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2017年1月13日(金)

【NieR:Automata応援企画】前作『ニーア』の思い出を振り返ろう“砂漠”編

文:サガコ

 2017年2月23日にスクウェア・エニックスから発売されるアクションRPG『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』

 その応援企画として、前作にあたる『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』の思い出を主人公・ニーアが訪れた町や場所ごとに振り返る連載コラムの7回目は、王を掲げ、国を築き、独特の風習とともに生きる仮面の人たちが住まう砂漠の思い出を振り返ります。

『NieR』思い出コラム
『NieR』思い出コラム

※この記事は『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』のネタバレを含みます。プレイ予定の方はご注意ください。

仮面の街:不思議な仮面、不自由な掟、不可解な言語――仮面の人々が暮らす街

 黒文病の調査をしている“仮面の王”に謁見するため、カイネの導きでニーアたちが向かう場所――それが砂漠地帯です。

 乾いた風が吹きすさび、砂を巻き上げる荒涼としたこの地域にも、独自の文化を築き上げた人々がたくましく暮らしていました。街を覆う外壁は狼の襲撃や砂嵐から街を守るためのもの。と同時に、それらは排他的な部族の風習を象徴するかのようでもあります。

 砂漠の部族は通称“仮面の人”と呼ばれ、皆、仮面をかぶり、掟に忠実に従い続け、暮らしを営んでいました。言葉も通じず、よそ者に対してはとくに風当たりが強い……困ったニーアたちを手助けしてくれたのは、かつてカイネが狼の襲撃から命を救った仮面の少女・フィーアでした。

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▲彼女は言葉が話せず、身振り手振りで会話をすることに。ニーアは白の書のおかげで、彼女の意志を細かく汲み取ることができます。
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▲仮面の人々が守らなければならない掟は追加に追加を重ね、今のところ12万4000項目ほどあるそうです。多すぎな……。

 フィーアは幼いころ、とある理由から仮面の街へと奉公に出された“よそ者”でした。彼女は戸籍を持たず、そのために“言葉を喋ってはならない”という掟に縛られたままです。

 しかしフィーアは自らを縛る不自由な掟にも文句ひとつない様子。異邦人の立場にあって疎まれる彼女に、唯一優しく接してくれた“仮面の王”の息子たる王子が、大きな心の支えとなっていたのでした。

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 さて、肝心の黒文病研究をしている王は、すでに自らが黒文病で他界してしまった後でした。落胆するニーア達のもとへ、今度は仮面の王子が行方不明になったとの知らせが届きます。仮面の人々にとって聖地である“砂の神殿”から戻ってこないというのです。

 ご自分の部族の大事な王子が行方知れずなんだから、仮面の皆さんがとっとと助けに行きなさいよって話になるわけですが、なんでも砂の神殿は王族しか中に入ってはいけないという掟があるから「無理。行けません」って言い出す仮面の人たち……ええい、なんて面倒くさい人たちなんだ!! というわけで、掟に縛られる必要のないよそ者のニーアたちが王子を助けに行くことになります。

砂の神殿:王の仮面が眠る場所は、何者をも寄せ付けぬギミックの宝庫(要約・めんどくさい)

『NieR』思い出コラム
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 砂の神殿は街から離れた場所にあります。たどり着くためにはとんでもない砂嵐と、狼たちの襲撃をくぐり抜けていかねばなりません。なんとその道案内を買って出たのは、幼いフィーアでした。白の書も驚くほどの忠誠心を見せるフィーアの頑張りの裏側には、誰にも分け隔てなく接してくれる王子への強い想いがあったのです。

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 たどり着いた砂の神殿は、マモノに巣食われていました。ここでの思い出といえば、ロボット山以上に目まぐるしく変化するゲーム性と、数々のギミックの厄介さ……。音楽や雰囲気はたまらなくステキなのですが、できることならもう行きたくないと思った場所ナンバーワンだったかもしれません。

 横スクロールタイプのアクションになる場面では、ジャンプし損ねると砂に飲まれて即死の場所があって、私は「ヨナ……」って呟きながら流砂に沈んでいくニーアを何度見たことか……。落ちてはヨナ、落ちてはヨナ、ヨナ、ヨナ……。

 そんなこんなでヨナヨナしながら、どうにかこうにか不思議な仕掛けの部屋をいくつも越えていくと、大きな四面体群のシャハリヤールが現れて、小さな王子とともに対峙することに。

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▲代替わりするたびに、仮面の王の“仮面”を管理し、その力を試すべく存在しているらしい。

 魔法弾の攻撃を退けながらシャハリヤールを倒すと、王子はついに王の仮面を手にします。すべての無謀な行為は、人々を思い、自分の責務を果たさんと思ってのこと。

 これで晴れて彼は亡き父の跡を継ぎ、新たな仮面の王として認められることになったのです。仮面の王との深い信頼関係を得て、街の人々にも受け入れられるようになったニーアたちは街を去りますが、数年後、再び仮面の王からの連絡を受けとることになります。

 それはなんと、仮面の王とフィーアからの、結婚式の招待状でした。

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▲めでたき場にお呼ばれ。心なしかカイネの表情も明るい。
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▲結婚式前夜には、お嫁さんに“あこがれる”エミールに会えたり、ニーアと白の書が一緒にお風呂に入っていることがわかったり、彼らの仲間感が感じられてとても楽しいです。

 お祝いムード満点の仮面の街。しかし、悲劇は容赦なく襲いかかります。このタイミングで砂漠の狼たちが街を襲い、結婚式の場はめちゃくちゃに荒らされてしまいます。そして――こともあろうに、狼たちの狙いはこの場で一番幸せなはずだった王妃のフィーア。彼女は狼の一撃によって腹を食い破られ、命を落としてしまうのです。

 王と結婚し、身分を得た彼女が掟から解放されて喋ることを許され、遺した言葉は、たったひと言。

「……私なん……かをお嫁さん……に、してくれて、ありがとう……ございまし……た」

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 王の号泣も、喉が裂けそうなほどの叫びも、その命を繋ぎ止めることはかないませんでした。

 狼たちを退けても、血で濡れた仮面の街。王はすぐさま兵士たちに狼たちの追撃を命じ、自らも槍を手にして叫ぶのです。

「殺す! 殺すっ! 狼を殺すんだ! 皆殺しにしてやる!!」

 無論、ニーアたちも加勢を申し出ます。そして彼らは、狼たちがねぐらにしている巣へと攻め込んでいくのです。

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 年末年始の座談会でも喜一くんが語っていましたが、このあたりの怒涛の展開と、フィーアを失う切なさは、スピード感のスゴさも相まって本当に胸に染み入ります。いや、違うな……染み入るっていうか、荒れる? なんというか、吹き荒れるっていうような余韻のエピソードでした。

 1周目はとくに自分の中に、王と同じように「フィーアを殺しやがって!!」という狼たちに対する怒りだけが渦巻いているから、なおさらに気持ちは荒れました。とにかくツライ気持ちと衝動に任せて、狼のリーダー・ロックとの戦いへと向かっていった人も多かったのではないでしょうか。

狼の巣:誇りの槍を突き立てよ、誇りの牙を突き立てよ――愛する人を思う涙は砂に消える

 巣では、決起した狼たちが仮面の人々を待ち受けていました。砂漠での共存は不可能、もはや決闘は不可避――王妃を殺された怒りに震える仮面の王と兵士たち、そしてニーアの刃が狼たちを次々に貫きます。狼が次々と倒れ、紅い血が乾いた砂を染めていっても、仮面の王の怒りと悲しみはおさまりません。やがてひときわ大きく強かったリーダー狼も、王の槍に貫かれて絶命します。

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 しかし、おそらくはただひとり……半身をマモノに乗っ取られたカイネだけが、同じマモノと化した狼たちの声を聞いたことでしょう。彼らが仮面の人と戦わねばならなかった理由を知ったことでしょう。そして――リーダー狼がまだ狼という生き物ではなかったころの、遠い遠い昔のやさしい思い出に触れたことでしょう。

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 はい……。

 うん……。

 なんというか、思い出すだけで……涙が滲むなあ。

 そんなわけで、今回は“砂漠”での思い出にスポットを当てたコラムをお届けしました。なんかもう場所の思い出というよりも、私情まじえたキャラ振り返り企画みたいになってしまっているけど、どうか許していただきたい。完全に言い訳ですが、致し方ないんです! これこそが……こうなっちゃうのが『ニーア レプリカント』なんです……っ!

 次回はおそらくこの企画も最終回! 最初にして最後の場所“石の神殿”編をお届けしたいと思っておりますのでお楽しみに!

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▲――おぼえていたよ。

攻略設定資料集は4月28日発売。キャラ&ストーリー解説やヨコオタロウ氏による短編小説なども収録!

 本作の攻略情報と設定資料を収録した『NieR:Automata Strategy Guide ニーア オートマタ 攻略設定資料集 ≪第243次降下作戦指令書≫』を4月28日に発売します。価格は2,500円+税。仕様はB5判・304ページとなっています。

 やり込みに役立つ攻略データに加え、ネタバレ注意のキャラクター&ストーリー解説も収録!

 ディレクター・ヨコオタロウさんによる短篇小説、小説家・映島巡さんによる書き下ろし小説2篇も読める『NieR:Automata』ファン必携の1冊です。

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データ

▼『ニーア ザ・コンプリートガイド+設定資料集 GRIMOIRE NieR -PROJECT GESTALT & REPLICANT SYSTEM-』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2010年5月28日
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