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2017年1月28日(土)

【電撃PS】SIE・山本正美氏のコラム『ナナメ上の雲』を全文掲載。テーマは“こなまいきにDASHします!”

文:電撃PlayStation

 電撃PSで連載している山本正美氏のコラム『ナナメ上の雲』。ゲームプロデューサーならではの視点で綴られる日常を毎号掲載しています。

『ナナメ上の雲』

 この記事では、電撃PS Vol.629(2016年12月22日発売号)のコラムを全文掲載!

第98回:こなまいきにDASHします!

 今年の4月、SIEのこれまでのIPを有効活用し、スマートフォン市場でのコンテンツビジネスに挑戦しようという意図のもと、株式会社フォワードワークスが設立されました。そして12月7日、フォワードワークスの今後のラインナップ展開をお披露目する発表会、“ForwardWorks Beginning”が原宿ラフォーレで開催され、ゴルフゲームの金字塔、『みんなのGOLF』をスマートフォン向けに最適化した『みんゴル』はじめ、往年の名作JRPGである『アーク ザラッド』『ワイルドアームズ』を再起動するリブートプロジェクトなど数々の発表があり、大変盛り上がりました。

 そんな大舞台で、シレっと僕らのタイトルも発表になりました。その名も、『勇者のくせにこなまいきだDASH!』。PS Vitaでも好評サービス中のアクションパズルゲーム、『勇者のくせにこなまいきだG』をスマートフォン市場向けに完全リニューアルした、ちょっと笑えるヘンなゲームとなっています。『V!勇者のくせになまいきだR』のまさかのVR化に続き、今度はスマホ化です。最新作が途絶えて7年経つIPがここにきてまたあれこれ復活させてもらえたのも、ひとえにファンの皆さんのおかげです!

 さて、この『勇こなDASH!』。実は開発自体はかなり前から着手をしていました。僕たちのJAPANスタジオは、当然PlayStationフォーマット上でのビジネスを主としているわけですが、昨今のスマートフォンゲームの隆盛にもきちんと目を向けようということで、スタジオ独自で色々と研究していたのです。タイトルをリリースしてからが勝負のいわゆる運営型タイトルのノウハウは、もちろんスマートフォンに関わらず、たとえば先日基本無料版がリリースされた『トゥモローチルドレン』のように、コンソール機でも活用できますからね。すでに『勇こなG』でF2P(フリートゥプレイ)の経験は積んでいたので、そのベースを活かし、スマホゲームとして再生させてみようと考えたわけです。で、ちょうどα版ができあがってきたころにフォワードワークス設立の話が聞こえてきて、渡りに船とばかりに両社で検討、余裕ができた制作期間を余すところなく使いガツンと新仕様を追加し、これぞスマホゲーといえるアクションパズルゲームとして生まれ変わることとなりました。

 というわけで、来年夏予定のサービスインを目指して爆誕しつつある『勇こなDASH!』ですが、いつも通りタイトルを決め込むのに面白おかしく難航しまして(笑)、今回はその一幕をお伝えできればと思います。

 まず、オリジナルの『勇者のくせになまいきだ。』のキャラや世界観をうまく転用し、PlayStation Mobileという取り組み用に売り切りのアクションパズルゲームを作ったのですが、そのときに、規模感や遊び心地を考慮して『勇者のくせにこなまいきだ。』というタイトルを付けました。生意気に対して小生意気、ということですね。これが、ネーミングとしてはうまくハマったのですが、ハマり過ぎたぶん、そのあとが難しくなりました。『こなまいきだ』がパズルゲームとして好評価だったのを受けて、先ほども書きましたがPS VitaでF2Pとして料理し直そうということになり、そのとき付けたのが『勇者のくせにこなまいきだG』というタイトルでした。なぜ“G”かというと、ぶっちゃけると『モンスターハンター』がGと付けたし流れがきそう、だったからです。なんという理由! そして今回、スマホ用としてさあどうするか……となったわけです。

 本命はあったのです。最初、『ポケモンGO』が大ブレイクしていたので、よし! ということで『勇こなGoo!』と命名しようとしました。“G”も継承しているし、「勇こなグー!」って発音も気持ちいい。しかしこれが、法務部のチェックを通りませんでした(当たり前だ)。で次に考えたのが、『勇者のくせにこなまいきだ&Co.』なんか、おしゃれブランドのティファニーっぽくていいじゃん、一見GOっぽくもあるし、と思いましたがボツ。その次。『勇者のくせにこなまいきだNeo』。PlayStation 4 Proのコードネームが“Neo”で、一般的にも広まっていたのでこれはアリじゃないかと。でも、ボツ。その次。『勇者のくせにこなまいきだNX』。任天堂さんの新ハードが“Switch”という名前で発表されたので、NXはもう使ってもいいかなーということで考えたのですが、やはりボツ。で、最終的に、勇者を“奪取”するというゲーム内容や、IPのバリエーション、勢いを表現しているということで、“ダッシュ”という言葉を採用し、フォワードワークス側からの表記は英語にしてほしいという意図も酌み、『勇者のくせにこなまいきだDASH!』という名前と相成りました。

 鉄腕感も満載で、中身もかなり面白くなりそうなので、リリースをぜひお楽しみに!

ソニー・インタラクティブエンタテインメント JAPANスタジオ
エグゼクティブプロデューサー

山本正美
『ナナメ上の雲』

 ソニー・インタラクティブエンタテインメント JAPANスタジオ 部長兼シニア・プロデューサー。PS CAMP!で『勇なま。』『TOKYO JUNGLE』、外部制作部長として『ソウル・サクリファイス』『Bloodborne』などを手掛ける。現在、『V!勇者のくせになまいきだR』を絶賛制作中。公式生放送『Jスタとあそぼう!』にも出演中。

 Twitterアカウント:山本正美(@camp_masami)

 山本氏のコラムが読める電撃PlayStationは、毎月第2・第4木曜日に発売です。Kindleをはじめとする電子書籍ストアでも配信中ですので、興味を持った方はぜひお試しください!

データ

▼『電撃PlayStaton Vol.631』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2017年1月26日
■定価:694円+税
 
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