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2017-05-03 21:00

居酒屋で飲みながら!? 鳥海浩輔さん、津田健次郎さんが『薄桜鬼』の制作秘話に迫る【前編】

文:ガルスタオンライン

『津田健次郎の文化ゼミナール番外編~教授のポラロイド日記~』の連載6回目は、電撃Girl’sStyle5月号に掲載されている“特別企画・居酒屋薄桜鬼 ~藤澤プロデューサーに御用改め!~”で盛り上がりすぎて、掲載しきれなかった制作裏話を大公開。

『居酒屋で飲みながら!? 鳥海浩輔さん、津田健次郎さんが『薄桜鬼』の制作秘話に迫る【前編】』

 ガルスタオンラインでは前編・後編にわけて、このスペシャル対談をお届けします。前編では、いまだに『薄桜鬼』が現役として走り続けることができる理由を深掘り! 物語の設定から、幕末の話など歴史好きの3人のお話にもご注目ください。

特別企画・居酒屋薄桜鬼 ~藤澤プロデューサーに御用改め!

 2017年で『薄桜鬼』シリーズが誕生してから9年目。『薄桜鬼 真改』のPS4への移植も決定し、新たな展開を見せる本作。そんな、『薄桜鬼』シリーズの生みの親である藤澤経清プロデューサーに、鳥海浩輔さん(斎藤一役)と津田健次郎さん(風間千景役)が制作秘話に、なんと居酒屋でお酒を飲みながら斬り込みます!!

『薄桜鬼』シリーズ1作目は9年前に誕生

鳥海浩輔さん(以下、鳥海):“特別企画・居酒屋薄桜鬼 ~藤澤プロデューサーにご用改め!~”というわけで、僕たち3人が居酒屋に集まったわけですが(笑)。

津田健次郎さん(以下、津田):藤澤さんにいろいろお聞きできればと思います!

藤澤経清さん(以下、藤澤):よろしくお願いします。

『居酒屋で飲みながら!? 鳥海浩輔さん、津田健次郎さんが『薄桜鬼』の制作秘話に迫る【前編】』
▲3人の対談は、飲み屋でまったりスタート。

『薄桜鬼』が誕生してから今年で9年目になりましたが、当時の制作秘話を教えてください

藤澤:僕が全部1人で作ってしまうと、どうしても堅苦しい時代劇になってしまうんですよ。そこで女性ディレクターに1回チェックをしてもらって、乙女ゲーム要素を盛り込んでもらうという工程を入れました。とくに原田ルートはチェックが入っています。「原田は羅刹にならない分、恋愛的なステップを踏まないと」といろいろ言われました(笑)。

津田:そのディレクターさんは、まだいるんですか?

藤澤:いますよ。『ワンド オブ フォーチュン』シリーズなどを作っています。そんなやり取りをしたのも、もう9年も前なんですよね(笑)。

鳥海:あっという間でしたね~。

津田:1作目のときにはできなかったことなど、改めて入れてみようと思ったことはあったりするんですか?

藤澤:1作目は僕が作ったベースが残っているので、どうしても甘さが足りなかったんですよね。

キャスト陣でのなかで“男の背中を見せる”乙女ゲームだと話題に

鳥海:1作目のときに、キャスト陣のなかでよく“これは男の背中を見せる乙女ゲームだ”という話が出ていました。

『居酒屋で飲みながら!? 鳥海浩輔さん、津田健次郎さんが『薄桜鬼』の制作秘話に迫る【前編】』

津田:出てたねー。

藤澤:なので、甘さを補完する意味で『薄桜鬼 随想録』ができました。ファンディスクという意味合いもあったのですが、本編の裏には、こんな甘いシーンや仲よくなったシーンがあったという形になっています。

鳥海:9年の間に、本筋の作品はじつは3本しか出ていないことにビックリしますよね。

津田:『薄桜鬼』『薄桜鬼 随想録』『薄桜鬼 黎明録』の3本か。

藤澤:そうなんです。スピンオフはあるんですけど、本編にかかわる作品はそれだけです。本編の続編がないシリーズです。

鳥海:時代背景を考えると、やはり難しいですもんね。孫の話になっちゃうと、わりと近代の話になりますし。

『居酒屋で飲みながら!? 鳥海浩輔さん、津田健次郎さんが『薄桜鬼』の制作秘話に迫る【前編】』

津田:あのあとになると、明治とか大正だから今度は大正浪漫になっちゃう(笑)。『薄桜鬼』のかっこよさって、幕末の動乱期だからこそ描けた作品なのかなって思うところがあります。

鳥海:滅びの美学じゃないですけど、基本的になくなっていく組織の話なのでそうかもしれないですね。

思わず3人とも熱弁!? 刀の戦いについて

藤澤:幕末を舞台にした作品を作るに当たって、改めて当時のことを再勉強したのですが、日本史の長い期間の中で刀が活躍したのは幕末だけだったんですよ。

鳥海:戦国時代じゃないんですか?

藤澤:刀よりも槍や弓のほうが使われていたみたいです。

『居酒屋で飲みながら!? 鳥海浩輔さん、津田健次郎さんが『薄桜鬼』の制作秘話に迫る【前編】』

津田:基本的に集団戦ですしね。

藤澤:みんな防具や甲冑を着けているから、刀だと隙間を狙うしかない。でも動いている相手のスキを突いて隙間を攻撃するなんて難しいですよね。野戦か城攻めしかないので、市街地での個人対個人の戦いとか、狭い場所や屋内での戦いはほぼなかったんです。

鳥海:源平合戦の頃になると一騎打ちがあったりしますよね。

津田:「やあやあ、我は」みたいに名乗りをあげてから戦うやつだ。その間みんな待っててくれる戦い方ですね。

藤澤:そうそう。

鳥海:それって言われないと気づかないですね。

じつは幕末が一番刀で戦っていた?

藤澤:日本の時代劇を見ると刀で戦っているイメージがありますけど、じつは幕末が一番刀で戦っていたんですよね。

鳥海:もしかしたら自決するときぐらいしか使ってないかもしれないんですね。

藤澤:あとは赤穂浪士も使って戦っていました。屋内戦なので、あのときは槍と刀の両方を使っていたと思います。屋内戦になると槍はすごく扱いづらいので、外で戦う人が槍、なかに入った人が刀で戦います。

『居酒屋で飲みながら!? 鳥海浩輔さん、津田健次郎さんが『薄桜鬼』の制作秘話に迫る【前編】』

津田:槍だと天井に引っかかっちゃいますしね。

鳥海:うーん、マズイ! この話題でずっと話せちゃいますね(笑)。

津田:しゃべれる(笑)。次に行きましょう!

『薄桜鬼』が現役として走り続けることができる理由とは?

津田:オトメイトパーティーでも最古参だけどプレミアム枠(※オトメイト関連作品が集まったイベント「オトメイトパーティー」では、過去作品がプレミアム枠として復活出演することがあります)じゃないんですよね。

鳥海:そう。さっきも少し話しましたが『薄桜鬼』の魅力って、妥協をしないで男の背中とか男のかっこよさ、切なさを見せるというところに特化して作られているところなのかなって思います。余計なものを入れずに作ったからこそ、その部分が、より真っ直ぐ筋を残して形として残っているんじゃないかな。

『薄桜鬼』はキャラクターと物語どちらが優先でできたのでしょうか?

藤澤:物語優先です。どうしても土方、沖田、斎藤は外せないので、それ以外の人で羅刹になって生き残る話、本来は死んだはずの人のアフターエピソードをどう作るかというところがテーマでした。途中から抜ける隊士となると藤堂は外せなかった。5人目をどうするかとなったときに、候補に挙がったのが原田と永倉です。1作目を作っているときには、永倉のように戦いで死んでいない人が羅刹にはならないだろうと思ったんです。『薄桜鬼 真改』を作るときに、その考えは変わりましたけどね。

津田:なるほど。

『居酒屋で飲みながら!? 鳥海浩輔さん、津田健次郎さんが『薄桜鬼』の制作秘話に迫る【前編】』

藤澤:一方の原田は史実だと死んでしまうのですが、そこまで話を持っていこうとしたときに、原田も飲まないだろうと思ったんです。飲まない選択をする人がいたらどうなるんだろう……と、いろいろと考えた結果、原田をチョイスしました。

津田:可能性としては、いろいろなパターンがあったんですね。個人的な感想なのですが、乙女ゲームってキャラクター優先な物が多い気がするんです。キャラクターをまず作って、そこから作っていく形。物語がしっかりしているものの上にキャラクターが乗るというほうが、本来の物語の作り方なんじゃないかなって思うんですよね。

藤澤:『薄桜鬼』は物語優先だったので、そのあたりがうまくいったのかもしれません。多分当時はそんなに深く考えないで作っていたと思うんですけどね。今改めてみると、うまくできてるなって、自分でも感心します(笑)。

オトメイトパーティーには2回目から出演!

鳥海:一種の不変ですよね。ここまで長くひとつの作品に携わることってなかなかないので、僕たちもそうですが、ユーザーのみなさんもすごく思い入れが強いと思うんですよ。

津田:1作目から追いかけ続けてくださっている方はとくにそうですよね。

『居酒屋で飲みながら!? 鳥海浩輔さん、津田健次郎さんが『薄桜鬼』の制作秘話に迫る【前編】』

鳥海:高校生だった人が成人して、結婚して出産されることもあると思います。乙女ゲームとして絶えずリリースがあって、展開をしていくことってスゴイですよね。

津田:変わらない強さがありますね。

藤澤:9年続いているので親子二代でファンという方もいらっしゃったりして、本当にありがたいことです。

鳥海:『薄桜鬼』はオトメイトパーティー2回目から出演していますが、まだ出てますよ! ぜひまた来てください(笑)。

津田:普通はどうしても展開が終わっちゃいますからね。いまだに現役なのは強い!

『津田健次郎の文化ゼミナール番外編 ~教授のポラロイド日記~』過去の記事はこちら

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