2016年12月6日(火)
12月10日より全国公開となる、劇場版アニメ『モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ』について、12月5日に開催されたトークイベントのオフィシャルレポートが到着しました。
『モンスターストライク』は、ミクシィのXFLAGスタジオが配信するiOS/Android用RPG。『モンスターストライク THE MOVIE』では、YouTubeで配信されている『モンスト』アニメのはじまりの物語が描かれます。
本イベントには、アニメ研究家・明治大学大学院客員教授の氷川竜介さん、『ハイキュー!!』、『僕だけがいない街』などを手がけ、本作の脚本を担当し、ジブリが輩出した脚本家・岸本卓さん、ULTRA SUPER PICTURESに所属し、TVアニメ『翠星のガルガンティア』でもプロデューサーを務める平澤直さんが登場。
本作の知られざる制作秘話や魅力について、アニメ関係者ならではのぶっちゃけ暴露トークに大盛り上がりのイベントとなりました。
MCの呼び込みで、アニメ研究のパイオニア的存在である氷川竜介さん、本作の脚本を務めた岸本卓さん、同じくプロデューサーの平澤直さんが登壇。岸本さんは「脚本担当しました岸本です。トークショーというのが生まれて初めてなので緊張しています。頑張ります」とご挨拶。
氷川さんは「映画の『モンスト』はビジネス的にも新しい試みですし、内容も色々なチャレンジがなされている中で、今回の劇場版は小学生のロードムービー仕立てとなっていて非常に感動しました」と本作を絶賛しました。
本作の脚本を依頼された経緯について聞かれると、岸本さんは「僕は平澤さんから電話をもらって。忙しい時期でしたが、映画だったらやってみたいなと。ガラケーなので『モンスト』をやったことも触れたことないので、平澤さんにそれでもいいのかと聞いたら“いいんじゃないっすか、いいよいいよ”って(笑)それでやらせて貰えるならぜひにということで今回担当することになりました」と当時の裏話を明かしました。
雑誌の編集者を経て、スタジオジブリに所属していたことがある岸本さん。脚本家になるまでの経緯については「生まれて初めて脚本を書いたのが『借りぐらしのアリエッティ』だったんですが、3カ月で宮崎駿さんに“もういい”って言われて(笑)でも脚本を書くのがおもしろかったんです。ジブリを退社した後も、脚本家を目指し、そして今があるという感じです」と明かしました。
また、脚本執筆における映画とアニメの違いについて問われると、岸本さんは「TVアニメでは20分の中で起承転結を意識します。映画でも起承転結を意識して配分したつもりなのに、物語のスタートが遅くなってしまった。人物や世界観の紹介に時間を取りすぎて頭でっかちになったりしてしまった。全体を見通すのが映画は難しいなって思いましたね」と執筆当時の苦労を吐露。
▲岸本さん。 |
先日公開された本作の冒頭10分映像内でCGにより描かれているバトルシーンについて問われると、平澤さんは「YouTube版も含めてモンスターバトルは1つの見どころです。YouTube版をご覧になっている方にとっても慣れ親しんだモンスターバトルから入ってみたらどうかなと思いました」と語ると、氷川さんは「初めて触れる方でも、あの冒頭のバトルシーンは迫力があってグッと惹きつけられると思いますよ」と称賛。
また、制作段階における手書きとCGの棲み分けについて聞かれると、平澤さんは「YouTube版から続いている姿勢なんですが、モンスターバトルは基本、人型でも獣型でもCGを使っています。人間は基本手書きで制作しました」とこだわりをアピール。
本作では少年たちの旅が描かれていることから氷川さんより実際に旅をしたことがあるのかを聞かれると、岸本さんは「中学生の時に神社の境内で野宿をしようとした時に、神社の人が泊まっていけと言ってくれたんです。ご飯も食べさせてくれて。それがなんとなく心に残っていて、この映画に盛り込みたいなと思いました」と少年時代のエピソードを告白し、自身の体験を生かしたことを明かしました。
YouTubeで7分間のアニメを配信するにいたった経緯について聞かれると、平澤さんは「ゲームの間に見られて、友だちに勧めやすく、その友だちもすぐ見られるようにと思いましてYouTube版で配信することにしました」とアニメを通して人とつながれるものを目指したという想いを明かしました。
また、会場に駆け付けた一般の方の半数以上がYouTube版をご覧になっていることも判明。また、まだ見ていないという観客の方に向けて、平澤さんは「YouTube版の『モンスト』アニメならば好きな時に好きなところで見られます。それがYouTubeの強みです!」とアピールし、会場を笑いに包みました。
▲平澤さん。 |
氷川さんより『君の名は。』や『聲の形』など多くのアニメヒット作が生まれた今年の現状と本作の接点に話がおよぶと、平澤さんは「アニメでも作品の内容がよいと、多くの人に届くんだと証明された年。この大きな流れに乗れるのかな? と楽しみにしております。内容的にも、(『君の名は。』や『聲の形』は)男女の恋愛の話で、『ポッピン Q』も女の子の友情ですかね? この作品は男女の友情物語なので被らなくてよかった! (笑)」と胸の内を明かし、会場をわかせました。
そして、一足早く本作をご覧になったスタジオジブリの鈴木敏夫さんが「岸本さんはやっぱりジブリの人だったんだなあ」と話していたことについて聞かれると、岸本さんは「先日、鈴木さんのインタビュー原稿のチェックで内容を読みました。有り難いんですけど、全部ジブリだ。全部ゲド戦記とかなんとか(笑)僕が貰ったプロットからそうだったんだから、しょうがないじゃん(笑)でも僕の映画デビューだから今回のインタビューを受けてくれたということを知って、グッときました。本当有り難いです」と感謝の言葉を表しました。
また、鈴木さんが、3Dとセル画のブッキングが非常にうまいと評価したことついて平澤さんは「モンスターのバトルを気合入れて描こうとなった時に3Dの方がよりお客さんに伝わるのではないかと思ってこれまでやってきました。ジブリさんといえば、手書きの総本山。僕たちみたいな周辺に“あいつらも頑張ってるんだな”と気に留めてくれてうれしいですね。それで、いつかジブリさんから仕事を依頼されたらうれしいですね」とラブコールを送りました。
最後に氷川さんが「小学生時代の忘れがたい友情、旅の物語があって、その中でシビアなバトルシーンやファンタジックさと全部入りの感動作となっていますのでぜひお楽しみください」と本作の見どころを伝えて締めくくりました。
アニメ有識者と本作のスタッフによる暴露トークは観客の関心を集めて大盛り上がり! 終始、笑いと関心の声が場内を包むPRイベントとなりました。
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