2017年5月13日(土)
『三国志』ゲームの今後とは? 『三国志大戦』と『真・三國無双』のプロデューサーが互いの印象や展望を語る
5月13日~21日に横浜中華街にて開催されるiOS/Android用パズルRPG『さんぽけ ~三国志大戦ぽけっと~』と、コーエーテクモゲームスのタクティカルアクションゲーム『真・三國無双7 with 猛将伝』とのコラボを記念した、プロデューサー対談を取材した。
コラボレーションキャンペーンは、『三国志大戦』の舞台でもある中国の風情が気軽に体感できる人気の横浜中華街で、『三国志大戦』シリーズにちなんだイベントを行うというもの。“謎解きウォークラリー”や、横浜中華街の協力店舗で限定コラボグッズの配布が行われる。
対談には『三国志大戦』シリーズの西山泰弘総合プロデューサーと、『真・三國無双』シリーズの鈴木亮浩プロデューサーが参加。互いのタイトルや『三国志』ゲームについてなどを聞いた。
▲左が鈴木プロデューサーで右が西山プロデューサー。 |
なお、インタビュー中は敬称略。
――コラボをすることになった経緯を改めてご説明いただけますか?
西山:互いに『三国志』を題材にした取り組みをしているなかで、これまでに不思議とコラボをする機会がありませんでした。恐る恐る「コラボしませんか?」と振ってみたところ気軽に「いいよ!」と返事をいただけました。
弊社は悪ふざけをすることも多いのですが、ユーザーが喜んでいただける取り組みになるだろうと共感いただきました。『真・三國無双8』のタイミングでもあったのですが、『真・三國無双7』もしっかりおもしろいタイトル。呂布と呂布をやっつけるという取り組みもゲーム会社が組んだからできたことで、前向きに進められたと思っています。
――お互いのタイトルへの印象は?
鈴木:弊社は『三國志』というシミュレーションタイトルがあり、『真・三國無双』シリーズがあります。昔は『三国志』のゲームといえば光栄というイメージだったと思います。アミューズメントセンターに『三国志大戦』が出て、高い人気、認知度を持っているという印象です。うちの社員にもやっている人間がいるので、コラボを行えてうれしいです。
▲アーケードで稼働中の『三国志大戦』。 |
西山:昔は『三国志』のゲームといえば、光栄さんしかない。ファンは光栄さんか横山光輝さんで育つんですね。シミュレーション版『三國志』では、ありとあらゆる仕組みを用意されています。そんな流れの中で『無双』シリーズが出ました。とにかく気持ちいいし、たくさんタイトルが出ました。
我々のタイトルはアミューズメント施設で運用しているため、1回のプレイは7分くらいで終わる。しっかり時間をかけて味わえる楽しみが詰まったタイトルをやられるのが得意なので、それをどういう風にアミューズメント施設で生かせるのかをずっと参考にしています。
また、コーエーさんのキャラは王道で、うちのキャラは少しくだけた感じなので、差別化できていると感じています。
――今回は『さんぽけ』側でのコラボですが、『無双』側でコラボはないのでしょうか?
鈴木:現時点でお出しできることはありません。今後、検討していきたい。
西山:神戸くらいから一緒に登場して、おもしろおかしくやっていければよかったのですが、コーエーさんはしっかりした会社なので、多少戸惑われたと思います。そのため、ファンから反響をいただいたり、媒体の方に啓蒙していただけたりすると、いろいろと融通していただけるかと思います(笑)。
『真・三國無双8』は動いているということで、お客さんが喜んでいただけるならば、積極的に企画をやりたいですね。我々はアーケード版を含めて、ご縁を作れたらと思っています。
本当に1回で終わらせるのはもったいないくらいの、しかけはできています。時間があれば、もう少し煮詰めたよりおもしろいネタをできるかなと思います。
▲先日発表されたPS4『真・三國無双8』。 |
――以前はコーエーの『三国志』がゲームのスタンダードを作られていましたが、現在はアプリを含めていろいろなタイトルが出て、広がっていますが、そちらについてはどう感じていますか?
鈴木:『三国志』の世界観、ネタが一般的に浸透してきたという印象を抱いています。『三国志』は日本で人気があると言われていましたが、1990年代はタイトルが少なく、マイナーでした。いろいろな層に広がったのはいいことだと思っています。
一方で、ゲームは世界観をアレンジしたものなので、そこから入るともとのコアな『三国志』ファンとの確執はあると思うんですが、そこをふくめて『三国志』が広がっていけばいい。それができるのがゲームのコラボだと思っています。
西山:前提として『三国志』が好きなんです。コーエーさんもうちも好きなメンバーが作っていて、さらに好きなメンバーが入ってきます。ユーザーを喜ばせるために、ふざけたこともやりますが、根底は好きだからやります。コーエーさんも外せないことはあると思います。
『三国志』のアクションをやりたければ『無双』をやりますし、アーケードに来ている人なら『三国志大戦』をやります。もしアーケードユーザーがコンシューマに興味を持ったら『無双』シリーズをやるのは、ビジネス的に問題ないと感じています。『三国志』というIPは誰のものでもないので、裾野は広がってほしいです。
歴史は、大人になるに際して大事なことを学べるいい教科書。例えば、呂布のように簡単に人を裏切ってはダメだなとか、女の子に罠を仕掛けられることはあるんだなとか、成長するために歴史を学ぶのは大事だと。うちのチームでブームなのは孫子です。大勝ちはしないのですが、負けない戦いをするので、ビジネス的に大事だと思います。
――『三国志』ゲームのこれから未来について、どのような展望をお持ちですか?
鈴木:難しいですね。
西山:いろいろなことをやってきました。例えば武将になりきるものもあれば、武将を見続けるものもある。でもプレイヤーの立ち位置が変わるということは、コーエーさんが大概のことはやっているんですよね。これからはスケールが広がるというのかあるかもしれません。
鈴木:ああ、なるほど。
西山:『無双』シリーズを初めてやった時、すごい気持ちよかった。もし表示する兵士が10倍になったら感覚が変わるかもしれません。我々も軍勢をより緻密にしたら、もっと対峙した感覚が出てリアリティが出るかなと。でもお金がかかるんですよね(笑)。
――最近は、中国、韓国の市場が元気。今後、海外の企業と協業していく予定はありますか?
鈴木:『三国志』はIPとしてアジアで強いので、いろいろとお声がけいただいています。すでにタイトルを発表していて、中国、台湾企業との協業が多いですね。
パーフェクトワールドさんが対戦ゲーム『真・三國無双 激闘版』を作っていて、そう遠くない時期にリリースされます。台湾のXPEC Entertainmentが開発する『真・三國無双 斬』はネクソンさんが運営をやられます。こちらは、日本と中国以外のワールドワイドでサービスインし、日本と中国で検討しています。他にもまだ発表していない取り組みがあるので、お楽しみに。
西山:中国や韓国のタイトルは想像できない開発費が動くこともある。すごいものができる可能性はあるのですが、海外でできたタイトルが広がってしまうと、日本にとっては痛いと思っています。我々が作ったIPを広めて印象をつけていきつつ、タイトルを磨いていけばいいマーケットだと感じています。そのため、協業はやったほうがいいと思っています。
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