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2017年7月11日(火)

【電撃PS】『祝姫 -祀-』の追加シナリオや恐怖の源泉を竜騎士07氏が語る! 竜騎士07氏インタビュー後編

文:電撃PlayStation

 9月7日の発売までおよそ2カ月を切ったPS4/PS Vita用ソフト『祝姫 -祀-』

『祝姫 -祀-』

 今回は電撃PS Vol.641に掲載された竜騎士07氏のインタビュー後編をお届け。本作の話のみならず、氏のクリエイティブの源泉など、創作にまつわるアレコレも聞いた、ファン必見の内容です。

⇒前編はこちら

『祝姫 -祀-』

――過去に竜騎士07氏が手掛けた、『ひぐらしのなく頃に』などをはじめとしたタイトルのコンシューマ版の発売に伴う修正と比較しても、『祝姫 -祀-』の変更は大きなものになったとのことですが……?

竜騎士07氏(以下、竜):そうですね。今までは1ワードや1行など、細かいところを修正する程度がほとんどでした。でも、今回はシナリオの概念そのものを変えることになったので、僕がこれまで手掛けた作品のなかでも、最も大きな変更になっていると思います。

――1度決まった話を書き直すのは大変な作業だと思いますが、どれくらい時間がかかりましたか?

竜:それが、わりと早くできちゃったんですよね。最初は日本一ソフトウェアさんに、どのくらい時間がかかるか見当もつかないから考える時間をくださいとお願いしたのですが、なんと一晩でできちゃいました。

 『祝姫』は僕の中で世界観が完全になじんだ作品だったので、ほぼ悩まなかったのが大きかったと思います。ただ、変更にともなって声優さんの追加収録があったり、新たにゲーム演出を作成する時間なども必要になったため、結果的には発売日が延びることになってしまいました。楽しみにしていたユーザーのみなさん、本当にすみません!

――本作での追加シナリオ“結姫編”では、どのような物語が展開されるのですか?

竜:物語の重要人物である、雛形先生の過去が語られます。雛形先生の物語はミッシングリンクとして残すため、PC版ではあえて語らないまま終えていたのですが、今回、あらためて追加することになりました。

 ただの追加シナリオでなく、この陰鬱な世界観に正当なピリオドを打つ、最終話のつもりで書きましたので、『祝姫』が好きな方にはぜひ読んでもらいたいです! 

 ホラー要素も強めで、各ヒロインのエピソードの中でも、トップクラスに凄惨な物語に仕上がりました。具体的には学校を舞台にした対人関係の“恐怖”をテーマにしていますね。

――こういったシナリオのアイデアは、どのようにして生み出されているのでしょうか?

竜:PS4で遊ぶことです! なかなか信じてもらえないのですが、僕は現実逃避が仕事のパワーになるタイプなんですよ(笑)。

 ゲームで遊んでいて行き詰まりを感じたとき、なぜか素晴らしい集中力が得られるんですよね。このときに書斎に戻って作業することで、シナリオ作りが円滑に進みます。『祝姫』の半分は、ゾンビの出るPS4タイトルのおかげと言っても過言ではないかも(笑)。

 過去にサラリーマンだった頃もそんな感じで、明日の朝早くから予定があるときに限って閃きが降りてきて、徹夜で執筆作業を続けて、そのまま出勤みたいなこともありました。この年になって、僕は何かから逃げるために仕事をするタイプなんだなと、実感できましたね。

 ただ、このスタイルは大概の人には集中してないように見えるらしくて……残念! その一方でマルチタスクに弱いタイプでもあるので、複数の仕事を同時に進めることが基本的に苦手だったりします。

 今回の作業がスムーズに進んだのは、たまたまこの仕事だけに集中できた点が大きかったですね。もし『-祀-』のお話があと2~3カ月遅かったら、他の仕事に頭を切り換えていて1~2年は帰ってこられない可能性もあったので、本当にいいタイミングで変更にタッチできたと思います。

――ゲームや小説など、他メディアの作品に影響を受けたりすることはありますか?

竜:うーん、2パターンありますね。1つ目は「これは考えなかった! 自分もやりたい!」って思うこと。ただ、これは本当に稀なケースで、基本的に「やろうと思ったネタをやられちゃった! じゃあ、このネタが旬じゃなくなるまでお蔵入りにしよう」って感じで、どちらかというと失望しちゃうケースの方が多いですね。

 僕は情報を持てば持つほど「あれはやられている、これはやられている」って何も書けなくなってしまうタイプなので、ほどほどに無知な方がいいのかなって思っています(笑)。

 もしも僕が『ひぐらしのなく頃に』を作る前に『YUNO』や田中ロミオ先生の作品などに触れていたら、「ループものは、もうやられているからやめよう!」と思って、『ひぐらしのなく頃に』だって書かなかったかもしれませんね。

――竜騎士07さんの恐怖の源泉はどこから考えられているのでしょうか?

竜:うーん、難しいですね(笑)。僕は本当に普通の小市民なので見当もつきません。最近は歳を取ったせいか、ツライ話を聞くと心が痛くなるので、悲惨なドキュメンタリーなどは見られなくなったくらいです。

 ただ、その心の痛みを感じてどうにか表現したいと思えるから、ホラーを書けるようになったんだと思います。要するに僕は、臆病なんですよ。人より臆病だからこそ“怖い”という気持ちを理解できたのかなと。

 あとは日常の恐怖体験を積み重ねることですかね。例えば、会社に7時集合と言われたのに起きたら7時5分だったときとか、ものすごい恐怖を感じますよね? そんな些細な恐怖を貯め込んだ結果、こういう作品ができました(笑)。

 逆に、映画や小説などの創作系の恐怖にはあまり動じませんね。僕に刺さるのは、あくまでも現実で起こりうる恐怖のようです。ちなみに『祝姫』のプロローグで椿子が駅のホームで「ここから落ちたら楽になれるのになぁ」と思っている描写は、僕がサラリーマンのときに経験したリアルな感情がもとになっています。

 陰鬱な感情でホームから砂利を見ていると、なぜか砂利がうねってるように見えるんですよね。そんな経験が、このプロローグの源泉です!

――最後に、本作を楽しみにしているユーザーのみなさんに、メッセージをお願いします。

竜:今回もいろんな意味で、容赦なしのシナリオを書かせていただきました。あふれんばかりの恐怖を注ぎ込んだ『祝姫 -祀-』の世界観を、じっくり楽しんでいただければ幸いです!

(C)DMM.comラボ (c)2017 Nippon Ichi Software, Inc.

データ

▼『電撃PlayStaton Vol.641』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2017年6月22日
■定価:694円+税
 
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