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2017年5月6日(土)

【ディバゲ:ストーリー追想録】第4章“聖戦1”~ヴラドとオベロンが戦った過去の聖戦

文:そみん

 ガンホー・オンライン・エンターテイメントのiOS/Android用アプリ『ディバインゲート』のストーリーを振り返る特別企画をお届けします。

 第四章“聖戦(2016年9月~)”で描かれるのは、天界と魔界の大きな戦い。ヴラドとオベロンを中心とした過去の聖戦、そしてヒカリとユカリを中心とした現在の聖戦に関する物語が展開します。

 この“聖戦1”では、現代の聖戦が始まるまでの経緯と、過去に行われたヴラドとオベロンの聖戦を解説していきます。

[1]魔界から天界への宣戦布告

 魔界の新たな王となった闇魔女王ユカリは、自分の親友であったヴァルプルギスの命を奪った者たちへの報復のため、黄昏の審判を引き起こした神と、それに加担した妖精への宣戦布告を行う。

 この宣戦布告は、新生世界評議会の会議で魔界代表のディアブロによって行われた。

『ディバインゲート』

●“黄昏の審判:闇の軌跡”より

 平穏に包まれた常界で開かれた新生世界評議会の会議の場に送り込まれた魔界代表はそっと一通の手紙を読み上げた。それは天界に対する宣戦布告。黄昏の審判を引き起こした神々と通じた罪人達への報復。全ては、大好きだった、あの子の世界の為に。

 この宣戦布告をきっかけに、天界と魔界は戦いの準備に向けて、軍備拡大を進めていくことになる。

[設定画紹介コーナー]彗青眼魔ディアブロ編

『ディバインゲート』
▲彗青眼魔ディアブロの設定画。

ジンソクとウィンディの出会い

 グリモア教団のサイキックスでありながら、個人配達員も営んでいた風通者ジンソク。彼が同胞の神でもある炎聖人ダンテに届け物をした日、古竜王ノアによって教団本部が崩壊してしまい、グリモア教団を抜けている。

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●“番外編:風通者の行方II”より

 度重なる仕事を終え、家路を辿っていたジンソクは、ふと立ち上る煙に気がついた。なんだ、焼き芋か。それか、焼き鯖だな。食べ物のことで頭はいっぱいだった。そして、この時ジンソクはまだ知らなかった。自分の身に訪れていた完全なる不幸を。

●“番外編:風通者の行方III”より

 ついにジンソクは気がついた。なんだ、あの煙は俺ん家の方じゃん。珍しいな、BBQなんて。そう、まだジンソクの頭の中は食べ物のことでいっぱいだった。そして、この時ジンソクはまだ知らなかった。自分の身に訪れていた完全なる不幸を。

 その時にジンソクは、天界のウェザードリーズである風術師ウィンディと出会い、彼のバラードに元気をもらいつつ、「へたくそだな」という感想を述べている。

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●“番外編:風通者の行方VII”より

 お前には、ここが部屋に見えるのか。ジンソクは振り返らずに問いかける。風が教えてくれたぜ、お前の思い出をな。二人の間を流れたのは心地よい風。一曲歌わせてくれないか、ベイベ。かき鳴らすギター、響き渡る歌声、廃墟はステージへと変わる。

●“番外編:風通者の行方VIII”より

 観客は一人。だが、それでも風のバラードを歌い上げたウィンディ。だから元気だせよ、ベイベ。そんな歌に笑顔を取り戻したジンソク。なんとかなりそうな気がしてきた。オレの歌はどうだい、ベイベ。そしてジンソクは笑顔で答えた。へたくそだな。

[2]聖戦の準備

 光妖精王ヒカリが治める天界では、精参謀長ヴィヴィアンが戦力強化をはかっていた。

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 ウェザードリーズ(晴術師サニィ雨術師レイニィ風術師ウィンディ眩術師シャイニィ雪術師スノウィ)と浴室の美女(炎の美女ヘレネ水の美女オノノコマチ風の美女ヨウキヒ光の美女カタリナ闇の美女クレオパトラ無の美女エリザベート)が招集されたが、無の美女エリザベートは天界から行方をくらませ、音信不通となっていた。

 このころ、無の美女エリザベートは幼なじみであるアーサーを奪還するために、王都ティンタジェルへと向かっていた。そのエピソードは、第三章“大いなる「希望=絶望」”で語られている。

●“雪術師スノウィ”のプロフィール

 魔界勢力に対抗するのにウェザードリーズだけでは力が及ばないことは明白だった。そして声がかかった六人の美女。だが、一つ生じた誤算。それは天界から行方を眩ませ、音信不通となっていた無の美女の存在。ほら、やっぱり彼らったら。雪術師スノウィは飽きれていた。いいよ、僕達の邪魔をするのなら、その時は。

 一方、闇魔女王ユカリが治める魔界では、魔参謀長ファティマが六色の女王(赤の女王アカズキン青の女王アリス緑の女王イバラ黄の女王シンデレラ紫の女王カグヤ白の女王シラユキ)と六魔将(炎魔将ヒメヅル水魔将ムラサメ風魔将ヤスツナ光魔将ライキリ闇魔将ムラマサ無魔将ナキリ)を招集。開戦の時は近づいていた。

『ディバインゲート』

ウェザードリーズとは?

 ウェザードリーズは妖精王ティターニアがヒカリのために組織した、精霊議会直属の天候術部隊。

 そのメンバーが所属していた精霊士官学校では入学とともに個人名は消され、卒業とともに新しい名前が与えられる。それは妖精としてではなく、1人の兵という役割で生きることを意味していた。

 美人(ティターニア)の頼みで教官をつとめていたシャイニィをはじめ、ウェザードリーズのメンバー全員は精霊士官学校の卒業生となっている。

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●“シャイニィ”のプロフィール

 新たな組織を準備しているの。士官学校で教官を務めていたシャイニィにそんな話が持ちかけられた。いつか時代が巡った時、あの子の力になって欲しい。手渡された精霊議会直属天候術部隊【ウェザードリーズ】のロングベスト。受け取って、もらえるかしら。美人の頼みじゃ仕方ねぇ。それはまだ、美精王の時代の話。

ヒカリを思い出すユカリ

 聖戦を前にした闇魔女王ユカリは、星屑魔スピカに入れてもらった紅茶を飲みながら星を見て、いつもきらきらな笑顔の少女(光妖精王ヒカリ)を思い出すのだった。

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●“星屑館パールリア”より

 人が空を見上げるのは、お星様に願い事をする為だそうですよ。それは幼き日の記憶に残る絵本の話。星が光り輝くのは、みんなを笑顔にする為だそうです。そう、その言葉は、いつもきらきらな笑顔の少女を思い出させるには十分過ぎたのだった。

【キャラクターチェック】湖妖精ヴィヴィアン(精参謀長ヴィヴィアン)編

『ディバインゲート』
▲湖妖精ヴィヴィアン。
『ディバインゲート』
▲精参謀長ヴィヴィアン。

●高野メモ

 不動の人気を誇るヴィヴィアンです。ファティマがキツメのキャラなので、対して甘めのキャラを作ろうと発注しました。聖戦編でも彼女たちは対の存在として活躍してくれました。

 ただ、すごく甘そうにみえて、実はしっかりもの、という設定でしたね。みんなのお母さんと呼ばれるくらいに(笑)。

 再醒はイチノセさんにラフを書いてもらい、北乃さんに仕上げてもらった感じです。

 僕はもちろん初めから、ヴィヴィアンの暗黒面というか、“嫌な女”の部分を知っていたので、「きっとみんな、見た目に騙されちゃうんだろうなぁ(笑)」と思いながら作っていましたね。

 2周年のイベントのムービーで初登場したのですが、あのときの歓声はいまでも忘れられません。

●デザイナーコメント(イチノセ セノイチさん)

 内面の設定などは存じ上げませんでしたが、ヴィヴィは、ぼくにとってはとても大切なキャラクターです。

 まだ始動したばかりの期間限定ユニットというタイミングで、どうしたら皆さまに愛していただける娘にできるか、とても苦心しました。

 ヴィヴィを愛してくださる皆さまには、感謝の気持ちしかございません。

●デザイナーコメント(北乃友利さん)

 迫る2周年イベントに向けての製作ということで非常に強いプレッシャーを感じたキャラの一人でした。

 同時期に再醒したファティマとの対立もイメージして、ベタや色調の濃いファティマに対して白基調でベタを抑えた描画が難しかったです。

 構図や衣装デザインはイチノセさんのラフをそのまま踏襲・尊重した形ではありましたが、唯一胸元だけ「ちょっとゆる過ぎちゃうかも」と高野さんにご指摘頂いて、キュッと布地を絞ったあの形になりました。

 元のデザインもとてもセクシーで自分は好きだったのでちょっと残念でしたが、寄せることで逆に強調された感もあります。

[3]過去の聖戦について

 聖戦は過去にも行われていた。その戦いの中心にいたのは、天界の王であるオベロンと魔界の王であるヴラド、そして竜であり神でもあるヒスイ。この3人は親友だった。

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●“ヒスイ”のプロフィール

 一人の魔物は、世界の為に竜になった。一人の妖精は、世界の為に神になった。そして一人の男は、竜であり、神だった。竜が神になったのか、神が竜になったのか、その答えを知るものはいない。ただ、そこに竜であり、神であるヒスイが存在していたことに変わりはなかった。あいつら、本当に昔から、変わんねぇな。

 「オレ達は、ヤツらの手の平で、偽りの平和に甘えていいのか。ヤツらが聖なる扉を手にしている限り、オレ達の世界は箱庭なんだ」。ある日、ヴラドはオベロンやヒスイに、神への反乱を口にする。

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●“#01 聖戦:回想(オベロン)”より

 精魔会合でのひと時。で、最近困ったことはないのか。それは魔王ヴラドの優しさ。ありがとう、大丈夫だよ。妖精王オベロンは優しい笑みで答える。んじゃ今日の会議はこれで終わり。調停役の竜神ヒスイはいつもと変わらないふたりを見守っていた。

●“#02 聖戦:回想(ヒスイ)”より

 ほら、たまにはもっと飲めって。ヒスイはふたりに酒を勧める。こういう会議も、たまにはいいだろ。すでに呂律の回らないヴラド、表情ひとつ変えることのないオベロン。それは平和だからこそ。俺たち三人で世界を良き方向へ導いていかなきゃな。

●“#03 聖戦:回想(ヴラド)”より

 だが、そんな平和が永遠に続くことはなかった。なぁ、オレにひとつ考えがある。魔王ヴラドが口にしたのは神への反乱。オレ達は、ヤツらの手の平で、偽りの平和に甘えていいのか。ヤツらが聖なる扉を手にしている限り、オレ達の世界は箱庭なんだ。

 だが、オベロンの身体は天界の神によって綴られたものだった。なお、のちにヴラドと戦う際に、オベロンへと創醒の聖者の血が与えられることになる。

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 神界からの使者はオベロンに警告を行い、幼いころのヴィヴィアンは、そんなやり取りを見ていた。

●“#04 聖戦:回想(オベロン)”より

 脳裏をよぎるヴラドの言葉。その言葉をかき消した訪問者。まさか、おかしなこと考えてないよね。君の綴られし体は、僕達次第だってこと、忘れないでね。そんな言葉を残したのは、神界からの使者。そして、そんなやり取りを見ていた少女がいた。

●“#05 聖戦:回想(ヒスイ)”より

 おい、なにかあったのか。ヒスイがオベロンを気にかけたのは精魔会合の後。いや、なんでもないよ。そう笑ってみせるオベロン。だが、ヒスイはその笑顔が嘘であると気づいていた。安心しろ、もしお前らが覚悟を決めるなら、その時の俺は共犯者だ。

●“#06 聖戦:回想(ヴラド)”より

 で、そろそろオマエの答えを聞かせてもらいたい。ヴラドはオベロンを信じ、そして神への反乱の準備を進めていた。だが、口を閉ざし、決して首を縦に振ることのないオベロン。このとき、ヴラドもヒスイも、オベロンの出生の秘密を知らなかった。

 オベロンが神の血を引くことを知らず、彼を信じて神への反乱の準備を進めるヴラド。

 もし、自分が神に反旗を翻したら、天界の妖精たちはどうなってしまうのか? オベロンは自分の命ではなく、民たちのことを心配して苦悩していた。

●“#07 聖戦:回想(オベロン)”より

 オベロンの苦悩は続く。いつまでも神の手のひらで踊り続けて、そこに未来は訪れるのだろうか。だが、もし、自分が神に反旗を翻したらどうなるのだろうか。そこに存在していたのは、自らの生への固執などではなく、残された者達への愛情だった。

 一方、神界への報告役でもあるヒスイは、ヴラドの反意を隠していたが、神々はその嘘に気付いていた。

●“#08 聖戦:回想(ヒスイ)”より

 今回も、彼らは平穏を保っているのだろうね。竜と神の血を引く上位なる存在であるヒスイは、神々に報告を求められていた。あぁ、もちろんあいつらは仲良くやってるよ。その報告に入り混じる嘘。そして、神々はそんな嘘に気づいていたのだった。

 そんなある日、天界が魔界の街を侵略するという事件が起きる。オベロンに裏切られた形となったヴラドは、戸惑いと怒りを見せる。こうして、かつての聖戦が始まろうとしていた。

●“#09 聖戦:回想(ヴラド)”より

 ある日、魔界のほど近い街が侵略された。そして、炎が燃え盛る街に立てられていたのは天界の旗。そんな、嘘だろ。ヴラドを襲うのは戸惑いと怒り。なにが起きたんだよ。魔王と妖精王の知らない場所で、かつての聖戦は始まろうとしていたのだった。

●“#10 聖戦:回想(オベロン)”より

 私達はあなたのことを信じています。魔界への侵攻指示を疑われるオベロンに優しい言葉をかけるティターニアと配下達。あなたはそんなことをするような人じゃない。だって、あなたは私達を、家族のように、大切にしてきてくれたじゃないですか。

 天界の魔界侵略は、神界による偽装だった。それを知ってなお、ヴラドはあえて手のひらで踊るという決断を行う。「あいつは優しすぎる。だから、オレが罪を背負ってやる」と。

●“#11 聖戦:回想(ヒスイ)”より

 ちゃんと説明しろって。怒りが収まらないヒスイ。どうもこうも、こういうことだ。答えようとしない神々。ふざけんなよ。天界の魔界侵略を偽装したのは、あんたらなんだろ。だが神々は、その言葉にこう返した。報告を偽装したのは、君も同じだろ。

●“#12 聖戦:回想(ヴラド)”より

 不夜城に集められた魔界の精鋭達。今日はオマエらに話がある。ヴラドが語る天界への侵攻。オレはあえて手のひらで踊ってやるさ。ヴラドは魔界への侵攻が天界の仕業ではないと気づいていた。あいつは優しすぎる。だから、オレが罪を背負ってやる。

●“#13 聖戦:回想(オベロン)”より

 こうして、かつての聖戦は始まった。止まることのない魔界の侵攻。散りゆく天界の者達。だが、天界を統べる王であるオベロンに、立ち止まることは許されなかった。いくら大切な家族が散ろうとも、王は涙を流すことは許されなかったのだった。

 こうして聖戦が幕を開ける。互いに理想を語り合っていたオベロンとヴラドが争うことに対して、何もできないヒスイは自分の無力さを知るのだった。

●“#14 聖戦:回想(ヒスイ)”より

 互いに理想を語り合っていたふたり。ヒスイは、そんなふたりを見守るのが好きだった。だが、そんなふたりが始めてしまった争い。俺がもっと、力を持っていたら。なぁ、俺にはなにが出来るんだよ。その時、ヒスイは自分の無力さを知るのだった。

●“#15 聖戦:回想(ヴラド)”より

 止まることは許さない。ヴラドが奪うのはオベロンの大切な家族達。その先により良い未来が訪れると信じ、自らの手を汚す覚悟を決めていた。決めていたはずだった。だが、ヴラドが奪っていたのはオベロンの家族だけではなく、自らの心だった。

 ヴラドの進撃は勢いを増し、オベロンがいる美宮殿までおよぶ。散ってゆく家族たちのためにオベロンは涙を流し、“戦う力”が欲しいと神々に懇願したその時、美宮殿に一筋の光が舞い降りた。

●“#16 聖戦:回想(オベロン)”より

 このままでは美宮殿は制圧されます。続く篭城戦。散りゆく大切な家族。もういい、もう戦わないでくれ。それでも世界の為に散りゆく家族達。もういいんだ。この時、オベロンは初めて王の涙を流し、そして神へと懇願する。「戦う力」が欲しい、と。

『ディバインゲート』

 このときの光の正体が創醒の聖者であり、オベロンが神の力を手にした瞬間である。そして、その力により、魔界の軍勢の半数以上を消滅させた。

 驚くヒスイが目にしたのは、闇へと堕ちた堕精王オベロンの姿だった。

●“#17 聖戦:回想(ヒスイ)”より

 美宮殿に舞い降りた一筋の光。直後、圧倒していたはずの魔界の軍勢の半数以上が消滅した。いったい、なにが起きたんだよ。ヒスイはその答えを知る為に、美宮殿へと急ぐ。だが、そこで目にしたのは、闇へと堕ちた堕精王オベロンの姿だった。

 一方、ヴラドの前には1匹の竜(紅煉帝ヴェルン)が姿を見せる。そしてヴラドは、“守る力”が欲しいと答え、堕魔王ヴラドとしての力を得たのだった。

『ディバインゲート』

●“#18 聖戦:回想(ヴラド)”より

 禁忌の力を得たオベロンの力を前に、ただ立ち尽くすことしか出来ないヴラドの元に現れた一匹の竜。そして、竜は問う。力が欲しいか、と。そして、ヴラドはオベロンの力の前に散った魔界の軍勢を見渡しながらこう答えた。「守る力」が欲しい、と。

 “戦う力”が欲しいと神に願った堕精王オベロンと、“守る力”が欲しいと竜に願った堕魔王ヴラド。禁忌の力を得た2人の最終決戦は無の空間の中で行われ、誰からも見られることはなかった。

 そんな2人の戦いを見たヒスイは、これがオベロンとヴラドの戦いではなく、神と竜の争いにすりかえられてしまったことに気付く。

 「あいつらはコマなんかじゃない」と怒るヒスイだったが、「余計なことに気づいちゃったみたいだね」という言葉とともに、ヒスイの意識は途絶えてしまうのだった。

『ディバインゲート』

●“#19 聖戦:回想(オベロン)”より

 始まった最終決戦。禁忌の力を得たオベロンとヴラドの戦いは無の空間に包まれていた。いったい、中で何が起きているのか。それは外から見ることは出来なかった。だが、確かにそこで、自らの愛する世界のすべてをかけた戦いが行われていた。

●“#20 聖戦:回想(ヒスイ)”より

 ヒスイは気づいていた。ふたりの争いはすでに、お互いの世界の為ではなく、神と竜の争いにすりかえられていたことに。あいつらはコマなんかじゃない。余計なことに気づいちゃったみたいだね。そして、ヒスイの記憶はそこで途絶えたのだった。

 三日三晩かけても終わらないオベロンとヴラドの戦いは、部外者(ベオウルフ)の一刺しによって終わった。神界からの部外者の介入によりヴラドは敗れ、天界のオベロンが勝者となった。

●“#21 聖戦:回想(ヴラド)”より

 ちゃんと戦えんじゃねぇか。喜びに満ちたヴラド。だが、その言葉は悲しみに包まれたオベロンに届くことはない。思う存分ケンカしようぜ。三日三晩終わらない戦い。だが、皮肉にもその戦いを終わらせたのは部外者の一刺しだった。そんな、まさか。

 だが、勝者となったオベロンを迎える歓声はなく、憎悪に包まれた糾弾が彼を襲う。魔界の軍勢を一気に消滅させたオベロンの力に、天界の者たちは恐怖を覚えたのだった。

●“#22 聖戦:回想(オベロン)”より

 戦いが終わったとき、立っていたのはオベロンだった。次の瞬間、沸き起こるはずの歓声はなく、代わりに響き渡ったのは憎悪に包まれたオベロンへの恐怖の糾弾。こうして、世界の為に戦った王は、信じた家族に裏切られ、世界から弾かれたのだった。

●“#23 聖戦:回想(ヒスイ)”より

 ヒスイが目を覚ましたとき、すでに聖戦は天界の勝利という形で終結していた。だがヒスイだけは知っていた。オベロンもヴラドも、自らの愛する世界の為に戦ったということを。そして、神界からの部外者の介入により、ヴラドが敗れたということを。

 ヴラドの遺体は、天界にある美宮殿の禁忌の間へと運び込まれた。それは聖戦の勝利の証であり、停戦の取引材料となった。だが実はヴラドの意識はまだその身に宿っており、現在の聖戦の際にヴラドは復活を果たすことになる。

●“#24 聖戦:回想(ヴラド)”より

 ヴラドの遺体には死化粧が施され、棺へと納められ、美宮殿の禁忌の間へと運び込まれた。それは勝利の証であり、停戦の取引材料となった。だが、いったい誰が気づいていただろうか。瞳を閉じたヴラドの意識が、まだその身に宿っていたことを。

 一方のオベロンは、天界の裏側にある洞窟へと幽閉された。そして年月が流れ、聖なる扉が再び開かれた際に、1人の人間の女性であるイグレインが迷い込む。そしてイグレインは、オベロンの子であるアーサーを宿すことになる。

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●“#25 聖戦:回想(オベロン)”より

 ひとり生き残ったオベロンに生気は残されていない。そして、されるがままにされた幽閉。こうして、いったい何年の月日が流れただろうか。再び聖なる扉が開かれたとき、ひとりの人間が天界の裏側、深い闇が閉じ込められた洞窟へと迷い込んでいた。

●“#26 聖戦:回想(ヒスイ)”より

 聖なる扉は閉じられ、天界と魔界の連絡手段は限られていた。ヒスイは調停役というその任から解放された。終わった戦いを掘り返すつもりはない。だが、出来ることなら、もう一度ふたりに、ふたりが目指せたはずの道を歩かせたいと願っていた。

●“#27 聖戦:回想(ヴラド)”より

 目を開けようが、閉じようが、ヴラドの目の前には暗闇が広がっていた。ヴラドは負けを認めていた。だが、ヴラドは気づいていたのだった。最後の一刺しが、オベロンのものではなかったこと。そして、オベロンが王の涙を流し続けていたことを。

●“#28 聖戦:回想(オベロン)”より

 朽ちていた牢獄の鍵。人間の女はオベロンの元へと通い続けた。会話を続けた。元の世界には大切な家族がいたことを。家族という存在の大切さを。そして、次第に開かれるオベロンの心。そんなふたりの間に、新しい家族の命が宿ったのだった。

●“#29 聖戦:回想(ヒスイ)”より

 幽閉されたオベロン。棺で眠るヴラド。自分だけが普通に生きていいのだろうか。ヒスイはあの日の自分を責めるかのように、竜王家を抜け、ひとりであの日の続きを探していた。そして再び聖なる扉が開かれたとき、かすかな希望を抱いたのだった。

●“#30 聖戦:回想(ヴラド)”より

 禁忌の間で、身動きひとつとれず、無限とも思われる時間を過ごしていたヴラド。だが、そんなヴラドの耳に入ってきた思わぬ言葉。生まれてしまった禁忌の子。なんだよ、元気にしてんじゃねぇか。それは共に禁忌を犯したもうひとりの王への祝福。

 ある日を境に。オベロンの前からイグレインは姿を消した。「牢獄の鍵が壊れたって、人間の女が情報を売ってくれたんだ」と彼女の裏切りを告げられ、オベロンは苦悩する。

 だが、それが真実ではないことをヒスイとヴラドは知っていた。オベロンとの密会が見つかったイグレインは幽閉され、アーサーは創醒の聖者の血を引く禁忌の子として取り上げられてしまったのだった。

●“#31 聖戦:回想(オベロン)”より

 ある日を境に、オベロンの元へ人間の女は現れなくなった。だが、数日後、オベロンの元を訪れた足音。それは女のものではなかった。牢獄の鍵が壊れたって、人間の女が情報を売ってくれたんだ。こうして、オベロンは再び家族に裏切られたのだった。

●“#32 聖戦:回想(ヒスイ)”より

 数多の苦難を乗り越え、ヒスイへ届いた手紙。記されていた真実。密会が見つかったこと。幽閉されたこと。すべては禁忌の子を取り出す為ということ。そして、いまでもオベロンを愛している、と。差出人には「イグレイン」と記されていたのだった。

●“#33 聖戦:回想(ヴラド)”より

 いや、返して。泣き叫ぶ声。それは、私達の子供なの。鳴り止むことのない悲鳴。あいつから、なにかを奪うんじゃねぇよ。あいつから、なにかを奪っていいのはオレだけなんだよ。こうして、かつての聖戦は、新たな聖戦へと繋がっていくのだった。

聖戦を見守る始祖リリン

 過去の聖戦、そして、これから始まる現在の聖戦を見守る存在がいた。彼女の名は始祖リリン

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●“ 聖戦:序章VII(リリン)”より

 こうして、堕精王率いる魔界軍と、堕魔王率いる天界軍の聖戦は幕を閉じた。ふたりの王と、ふたりの女王。変革なき平穏と、犠牲の先の革命。戦う力と、守る力。そして、生まれた新しい道。いま一度、かつての聖戦から続く長い昔話を始めようか。

●“始祖リリン”のプロフィール

 自分を生んだ母が存在するのなら、その母にもまた、自分を生んだ母が存在する。そして、その母にもまた、母は存在する。無限に遡った果てに辿りついた女。どちらが生き残るか、見せてもらおうか。さぁ、争うがいい、我が息子達よ。始祖リリンは、その手にした鳥かごに閉じ込められた聖戦の行方を見守っていた。

 ここで言う“我が息子たち”とは、オベロンとヴラドのこと。天界の妖精のみならず、魔界の魔物などの原初の母であり、世界の決定者でもあるリリンは、その手にした鳥かごに閉じ込められた聖戦の行方を見守っていた。

[設定画紹介コーナー]始祖リリン編

『ディバインゲート』
▲始祖リリンの設定画。

[4]ヴラドの復活とオベロンの解放

 天界の洞窟に幽閉されていたオベロンは、グリモア教団の六波羅である闇波獣サトスの手によって解放された。

●“フラワダクリウム”のプロフィール

 闇の魔物でありながらも、祝福の優しい哀しみに包まれて天界へと昇ったフラワダクリウム。辿り着いたのは優しさが溢れる天界ではなく、歪さが溢れた天界の裏側だった。ちょっと、そこの鍵を開けてもらえないかな。深い闇が閉じ込められた洞窟の奥、幽閉されていたのは、もう一人の創られた男の妖精王だった。

『ディバインゲート』

●“闇波獣サトス”のプロフィール

 やっと同じ力を得ることが出来たわ。グリモア教団の力を借り、そして六波羅と呼ばれるまでに力をつけた闇波獣サトスは自由を手にした。やっとあなたに会えるわ。幾人からの話を頼りに向かった先は天界<セレスティア>の深い闇の洞窟。出迎えたのは解放された闇の妖精王、その隣、写真の獣は首輪を繋がれていた。

 その後、オベロンはファティマの暗躍によって魔界にいた。オベロンは自分を裏切った世界へ復讐するため、天界ではなく魔界に助力することを決めることに。

 魔界の女王であるユカリは、オベロンがかつての聖戦の元凶であり、神界と天界が通じていた元凶だったことを理解しつつも、友であるヴァルプルギスの復讐をするため、あえてオベロンと手を組むことを決めたのだった。

●“かつての聖戦II(ファティマ)”より

 彼は、魔界の為に竜へ近づいたわけじゃない。現闇魔女王へ告げる魔界の歴史。だから私達は彼を追放した。でなければ、私達の世界は壊されていた。だからこそ、私達に今必要なのは、彼じゃなく、彼なのよ。そう、彼女の後ろには、堕精王がいた。

●“かつての聖戦V(オベロン)”より

 元凶はあなたなのね。闇魔女王はその事実を知りながらも、堕精王を受け入れた。俺のこと、いつでも殺していいよ。ええ、この戦いが終わったら、そのつもりよ。互いに利用し合う二人。女王は友の復讐の為、王は自分を裏切った世界への復讐の為。

 一方、天界のヴィヴィアンは聖戦の切り札として、美宮殿の禁忌の間に納められたヴラドを蘇生することを決める。蘇生を担当したのは、蘇生院<リヴァイア>の死医者ネクロス

『ディバインゲート』

●“死医者ネクロス”のプロフィール

 死医者ネクロスの元に届けられたのは綺麗な顔をした男だった。そして、添えられていた一通の手紙。彼は魔物かしら。だが少し様子が違っていた。もしかしたら、竜なのかしら。ただ、そんなことは彼女にとってどうでもよかった。そして、この時彼女が蘇らせた男が、聖戦に必要不可欠な最後の欠片となるのだった。

 魔界の王であるヴラドを復活させることは天界の多くの者から危険視されたが、オベロンへの対抗手段としての決断だった。

●“かつての聖戦III(ヴィヴィアン)”より

 彼は、ただ綴られた存在だった。戦う為だけに、産まれた。そんな彼が、神になろうとした。湖妖精は、光妖精王に真実を伝える。でも、彼は私達を裏切った。そんな彼を止めるには、彼しかいないの。美宮殿の王の間、そこには堕魔王が君臨していた。

●“かつての聖戦IV(ヴラド)”より

 可愛い女王サマだこと。天界の女王の隣りには堕魔王が。私はあなたのことを信じたわけじゃない。オレはヤツと戦えればそれでいい。なぜ彼女は彼を受け入れたのか、それは天界を滅ぼす力を持つとまで言われた彼が、悪人には見えなかったからだ。

 だが、ヴラドとヴィヴィアンの間には2人だけの密約があった。それは、後に明らかになるが、オベロンを救いたい、ということ。また、ヴラドは完全に復活したわけではなく、いつかは再び死ぬべき運命にあった。

 ヴラドに残された時間が少ないことを知るヴィヴィアンは、聖戦の開戦を急ぐため、魔界へと棺を送り届ける。その棺の中には、魔界の六色の女王である白の女王シラユキの遺体が入っていた。

不動のイッテツが動く?

 聖戦を前に、ヴィヴィアンが切り札の1人として考えていた男が炎杖刀イッテツである。彼はかつて天界の実力者で、鬼精将として恐れられていた。

 だが、彼は“行動をすれば、そこには必ず隙が生じる”という考えから“動かなければいい”という結論にいたり、引き篭もり生活を続けていた。

『ディバインゲート』

●“不動間アチャラナタ”より

 行動をすれば、そこには必ず隙が生じる。そして、男はとある結論に達した。それなら、動かなければよいのではないか、と。始まった引き篭もり生活、衰える体力。いや、ワシは力を温存しているだけだ。それは、ただの引き篭もりの言い訳だった。

 「起きてもらえるかな」「起きてます」「寝てるよね」「寝てません」「もう、立ちなさい」「立ってます」。横たわったままのイッテツと、その隣であきれ返るヴィヴィアン。

 ヴィヴィアンが蓮の花を咲かせて目覚めの香りを漂わせることで、ようやくイッテツは話を聞き始める。

 「あなたの後輩(ウェザードリーズ)たちも、持ち場に着きはじめたわ」という聖戦の始まりを示す言葉に対してイッテツは「じゃあ、みんなに任せよう」と返し、あきれたヴィヴィアンは部屋を後にした。

 そして、来客の去った部屋で、彼は1人立ち上がる。が、すぐに座った。「やっぱり、みんなに任せよう」と。こんな彼は、本当に聖戦に参戦するのだろうか?

幾元嬢コスモの合流

 聖戦を前に、幾元嬢コスモは妖精であるにもかかわらず、魔界の不夜城を訪れていた。

 ユカリとの再会を果たしたコスモは、自分にとって戦争はゲームでしかないと語り、「私は賭けたの、あなたが生きる未来に。そして、黒いウサギ(コスモ)だけが生き残り、白いウサギ(カルネアデス)が死ぬ未来に」と、魔界への助力を申し出るのだった。

『ディバインゲート』

●“幾元嬢コスモ”のプロフィール

 ご機嫌いかがかしら。再会を果たした幾元嬢コスモ。よく、ここまで辿り着けたわね、妖精のあなたが。そう、ここは不夜城。とっておきの、ゲームを始めるのでしょう。彼女にとって、戦争はゲームでしかない。私は賭けたの、あなたが生きる未来に。そして、黒いウサギだけが生き残り、白いウサギが死ぬ未来に。

ヴラドの存在を知るカルネアデス

 魔物でありながら天界にその身を置いたカルネアデスは、聖光才として受け入れられていた。だが、多くの者は彼女が魔物であることを敵と感じ、彼女がヴラドと通じていたと責めていた。

『ディバインゲート』

●“聖光才カルネアデス”のプロフィール

 魔物でありながら天界にその身を置いたカルネアデスは聖光才として受け入れられていた。だが、それはごく一部の間でだけ。彼女は、敵だ。歪な平和が崩れた天界に蔓延る無数の雑言。そして彼女を傍に置くと決めた光妖精王に突きつけられたひとつの報告書。彼女は、眠りから醒めた一人の男と繋がっていたのだった。

 そんな聖光才カルネアデスは、助手兎コガネとともに“幸せの白兎研究所”で、人々を幸せにするための研究を続けている。

『ディバインゲート』

●“助手レポートIII”より

 幸せが平等じゃないのなら、せめて自分の幸せを願うのは、いけないことですか。それは誰しもが思う願い。幸せの定義は人それぞれだぴょん。他人の幸せを、自分の幸せだと思えるか。自分の幸せを、他人の悲しみだと思えるか。答えはそこにあった。

●“助手レポートIV”より

 世界が幸せで包まれるのなら、それはとっても幸せなことだぴょん。それは、ある種の歪んだ感情。私は、所長の考えることがわかりません。だが、聖光才は笑顔で研究を進めていた。私は完全世界を否定した。いや、そこに完全なんてなかったんだよ。

●“助手レポートV”より

 聖光才の口から語られたのは、不完全な完全世界。だから私は、みんなを解放してあげるんだ。言葉ではなく行動で示す意思。それが幼き過ちとの決別なんだぴょん。無理に浮かべた笑顔の裏側の、悲しみの心。私はずっと、所長についていきますね。

[5]天界のヴィヴィアンからの宣戦布告

 ある日、魔界の魔参謀長ファティマのもとへ、白の女王シラユキの遺体が入った棺が届けられる。その棺は、天界の精参謀長ヴィヴィアンが送ったものだった。

『ディバインゲート』

●“魔参謀長ファティマ”のプロフィール

 魔界に送り届けられた棺。これは、警告と受け取るべきなのかしら。それとも、挑発と受け取るべきなのかしら。その意味を知るのは、その棺の差出人のみだった。それなら私は、好きに解釈させてもらうわ。そして、その行為を解釈したのは魔参謀長ファティマだけではなかった。僕の解釈だと、警発かな。挑告かな。

●“精参謀長ヴィヴィアン”のプロフィール

 随分と顔に似合わない悪趣味なことしてくれるじゃん。堕魔王は精参謀長ヴィヴィアンを問い詰めていた。のんびりしていたら、あっという間に時間は過ぎちゃうから。その言葉の裏には、彼女と彼だけが知る密約があった。忘れたら駄目だよ、あなたのそのかりそめの命には、限られた時間しか与えられていないことを。

 ファティマは、その棺を天界からの宣戦布告と受け取った。こうして、いよいよ現代の聖戦が幕を開けるのだった。

ヴィヴィアンの凶行を見ていたロメオとジュリエット

 ヴィヴィアン(血に濡れた妖精)がシラユキを倒す様子は、神叛獣ロメオに目撃されていた。

●“運命に背いた獣V”より

 ありがとう。その言葉で悲劇は終わりを迎えた。そして、彼が出会ったのは新しい始まり。血に濡れた妖精は語る。これが私に出来ること。あの子は彼を想う。彼は彼女を求める。だから彼女はここにいない。それなら、私が代わりを果たすまでだから。

 一方、魔界に届けられたシラユキの入った棺は、ロメオの相棒である神叛竜ジュリエットが目撃している。

●“運命に背いた竜V”より

 ごめんなさい。その言葉で悲劇は始まりを迎えた。そして、彼女が出会ったのは新しい終わり。不夜城に届けられた差出人不明の棺、覗き込むのは五色の女王。施された死化粧、無数の蓮の花に包まれ、永遠の眠りについていたのは、白の女王だった。

密者デオンがつなぐ、ファティマとヴラドの密約

 この時期、魔界の王の秘密機関に所属するデオンは、ファティマからの依頼を受け、天界にいるヴラドへと密書を届けている。

 だが、「文通なんざ、趣味じゃねぇっての」と、ヴラドは封書を開くことなく破り捨てており、その様子を見たデオンは「やっぱりあなたって人は、そういう人なんですね」と感激している。

『ディバインゲート』

●“デオン”のプロフィール

 差し出した一通の封書。坊ちゃんは誰の差し金だ。その問いに答えることもせず、男は姿を消した。文通なんざ、趣味じゃねぇっての。その封書を開くことなく破り捨てた男。そして、そんな姿を見届けたデオンは再び夕闇へと溶ける。やっぱりあなたって人は、そういう人なんですね。その言葉は喜びにも似ていた。

 ファティマから報酬を受け取った密者デオンは、その足で魔界の死刑執行学園の学園長リイナの屋敷におもむき、ヴラドの元気な様子を伝えている。

 この一連の場面は、表向きはファティマがヴラドに接触したかったように見えるが、その裏にはヴラドの旧友であるリイナの存在があり、彼がヴラドの様子を見たくて、その任務をデオンにまかせたという構図になっている。

『ディバインゲート』

●“密者デオン”のプロフィール

 無事に届けてくれたのね。魔参謀長から受け取った報酬。これは仕事だから。そんな言葉を残し、不夜城を後にした密者デオン。その足で向った屋敷。で、奴の様子はどうだった。伝えた一部始終。それでこそ、王の秘密機関だ。サングラス越しの瞳、葉巻を咥えた口元、そんな彼もまた、満足気な笑みを浮かべていた。

【キャラクターチェック】幻奏者ファティマ(魔参謀長ファティマ)編

『ディバインゲート』
▲幻奏者ファティマ。
『ディバインゲート』
▲魔参謀長ファティマ。

●高野メモ

 初の期間限定ユニットとして登場したファティマです。当時、魔物のシフト系リーダースキルを持っていたキャラがいなかったうえに、初のシフト3持ち、さらには初の1パネルスキル持ちだったので、すごいインパクトがあったかと思います。僕も欲しくて、すっごいスクラッチを引いたのを覚えています(笑)。

 聖戦編でのファティマは、ヴィヴィアンの対の存在として、自分の思うある種の女性像を描きました。ファティマは見た目こそ悪そうですが、純情一途です。

 再醒ファティマも、イチノセさんにラフ、北乃さんに仕上げをしていただきました。

●デザイナーコメント(イチノセ セノイチさん)

 初のフェス限とのことで、とにかく豪華でかわいく、インパクトのあるデザインを目指しました。

 ……ホント、メロンなんですよね。描きながら、まったく気が付きませんでした。ベリーメロン。

 そして、初めて“出るまで引く”感覚を教えてくれた恐ろしい娘メロン。

●デザイナーコメント(北乃友利さん)

 こちらも2周年を機に再醒した組の一人でしたね。後にスクラッチでピックアップされた時には自分もお迎えしようとがんばった覚えがあります。

 こちらもラフはイチノセさんの物が元となっています。再醒前より大人っぽい表情をしていたので、聖戦を迎えるにあたって心境の変化なのか、成長したのか、彼女なりの理由があったのかもと想像するとおもしろいかもですね。その分、追想では幼さ全開になりました。

 ストーリーを追っていると、ヴラドとファティマの魔界コンビには心動かされることが多く、傷付こうと周りにどう思われようと志を貫くその姿はカッコよいです。

 個人的にも悪役だとか闇っぽい見た目とかが好きなので、内心応援してたのはここだけの話。

[6]聖戦の開戦

 こうして、ヒカリやユカリをはじめ、多くの人々の思惑が交錯する現在の聖戦が幕を開けた。

『ディバインゲート』

●“聖戦:序章I(ヒカリ)”より

 これは、ふたりの王様と、ふたりの女王様のお話。違う世界に生まれ落ちたせいで、同じ未来を歩むことが出来なかった話。だけど、どうか最後まで目を逸らさずに見届けて欲しい。だって、これは再び同じ未来を歩むようになったお話なんだから。

『ディバインゲート』

●“聖戦:序章II(ユカリ)”より

 志したのは、「変革なき平穏」と「犠牲の先の革命」。それのどちらが間違っていたのかはわからない。だけど、ひとつだけわかったことがあるの。それは、そのどちらも正しくはなかった、ということ。だから私達は、新しい道へと歩き出せたのよ。

 それは、“ふたりの王様(オベロンとヴラド)と、ふたりの女王様(ヒカリとユカリ)のお話”。過去の聖戦で2人の王が志したのは、“変革なき平穏”と“犠牲の先の革命”。そのどちらも正しくなかったと考えたヒカリとユカリは、戦いの果てに新しい道へと歩き出そうと考えていた。

●“#1 聖戦:開幕・魔(ファティマ)”より

 さぁ、ここからが本番よ。盛大に争いましょう。ファティマが振りかざした杖、天界へと攻め込む魔界の軍勢。そうよ、私達の王が進むべき、王の道を切り開くのよ。そんなファティマの心は、いまも在りし日の王の姿に縛られていたのだった。

●“#2 聖戦:開幕・魔(ユカリ)”より

 切り開かれる道を、ただ真っ直ぐ歩き続けるユカリ。彼女が見つめる美宮殿。すべてはあの日から始まっていたのね。いまも続く因果の犠牲。だから、私は繰り返す。そして、すべての因果を断ち切るの。すべては、亡き友の為に、歩き続けるのだった。

●“#3 聖戦:開幕・魔(オベロン)”より

 魔界の軍勢を率いる王、オベロンの周囲には無数の魔物が配置されていた。それは警護なのか。それとも、監視なのか。それはオベロンにとって、どちらでも良かった。ただ、オベロンは自分が愛していた世界への復讐を果たしたいだけなのだから。

●“#1 聖戦:開幕・天(ヴィヴィアン)”より

 みんな覚悟は出来てるよね。天界の王の間に集いし軍勢。それじゃ行ってくるね。王の間を後にするヴィヴィアン。待って。思わず呼び止めたヒカリ。そんなに、悲しい瞳をしないで。ヴィヴィアンの心もまた、在りし日の王に縛られていたのだった。

●“#2 聖戦:開幕・天(ヒカリ)”より

 天界の軍勢を見送ったヒカリとヴラドは、王の間にふたり取り残されていた。まったく、嫌われたもんだな。天界の王であるヴラドの自嘲。誰も王の警護をしないのか。それは、私も同じだよ。ヒカリの体を流れる血が、ヒカリを孤独にさせたのだった。

●“#3 聖戦:開幕・天(ヴラド)”より

 まさか、姉妹がいたなんてな。あの日、確かにひとりの子供が生まれた。そして存在しないはずの姉と妹が存在していた。ま、事情は理解した。天界は、今も昔も歪な平和で保たれていたんだ。だが、嬢ちゃん、どうかその血を否定しないでやってくれ。

 天界に響き渡る警戒音、発せられた避難勧告。だが、その勧告が届き渡ることなく、辺境の街は終わりを告げた。魔界の六色の女王による天界へ進軍が始まり、浴室の美女がそれを迎え撃つ。いよいよ両軍の交戦が始まった。

 なお、ユカリは天界を負かしたあとに、さらに神界に挑むことを考えていた。蒼水魔将アリスなどが妖精たちを殺さなかったのは、神界と戦う際に天界を戦力に加えたいと考えていたからだった。

●“美水精将オノノコマチ”のプロフィール

 蒼水魔将の前へと立ち塞がった美水精将オノノコマチは問う。なぜ、誰も殺さない。天界の辺境の街は氷で閉ざされた。だが、そこに住まう妖精は誰一人、命を落としてはいなかった。それは紅炎魔将が焼き払った街も同様に。そして、その問いへの返答。善悪を生死に重ねる、キミたちがそんな浅はかな考えだからだよ。

【第四章“聖戦2”は5月10日(水)夕方ごろに公開予定です】

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