2017年3月24日(金)
『劇場版 SAO』はラブストーリー? 映画の見どころなどが語られた伊藤智彦監督へのインタビュー到着
公開中の劇場アニメ『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』の観客動員数140万人、興行収入20億円突破を記念した、伊藤智彦監督へのインタビューが公開されました。
『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』は、AR空間を舞台に主人公キリトとアスナの活躍を描く完全オリジナルストーリー。伊藤智彦監督は、TVシリーズに続いて本作を監督しています。
インタビューでは、なぜ『ソードアート・オンライン』は多くの人を魅了するのか、映画『君の名は。』ヒットにわく日本のアニメ業界の今後について、細田守監督から学んだ教えなど、ここだけの話を見ることができます。
伊藤智彦監督インタビュー内容(原文のママ掲載)
『ソードアート・オンライン』の世界はいずれ実現する?
――今映画は、TVアニメ『ソードアート・オンラインII』の後の世界を描いたものですが、映画から入っても楽しめますか?
“主人公としてキリトとアスナがいること”、“舞台がゲームの世界であること”、“キリトがゲーム内でものすごく強いってこと”の3つが分かっていれば大丈夫です。
――アニメや小説の世界観を知らなくても楽しめますか?
もちろん知っていればより楽しめますが。作品を知らなくてもおもしろかった、という声もよく聞くんですよ。そこからハマって、じゃあDVDや過去シリーズも見てみようって流れになればいいなって。
――これまで『ソードアート・オンライン』は、VR(仮想現実)のお話でした。映画ではそちらではなくAR(拡張現実)を扱っていますね。
はい。最初に原作者の川原礫さんが「今回はARをやりましょう」と宣言をしたことで決まりました。聞いた時は「VRより技術的に後退しているのでは?」とスタッフもざわつきましたが。
――確かに一般的にVRの方が手間のかかる印象を受けます。
物語でのVRは、ユーザーの意識をゲーム内に飛ばす夢の技術です。それに対して現実をベースにしたARは「地味なんじゃないか」、「実際に体を動かすんでしょ? 話として無理があるのでは」と、みんな気にしていました。
でも、『ポケモンGO』の事例を見ると意外といけるのかも、と途中で心変わりしましたね。川原礫さんは時代を見通す目を持っているな、と(笑)。
▲ARの世界に入るキリトとアスナ。 |
――PS VRの出現やスマートフォン技術が進歩する中、いずれ『ソードアート・オンライン』の世界は現実化すると思いますか?
なくはない、と思います。いろいろと法整備などが必要になるでしょうけど。むしろなったらいいな、という側面も作品にはこめられているので。
――ARを映像表現するにあたって大変だった点はありますか?
ARは表現としていくらでも地味にはできるんですよ。単純に物体の上にウィンドウ表示をつければ、それでARということになってしまうので。地味にならないためにはどうするか、その点には苦労しました。
そこで、街の背景を塗り替えるなどインパクトのある表現も使うように心がけましたね。
10億円突破が目的じゃない。伊藤監督の達成目標は……
――今作は映画初監督ながら、すでに興行成績13億円(取材日時点)を突破する好成績です。今の率直なお気持ちはどうでしょうか?
うれしいというよりホッとしている気持ちが大きいですかね。諸手を挙げてヤッター! というのも違うんですよ。10億円を突破することが自分の達成ポイントではないので。まず、しっかりと作品を完成させるのが第一。
次にばく然と、みんなに見てもらえるといいな、といった気持ちでした。
――では、監督としてヤッター! ポイントはどこなのでしょうか?
作ったスタッフが満足してくれたことでしょうかね。作り終わってから「おもしろくないっすよ。お酒が進まない」って感じだったら俺も落ち込みますよね。スタッフみんなから、よかったですって言われるのが自分の目標でした。
――今作を制作する上で意識した作品はありますか?
『君の名は。』の名前を出させようとしてません?(一同爆笑)制作中に公開されたので見ましたけどね。どちらかというと『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『アベンジャーズ』などのマーベルものですかね、意識したのは。
そうした作品は、大量に出るキャラクターをいかにさばくかも大事じゃないですか? 今回の映画では、多くのキャラが動き回るので参考になりましたね。
『君の名は。』を見て感じたこと“こういうのがいいんだ”
――『君の名は。』の話が出たのでお聞きしたいのですが、ご覧になっていかがでした?
今の若い人たちはこういうのがいいんだな、と思いました。時代の傾向として、理詰めよりは感情優先のものをみんな見たがっているんだろうと感じました。
――今作にその影響はありましたか?
いえ。特にかじを切りかえることはしなかったですけど。無理に理詰めにこだわるより、感情を解放して楽しむことが、今の時代は大切なのだと知りましたね。
――しかし『君の名は。』は一部の評論家に理論的でないと口撃されてはいましたね。
もちろん何割かの理屈は必要です。でも、その理をあえて抑えて感情を優先させるポイントがあるんじゃないかなって。できるなら俺は理のパーセンテージを高く持ちたいですが。
――なるほど。
今後は『君の名は。』のヒットを受けて、そのプロットにのっとった劇場オリジナル作品がどんどん生まれてくると思います。ただ、個人的にはあまりそうしたことに左右されずに細々と仕事を続けていきたいですね。
劇中で好きな意外キャラ「キリトくんよりよっぽど好きです」
――監督から見た今作の注目点はどこでしょうか?
アクションシーンです。MX4Dなどに限らず、劇場用に最適化された画と音にこだわりました。家庭環境では味わえない体験ができると思います。具体的にはラストバトルに注目してほしいですね。
もう目を閉じることは許されない。まばたきするとカットに追い抜かれるというか。そこは目をかっぽじって見てほしいです。
▲目を閉じることは許されない、劇中のアクションシーン。 |
――作品内で監督が好きなキャラクターは誰ですか?
TVシリーズではシノンという女性キャラが好きでしたが、劇場版ではオリジナルキャラのエイジですね。主人公と対立する役ですが、こいつが情けないやつなんですよ(笑)。
▲監督のお気に入りキャラ・エイジ。 |
――情けないのに好きなんですか?
例えば、彼が最初の戦闘の時「ついてこい!」って走り出すんですけど、誰もついてこない。かわいそうなやつなんです。最初、俺は気にならなかったんですけど、あとでスタッフに「いつもここで笑っちゃう」って言われて。
なるほど、結構イタい子なのかなって。俺はそういうキャラが好きで、主人公のキリトくんより親身になれますよね。奥さんにも「主人公の言っていることはよく分からなかったけど、エイジのほうが共感できる」って言われました。
――キリトよりそっちに感情移入する観客が多かったらおもしろいですね。
若い人たちは強いキリトくん、アスナさんに共感すると思うんです。なんでもできる万能感を持った世代ですから。でも、大人は違います。
――違いますか。
世代で感情移入するキャラって変わると思うんです。子どものころ、ファーストの『ガンダム』を見てアムロ目線でのめり込んで、大人になって見返すとブライト艦長の中間管理職的な立場に共感するような。
――大人目線で見るとエイジに対して「分かるぞ!」って気持ちになるということでしょうか(笑)。
はい。みんながみんないい思いをできるわけじゃないぞって。つらいところを多く背負っているキャラですね。彼目線で見ると切ない話になっちゃうかもしれませんが。
“ポスト宮崎駿”細田守監督から学んだこと
――細田守監督のアニメ映画『時をかける少女』や『サマーウォーズ』では助監督を務めた伊藤さんですが、細田さんから学んだことは何ですか?
映画に立ち向かう姿勢ですね。テレビのエピソードを抜け出したものを映画と言って作るんじゃないよ、って。それ1本で劇場に来た人を満足させるものを作らねばならない、そしてエンターテインメントでなければならない、と。
――その思想は伊藤さんに受け継がれて……。
受け継がれてというか、マネをしたというか(笑)。当時、適当なことを言ってよく怒られました。「お前はもうちょっと考えて作りなさい!」なんて。
ガリガリが“超強い”の矛盾……“ゲーム内の世界だから許される”
――マルチなメディア展開を見せる『ソードアート・オンライン』ですが、なぜこれほど多くの人を引きつけるのでしょう?
実は俺もよく分からないんです。なんとなくですが特筆した魅力というより、ドラマ性やアクション性、舞台設定などの複合的な評価によって多くの人に受け入れられた気がします。
――これだ! って分かりやすいポイントがあるわけじゃないんですね。
あえて言うなら日本のアニメって、ひ弱な体型の男性が活躍する場合が多いじゃないですか。そこに批判的な意見も多いですよね。『ソードアート・オンライン』の場合だとゲーム内の世界だから“パラメーターが高いから強い”って理由付けがなされています。
この、ある種のリアリティも人気の理由かもしれませんね。これはゲーム世界の物語だからさ、っていうエクスキューズがある。
――では、この作品をどんな人に見てもらいたいですか?
アニメや原作のファンはぜひ見てください(笑)。キリト、アスナのラブストーリーも見どころなので『ソードアート・オンライン』を知らないカップルで見にいくのも楽しめると思います。
▲ラブストーリーとしての一面も。 |
――ところで今後、どんなアニメがヒットするんでしょうか?
それが分かっていたらむしろ黙ってる(笑)。そんなの絶対にバラしませんよ!
8大特典付き電撃屋限定版が数量限定で販売中!
電撃屋だけの8大特典が付属するPS4/PS Vita用ソフト『アクセル・ワールド VS ソードアート・オンライン 千年の黄昏(ミレニアム・トワイライト)』の電撃限定版が、通常版と同日の2017年3月16日に発売! 特設ページは下記バナーから。
この限定版ではゲームソフトに加えて、abec先生&HIMA先生描き下ろし限定収納BOX、サウンドトラックCD、スペシャルコンテンツBlu-rayディスク、CD&BD収納用スペシャルケース、特別小冊子『電撃Nerve Gear VS』、ミニクリアポスター、描き下ろしSDキャラアクリルキーホルダー、ゲーム内で使用できる“情熱の装備 水着《ソレイユ》”の衣装がダウンロードできるプロダクトコードが付属。
これら特典アイテムは、本限定版を購入することでしか入手できないものばかり。abec先生&HIMA先生ファンや、松岡禎丞さんをはじめとした出演声優のファンにとっては見逃せないアイテムとなっています。
▲ 画像をクリックすると特設ページに飛びます ▲
電撃限定版だけの声優陣座談会映像をチラ見せ!
もちろん、通常版に付属する初回封入特典“プレイアブルキャラクター“サチALOver.”が使用できるダウンロードコンテンツ”と“プレイアブルキャラクター“ユナ”が使用できるダウンロードコンテンツ”、“ゲーム内で使用できる『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』の衣装”も付属します。
この限定版は電撃屋のみの販売となっていて、通常の量販店やネットショップでは購入できません。特設ページから注文できますので、気になった人はぜひアクセス!
電撃限定版セット内容
・ゲームソフト本体(PS4版またはPS Vita版)
・abec先生&HIMA先生描き下ろし限定収納BOX
・サウンドトラックCD
・スペシャルコンテンツBlu-rayディスク
・CD&BD収納用スペシャルケース
・特別小冊子『電撃NerveGear VS』
・ミニクリアポスター
・描き下ろしSDキャラアクリルキーホルダー
・ゲーム内で使用できる“情熱の装備 水着≪ソレイユ≫”の衣装がダウンロードできるプロダクトコード
・初回封入特典 プレイアブルキャラクター“ユナ”が使用できるダウンロードコンテンツ
・初回封入特典 プレイアブルキャラクター“サチALOver.”が使用できるダウンロードコンテンツ
・初回封入特典 ゲーム内で使用できる『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』の衣装
(C)2016 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO MOVIE Project