あそこしか出せませんでした(苦笑)。
――結構な長さですよね、今回のパートだけでも。
2分ぐらいですかね? 全体の3分の1に満たないくらいです。今回はフル尺に色々な要素を入れ、PRの締めに持ってくるつもりで字コンテを作成したので、結果的に今出せる要素が少なくなりました。もっとティザーのことも考えたコンテにするべきだったと反省しています……。
――そのあたり、次回の東京のファンフェスでお披露目になりますか?
フルバージョンはフランクフルトに持ち越しになると思います。
――ティザートレーラーでは、2人のモンク(?)らしき人が戦っていますが、あの姿はモンクの新装備なのでしょうか?
光の戦士のほうは、新しいモンクのジョブ専用装備です。
――今回、モンクが主人公的なポジションになるにあたって、『蒼天のイシュガルド』でいうところのエスティニアンのポジションに、ヴィダルゲルトが来るのでは? 的な予想もありますが……。
ウィダルゲルトはまた、ジョブクエには絡むのかな? メインに登場させるには、暑苦しすぎる気もしますね(笑)。
――4.0でレベルキャップが70になりますが、『蒼天のイシュガルド』の時のように、今回もパッチ3.Xシリーズのメインクエストをクリアし終えてから『紅蓮のリベレーター』エリアに行けるようになるのでしょうか?
そうなります。後はもう……シナリオ用のジャンピングポーションを実装するかどうかしだいです。基本的には、前段階のシナリオ全クリアが条件ですね。
――4.0のエリアもフライングマウントで飛べるとのことですが、今後3都市周辺のエリアがフライング可能になる予定はありますか?
まだ予定はないです。“遊び”を作るコストがないからです。ただ飛ぶだけなら可能ではありますが、何も遊びが存在しないので……。単に移動が楽になるから、ご希望はわかっているのですが、膨大なマップを作り直すコストがあるなら、新エリアの制作を優先しているのが現状です。
――新しい移動手段が追加されたりしますか?
移動手段には限定しませんが、ゲーム体験をもう一段高める工夫は入れるので、さらなる情報公開をお待ちください。
――空も飛べるし、後は水上移動や、水中に潜るしかないんじゃないかって感じもしますけれど(笑)
潜れたらいいですよね。あれだけキレイな海がありますし、耐熱装備(水着)もあるけれど、今は走ることしかできないですからね。後は……無重力状態をフワフワするぐらいしか……。
――LEVEL60~70までのレベリングは、どういう流れを想定していますか?
基本的には、1ジョブ目はメインクエストをプレイし、ダンジョンをクリアし、幾つかのサブクエストをプレイし、4.0のエンディングを迎えるころには70になっている、という想定です。
――『蒼天のイシュガルド』の時は、メインクエストの合間にサブクエストをやったり、IDへ複数回行ったりしてレベルを上げ、次のメインクエストへ……というサイクルが基本でしたね。
今回は、サブクエストの割合を下げ、メインクエストの数を増やしました。
――それはクエストの数でしょうか? 経験値の量?
例えば、クエスト全体の総数を500とした場合、以前はメインクエスト300個、サブクエスト200個だったのを、メインクエスト350、サブクエスト150といった具合に、比率を変えました。
できるだけメインストーリーをより深く体験しながら、レベリングするという方が、お話しの表現拡大とともに、モチベーション維持にもよいと考えたからです。また、『蒼天のイシュガルド』では、序盤で訪れるダンジョンで得られる経験値を絞った状態でリリースしましたが、後に調整となりました。
今回はそれを踏まえて設定するので、メインクエストを進め、新たに行けるようになったダンジョンをクリアしていけば、3.0よりはスムーズにレベリングできるのではないかと考えています。
――アクションなどは、『蒼天のイシュガルド』と同じ形で、2レベルごとに修得していくのでしょうか。
今回はちょっと変えようと思っています。クエストチームから、2レベルごとにクエストを作たうえで、そのアクションの内容に対して、クエストの話をかみ合わせるのが厳しいという声があったからです。より深いジョブクエストにするために、あえてクエストで修得するものを減らし、レベルアップのみで修得するものを増やす予定です。
――4.0では、ILはまた一気に上がるのでしょうか?
ILの上昇ももちろんあります。数字の上昇が楽しみの1つでもありますので。ただ、ダメージ数値がインフレし過ぎても表示に興ざめしますので、うまくバランスを取りたいと思っています。
メインビジュアルについて
――今回の基調講演では、新種族の発表はありませんでしたが、3.Xでアウラに転生した人の割合は、予想と比べてどうでしたか?
後発種族としては、ずいぶんかわいがってもらっている印象です。また、幻想薬を使い気軽に種族を切り替える方も、一定数いることがわかりました。その人たちにとって、種族そのものが自キャラクターに対してのファッションなんだな、と。
でも、決してロールプレイをないがしろにしてるわけではなく、それぞれの種族に合ったコーディネイトを考えて遊ぶ、自キャラ愛の形の1つなんだな、と思いました。
あの感覚は、僕のように昔からMMOを遊んできたプレイヤーには、新鮮でした。そういうところに、新種族を追加する意味があるのかなと思いました。
――そういえば、メインビジュアルで赤い服の女性が手に持っていた武器が気になります。
天野さんにイメージイラストをお願いする際には、特に意図がない限りは、キャラクターが持つ武器を指定したりはしていません。いつも天野さんに目指している世界感と、物語と……タイトルの後ろに描いていただきたいモチーフを伝えています。
その後色々細かいイメージのディスカッションをして、「ピンときたよ!」と天野さんが言ってくださったら、「では、あとはお任せします!」という感じなのです。ですので武器が何かのヒントかどうかは……。
――ちなみに、今回伝えたメッセージはどんなものでしょうか?
まず“旗”というイメージを最初に伝えました。「アラミゴ解放軍たちはのちに“解放軍”と呼ばれるようになっただけで、彼らに軍の意識はない。自由のために戦っている人たち」、「旗にはなんの意匠もしないでください。彼らが解放軍の旗印を作ったわけではなく、団結の象徴として一枚の旗があり、その意識に賛同する人たちが集まってるイメージ」、「その先頭に、光の戦士と、赤いドレスの女性がいます」と。
邪竜と戦う12騎士が描かれた『Heavemsward』のロゴも、同じように発注して完成したものです。天野さんは描いているうちにキャラ数を変えられるので、「数合わなくなった」みたいなこともありました(笑)。
教皇の間にあるレリーフにできたのは、きちんと意図をお伝えしたからです。いつも本当に気さくに接していただけますし、サービスで複数枚のイラストをいただくことも多いので、先生のイチファンとしても、とても楽しくお仕事をさせていただいています。
新たなバトルシステム、そしてレイドについて
――基調講演の中でバトルシステムの変更が発表されましたが、竜騎士の“竜血”や、黒魔導士の“エノキアン”のようなバフを、維持しつつ戦う、といったあたりのコンセプトは変わりませんか?
これはあくまで例であって、決まったことではない前提でお聞きください。例えば“エノキアン”は、自動継続の永続効果になる可能性はあります。
ただ、永続の代わりに、特定の手順を踏んだ場合、さらにボーナスがつく、そこに工夫の余地を生むようなイメージです。
例えば“エノキアン”を使用するとカウントダウンのタイマーが回り、タイマーが切れると自動更新される。しかし特定の時間に特定のアクションを使うと、そのことにより、ダメージ上昇の効果が得られる、などです。
現状の実装では、エノキアンがキレイに更新でき、つねにファイジャが撃てるかどうか、更新できなかった場合に、恐ろしくダメージ差が出てしまっています。こうしたゼロ/イチの極端さを埋めつつ、うまくやる余地は残すというのが基本方針です。
例えば“黒魔紋”を出した直後にAoEが来て、それを避けた際にさらにAoEが来て……気が付いたら魔紋から遠ざかってしまっていた、黒魔動士あるあるです。黒魔紋は味方扱いではないので、エーテリアルステップできませんが、魔紋に瞬時に戻る移動方法があれば、地味にプレイヤースキル差を作り、“うまくやる余地”を出せるようになります。こうした調整を全ジョブに展開していきたいなと。
繰り返しになりますが、これらはあくまでもお話しのための例ですのでご了承ください。
――幾つかのアクションは専用のUIを持つとのことですが、これはジョブ別に変える予定ですか?
はい。モンクの“疾風迅雷”なら、段階に応じて専用のオーブが発光するとか、竜血専用のゲージがUI表示される、などをイメージしています。
これによりツールチップを見て効果を理解し、バフアイコンを凝視するのではなく、視覚的にわかりやすくプレイができるようになると思っています。これからFFXIVを始める新規の人たちにも、直感的にわかるような形にしていきたいです。
ジョブを変えた時も「あっ、違うジョブやってる」って感覚も持ちやすいですし。DoTなどは今後もバフ制御ですが、ジョブ固有のいくつかのアクションは、このように専用UI化していく方針です。
――アディショナルについて気になるのですが、ロール共通のアディショナル用アクションが用意されることで、例えば戦士の“ブラッドバス”などは、アディショナルにセットできないそのジョブ専用のアクションになるのでしょうか?
ブラッドバスがそうなるかどうかは別として、ジョブ固有になるものもあります。
――ロール共通とのことですが、DPSは近接、遠隔、魔法がありますので、わりと複雑化しそうな印象があります。
近接と遠隔は分けると思います。近接DPS用の共通アクション、といった具合に。遠隔DPSは魔法と物理を同じカテゴリにしてもよさそうだというのが今のところの見解です。
これらの変更を加えることで「簡単になりすぎでは?」と不安になる方もいるかもしれませんが、僕らの意図はそこではなく、シンプルにすることでよりパーティの連携を高め、よりうまくジョブを扱うために、ムダを省き、より突き詰められるようにしたいのです。
ただ、プレイヤースキルによって生まれる差を今のような極端さにはせず、カジュアルな方とミッドコアな方の差を縮め、むしろミッドコアとコアの方の差を、うまくやる余地として強化していきたいという考え方です。
――基調講演であった“効果小、用途限定的なアクションを見直す”という点についてお聞かせください。
各種アクションに変更がはいりますが、再取得の必要はなく、置き換えがメインです。こちらも例になりますが、格闘士の“フェザーステップ”の効果は、現状、回避率の大幅上昇です。
しかし、モンクが敵から殴られるシチュエーションは、ソロ以外ではほぼパーティが壊滅した状態となります。
もちろん「使う機会は少なくても、それはモンクの特徴だ」とおっしゃる方がいるとは思うのですが、4.0でレベルキャップが70となり、アクションが増えた場合に、結局は使う機会の少ないものが、ホットバーから外されるようになります。
そうなのであれば、削除して再整理するものもあれば、効果を見直してしまい、有用性を高め、高レベルアクションを取得した際に、さらに強化効果へ置き換わるようにするなどの方が、総合的にみて、操作難易度を上げず、ジョブ特性を出せると考えています。
効果小、もしくは限定的なアクションの“全面的な見直し“とお知らせしたのは、そのような意図があります。非常に幅が広いので、日本語としてはやや曖昧になりましたが。
――一部では「これ以上スキルが追加されるとキーが足りない、ボタンが足りない」という意見もあるようですが、総数自体はやはり増えるのでしょうか?
概ね新アクションの想定が始まり、各ジョブのアクション数の精査に入っていますが、今のところどのジョブもほぼ現状と同じ数に収まりそうです。
幾つかのジョブで+1もしくは-1程度になることはあるかもしれません。まだまだ制作と調整を続けますので、これがまだ確定とは言えませんが、目標にはしています。
――タンクのモードチェンジ的なものがありますが、アディショナルが共通になるにあたって、モードそのものがなくなる可能性は……?
それは現時点では明言できないです。むろん「根本的なレベルで、できていたことができなくなる」のは避けるつもりでいますが、モードチェンジがあるジョブが、その変更の仕方に変化が発生する可能性は大いにあります。
――単純に楽しみではあります
ジョブに関するお話しは、前回の3.0でもそうでしたが、最後は触っていただくまで、やはり想像での議論になってしまうため、今はまだ方針だけをお話しさせていただきました。僕たちとしては、一部のプレイヤーの方が感じているような「やたら難しくて、やたら使いにくい」と感じられるものを調整し、純粋に楽しめる方向へ調整していきたいと思っています。
その上で、よりそのジョブらしさが感じられるようにと思っていますので、引き続き、より具体的な内容が提示できるまで、楽しみにお待ちいただけたらと思います。
――4.0で追加されるエンドコンテンツは、どういう姿であるべきだ、と考えていますか?
少なくとも、挑戦した皆さんがクリアした時、もしくは、ワールドファーストを狙うようなレイドレースが終わった時、「苦労したけど、楽しかった!」と思えるかどうかがポイントなのかなと今は考えています。
その次に、「今回早かったな」「時間かかったな」とかがついてくる。少なくとも「天動編」はそういう形になったかなと思っています。
ただ、“天動編”に物足りなさを感じている人はいるとも思っていて、人間はより強い達成感のために、その手前のストレスは、強ければ強いほど燃えるという側面もあります。その上で、今の時代、万人に向けたレイドは今回ぐらいの方がよく、さらにより難易度の高いものを望む方のために、別途何か考えるべきかなと。
――今日も会場で、ノーマルと零式の2モデルの形式を維持すべきか、ファンに聞いていましたね。吉田さんとしてはどうお考えですか?
僕は維持するつもりで考えています。まだ開発チーム内でもディスカッション中ですが、偶数パッチが高難易度レイドメインだった2.Xシリーズのころ、「やることが少ない」と言っていたカジュアル層の方が、ノーマルに行ってシナリオを体験できるという部分は大きかったです。また、それによって極蛮神へ挑戦する方が増えたり、零式もしかりです。その点は維持した方がよいと思っています。
しかし、それによってコア層が楽しめなくなるのはよくないところですので、「上を目指す人の他の人と違うぜ!」という感じは守りたい。
――確かに、孤高感はなくなりましたよね。
構造として「トップ層」はきちんと作らなければいけません。仮にそれをバトルコンテンツにおけるエリート層と定義するなら、「努力をし、困難を突破する腕前を持つ」に対して、自尊心があるべきだと思います。
そういったエリートがいるから、あこがれがあり、そこを目指したいと思う人もいる、その関係性は崩してはいけないと思っているので、その点のフォローを考えたいです。ですので、もう一段上のチャレンジ、攻略を自慢できる難易度のものは、どこかに用意したいと話しているところです。
――どういう方向性のチャレンジングですか?
零式4層突破者のみが挑戦できる、孤高の1コンテンツみたいなイメージです。零式4層で得た武器で挑戦するようなものですね。
――零式を突破した人たちだけが挑めるコンテンツですか?
もちろん、例えばの話ではありますが。その際には僕たちも難易度は妥協せず作ると思いますので、「難しすぎる!」はなしの方向でお願いします、と(笑)。
――今回の天動編のクリア状況は、想定されていた通りでしょうか?
ワールドファースト争いに関しては、想定通りとなりました。初日2時間で1層、2層は2時間半と予想していました。3層はクリア時間までに開発でも多少意見が割れて、それでも6時間差くらいです。
4層は最後「今晩持つかどうか、ギリギリくらいだよね」と話していて、僕たちもレイド争いは、楽しんで拝見していました。トップ層の方の腕前はサーバーログなどで拝見しているので、イメージ通りだったのは確かです。
――大迷宮バハムート邂逅編5層のように、なかなか破られないっていう時代とは違うんですね
バハムート邂逅編は、FFXIVのレイドスタートでもあったので、新しい競技が始まった瞬間のようなものでした。しかし、それ以降、我々も手を変え品を変え、さまざまなコンテンツをつくりそれを光の戦士である皆さんは、ことごとく打ち破ってきました。ですので、プレイヤースキル、パーティ練度などは、やはり段違いです。
もしかしたら「当時に比べて簡単なんだなー」と思うかもしれませんが、それは皆さんの努力と積み重ねがあってこそなのです。それでも48時間は単純計算で丸2日ですが、時間で考えると相当長いです。
その上でレイドワールドファースト争いをするチームは、クラフタースタッフ、素材集めチームなど、パッチ公開直前までにすべての準備を整えています。
バトルチームもレイドに備えて下限アイテムレベルなどで過去のコンテンツを特訓。だからこそ、その48時間であって、簡単に言う2日ではないと思うのです。
通常のレイドチームだとやはり3層以降がある程度の壁のようで、1、2層は気軽に突破して、3層から本番という感じで、うまく回ってくれている印象はあります。
――レイドファインダーのIL255制限が結構きつくて人が集まらない、とも言われているようですが
レイドファインダーの場合、あのIL以下だとクリアできないと思います。また、そのアイテムレベル制限を突破するために、装備努力をする人でないと、クリアできる難易度ではない、という意思表示でもあります。
いずれ聖典装備が集まれば、すぐに突破できますので、そこをお待ちいただく方がよいと思います。「せめて練習でも」というお気持ちはわかりますが、その場合は同じモチベーションで、パーティ募集を使っていただく想定です。そうでない場合、結局ギブアップ投票が連発されるだけになりそうで……。
PS3のサポート終了について
――4.0から、PS3のサポートがなくなりますが、今回PS3のことを考慮しなくなることによって、ゲーム表現がどう変わるのかというのが知りたいです
今日の基調講演を記事にしていただいたものは拝見して、「メモリ的には限界にきていた」と書かれていましたが、僕は言っておりません(苦笑)。
ゲーム的表現は皆さんが想像されているよりは、もっと大きなレイヤーでの制約です。例えば100人vs100人が入り乱れるようなコンテンツは、メモリ破綻になるので、現状では作れない、というような感じです。
また、UIのウィジェットを沢山同時に開く、というのもメモリ制約がありますが、これはハードごとに利便性を分けることで、今でもある程度は解消できています。
フォーラムやプロデューサーレターライブで「メモリ上苦しいので実装できない」という場合は、PS3だけが原因ではなく、PS4やWindows版でも同じことが多いのです。
例えばWindows 32bit版では、メモリを物理的にいくら搭載しても下限が切られますし、サーバーから送られてくるリスト情報をメモリに配置しすぎても、キャラクター表示対数との兼ね合いで、パフォーマンスが悪くなったりもします。
ですので、PS3版のサポートが4.0と同時に終了することについて、歓声が上がってしまいましたが、ゲーム体験が拡大することへの感想と受け止めています。
PS3無くしては僕らもここまで新生できなかったと本気で思っていますし、敬意をもって、次のステップへ向かっていくという意思だとご理解いただけるとうれしいです。
――今日のQ&Aでも、半分冗談で「それにはPS5が必要ですね」っていう場面がありましたね。吉田さんの中では、PS4でも結構きついな、というところがあるのでしょうか?
いえ、そういう意味ではまったくありません(笑)。『FFXIV』プレイヤーの方には、初めてのMMOが『FFXIV』だった、という方が世界中にたくさんいらっしゃいます。そういう方たちの質問は、すごくナチュラルなんです。
直球の剛速球。技術的な観点がどうのというより、本当に楽しんでいらっしゃるので、すごく純粋に「キャラのTシャツとジャケットを別々の色で染められるようにしてください!」と、キラキラした目でお願いされるのです。
モデリング工数やシェーダー、部分染色のための専用UI、マテリアルカラーの分割や、他にもたくさんの項目が関わってきて、おいそれと実現できない内容です。
しかし、それをお答えするよりは、そういった方たちにはわかりやすく、「PS5がないと無理かもしれないですね(笑)」という回答が一番伝わりやすいのです。
「ああ、大変なんだね!じゃあこれは?」というような言葉のキャッチボールです。しかし、今日のステージでは、ウケたからと調子に乗って使いすぎました……。4回目はさすがに自分で言ってて「ああ、吉田、ウザいな」って(笑)。
――今回、所持品の枠が増えますが、リテイナーの所持品も増えるのでしょうか?
リテイナーまで手を広げるかどうかは、まだ未確定です。なぜなら、プレイヤーのインベントリと、リテイナーのインベントリは処理が根本的に違い、サーバーに対しての負荷要因も大きくことなるためです。
プレイヤーの所持品やアーマリーチェストは、IDやレイドなどコンテンツワールドへ行く時に、すべて「持って移動している」のです。その分便利なのですが、それが負荷の最大原因でもあります。皆さんのキャラクターデータを逐次セーブする際にも、大きなデータベース負荷になります。
『FFXIV』はMMOと比べても、同時に持てるアイテムの数が破格に多く、この負荷をプレイヤーにストレスにならず解決するには、サーバーを増強したり、インフラの追加投資が必要になります。
最適化ももちろんしていますが、お金で解決するという両面が必要なのです。今回は最適化とインフラ投資がうまくかみ合いましたので、実行に移せるということです。
逆に、リテイナーの所持品枠は、さらに安全性重視で作られています。旧『FFXIV』の頃は、無尽蔵にテイナーを並べどこからでもアクセスできましたが、サーバーの超高負荷や不安定性を生んでしまいました。
それをまったく違う思想で作ったのが『新生』のリテイナーです。沢山のアイテムを所持し、安全にアクセスできるという思想で作られ、プレイヤーからかかる負荷を増大させないという意味で、呼び鈴など、アクセスできるポイントをしぼって作っています。
それが故に、1スロットあたりの安全性チェックが厳しく、こちらも別の負荷要素を持ちつつ、データベースの容量にも直結します。
それぞれやらなきゃいけないことが別系統なので、今回はとにかくプレイヤーがリアルに使うアイテムを増やします、というのが第1の方針です。
――基調講演でもPS3のサポート終了の説明に、ていねいに時間をかけられてましたよね。会場全体の雰囲気としては「やっと厄介者のPS3がいなくなる」みたいな雰囲気がすごくあったなかで、「ちょっと静粛に、話を聞いて」みたいな感じで、PS3をちゃんとリスペクトするみたいな。
はい。今でもPS3で遊んでくれている人たちはいらっしゃいます。どんな理由があるにせよ、その方たちには「4.0が発売されるとPS3では遊べなくなります」とお伝えしなくてはなりません。キャンペーンなどで最善を尽くすにせよ、最後は個人の出費の中でPS4本体を買っていただかないと、継続してFFXIVが遊べなくなるっていうことです。
それでも、「もっと楽しい世界が待っているから、一緒にそっちへ行こうよ!」というお話をしっかりさせていただきたかったのです。それをしっかりお伝えしたかったのが、今日の基調講演でもあります。
今後の展開や、世界観、新たなコンテンツについて
――アルテマウェポンが地中に埋もれていたことが示すとおり、ギラバニアにはアラグ帝国の遺構が未だに残されているようですが、今回(次回)の拡張パッケージでも、アラグ帝国の遺産というのはシナリオ、またはコンテンツにかかわってくるのでしょうか? 今は答えられない部分が多いとは思いますが。
うーん……アラグは少し影をひそめる気はしますが……「パッチ3.5の展開を、楽しみにお待ちください」とは言えるようになりました。
――「禁断の地エウレカ」についてなんですけれども、今回の発表ではまだ詳しいことは伏せられていましたが、どういったものなのでしょうか? 基本的なコンセプトと、この地に与えられる役割などを教えていただければ
『FFXIV』をテーマパークと例えた場合、エウレカは基本的に、「全員が行く場所」だとは考えていません。例えばホラーハウスは、行かない人は絶対行かないアトラクションです。「わざわざなんで怖い思いしに行くの?」と。その一方で、「あの刺激がたまらない」という人たちもいる。エウレカはそういう場所にしたいと思っているんです。
――そういう場所ってないですね。
今まではないですね。そして、これまではゾディアックウェポン、アニマウェポンって遊びで、“FFXIVランド”全体を巡ってもらうことが多かったのです。さすがにそれも2週目に入って、飽きがかなり強いことと、僕たちの企画にも限界があり、「いっそ、それ専用の土地を作ろうか」というのが、企画の根幹にあります。
低確率ドロップや時間によってPOPするモンスターなど、Time To Winの強い土地。だから“禁断の地“がイメージ通りではあります。『FFIII』の時に、強力な武器防具、魔法が封印されていた土地だから……という意味も込めています。
時間はかかるけれど、一発のアタリが大きくて、そこへ行く魅力もある。そういった遊びを一段挑戦してもいいかもね、というのがエウレカのコンセプトです。
――72時間に1回POPするというモンスターもここで出るんでしょうか?
それが72時間なのかというのは、あくまで例として出しただけで、さすがに今の時代だと72時間は無理があるかなと……。
でも僕は、『旧FFXIV』でもやっていたような、コンテンツキーを持ってないと、そのコンテンツに挑戦できないっていう遊びは、その中ではありかもしれないと思っています。
例えばイフリートに挑戦するときには、トーテムを持ってないと挑戦できない。誰か1人でもいいからトーテムを持っていれば、挑戦できる。だけど、勝っても負けても1トーテムは1トーテムだから、また誰かがトーテム持ってくるまで挑戦できない。そのぶん、得られるリワードは今までと少し違う、といった感じです。
――ビジュアルイメージは、当時の“エウレカ”に近いものになるのでしょうか?
今日公開したイメージはまだ全然“仮”です。まだ『FFXIV』のシナリオの中で未解決な部分にもフォーカスしたいと思っていますので、その辺りも含めて楽しみにお待ちください。
――ちなみに、“ディアデム諸島”と、3.5で公開される“雲海探索2”の、延長線上のコンテンツ……といったイメージではまったくないということですか?
はい、全然違います。もちろん、フィードバックを受けたうえで微調整はしていきますが、企画の出発点が異なります。次のパッチ3.5で予定している雲海探索第2弾は、コンテンツの中に、4パーティじゃないとクリアできないボスがあったりなど、遊びの内容が違います。
――ちなみにリワード的にはどのようなものになってくるのでしょうか?
雲海探索第2弾のリワードは現在調整中で、コンテンツに見合った報酬をどのレベルにするか最終調整中です。コンテンツの開発は進んでいますが、今までの『FFXIV』の遊びとはまた違った遊びのため、実装と調整に時間をかけています。それをどう受け入れてもらえるかを拝見した上で、“エウレカ”につなげていきたいと思っています。
――基本は9パーティで挑む、1つのデカいコンテンツ、というスタンスですね。
はい。それは変わらないです。
――ジョブUIの調整やアディショナルの共通化などもろもろの調整を経て、バトルコンテンツそのものも変わっていくのでしょうか?
あまり大きな変化はないと思います。バトルコンテンツは数式計算で作っているため、ジョブの調整が終わってしまえば、遊んでおもしろい体感になるか、それを考えてギミックを作っていくだけです。
――少し話は変わってしまうんですけれども……今回の会場では24人コンテンツの“プロトアルテマ殲滅戦”を体験できましたが、あれはファンフェスのためだけに特別に用意されたものなのでしょうか?
いえ、ファンフェスに来られなかった方のためにもパッチで実装する予定です。どこに入るかを楽しみにお待ちください(笑)。
前回の反省点としては、オーディンは単体で入れたので、だんだんマッチングしなくなっていってしまう問題があったのですが、今回は少し変化をつけました。新しい配置方法で実装する予定です。
――24人というところは変わりませんか?
変わらないです。会場のバランスのまま実装となるかどうかは思案中です。
――それを聞くと、エクストリームが欲しくなりますね(笑)。
実装時にもう少し難易度を上げるかもしれませんが、やはり“楽しんでクリアする”というレベルにしていきたいと思います。
――今回(3.4)のコンテンツはみんな楽しんでる感じがありますよね。
「クリアできるから行こうぜ!」という感覚はやはり大切ですね。クリアできる見込みがあるからこそ、次も頑張れるというところは、今回の天動編で改めて実感しました。
――ではもう、今回だけのサービスというわけではなく、レイドは今後、比較的簡単にクリアできる難度に調整していくのでしょうか?
今回の零式の難易度が、今後のレイドの難易度の指標になるかというと、それは別問題です。次はレベル70キャップでのレイドですので。
――アクションも変わりますしね。
そうですね。プレイヤー側のアクションが変わり、操作難易度が下がれば、コンテンツ側はもう少し歯ごたえがあっても良いのかなと思います。今はまだあくまでレベル60のレイドですので、そういう意味で指標にならないという感じです。
――ハウジングにアパルトメントが追加され、ある意味無限に増やしたばかりですが、新たにハウジングエリアを追加する理由と意味についてお聞かせください。
普通のオフラインのゲームでは、制作時に想定した文化圏を再現すれば、いったんゲームは閉じることになります。アセットは作りきれば終わりです。しかし『FFXIV』の場合はMMORPGなので、新しい土地へ行ったら、新しい文化に触れてもらいたいと考えています。
その地域の宗教感や、生息するモンスターによって、当然作られる家も違うし、家具も違ってくる。もちろん、どのハウジングエリアにもすべての家具を置くことはできますが、新たな環境だと、ゲームの中に住んでいるという意識が全然違ってくると思うのです。
まったく違うエリアにハウジングエリアを足すっていうことが、“エオルゼアで暮らす”ことをプレイスタイルにしている方にとって、ゲームの継続モチベーションに大きく寄与する……と僕は信じています。
もちろん、「アパルトメントじゃなくて地下工房が作れる、庭のある家が欲しい」という方もまだまだいらっしゃると思いますし、ハウジングを追加する意味は大きいです。
また、新たな土地にハウジングエリアが開けることによって、FCに対して新しい目標ができる場合もあると思います。「引っ越そうぜ、新しい土地に!」と。そう考えた時に、またプレイヤー同士の結束が深まりますし、すごく重要なことだと思っています。
――今回、アラミゴが舞台ということで……アラミゴにはグリフィンに乗って闘う“アラミゴ魔獣軍団”がいるという設定がありますが、勝手な妄想なんですけども、フライングマウントに乗りながら戦ったりとか、そういう新しい試みが追加される可能性はございますか?
独自のコンテンツを作って、例えばアレキサンダーみたいな巨大な敵に対して、全員でフライングマウントに乗り、爆弾などを使って攻略していく……そんなイメージの遊びにしていかないと、空中での通常バトルは制限が多すぎますし、やるとすれば、そういった独自コンテンツですね。ただ、残念ながら今のところ予定はないです……。
――今回の基調講演のなかではとくに言及はなかったんですけど、過去のインタビューで、バトルコンテンツにあまり入れ込んでない人でもやり込みで強い武器が手に入れられる試みを継続的に入れていく……というのを、「ちょっと変えたいな」とおっしゃっていましたが、何かヒント的なものはありますか?
それが“エウレカ”だと思ってください。今回は防具もやるかもしれません。
――防具もですか!
防具はやったとしても専用グラフィックスではなく、自分が気に入った防具を各パーツ指定して、これを鍛える。そうすると、自分の気に入ったコーディネイトで強くすることになりますし、ミラプリで解決はできるのですが、思い入れは違ってくるのかなと。まだまだ、ディスカッションを始めた段階ではありますが、そんな風に考えています。
――ジャンピングポーションについて、入れるなら4.0のタイミングかなと思うのですが、現状のお気持ちを聞かせてください。
7:3ぐらいで実装はありなのかもしれない、と思っているところです。一時期集中的にインタビューでこのお話をさせていただいたのですが、即時の拒絶反応はあまりなく、むしろ建設的に「友だちを誘うならありかなあ」とか、「レベリングは楽しいけれど、人によるもんね」、「でも、プレイヤースキルのバラつきは気になるね」など、かなり真剣に『FFXIV』の今後を考えてくださっているのが伝わってきました。
今日の基調講演の後も、「やっぱりアラミゴへ行くためには、3.Xまでのメインシナリオクリアが必須かぁ……」という書き込みを拝見したのですが、「でも、だからこそのジャンピングポーションはアリなんじゃない?」というレスを見て、いろいろな価値観で議論してくださっていたのが、とても印象的でした。
もちろん、レベリング自体に価値を見出す方がいたり、そのプレイした時間をショートカットされることへの拒否反応はなくならないと思っています。
ですので、今すぐ決めるというわけではなく、引き続き皆さんの議論を拝見しつつ、真剣にもう少し悩んでいきたいと思っています。
――仮に日本市場でも売れる場合、どういった仕様を考えていますか? 例えば、1つ飲めば60までいくのか50なのか、そのあたりはどうなんでしょう?
例えばですが中国、韓国で『STORM BLOOD』が発売された場合、中国版、韓国版に実装されている現在のポーションは廃止となり、新たにレベル60まで上昇するポーションに切り替わります。2つが同時に販売されることはありません。
中途半端なものを実装すると、結局友だちと一緒に遊べなくなりますし、「そもそもそんなものいらない」という方、その双方から御叱りを受けると思うからです。
――楽しい経験って、結局レベル上げじゃなくて、その先のコンテンツですからね。
いえ、僕はレベリングの楽しさも十分にわかっていますし、僕もそういうプレイヤーです。
しかし、とにかく今は時間がない……時間をかけないと遊べないなら、いっそ遊ばない、という時代なのです。もちろん、その先のコンテンツを楽しんでいただきたい、その思いも含めての実装検討ということです。
――今日、PCのスペックの下限の引き上げの話があったと思うんですけど、これとまた逆で、さらに上の、例えばDirectXの上位ですとか、もっといいPCを用意した人たちに、それに合わせたアップッグレードをするような計画みたいなものはあるんでしょうか。
既にDX11版がありますので、DX12対応の計画は今のところありません。やるとすればネイティブ4K対応だと思います。これからモニターの精度は更に上がります。より高彩度、高画質、高ピクセルレートで遊びたいという方向けに、アップデートを行う可能性は高いと思います。
――そういった場合、アセットとかはどうなるんでしょうか。
『FFXIV』の場合そもそも、ハイレゾ想定で作られているため、大きく分けることはしないと思います。あるとすれば、「描画エンジンごと次世代の絵にアップグレードします」という拡張パッケージがあれば、そうしていく可能性はあります。しかし、エンドコンテンツでそこまでの美しさが必要かといえば……。
――下手をすれば、フレームレート優先してる人もいるぐらい(笑)。
そうですね、エフェクトを非表示にされる方もいますし(笑)。
――そういう意味では、前回の『イシュガルド』と、DirectX11のタイミングが合ってるな、と。
DX11版がグラフィックス向上の最初の大きな第一段階だったと思っていただければ。
――今回アラミゴ付近のエリアが公開されまして、今までのエリアと光源の使い方とか、エリアの雰囲気そのものが結構違うな、という感じがしたんですけれども、今回の新エリアに関しまして、エリアのコンセプト的なものはありますか?
基本的には、3.0の画作りが気に入っているところが多いので、しっかり今の世代の、妙に濃すぎず、でも『FF』らしいキレイさ、くっきりさ、かわいさが残っていつつも、暗いところは暗く、という方向は続けようと思います。
その上で最近大切にしているのは、エリアごとの視覚の違い。これはIDでも工夫を始めているのですが、例えば「ソーム・アル」の金色の空など、現実とファンタジーの境界ギリギリという絵作りです。
――素晴らしかったですよね。
黄昏……まれに、現実の写真でも空の風景。“神々の黄昏”で検索するとよく出てきます。実際の地球上の写真なのですが、とてもファンタジーに感じられます。現実でできる無難な空気を作るのではなく、こういった景色を作っていこう、というのが最近のチーム目標になっています。
アラミゴでもその方針は引き継がれています。シェーダーを足すとか、アップデートするという意味ではなく、個人のアイデアや工夫でまだ表現できることは多いと思っています。雲の作り方、天候の重ねあわせなど、テクノロジーを発展させることと並行して、そういった「職人的」工夫を更に推し進めていきたいなと思います。
――その工夫が、IDなどにもさらに反映されていくのですね。
その辺りはパッチ3.4のIDでも多く見ていただけています。その辺りのフィードバックを拝見すると、工夫しているぶんとてもうれしいです。
――“ソーム・アル”もそうなんですけども、移動していくことで時間が経過して、最終的に夜になって、もっかい戻って景色を見たくなるような、そういうダンジョンになっていると思うんですけども。
こういった工夫は、単純に課金者数増加につながるわけではありません。しかし、繰り返しこのクオリティで遊び続け、それに慣れてしまうと、「他のゲームじゃ物足りなくなる……」というのも『FF』の魅力でもあるのかなと。UIの徹底サポートもそうですが、この点は今後更にこだわりたいと思っています。
新たなキャラクターや、キャラクターの表情について
――パッチ3.3、3.4で、特に気に入っているのが、闇の戦士たちのフェイシャル表現なんですよね。すごくおもしろいなと思っていて、これをプレイヤー側にも適用して、で、闇の戦士ってネガティブな表現多かったじゃないですか。かわいい笑顔とか、ポジティブな表現も加えた形で、エモーションの一段進化みたいなのって考えていたりますか?
キャラクターの表情については、今回、3.4のメインクエストでけっこう共感していただいたように感じています。しかし、光の戦士はプレイヤーの皆さん自身ですので、どうしても強い感情表現を我々がすることに、躊躇いを感じてしまうのです。
『FF』はこれまで、キャラクター性の強いドラマを作ってきたシリーズです。自分=主役ではなく、例えばクラウドならクラウドという人物のドラマや生きざまをインタラクティブに楽しむのが魅力です。その場合はドラマとして、思い切り僕らも演出を行うことになります。
しかし、今回は自分自身が主人公の『FF』です。どこまでやるのか、やりすぎて「そんな風に思ってないよ!」と感じられると、それはそれで思い入れが減ってしまいます。今はそのギリギリのラインかなと。
3.Xシリーズは以前に比べると「もっと動いてほしい!」というフィードバックのもと、かなり感情表現が強化されています。オルシュファンのシーンなどは、覚悟をもってやったのですが、それでも中には「どうやっても微笑めないよ!」という方もいらしたと思うので、引き続きフィードバックを拝見しながら、ギリギリの線を突いていきたいと考えています。
――ナンバリングの『FF』だと、群像劇的な、キャラクターを追っていくっていうイメージが強いので、MMOになるとそこが難しいんですね。
NPCや周りのキャラ表現はできるのですが……。プレイヤーの表現だけは難しいんですよ……。
――レグラ(レグラ・ヴァン・ヒュドルス)なんですけど、ネールやガイウスのような典型的な悪者にはちょっと見えなかったんですけど。たたき上げの軍人のせいなのか、帝国の内部ですとか、もしかしたらゼノス(ゼノス・イェー・ガルヴァス)から疎まれているふしも感じられるので、もしかしたら光の戦士たちと通じることもあるのではないか、みたいな。
そのあたりは3.5ですべてが明かされると思いますので、お楽しみに。
――今回登場した新キャラクター・ゼノスですけれども、これまでのキャラクターとは一線を画す印象を受けました。現時点で話せるところで、他とはどう違うのか、というところをお聞かせください。
多分誰も同調できないキャラ、ということだけ、お伝えしておきます。
――見た目的にも、鞘があって剣があってっていうことで、「もしかして……?」みたいなことも言われているようですが。
うーん、皆さん深読みされますね(笑)。一応彼の武器も変則ですがガンブレードです。アートをもう1回見直していただけると、おもしろいかなと思います。
ガイウスは2.0のエンディング後「グリダニアもリムサもウルダハも、建前ばっかり言いやがって! 俺は帝国のガイウスの下で働きたかった!」という書き込みもそれなりの数を拝見しました。しかしゼノスに対しては、その感想は出てこないと思います(笑)。
――エスティニアンについて、アラミゴで再登場の可能性はありますか?
うーん……現時点ではなんとも。再登場はさせたいと思っていますし、エスティニアンの今後は決めてあります。もし再登場する際には、彼がどんな装備で現れるのか、どんなセリフを発するのか、そんな部分も楽しみにしていただけるとうれしいです。
あのまま消えていくには惜しいキャラでもありますし、暁にいない竜騎士ポジション。僕は暁に加わって欲しいなと思ったりもしますが、エスティニアンの性格上、例えばアルフィノから「あなたも暁に!」って言われても、「俺は群れるのは嫌いだ」「興味ないな」と返しそうですよね(笑)。
――メインクエスト“北方より来たりし者”で、新皇帝ヴァリス・ゾス・ガルヴァスが「エオルゼアの支配権など、星の運命に比べれば些末なことにすぎぬ」などと語っていました。今回の拡張パッケージで、ガレマール帝国側から見たアーダーに対する、危機意識みたいなものは語られたりするのでしょうか?
4.Xまで引っ張るかもしれません。光の戦士たちから見た場合、ガレマール帝国は単なる侵略者です。彼らから自由を取り戻す戦いをしている途中で、2.0シリーズで帝国の侵攻を阻止し、竜との対立を平定し、4都市同盟を復活させたところまでたどり着いたのが現状です。
まだガレマール帝国の言っている思想は、「アラグのそれと何が違うの?」というところもありますし、より深く帝国を掘り下げるのはこれからです。
今日のQ&Aセッションである「Please Look forward to it!」でも、「5.0の内容は考えているんですか?」と質問がありましたが、なんとなく全体の結末までは考えてあります。6.0まで行ってしまいそうですが(笑)。
――新たな蛮神についての発表がありましたが、今後ストーリーの展開として、あくまでアシエンにそそのかされて、誰かしらが蛮神を召喚して……という流れになるのでしょうか?
そこは、また違った展開になるかな、と思います。これまではエオルゼア3都市に対しての内政干渉のように、蛮族を使って神降ろしをすることが多くありました。
しかし、違った地域に対しては、アシエンたちも違ったアプローチをするでしょう。イシュガルドの場合、トールダンは竜の眼で神降ろしをしたように、今後も蛮神関連は、少しずつ変化をつけていこうと思っています。
アシエンたちが狙っているのは、エーテルを枯渇させ、世界の均衡を崩して、霊災を引き起こし、その反動で世界を統合しようということです。蛮神召喚はその1手段にすぎないですし、黒と白のアシエンで考え方が若干違ったりするので、今後また違う展開にもしていきたいですね。
――今後も、争いの裏で暗躍しているのがアシエン、というのは変わりませんか?、
4.0ではちょっと薄くなる……のかもしれないです。アシエンが出てくると、地域の濃いお話しが作り難くなるので、4.Xまで地下潜航かもしれないですね(笑)。
――今回、新しいアライアンスレイドが入るとのことですが、こちらについてもう少しヒントを……。
どうしても出せないです(笑)。
――最後に、このあとのファンフェスを待ち望んでいるファンへ向けてのメッセージをいただけますか。
とにかく今回は、次回の拡張パッケージを正式に発表しました! という、プロローグに過ぎず、物足りなさもあると思います。ついに正式に発表できたというところで、今後の展開をあれこれ予測していただけるとうれしいです。
例えばティザートレーラーでも「どうしてラールガーの石像の上で、模擬戦をしているのだろう?」、「そもそもこの赤い服の女性は誰?」というストレートな部分から、トレーラーの中で戦いの準備をしている人たち、チョコボの雰囲気や、世界観の見えるカットやスクリーンショットなど、のちのちのヒントになる要素は入っています。
今日の僕の基調講演のセリフの中にも、後の展開につながる言葉を、ギリギリの範囲で入れてありますので、キーワードを探していただけるとうれしいです。ぜひ色々なキーワードをくっつけて、「こうじゃないか、ああじゃないか」っていうのを妄想しつつ、日々の『FFXIV』のプレイを楽しんでいただけたらと思います。
東京のファンフェス、パッチ3.5など、どんどんキーワードが埋まっていきますので、未来を予想しながら、今を遊んでいただけるとうれしく思います。
僕たちも楽しんで、ギリギリの情報公開をしていこうと思いますので、こうやって一緒に未来へ進んでいくのが、他のゲームではあまり味わえない『FFXIV』っぽいおもしろさだとも思いますので、どうぞこれからもよろしくお願いします。
後は、「スクエニの初夏は9月ではない」と言うことだけ(笑)。できるだけ早く発売日を発表できるように頑張りますので、どうぞ今後の展開にご注目ください!
――ありがとうございました!
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