2017年8月10日(木)
子どものころから『チャンピオン』を読んで育った漢(オトコ)を自負するライター・まさんが、配信中のiOS/Android用アプリ『グラップラー刃牙 アルティメットチャンピオンシップ』をレビューします。
範馬刃牙(のゲーム)配信ッッ。範馬刃牙配信ッッ。範馬刃牙配信ッッ。ふぅ……。みなさん、こんにちは。好きな海王はサムワン海王。ジャガッタ・シャーマンとチャモアンも忘れられないライターのまさんです。
すでに配信開始中で、遊んでいる人は「えれェことが起こってるぜジジイ!」と叫んでいる人も多いと思いますが、ついに出ましたね。アプリ『グラップラー刃牙 アルティメットチャンピオンシップ』。
『グラップラー刃牙』と言えば、一番最初の『グラップラー刃牙』から始まって『バキ』『範馬刃牙』『刃牙道』と、今も連載が続いている超人気タイトル。そんな本作のシリーズ史上初の公式対戦格闘アプリが配信。しかも、原作でも人気の最大トーナメント編を中心に展開するとあっては、遊ばないわけにはいかないじゃないですか。ヤバい……泣きそうだよ。
▲サービス開始時点では最大トーナメント編に出場した6名の格闘士が使える本作。個人的には、最凶死刑囚編をはじめ他エピソードも好きなので、どんどん追加キャラを出してほしい! |
というわけで、今回のアプリをプレイしてどう感じたのか? ちょっと、バキのノリにあてられて冒頭からテンションがおかしいですが、遊んでみた感想をお届けしたいと思います。
最初の最初……初めて親父がくれた知識。それがチュートリアル。昨今のスマホゲーの流れをくんで、本作でも丁寧なチュートリアルからゲームが始まります。チュートリアルで操作するのは、なんと範馬勇次郎。地上最強の男による地上最強のチュートリアルが展開されます。そ……ッッそうきたかァ~~~ッッッ。
▲最強のチュートリアルお父さん。エア味噌汁は作ってくれませんが、刃牙に接するように親バカな感じで優しく教えてくれます。 |
勇次郎を操作できるのは今のところチュートリアルだけですが、確かに彼なら絶対倒されることはない(このチュートリアルには腕っこきのハンターは出てきません)ので、うってつけですね。
むしろ、なぐられているキャラがかわいそうですが、アレガ……アレガオーガと言いながら思う存分なぐりつつ、ゲームのルールを頭にたたきこんじゃいましょう。失敗しても、頭皮をはぎ取られたりせず、親切に何度も教えてくれるので安心です。よかった。子ども(ガキ)にサインをせがまれちゃうくらいに丸くなってる勇次郎で……。
つい、うれしくて脱線してしまいましたが、このゲームはヘルプのキャラクターがストライダムだったり、各キャラクターの関連アイテム(バキならカマキリ、ごきげんな朝飯)が細かいところから出てきていたりと、作り手側が『グラップラー刃牙』シリーズを大好きなのだと伝わってきてうれしくなります。
こんなことで……ッッ、ゲーム本編が始まったらどうなってしまうんだ!!?
▲勇次郎の親友と言ってもいいストライダムさん。ある意味で、刃牙に欠かせないキャラです。 |
コホン。いい加減、進まなくなるので、そろそろ刃牙ネタを入れるのは自重していきます。さて、公式で対戦格闘アクションというジャンルを名乗っていますが、なかなかどうして、既存の“対戦格闘アクション”とはちょっと違います。
普通の対戦格闘アクションというよりは、RPGのように攻守を入れ替えて戦えるターン制のバトルにアクション要素を加味したとでも言えばいいのでしょうか。アクションも複雑な操作は必要なく、自分の攻撃ターンになったら画面に出ているマークをリズムゲームのようにタイミングよくタップすることで相手に攻撃できます。
うまくタイミングが合うと優や良の評価がもらえるので、そのまま連続で優か良の評価をとり続けると“ステップアップ”が発動。攻撃ターンがもう1度継続して、相手をなぐり続けられる仕組みです。
▲攻撃は、画面に出たマークをリズムゲームのようにタイミングよくタップするだけでOK。誰でも気持ちよく戦えます。 |
ステップアップに2回成功するとラッシュ状態に突入し、ボタン連打で一気になぐると相手がダウン。相手がダウンするとターンが交代し、今度は自分の防御ターンになります。
「ひょっとして、この攻撃と防御をターンを入れ替えつつずっと繰り返していくだけ……?」そう思った方もいるかもしれません。しかし安心してください。このアプリはそんな生易しいものじゃない。
詳しく説明しましょう。防御ターンになると、今度は相手から攻撃を受けるわけですが、ただ攻撃されて終わりではありません。プレイヤーは体力の下にあるゲージ(最大で8まで溜められます)を消費して“必殺技”を使えます。
防御ターンにこの必殺技を決めることができれば、相手に大ダメージを与えられるうえに、ターンを奪って強制的に自分の攻撃ターンにできるのです。
ただし、この必殺技も絶対的なものではありません。相手も必殺技で切り返すことができるのです。必殺技に対して必殺技で反撃された場合は、必殺技同士がぶつかりあってコスト(ゲージの消費量)の数値による判定が発生します。相手より数値が高くないと、逆にダメージを受けることに……。
相手よりも数値が高い場合はターンが交代し、自分の攻撃ターンとして攻められます。攻撃ターンはしっかりと攻撃を当てていく“アクション要素”、防御ターンではうまく必殺技で主導権を握り返す“読み合い”。それらを楽しめるのが本作なのです。
▲必殺技を使うためのゲージは最大8メモリ。強い必殺技ほど使用コストが高くなるので、使いどころが重要です。 |
また、必殺技には“武技”“暴力”“卑劣”の3種類の属性が設定されています。この属性は武技>暴力、暴力>卑劣、卑劣>武技の3すくみになっていて、相手が出した必殺技よりも有利な属性ならば、数値がアップします。
属性も意識して戦うと、より勝ちやすくなるわけです。「同じ属性で競うな! 持ち味を生かせ!」ってことですね。それにしても暴力とか卑劣とか、属性の種類がとてもバキらしいですが、わたしは一向に構わんッッ。
チュートリアルが終わったら、いよいよゲーム本編がスタート。
本作では最初から6人の格闘士が使用可能となっており、育てたいキャラクターを自由に選べます。格闘士のチョイスは、範馬刃牙、花山薫、愚地独歩、烈海王、ジャックハンマー、渋川剛気の6人。最大トーナメント編で活躍した人気キャラクターが最初から選べる形ですね。
なお、開発スタッフによると格闘士は今後も続々と追加されるとのことでした。個性的なキャラクターばかりが登場する作品だけに、誰が登場してもおかしくないですよ!
▲メニュー画面では、自分が選んだ格闘士とデッキに組んだ必殺技が表示されています。原作で見た場面が必殺技のカットインとして並んでいるのが素敵。 |
格闘士は、強化ポイントと強化アイテムを使うことで、体力、攻撃力、防御力、精神力、瞬発力といった5つのパラメータを鍛えることが可能です。鍛えると格闘士の能力が上がるうえに、ユーザーに経験値が入ります。経験値を溜めてユーザーランクが上がると、刃牙たち全闘士のパラメータがプラスされるといった恩恵も発生します。
メインとなるキャラクターだけではなく、まんべんなく鍛えていくのが最強になるための近道なんじゃないかと感じました。ちなみに、強化アイテムは原作になじみの深い食べ物ばかりなので、ちょっとニヤリとできますよ。
▲ほう。炭酸抜きコーラですか……。たいしたものですね。オイオイオイ強化されるわアイツ。 |
さらに、限界突破アイテムを使うと、キャラクターのレベルが上がり、能力の強化に使えるポイントが増えます。こちらも、ちぎれたトランプや義眼といったキャラクターにちなんだアイテムなのですが、刃牙の限界突破にカマキリ30匹を要求してくるのは卑怯でしょ(笑)!
▲強化アイテムや限界突破アイテムは、タッチするとどのステージで手に入るのかわかります。ここから、直接ステージにもいけるので便利。 |
そんな感じでキャラクターや必殺技を強化しながら、ストーリーを進めたり、他のユーザーとのリアルタイムな対戦で遊んだりと、刃牙らしい楽しみ方ができるのが本作のだいご味と言えるでしょう。
そうそう、説明し忘れていましたが、必殺技は“ガシャ”を引くか、他のプレイヤーとの対戦に勝利して“つづら”をあけると手に入ります。手に入る必殺技は、いずれも原作でおなじみのものばかり。
これら必殺技も強化することができます。必殺技はガシャなどで同じ必殺技を入手することでレベルアップできます。強化していくことで攻撃力がアップするだけでなく、特殊効果がつくことも。
ガシャといえばキャラクターというイメージがついていますが、本作はあくまでも必殺技オンリーとなっています。うまい人は本当に好きな技が出たときだけ回せばいいですし、バトルで勝てない人はガシャを回して必殺技を強化するなど、自分のペースで回しやすいんですよ。
それに、本作はバトルのシステム上、単純に攻撃力が高い技=強いというわけではありません。あくまでも読み合いがカギになるので、SSRは有利であるものの最強というわけではなく、実質的にハズレなし! NやRの技にも、ちゃ~んと生きる道があります。
▲ガシャか対戦で必殺技を入手して強化。特殊効果は強力なので、メインで使う技を強化しておくのがポイントです。強くなりたくば回せッ! |
このゲームのメインのひとつは、やはり“ストーリーモード”。ストーリーモードは、原作の『グラップラー刃牙』地下闘技場編から始まって、名勝負がピックアップされる形になっています。
第1章では鎬昂昇。第2章&第3章は鎬紅葉。第4章は花山薫と、原作に登場した強敵たちとのバトルは手に汗握る激戦ばかり! 途中のザコと戦うステージは、相手が必殺技の一撃で吹き飛ぶほど弱いですが、強敵との戦いは正直きちんと戦略を考えないと勝ちはおぼつかないでしょう。
とはいえ、本作は育成していない状態でもある程度テクニックでクリアできますし、逆に推奨レベルよりも上の水準に育成しておけば楽にクリアできるようになっています。格闘士を育成して倒すか、自分の腕を磨いて倒すか、進め方は自由です。
▲属性を読み合い、どの必殺技をどこで使うか考えながら戦うバトル。簡単な操作なのに、ちゃんと『刃牙』らしい格闘ゲームですよ! |
▲一度クリアしたステージは、“瞬殺”をタップすると一瞬でクリア。報酬も手に入るので素材集めをするときに便利な機能です。10連続でクリアできる“10連瞬殺”もあります。 |
ちなみに、第3章の鎬紅葉と第4章の花山薫は必殺技をバンバン使ってくるので、育成していないと勝てない人もいるでしょう。そこで今回は、強敵を倒すためのコツを軽ぅ~く説明したいと思います。
まず、意識すべきは必殺技ゲージ。このゲームでは、“必殺技で相手のターンをつぶすこと”が本当に重要です。必要な時にゲージがなくなって強力な必殺技を打てない……なんて場面が出てきてしまうと大ピンチに!
数値だけに惑わされるとコストが高い技だけでデッキを組みたくなってしまいますが、それは必ずしも正解というわけではありません。
相手のゲージをうまく減らせれば、コストの低い必殺技でもターンを奪えます。相手がコストの大きい必殺技を出した時も、あえて受け、その後に数値の低い必殺技を使って攻撃ターンをもぎ取るという手もあるんですよ。
▲弱い必殺技などで調整しながら相手のコストを減らしつつ、自分のコストを極力減らさない状態でターンを奪うのが理想です。よく考えてから反撃していきましょう。 |
必殺技でターンを奪ったあとは、ステップアップを成功させてラッシュ。相手のターンになったら、ふたたび必殺技でターンを奪い返す。読み合いに勝って、ターンを維持することが大切です。では、実際にどんなタイミングでどの必殺技を仕掛ければよいのか。第4章の花山薫を例に説明していきたいと思います。
▲必殺技を当てて相手のターンを奪い続けるッ! うまく読み勝てば、相手は何もできず、「オヤ……? 攻撃が来ねえな。試合放棄かな。」って感じに勝てます。 |
花山薫は、見た目からもわかる豪快なパワーキャラ。敵として出てきた場合は、必殺技もコストが多いものを持っているようで、4以上の高コスト技を惜しみなく使ってきます。
つまり、花山の場合は相手の高コスト技を使わせてしまえば、逆になぐり放題! 相手のターンになったらあえて攻撃を受け、相手のゲージを消費させましょう。
ゲージが減ったら、3、4くらいの中コストの技でもダウンを奪えます。こっちのターンになっても相手はゲージが足りないので、必殺技で反撃できないことが多いです。
本作ではこのように、相手の“クセ”を読み切ることで多少の不利も覆せる場面があります。花山薫の場合は、基本的にコスト4以上の大技ばかり使おうとするのが攻略のポイントですね。
▲本作のバトルの基本は、骨を断たせて……肉を斬るッ! 多少のダメージなど気にするなッ。 |
もちろん、キャラクターやステージによって技の傾向や持っている属性は変わりますが、こうやって相手の行動を読んで反撃する。これが本作における大きな魅力なのではないでしょうか。
ちなみに、ストーリーモードは原作と同じキャラクターを選んで戦う必要はありません。別の格闘士でも戦えるので、勝てない時は格闘士を切り替えて挑んでみるのもアリです。属性の相性がいい技を持つ格闘士なら、苦戦していた相手にあっさり勝てるかもしれません。いろいろと試してみましょう。
▲刃牙ばかりに任せず、ジャックや花山などに交代してもストーリーモードを進められます。ジャックだってきっと「俺ダッテ出来ルンダ!!」って待ってるはず。 |
格闘ゲームに必要なのは、熱い対人戦。本作にも、リアルタイムで他のプレイヤーと戦う対戦モードが用意されています。当たり前ですが、やはり思考の裏をかこうとしてくる対人戦のほうが、CPU戦よりもダンゼン燃えますね!
しかも、対戦はスタミナを消費せずに無制限で遊べるんですよ。こんなのやらない手はないでしょう! ただし、対戦はストーリーモードと違って制限時間があるので、気を抜いていると時間切れで終わってしまうこともあります。そこは要注意です。
▲対戦開始を押すとマッチング。自分のランキングなどに合わせて、すぐに対戦相手とマッチングできます。 |
対戦用のデッキを組んで、相手の思考を読みながら戦う。対戦モードは格闘ゲームの本質を短時間でサクッと楽しめるので、ハマってしまう人も多いと思います。つづらも手に入るので、ガンガン対戦しましょう。
こうしてひと通り遊んでみると、細かいネタから対戦のおもしろさまで、本作はちゃんとした『刃牙』シリーズのファンが作っているアプリだと実感できました。原作愛はもちろん、相手にラッシュで攻撃を当てる爽快感。相手の攻撃を必殺技で返す読み勝ちの楽しさ。追撃する気持ちよさと、格闘アプリとしての魅力がきっちりと詰まっており、とても楽しめます。
『刃牙』シリーズが好きな人はもちろん、まだ読んだことがない人も楽しめるゲームなので、ぜひ遊んでほしいです。そして、願わくば、どんどん新たな格闘士を出してほしい! 夜叉猿、アイアン・マイケル、マウント斗羽、ドリアン、寂海王、郭海皇、マホメド・アライJr.、ピクル……再現したい試合が多すぎる!
もちろん、現状で使えるキャラクターでの対戦も楽しすぎます。烈海王のボクシングとか、毒手から果糖入りの水14キロで「復活ッッ!!」とか、使ってみたい必殺技もまだまだありますし、楽しみすぎます。さあ、みなさんもプレイして、一緒にこの昂ぶりを感じましょうッ!
(C)板垣恵介(秋田書店)1992
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