2017年5月15日(月)
今年で5回目を迎える日本最大級のインディーゲームのイベント“A 5th Of Bitsummit”が、5月20日、21日の2日間にわたって京都の“みやこめっせ”で開催される。
▲5月11日(木)発売の電撃PS Vol.638では “ビットサミット”&“TOKYO INDIE FEST 2017”を特集。こちらも要チェック! |
ここでは本イベントの特別企画として、電撃PlayStation編集部が注目する出展者の方々に、今回の出展タイトルや開発秘話などをインタビューしていく。今回は『メゾン・ド・魔王』で知られるプチデポットに、お話をうかがった。
⇒プチデポットの最新作『GNOSIA(グノーシア)』の公式サイトはこちら
リーダーのめづかれ氏を中心にしたゲーム制作サークル。『メゾン・ド・魔王』で数々の賞を受賞し、現在最新作『グノーシア(仮)』(販売:メビウス)を鋭意製作中。
▲『メゾン・ド・魔王』ではプレイヤーが魔王となり、モンスターが住むアパートを経営! 家賃を取り立てつつ、冒険者を撃退して世界征服を目指そう。Switch版はHD振動対応。 |
プチデポットのメンバー
リーダー:めづかれ(川勝徹) |
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開発:しごと |
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画像:ことり |
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サウンド:Q flavor |
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──まずは、新作『グノーシア(仮)』を作ろうと考えたきっかけから教えてください。
▲GNOSIA(グノーシア)(仮)/対応ハード:PS Vita |
しごと:模範的工作員同志さんという実況者がいるのですが、この人が配信で遊んでいた、とある“人狼系のゲーム”を見たのがきっかけです。
ことり:それから初めて“人狼ゲーム”というものを遊んでみてそのおもしろさに目覚めたので、しごとに「これを、もっと遊びやすく改良してほしい」と頼んだのが始まりかな?
しごと:当時、PlayStation Mobileというサービスがあったので、そこなら出しやすいのではないかと考えて作り始めました。その結果、2カ月くらいでベースはできたのですが……。
めづかれ:PlayStation Mobieが終了するという告知があったんですよ。発売してもすぐにストアから消えてしまうのであれば、もっと作り込んでからPS Vitaで出そうという話になりました。それから、作りたいものや入れたい物がどんどん増えていって、気付くと2年が経ってました(笑)。
──2年間、具体的にはどのようなことをされていたのでしょうか?
しごと:ストーリーを入れるのに試行錯誤していました。1回15分程度のプレイを基礎に置きつつも、そこにストーリーを入れるには、どの形がベストなのかと悩んでいたんです。最初はループ物としてのストーリーを入れようと考えていたのですが、物語をメインにしてしまうと、そちらを気にしてゲームを楽しめないのではないかと。
めづかれ:最初に考えていたストーリーのアイデアが、ほかの同人ゲームで使われていたこともあって、そのときは集まって会議をしました。その結果、ストーリーをあまり強く押しださず、キャラクターを魅せる方向で進めることにしました。
しごと:その方針転換が2017年初めくらいですね。
──かなり最近まで悩まれていたのですね。ゲームは、具体的にどんな内容なのでしょうか?
ことり:基本は人狼ゲームそのものなので、例えるなら“人狼ゲーム”のやりとりを、バトル要素として考えてみたようなゲームになっています。閉鎖空間のなかで限られた人数からグノーシアと呼ばれる存在を暴くため、賛同者をどれだけ増やしてアタックするかという流れです。コンピュータとの駆け引きがキモになります。
しごと:誰かを“疑う”のが攻撃だとしたら、誰かを“かばう”のが防御あるいは回復、という考え方でゲームデザインをしています。
めづかれ:こういうゲームを作るときに心配な点が、相手はコンピュータということだったんですよ。コンピュータが魅力的に演じてくれるかが課題だったのですが、なんとかうまくできました。
Q flavor:自分は、シナリオがまったく入っていない状態で遊んだのですが、バトルだけでもキャラクターの性格が自然とつかめましたね。
──1回のバトルはどれくらいで終わりますか?
しごと:短いと、初日にいきなり襲われて死ぬので1分で終わります(笑)。フルメンバーが自分も含めて15人いて、フルに遊んで15分くらいかな。じっくりと情報を見ながら考えると長引きますが、サクサク遊べて何周もバトルできる仕組みです。
めづかれ:自分たちが作っているのに、いまだにコンピュータにだまされることがよくあるんですよ。遊ぶたびに展開が変わってきますし、プレイヤーの遊び方によっても、毎回展開が変わると思います。
しごと:作り始めて1年目くらいに、ケムコさんが『レイジングループ』というすごくおもしろいゲームを出していたんですよ。あちらは“人狼ゲーム”をストーリー発生器にして、1つの物語を作っていました。このゲームもある意味で、それに近い部分があると思います。ただし、こちらはシナリオを見せるゲームではなく、プレイヤーが自分のなかでシナリオを作るスタイルです。
めづかれ:バトルが1周すると、議事録のようなログを参照できます。誰がしゃべって、このとき動いていないキャラがどういう思考だったのかという部分まで見られようになっているんです。
──キャラの思考も、それぞれ違うのですね。
しごと:性格のパラメータがあり、その性格やいろいろな人に対する好感度に沿って動いています。
めづかれ:たとえば、あるキャラクターは、どんなに不利でも自分にウソをつけないんですよ。たとえ、自分が不利になっても本当のことを言ってしまう。ユーザーがそうした性格まで読めてくると、おもしろさの深みにハマっていくと思います。
──発売日は、いつごろになりそうですか?
めづかれ:できれば、秋口までには出したいと考えていますが、もっと早いかもしれません。
──今、実際にチュートリアルを遊ばせていただきましたが、かなりおもしろかったです。ルールを理解するという感覚もなくて、物語を楽しんでいるうちに自然と入ってきました。
めづかれ:チュートリアルの時点でも、遊び方によって、展開がいろいろ変わってきますよ。相手がコンピュータなので、どう動くかわからないから、人によって展開が全然違ってくるんです。
──スキルもあって、かなり遊べそうな予感がしました。コンピュータもウソをついたり、協力してこちらをだましてきたりするので、そこを理解できるようになるだけでも全然違いますね。
しごと:ゲームに慣れたプレイヤーでも、意外なことが起きるのでだまされるかもしれません。
──プレイヤーのパラメータを上げる要素もあったのですが、これは何に影響していますか?
しごと:パラメータが上がると、自分の意見を聞いてもらいやすくなったり、必殺技のような“スキル”を使えるようになったりします。たとえば、カリスマのパラメータが低いと、意見を言ってもなかなか賛同してもらえないです。
ことり:キャラクターの好感度もありますが、これはイベントや実際のバトルに関係してきます。
しごと:チュートリアルはシナリオがガッツリと入っているのですが、基本はフリーシナリオです。ただ、シナリオ的なバトルが起きる場合もあります。最初から誰かが「自分はグノーシアだ」と名乗ってきて……みたいな状況も発生します。チュートリアルのあとは、自分で設定を選んでゲームを遊び、その設定に合う形でときどきシナリオが入ってくる感じですね。何らかのシナリオがポンと入ってきて、そこでストーリーが進行したり、だまし合い自体に刺激が起きます。
Q flavor:『メゾン・ド・魔王』とは全然違うテイストですが、遊んでもらえるとうれしいです。
めづかれ:何かのジャンルに偏るのではなく、キャラクターを魅力的に感じてもらえるのにちょうどよい……というところで収まるような作品になっています。ボクらにとっても新たな挑戦です。
しごと:最初のテストプレイヤーが、うちのことりなので、彼女の好みに合わせた部分もありますね。意見が常に的確です。
めづかれ:『メゾン・ド・魔王』もそうでした。ボクやしごとに合わせるとシビアな難易度になってしまうので、そこは気をつけています。
──現状、完成度はどれくらいですか?
しごと:まだまだ組み込む要素はいっぱいありますが、今は70%くらいの段階です。ゴールは見えていて、これから入れる部分は、楽しんで入れられる部分なので、早く組み込めると思います。
めづかれ:BitSummitでは、チュートリアルをプレイアブル出展します。どんな雰囲気のゲームかわかるので、ぜひ遊んでみてください。
・日程:2017年5月20日(土)、21日(日)
・時間:10:00~17:00
・会場:京都市勧業館“みやこめっせ”1階第2展示場
・入場料:一般 2,000円 / 中高大学生 1,000円 / 小学生以下 無料(2日間有効)
・主催:BitSummit実行委員会
※一般社団法人日本インディペンデント・ゲーム協会(JIGA)(Q-Games Ltd. / PYGMY STUDIO CO., LTD. / VITEI BACKROOM Inc. / O-TWO inc. / 17-Bit / Digital Development Management, Inc. / Indie MEGABOOTH)、
株式会社ワン・トゥー・テン・ホールディングス、株式会社 Skeleton Crew Studio、株式会社インピタス、京都コンピュータ学院、京都府
・制作:株式会社オリコム
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