2017年6月29日(木)

【電撃PS】CERO Zの『祝姫 -祀-』はシナリオを大幅変更!? 竜騎士07氏インタビューを公開(前編)

文:電撃PlayStation

 CEROの審査基準に適合させる調整を行ったため、発売日が9月7日となったPS4/PS Vita用ソフト『祝姫 -祀-』

『祝姫 -祀-』

 CERO Z区分で発売されることが確定し、あとは発売当日を待つだけとなったことを記念し、現在発売中の電撃PSにて掲載されている、本作の原作を手掛ける竜騎士07氏へのインタビューを半分ほど公開。竜騎士07氏自らが行った調整内容など、秘蔵の裏話が満載です!

『祝姫 -祀-』

――『祝姫』とは、どのような作品なのでしょうか?

竜騎士07氏(以下、竜):日本古来の恐怖、呪いや祟りなどをテーマにしたホラーゲームです。企画段階で“日本古来の恐怖をテーマにした世界観と、日本人形のように黒髪が美しいヒロインが出てくる作品”というキーワードをいただいたことが、制作の発端となりました。

 このとき驚いたのが、企画段階からイラストレーターさんが決まっていたことです。普通はある程度お話の内容が決まってから声をお掛けするのですが、「絶対に黒髪を美しく書ける人が必要!」と力説され、納得しました(笑)。

 ヒロインの名前が黒神十重なのは、その名のとおり黒髪が美しいところからきています。最初は呪いの話だから“呪姫”というタイトルをつけていたのですが、僕のなかで縁起の悪い名前をつけた作品は作業中に必ず事故が起きるというジンクスがあったので、途中で“祝姫”に変更してもらいました(笑)。

 “呪い”をモジッて“祝い”になったわけですが、実際に呪いと祝いは紙一重な部分もあり、結果的に日本神話のイメージで出せたのでよかったと思っています。

――『祝姫』では、どのような恐怖が展開されるのでしょうか?

竜:和風ホラーの恐怖を作り上げるため、名作ホラーゲームである『零』や『学校であった怖い話』などの演出や世界観を、とても参考にさせていただきました。

 とくに『学校であった怖い話』はホラーなのですが、すごく理不尽な要素が多く、とくに理由もなく、“ただそこに居ただけ”で人が祟りの犠牲になっていきます。あれを見て、祟りの本質はこれだよなぁって思いました。

 誰だって墓石を蹴り倒したら祟られるのはわかります、でも本当の祟りの怖さって、本人の意思に関係なく、祟る側の標的にされることにあると思うんです。だから、僕はその理不尽な恐怖を感じてもらえるような世界観を『祝姫』に落とし込んでみました。

 理不尽な恐怖に怯えつつ、最終的にはその理不尽な恐怖の正体を理解して物事を解決する……、そんな感じの展開に仕上がればステキかなと。まぁ、一番最初の段階では、ヒロインたちがどんな死に方をするのか楽しみになるほどの大バッドエンドを作ろうと思っていたのですが、紆余曲折あって却下となりました(笑)。

――コンシューマ化にあたってCEROの審査基準に適合させる調整を行うため、発売日が延期されましたが(7月20日予定→9月7日発売)、具体的にはどのような修正が行われたのでしょうか?

竜:元は2016年にPC版を発売した本作ですが、今回はCS版となりますので、作品の趣旨が誤解されない範囲で、全体的にシナリオを書き直しました。ですので、原作をプレイした方からすると、まったくの新規シナリオになっていると感じる部分もあるでしょうね。

 大きいところだと鼎(かなえ)編のシナリオかな。書き直したといっても、単に過激な表現をぼかしたりしたのではなく、シナリオの根本から新しく練り直しているので、物語の凄惨さは変わっていません。原作のCGイラストを没にしたりもしていないので、そこは安心していただければ! 

 鼎編に関しては、書き直した結果、自分が本当に言いたかったことを書けたので、個人的にはこっちの方が気に入っています。変更前は、鼎が「何に恐怖を覚えるべきなのか」という主観が、少しズレていた部分もありました。変更によって改めて“生活力のない子供にとって親の庇護がどれだけ大事なものか”というところに着眼点を戻せたので、とても満足しています。

――こういったシナリオの書き直しは、これまでにも何度もご経験されているのですか?

竜:あります! 初めて大幅な修正を経験したのは『ひぐらしのなく頃に』でしたね。そのときは、当時移植を担当していただいたメーカーさんに出向いたのですが、電話帳の束みたいな修正原稿が山のように出てきて、ビックリしました(笑)。

 当時の僕は、同じシナリオライターとして憧れている奈須きのこ先生の“自身の作品に対する責任感”を非常に尊敬していまして、どんな小さな修正でも人任せにしないと誓っていました。でも、ごめんなさい、電話帳には勝てませんでした……! 

 結果的にすべてはこなせず、メーカーさんにも一部修正をお任せする形になってしまいました。あのとき初めて、心が折れるということを経験しましたね(笑)。

――そのような修正と比較しても、今回の変更は大きなものになったとのことですが……?

竜:そうですね。今までは……(後編に続く)。

 前編はココまで! 今すぐ続きを読みたい方はぜひ電撃PS Vol.641でご覧ください。なお、インタビュー後編は7月中の公開を予定しています。

データ

▼『電撃PlayStaton Vol.641』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2017年6月22日
■定価:694円+税
 
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