2017年7月21日(金)
スクウェア・エニックスから2018年に発売予定のPS4/Xbox One用ソフト『KINGDOM HEARTS III(キングダム ハーツ III)』。『KH』シリーズディレクターを務める野村哲也さんへのインタビューを掲載します。
野村さんには、発売時期から始まり、『トイ・ストーリー』のワールドやアクション、キーブレードの変形など、公開された新情報について語っていただきました。
また、『KH ユニオン クロス』や『ディシディアFF NT』、『FFVII リメイク』についてもお話いただいています。
――先日公開された最新映像でさまざまな情報が飛び出ましたが、ファンの方々がもっとも驚いたのは発売時期が“2018年”とアナウンスされたことではないでしょうか。
発売時期アナウンスに関しては慎重にならざるをえないですから、今回は年数だけですが発売時期は決まっていてそれに向けて動いているので、安心していただきたいという意味もあってここで発表させてもらいました。
――そして新たなワールドとして『トイ・ストーリー』が公開されましたね。
『トイ・ストーリー』の世界は『KHII』のころから切望していた作品です。ですが、なかなか難しく、『KHIII』を制作する際には『トイ・ストーリー』抜きでは考えられないと交渉を続け、ようやく実現することができました。時間軸としては、『トイ・ストーリー』2作目のあとが描かれるオリジナルストーリーとなります。
――『トイ・ストーリー』といえばオモチャたちが主人公ですが、『KHIII』ではどのキャラクターが登場しますか?
ウッディやバズなど、映像内で確認できるオモチャたちがメインキャラクターになります。他のオモチャたちはアンディとともにいなくなってしまったので、彼らを探しに行こうというのが物語の発端になります。
――ソラたちの姿もワールドにあわせて、オモチャに変わるわけですね。
あの姿に至るまでの道のりは長かったですね。フィギュアっぽくしてみたり、ドット絵を立体化したようなグラフィックにしてみたりと、さまざまな姿を模索しました。
――バトルシーンではソラ、ドナルド、グーフィーに加えてウッディとバズもいて、5人パーティのようでしたが?
映像では一度に5人が戦っています。ワールドによっては、ゲストキャラクターのような形で4人以上で戦うことがあります。連携なども可能になりますが、パーティー編成のシステムに関しては続報をお待ちください。
――家の外でのバトルは、ソラたちがオモチャサイズということもあって、すごいスケール感ですね。
さすがにあのスケールで、どこまでも行けるというわけではありませんが(笑)。『トイ・ストーリー』のワールドのメインとなるのはオモチャショップです。映像にも出ていた“ギャラクシートイズ”というオモチャショップは、かなりの広さがあります。
――ソラがロボットに乗って戦うシチュエーションもあるんですね。
ロボットに乗るという案は、制作初期のころからありました。搭乗できるロボットはいくつか種類があって、それぞれで戦い方が異なります。別のフロアではまた違ったギミックが用意されています。
――オリンポスではロックタイタンとの迫力あるバトルがあったりと、今回は各ワールドごとの要素が、これまでにも増してバリエーションがあるようですね。
そこはかなり意識して作っています。『KH0.2 バース バイ スリープ -フラグメンタリー パッセージ』の時もそうですが、どのマップも縦方向の広がりを感じられる立体的な作りになっていて、探索のしがいもあると思います。『KHIII』は『KHII』に比べるとディズニーのワールドの数が少なくなっていますが、そのぶん1つ1つのワールドの作り込みは過去作以上になっています。
――『KHII』の時は各ワールドを一度めぐった後に、もう一度訪れるシナリオ構成でしたが、『KHIII』はどうなるのでしょうか?
2段構えの構成は個人的に好きだったのですが、『KHIII』は違ったカタチになります。
――映像の中で、高所から飛び降りたソラは大の字になって降下していますが、あれは何か特別なアクションなのでしょうか?
降下時に臨場感を出すための演出ですね。あの状態から操作をすれば違った動きにはなります。
――キーブレードの変形は『KHIII』の目玉の1つですが、今回の映像ではドリルとハンマーの変形を見ることができました。
キーブレードがいろいろな形に変形しますが、やはりドリルはロマンですよね(笑)。
――あのドリルとハンマーは、『トイ・ストーリー』のワールドだけで使える力なのでしょうか?
ワールド限定ではなく、『トイ・ストーリー』のワールドで手に入るキーブレードにひもづいた能力です。基本的にどのキーブレードにも変形能力が備わっていて、『トイ・ストーリー』のワールドのキーブレードはドリルとハンマーに変形します。そして『KHIII』ではキーブレードとフォームもシステム的にひもづいています。
――それはどういうことでしょうか?
『KHII』ではバトル中にフォームを切り替えて戦いましたが、今回はキーブレードごとに変身するフォームが決まっているんです。
――キーブレードの数だけフォームも存在するというわけですか?
いえ、各キーブレードには攻撃系や防御系などのタイプが設定されていて、そのタイプごとにフォームが存在するカタチです。キーブレード変形の際に同時にフォームチェンジすることになります。
ちなみに、シリーズおなじみのキングダムチェーンは、『KHII』のカラーの“セカンドフォーム(仮称)”に変身しますが、これはキングダムチェーン限定のフォームで、キーブレードは変形しませんが戦術が変化します。フォームの中には、そういう特定のキーブレード専用のものもあります。
――キーブレードを変形させながら戦うのは、かなり楽しそうですね。
バトルアクションに関しては、どれも凝っています。1つのキーブレードには基本的に変形能力が設定されているのは先ほども言ったとおりですが、オリンポスのキーブレードを使っている時は盾と戦車に変形します。
あと、最新映像の冒頭で使っていたアローとバズーカもセットの組み合わせです。キーブレードさえ手に入れれば、映像で見られるようなアクションがすぐに使えます。
――『トイ・ストーリー』のワールドのバトルシーンでは、ソラが新しいフォームになっているように見えますが?
『トイ・ストーリー』のように姿そのものが変わるワールドでも、フォームチェンジはするので、今回の映像でドリルやハンマーを使っている時もフォームチェンジはしています。フォームの詳細は、今後の情報公開をお待ちください。
――E3前の映像に引き続き、トワイライトタウンのシーンを確認できますが、やはり今回も重要なワールドになりそうですね。
今回のトワイライトタウンはシステム的なチュートリアルを受ける場所でもあり、序盤に訪れることになります。
――E3前の映像のラストにはロクサスに関する興味深いセリフがあり、『KHIII』での展開が非常に気になります。
登場キャラクターが多すぎて、ストーリーは大変なことになっていますよ。今までシリーズで登場したメインキャラクターはかなりの数になりますし、どのキャラクターも何かしらのカタチで登場することになります。
各々問題を抱えていて、それらをどう解決させながら最終局面に向かっていくのか……。
――今残っている謎や特定のキャラクターの行く末などは、『KHIII』でひととおり解決するわけですよね?
ダークシーカー編の最終章としては、決着を付ける形になります。
――最新映像とE3前の映像に出てきた言葉にはどのような意味があるのでしょうか?
「夢を空想で終わらせず その想像の世界に飛び込め」ですね。あれはプロモーションビデオ用のキャッチコピーで、物語に深くかかわるような意味が隠されているというわけではありません。前回の映像がちょうどソラのダイブシーンから始まったので、あのようなメッセージをつづってみました。
――スマホの『KH アンチェインド キー』が、3月に『KH ユニオン クロス(以下、KHUX)』に生まれ変わりました。タイトルを変えた意図とは?
ちょうどマルチプレイを実装するタイミングだったので、リニューアルしたいと提案されタイトルも変えることにしました。ストーリーもそれまでの流れからひと段落つき、ユニオンリーダーを中心にした新たな展開に移る時期というのも理由の1つです。
――『KHUX』リリース時の映像で、3人目のユニオンリーダーとしてヴェントゥスが登場したことに驚いた人が多かったと思います。
『KHUX』ではシリーズにおける重要な展開が描かれるので、今からでもぜひプレイしてもらいたいですね。少し前に4人目のユニオンリーダーであるブレインが登場しましたが、8月更新のメインクエストで5人目も登場します。
――ついに新しいユニオンリーダー5人が集結するわけですね。
そうですね、5人揃ってから『ユニオンクロス』の本編が動き始めます。
――『KHIII』とのつながりも気になるところです。
『KHIII』をプレイしたら、きっと『KHUX』の物語も気になってくると思います。『KHIII』を楽しみに待っている人、シリーズのストーリーに興味を持っている人は、『KHUX』のプレイをオススメします。
――ユニオンリーダー集結のイベントで、ヴェントゥスが「野良」「ランキング」といった発言をしていて親近感を感じました(笑)。
あれはいわゆる“メタ発言”を意識したわけじゃなく、ヴェントゥスが特別なキーブレード使いじゃないということをわかりやすく伝えたつもりだったんですけどね。
――野村さんのなかで、今後の『KHUX』の構想はどこまで考えられているのでしょうか?
ストーリー的な構想は、おおまかにはかなり先まで考えています。これからも、本編(ナンバリング等のコンシューマタイトル)の物語と並走して描き続ける予定です。
――野村さんは『KHUX』のシナリオ以外、イベントやレイズドローなど、どの程度までご自身の手でやられているのでしょうか?
シナリオやデザイン、ゲームシステムは常時見ていますが、通常の運営業務に関しては基本的に運営チームにまかせています。新システムなど、先々の展開や内容に関してはつねに打ち合わせや相談も行っています。
――今年の9月で2周年を迎えることになりますが、どのような企画を予定していますか?
早いもので、『KH アンチェインド キー』から数えて2年になります。記念イベントはもちろん、それに向けてメインシナリオが連続で追加されたり、新しい要素も追加する予定なので、楽しみに待っていてもらえればと思います。
――PS4タイトルとして『ディシディアFF NT』も発表になりました。PS4版はPSP版『ディシディアFF』と異なり、AC版同様の対戦メインの作りになるようですね。
まずアーケードタイトルをPS4版として出すにあたり、どういう立てつけで作るのかは話し合いました。自分はPSP版のようにストーリーがベースにありきで、あれこれ要素を内包した立てつけをイメージしていたのですが、鯨岡(『ディシディアFF』のディレクター・鯨岡武生氏)は、アーケードと同様の対戦メインにしたいということだったんです。先々の構想も加味したうえで、彼らの作りたいものを尊重しました。
――PS4版は対戦メインであるものの、ストーリーもフォローされるようですね。
アーケード版でなぜ彼らが戦っているのか、そのあたりがストーリーの軸になります。今ボイス収録を行っているところですが、自分の想像とは違う展開になっています。おそらくファンの方々のなかには、PSP版のカオスとコスモスを引き継いだような構図をイメージしている人もいるかと思いますが、まったく違うんです。
――スピリタスとマーテリアのキャラクター性は、カオスとコスモスのときとまったく違うということでしょうか?
カオスとコスモスは、すごくわかりやすい神様同士の対立図でしたよね。でもスピリタスとマーテリアは違います。あまり神様らしくないというか、より人間っぽい、とても個性的に描かれています。
――『FFVII リメイク』の制作状況はいかがでしょうか?
今までの社外を交えたスタイルから、社内メインの開発体制に変わり、浜口(『メビウスFF』などを手掛けている浜口直樹氏)と連携取りつつ新たな編成で制作中です。今はより多くの人手を確保するのが急務となっています。
――『ディシディアFF』を含め、これからさまざまな展開が待っていて、忙しくなりそうですね。
自分のかかわるタイトルのなかでは、まず『ディシディアFF』の動きが活発になると思います。アーケード版は8月から4カ月連続キャラ追加となりますし、PS4版の発売も近づいている。『KHIII』については、2018年2月の“D23 Expo Japan”の中でファンイベントが開かれる予定です。
各タイトルごとにいろいろと情報を出していきますので、それらを楽しみつつ、2018年の『KHIII』をお待ちください。
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