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2017年1月8日(日)

【電撃PS】高橋慶太氏のコラム『電撃ゲームとか通信。』全文掲載。『トリコ』&自身の動向を語る

文:電撃PlayStation

 電撃PSで連載している高橋慶太氏のコラム『電撃ゲームとか通信。』。ゲームデザイナーとしての日常や、ゲーム開発にまつわるエピソードを毎号掲載しています。

『電撃ゲームとか通信。』

高橋慶太氏PROFILE

 バンダイナムコゲームス(現BNE)時代に『塊魂』、『のびのびBOY』を制作。その後『Tenya Wanya Teens』を発表。現在は新作『Wattam』と、GoogleのARプロジェクト「Tango」向けに『WOORLD』を開発中。

 この記事では、電撃PS Vol.629(2016年12月22日発売号)のコラムを全文掲載!

第八十三回:引き続き『人喰いの大鷲トリコ』を見に行ったときの話と、最近ちょっと動きがありました。

 どうも。前回は4年前くらいに訪問した『人喰いの大鷲トリコ』プロジェクトにてデバッグメニューに日本語が使われていたことの驚きと、そもそもデバッグメニューとは? という話になってしまい、あまりその時の話に触れること出来ませんでした。ということで、まずはそれの続きを少々。

 当時のSCE Jスタジオに訪問したその日は『GRAVITY DAZE』を見るのも含めて3、4時間くらい居座るつもりだったけど、広報がそんなこと許してくれるはずもなく、早々に別フロアーにあるカフェに連れて行かれお茶を濁されました。『GRAVITY DAZE』は発売後だったので特に秘密のものはなかったけど、強制連行される前に『トリコ』ブースで見せてもらった“あるもの”がありました。当然だけど上田文人さんが全てを見せてくれるわけもないので、それ自身はそんなに重要なものでないと思うけど、過去の上田ゲームでは見かけないようなもの(他のゲームではしょっちゅう出てくる)だったので意外でした。驚くほどのものでもないけど、自分にとってはトリコの方向性が垣間見られた瞬間でもありました、、、なんて気配りができる自分をアピールしていたのに、どうやらこれはすでに公開済みの情報みたいでしたねえ。

 ということで言っちゃうと、自分が見たものとは敵役としての兵士でした。敵は『ICO』でも影みたいなのがいたんだけど、当時自分が見たのは見た目がそのまんま人間っぽい兵士だったと記憶してます。今までの上田ゲームは、登場人物の関係性や背景を具体的に定義できるようなものはできるだけ登場させてこなかったような印象があります。そこに、明らかに敵っぽいあの兵士がどういう立ち位置でゲームに絡んできてトリコと少年との話をつくっていくのかちょっと興味ある。

 ここで、日本語デバックメニュー以上に驚いたことを思い出しました。その当時すでに何回かプレイテストをしていたらしいのです。パズル性の検証とか言ってたような気がするけど、当時の自分にとっては「え、上田さんってプレイテストする派なの? 自分は全然やったことないのに」という驚きだったんだけど、今思い返せば、PS3で発売する予定だったことがわかる事実の1つです。

 と、まあ、そんなこんなで2016年も終わりです。早い。あっという間。よく、アリと象、大人と子供では時間が流れる速度が違うと言うけど、まさに象もしくは子供になりたい気持ちです。いや、今更子供時代にもどってあの苦しい強制的な時代を過ごすのは嫌だからやっぱりやめた。人間はしばらくやめて、いっそのこと象になって象による象のためのゲームをつくるというのを2017年の抱負にしようかしら。

 さて、いったい何を言いたいのかというと、今、自分たちは、“Annapurna Interactive”という新しいパブリッシャーと一緒にゲームをつくっているということです。先日、こちらアメリカで公式に発表されました。彼らは日本語が読めないから、ここにまだ発表してないことも書けるといえば書けるんだけど、誰かタレコミするかもしれないし気まずいのでやめます。ただ、すでに公表されている情報と、過去にこのコラムにも登場していた人物を照らし合わせるとわかることでもあるのでちょっと触れておきます。

 “Annapurna Interactive”(以下AI)の本体は“Annapurna Pictures”(以下AP)というロサンゼルスはハリウッド辺りにある映画プロダクションです。自分は全く映画通ではないのですが、“Zero Dark Thirty”“Foxcatcher”“American Hustle”という名前はライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフルというラジオの中の映画評で聞いたことがあります。APはこれらの映画を制作したプロダクションです。なぜ映画プロダクションがゲームパブリッシャーになるのか? ざっくりいうとAPのCEOであるMegan Ellisonさんがゲームも好きだから、ということ。

 しかしポイントはここから。このコラムに何回か出てきたことがあるNathan GaryというナイスガイもAIに参加しているのです。Nathanが何をやっていた人なのかは過去のコラムを読み返したらわかると思うし、ここではまだ詳しく話せないので書きませんが、あることがあり、別のことがあり、ああなって、こうなって、今回の発表に至ったのです。今回の発表の中に自分のゲームタイトルが発表されてないのは、タイミングの問題。本来は来年のE3で発表+プレイアブル出展しようという魂胆だったんだけど、急遽アナウンス文章に入ることになり、だけどタイトルはまだ伏せていようね、ということでこういう形になりました。まあその辺は言わずもがな周知のものなんだけど、一応正式に公開するまでは伏せておきます。E3に間に合わないということもあるし。

 それにしても、まだたった40年ちょっとしか生きてないのにも関わらず、色々と想像もしてなかったことが起こるものです。ナムコに就職した時に、いずれディレクターとしてゲームをつくるようになり、アメリカに渡り、そして映画プロダクションとゲームをつくるようになるなんて、誰に想像できたでしょうか。ゲーム会社に就職するなら自分のゲームをつくらないと意味がないっしょ、とは初めから思っていたけど、その後の事は白紙だったもの。とはいえ人生も約半分過ぎたとこ。死ぬまでつくり続けたいなんて、周りに迷惑がかかるような事は全然無いのでせいぜい残り20年くらいでしょうか。その20年間のプランもほぼ白紙なので、何が起きるのか想像できないけど、将来的にAPと映画をつくる、なんてことには絶対ならないことだけは約束できると思います。それでは、良いお年を。


 高橋氏のコラムが読める電撃PlayStationは、毎月第2・第4木曜日に発売です。Kindleをはじめとする電子書籍ストアでも配信中ですので、興味を持った方はぜひお試しください!

(C) Keita Takahashi

データ

▼『電撃PlayStaton Vol.629』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2016年12月22日
■定価:722円+税
 
■『電撃PlayStation Vol.629』の購入はこちら
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