『緋色の欠片』ツヴァイ攻略説もあった? 制作秘話が明らかに ~藤澤Pが蕎麦を食べながら語る~【第3回】
7月27日に発売が迫るPS Vita版『緋色の欠片 ~おもいいろの記憶~』。本作の発売&10周年を記念し決行した『緋色の欠片』聖地巡礼ツアー連載の第3回目は松代城跡にやってきました。『緋色の欠片』ツアーなのに、なぜ城に来たのかというと……こちらは藤澤氏がぜひ行きたいとおっしゃっていた場所。じつは藤澤氏は歴史好きで、その知識は並大抵のものではなく、歴史の先生並に解説をずっとしていただきました!
もともとは海津城と呼ばれていた松代城。武田信玄が命じて築いた城で、武田氏の代表的な城のひとつなのだとか。松代城と改名されたのは江戸時代に真田信之が入城してからなのだそうです。
そんな歴史大好き藤澤氏と行く松代城・真田邸の旅はどんな旅になるのでしょうか。もはや『緋色』関係ないじゃん! と思った方、安心してください。後半には『緋色の欠片』シリーズにまつわるインタビューもお届けします。どうぞ最後までお付き合いください。
これまでの記事はコチラ
■PS Vita化記念企画『緋色の欠片』 同好会が行く聖地巡礼ツアー! ~藤澤Pも行くってよ~【第1回】
■『緋色の欠片』同好会が拓磨と出会うあの場所をついに発見!? 聖地巡礼ツアー【第2回】
松代城跡地へ! これが真田10万石だ!!
前々回と『緋色』の聖地である神社を堪能! あとはせっかく来た長野県の観光をひたすら楽しむだけ!(あくまで仕事)というわけで、松代城跡にやってきました。周りの堀の水にはコケか何かでにごっていましたが、これもなにかの作戦だったりするのでしょうか……。落ちたらかなり悲惨なことになりそう……。
▲よく見ると鯉らしき魚が泳いでいました。いや、そんなことより私と藤澤氏の服がペアルックに見えなくもなく動揺(笑)。 |
高い位置から周りの景色を眺められる場所があったので登ってみました! 真田10万石ってどのくらい先までなんだろうと思いつついい眺めを満喫。
長野のソウルフード蕎麦を堪能!! Withおいしい串揚げ
松代城跡を観光したあと、お昼休憩を取ることに。長野に来たからには、蕎麦を食べておきたいですよね! 松代城跡から少し歩いたところにある、蕎麦屋へ入ってみました。
▲蕎麦はもちろん、串揚げもさくっとしていておいしかったです。しいたけの串揚げが、肉厚でとってもジューシーでした! |
なんと食事中には藤澤氏から『緋色』に関するお話もたくさん聞くことができたので、この話は最後にお届けします♪
真田邸を巡る!! 意外と感じるデザイン性
続いては真田邸へ。真田10万石の方の住む家なので、相当すごいに違いないと思ったら、まさにそのとおり。かなり広く部屋がいくつもありました。
真田幸教(信濃松代藩第9代藩主 在位1852-1866年)が義母の住居として建築し、のちに隠居した本人が居住、明治以降は真田家の私宅となったそう。まさかそういった建物がまだ残っているとは……歴史の知識が皆無の私には衝撃でした。
時代劇でよく見るような部屋がたくさん並んでいる光景。いったい何人くらい住んでいたのだろか……お手伝いさんとか仕えている人がたくさんいたのだろうなと勝手に妄想してしまいます。
▲甲冑や兜の装飾を見ていると、かなり個性的なものが多い。 |
▲縁側から見えるきれいな庭園や障壁画を見ていると、昔も変わらず見せ方やデザインにこだわっていたことを感じます。 |
プロデューサー・藤澤氏に迫る『緋色の欠片』シリーズ制作秘話【前編】
ここからは『緋色の欠片』シリーズの生みの親・藤澤氏へのインタビュー前編をお届けします。これまで明かされていなかったエピソードなどがたっぷりですよ!
世界観ビジュアルのベースは“岩手県 遠野市”
藤澤:玉依姫の話なので、日本神話に近い奈良とか和歌山あたりかなと候補を考えていました。次に世界観のビジュアルとしては、僕が岩手県出身なのもあって岩手県の遠野あたりが近いのかもしれません。長野県に玉依姫の神社があるっていうのは、じつは作り始めてから知りました。ただ気が付いたときには既に冬で、雪も積もっているし行くわけにも行かず、今回はじめてでしたね。
キャラの名前は和を意識していた!!
藤澤:キャラの名前を作るときに苦労したのは、今っぽくならないようにすることです。神社系の苗字を使ったり、女性は子を使わないようにしたり、結構苦労しましたね。気に入っている名前は多家良の名前です。
▲多家良清乃(たからきよの)主人公のクラスメイト。数ヶ月前に都会から転校してきた詮索好きの少女。 |
岡野さんと下和田さんは声が先?
藤澤:岡野さん(鴉取真弘役)と下和田さん(犬戒慎司役)は、声のイメージが先にあったんです。以前『ふしぎ遊戯 玄武開伝』というゲームを作っていたときに、オリジナルキャラを岡野さんに演じてもらったのですが、岡野さんの声ってやんちゃな兄貴風キャラに似合っているなあと思っていたんです。
藤澤:下和田さんの声は、当時のあるアニメで知って、少年役が凄い似合うという印象がありました。年下キャラだったらこの声いいなぁ、と。あれから10年が経ちますが、今でも慎司くんの声が出せるのがすごいと思います。
藤澤:杉田さん(鬼崎拓磨役)は、何人かの候補の中から出演作品を見たりサンプルを聞いたりして決めました。個人的に某ロボットゲームで熱い役をやっていたのを知っていたので、似合うだろうなと思ったんです。『緋色』を出した2006年って杉田さんの代表的な作品が多く、『緋色』もそんななかの一つになっているといいなと思いますね。
藤澤:平川さん(大蛇 卓役)は当時、学園ものなどの主人公のイメージが強かったのですが、平川さんの声で、もうちょっと腰を落ち着けた感じの大人キャラを聞いてみたかったので、お願いしました。
藤澤:浪川さん(孤邑祐一役)は、当時、年下キャラや王子様キャラが多かったと思います。でも、浪川さんの地の声を聞いて、クールなキャラも良いんじゃないかと思ってお願いしました。浪川さんのクールキャラって、実際にやってみるまで想像がつかなかったですね(笑)。ものすごく淡々とやってもらったのを覚えています。
制作時、収録時の苦労話
藤澤:台本を書くときは、まず祐一くんに何か喋らせることを気にしながら書いています。ほかのキャラは意外とセリフがあるのですが、祐一くんは考えてあげないと完全に忘れられてしまいます。いなくても話がまとまっちゃうんですよね。
真弘はどんな場面でも応用の効くキャラなので、気が付くとずっと喋ってしまうんです。大蛇さんも静かそうにみえて、意外と要所でまとめていますし。
藤澤:野宮さん(狗谷 遼役)の収録では、気を抜くとべらんめぇっぽくなっちゃうんです。でも狗谷はそうではなくて、ただの口下手な不良なんです。どちらかというと巻いているのは真弘のほうですね。
セクハラ大王・狗谷の誕生
藤澤:当時もドSキャラはいましたけど、セクハラといわれるほどのキャラっていないなと思ったんです。それでセクハラキャラってどこまで出来るんだろう(作品内で許されるんだろう)と思って、じゃあにおいフェチにしようとなって生まれたのが狗谷でした(笑)。
▲ライターも当時興奮したセクハラCG! |
狗谷はファンディスクでの追加攻略キャラの予定だった!!
藤澤:最初から狗谷のストーリーラインは考えていたんです。慎司くんが本当は守護者じゃないというのも既定路線であったので、じゃあ誰が本当の守護者だったんだとか、そのあたりの事情はファンディスクが出せたらそっちでやろうとしていました。でも本編に隠し攻略キャラを入れるという仕様変更があったので、じゃあどうするかってなったときに、狗谷を持ってきた感じですね。
藤澤:ツヴァイも考えたのですが、どうしてもツヴァイを珠紀が攻略できるというのは想像ができなかったんです。珠紀をかばって死ぬとか、情が移ってとかならわかるのですが、それだとどうしても悲恋にしかならなくて。どう考えても、ツヴァイが生き残って珠紀とくっつくエンディングは考えても出てきませんでした(笑)。それに、最初に目指していた和風伝奇のコンセプトにも合わないと思いました。
▲サブキャラクターのなかでも人気のツヴァイ。アリアに仕える謎の男性で、アリアの守護と指示に従うことを命じられており、戦闘では黒いカマを使う。 |
『緋色』でやりたいことはやりきった?
藤澤:最初のコンセプトにあった山奥の小さな村での和風伝奇という感じは、ほぼやりきった感じですね。でも和風のコンセプトは他にもあって、緋色の別作品では場所を変えて海辺の物語をつくったりしました。こちらにもやはり神社のモデルがあります。豊玉姫の神社ですけどね。
藤澤:ほかにも和風のコンセプトから離れた未来形の『緋色』のシリーズもあって、珠紀たちの3代目から5代目あとくらいのお話かなと思います。『緋色』シリーズは、色々やってみたいなと思うことはやってみた感じですね。
次回はついに最終回! 後半のインタビューもお見逃しなく!
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