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2017年8月25日(金)

『塔亰Clanpool』主人公・神貫ナツメと西園寺チヨの出会いは100数回のバトル!? 連載小説第3回を全文掲載

文:電撃PlayStation

 PS Vita用ソフト『塔亰Clanpool(トウキョウ クランプール)』の小説が電撃PSで連載中。ここでは、ショートストーリー第3回の全文掲載をお届けする。

⇒『塔亰Clanpool』の物語、キャラクターの紹介はこちら

⇒『塔亰Clanpool』小説連載第1回はこちら

⇒『塔亰Clanpool』小説連載第2回はこちら

電脳戦術内閣ショートストーリーズ第3回 2人の出会い

『塔亰クランプール』

 彼女と引き会わされたのは、トウキョウの上空に逆さ都市群が出現してすぐのことだった。場所は科技葉原Q-BOXの1室。

「わたし、神貫ナツメ。よろしくね」

 そう言って、彼女は屈託のない笑顔で右手を差し出した。
 こんな時なのに。状況が本当に認識できているのだろうか。
 そう思うと、その手をすぐに握り返す気にはなれなかった。

 チヨの実家は、二ホン有数の大財閥である西園寺コンツェルンである。チヨはそこの1人娘だ。
 いずれ財閥の後継者となる人物を婿に迎えること、そのためにその人物を支えるための貞淑な妻となるべく教育を受けること。それが本来自分に与えられるはずの運命であることを、西園寺チヨは知っていた。

 だがはたして、チヨの歩んできた人生とはそれとは多少異なるものとなっていた。
 そしてそこには、ヨシトキの存在が大きく関わっていた。
 叔父ヨシトキは西園寺家に入り婿として来た。当然、周辺からは西園寺コンツェルンの要職に就くことを期待されていたのだが、彼が選んだのは、政治の道だった。
 政治家としてのヨシトキは極めてに有能だった。彼は若くして政治の世界に身を投じると、瞬またたく間に頭角を現し、やがていくつかの大臣のポストを歴任するまでに至った。

「なぜ、会社ではなく政治の道を?」

 1度チヨは訊ねたことがある。
 その時ヨシトキは何も答えず、ただ穏やかに微笑むだけだった。でも、その微笑みに、チヨは何かしら決意のようなものを感じ取ったものだ。

 わかっているのは、政治の世界に身を置いた彼が、逆さ都市群が出現するずっと前から、いずれこの二ホンが危機的な状況に陥ると想定し、それに対処すべく準備を進めていたということだ。
 チヨに特別な能力――政痕(スティグマ)があることを伝えたのも、ヨシトキだった。
 ヨシトキがどのように両親を説得したのかはわからない。ただそのことが、チヨの運命を大きく変えたのは確かだ。

 ただの籠の中の鳥となるべき存在から、いつかくる二ホンの危機に備えるべき存在へと。
 そしてそのことに、果たすべき役割を見出してくれたことに、チヨは深く感謝しているのだった。

 それから、ずっと、準備をしてきた。
 心身を鍛え、武芸を磨いてきた。デジスキンも試作の段階から扱い方を学んできた。
 だから、逆さ都市群が現れたとき、不謹慎ながら、ついに叔父の期待に応えられる時が来た、とチヨは思った。
 それなのに――

「彼女には、総理大臣を務めてもらう予定だ」

 尊敬する叔父の言葉にも、チヨはすぐには頷くことができなかった。

「不満、かね」

 チヨは首を振った。「まさか。……でも、不安、はあります。それも、総理大臣ということは」

「ああ。リーダーは彼女に、と考えている」

「彼女は本当に、ともに戦うのに値する人物なのでしょうか? それも、リーダーなんて」

「……あのー、本人が目の前にいるんですけど」

「反対、というわけか」

「とんでもない! 叔父様のなさることに反対などあるわけがありません!! ……でも、彼女は、あまりにも普通の女子高生のように見えます」

「……そうだな」と思案して、すぐに叔父は続けた。珍しく、少し面白がるような口調だった。

「ならば、試してみようじゃないか」

「うーん。わたしの意思はどうなるんだろう……」

「あら、ナツメさん、嫌なの?」

「そんなことないよ。これで認めてもらえるなら、まあいいかな、って思ってるけど」

 チヨとナツメが対峙しているのは、科技葉原Q-BOXの一角にある戦闘訓練用の施設だった。2人はそこで特別にデジスキンを身に纏まとい、共に

訓練用の武器を手にしていた。

「それでは、はじめ!」

 ヨシトキの合図で、チヨとナツメが同時に動く。
 剣を手に猛然とナツメが、チヨの元に駆け寄る。
 たしかに速い。デジスキンのおかげか。あるいは政痕によって力が引き出されているのだろうか。
 だが、それだけだ。

 チヨは直線的に接近するナツメに弓で狙いを定めて、つがえた矢を続けざまに放った。ナツメは素早く身を翻し、1射目を躱してみせたが、

「痛ッ、痛ぃッ!」

 チヨは彼女の動きを先読みし2射目、3射目を命中させてみせた。

「そんなあ……」

 いくら政痕を持っていても何の覚悟も訓練も受けていない人間にはやはり無理なのではないか。そうヨシトキに問いかけようとした時、

「よーし! もう1回! ね、もう1回やろう!!」

 勢いよく立ち上がりナツメが笑顔で言った。
 あまりの立ち直りの早さ、前向きさに、思わず戸惑いの視線をヨシトキに送ってしまった。叔父はチヨに向けて小さく頷いてみせた。

「……わかりました」

 そして、先ほどとほぼ同じ光景が繰り返された。 ナツメが挫けた様子を見せることもなく立ち上がり、もう1度と要求するところまで。
 そしてそれは、この後何10回と繰り返された。

「……もういい加減、諦めたらどう?」

 だがチヨの言葉に、ナツメは額から滝のような汗を流しながらも、これまでと同じように屈託のない表情で立ち上がり、指を1本突き出した。

「……まったく、どうしてそこまで……」

「だって、このままじゃ、チヨはわたしのこと認めてくれないんでしょ? それじゃ困るから」

「そんなに、内閣総理大臣になりたいの」

「なりたい」

 思いがけず、強い言葉が返ってきた。

「おかーさんやおとーさんを、街のみんなを、一刻も早く元の生活に戻したい。わたしに、もしできることがあるなら……この、政痕とかいうもののおかげで、わたしにならできるなら、総理大臣にだって、なんだってなるよ」

 チヨは少し、認識を改めた。

「命の危険があるのも、わかってるのね?」

「うん。わかってる」

「なら、証明してみせて。覚悟だけじゃなく、あなたに魔物と戦うだけの力があるということを」

 何度目だろう。ヨシトキの合図とともに、ふたたびナツメが走り出した。さすがにもう100回以上繰り返しているだけあって、ナツメは的を絞らせまいと、左右にステップを踏み、次々とチヨの放った矢を躱していく。

 弓を引き絞る腕が重い。呼吸も荒くなる。
 それでもチヨは、決して攻撃の手を緩めない。
 だが、先に体力が尽きかけていたのはチヨの方だった。疲労のためか思わず手を滑らせ、つがえようとした矢を取り落としてしまった。

 次の瞬間、疾風のごとく迫ったナツメの刃が、チヨの首元に突きつけられていた。

「それまで」とヨシトキの声が室内に響いた。

 100数度目にして初めての、チヨの負けだった。

「うわー、痛い。あざ、できてるかなあ」

 地面にへたり込み、ナツメが悲鳴をあげている。
 チヨは今度は自分から、そっと手を差し出した。

「え……それじゃあ?」

「ええ」と答えて、チヨは続けた。「これからよろしく頼むわ、ナツメさん、ううん、ナツメ」

 さすが叔父の選んだ人材だな、と思った。長くつらい戦いが続くであろうこの電脳戦術内閣に、ナツメは最も必要なものを持っている。
 強い意志。諦めない心。

「でも、本当にわたしが総理でいいのかな?」

 差し出した手を握り返してきたナツメが、少し申しわけなさそうに訊ねてきた。

「チヨの方が総理大臣にふさわしいんじゃ――」

「いいえ」

 と、すぐさまチヨはナツメの言葉を否定した。

「ねえ、ナツメ。前の官房長官の名前、知ってる?」

「え?」とナツメはあからさまに焦った顔になり

「え、えーと、その、うーん……」と唸りだした。

 チヨは嘆息した。
 官房長官として、総理大臣を支えていく役割を果たすこと。それが、チヨが、ずっと思い描いていた目標だった。そう、前内閣で総理を支え続けた前の官房長官……叔父のヨシトキのように。
 与えられた道をただ歩んでいるだけだとは思わない。
 これこそが、チヨが自分で選んだ道なのだ。

『塔亰クランプール』

【豪華特典付き!】『塔亰クランプール』電撃スペシャルパック、好評につき2次予約受付中!

 電撃屋にて、“電パイル”の第1弾タイトル『塔亰Clanpool(トウキョウ クランプール)』電撃スペシャルパックの予約を受付中です。

 電撃スペシャルパックを紹介する特設サイトもオープン。上のバナーからぜひご確認ください。なお、『塔亰クランプール』電撃スペシャルパックには下記の3大特典が付属します。

【電撃スペシャルパック 3大特典】

●プロダクトコード“マイクロビキニスキン”

●プロダクトコード“エーテル感応【艶】”

●ナツメB2タペストリー

 電撃スペシャルパック(通常版)には、ゲーム本体と予約特典に電撃限定特典が付属。電撃スペシャルパック(限定版)には、ゲーム本体と予約特典、限定版特典に電撃限定特典が付属します。

電撃スペシャルパック 3大特典

プロダクトコード“エーテル感応【艶】”

 ヒロインの体をタッチして、生命力の根源“エーテル”を注ぎ込むシステム“エーテル感応”。“エーテル感応【艶】”は、本来白いレオタードを着ておこなうエーテル感応を、露出度の高い紫のレオタードでおこなえる特別なプロダクトコードです。

『塔亰クランプール』
『塔亰クランプール』
『塔亰クランプール』
『塔亰クランプール』
▲“エーテル感応【艶】”を使用した際の設定画。

⇒“エーテル感応”の紹介動画はこちら

プロダクトコード“マイクロビキニスキン”

『塔亰クランプール』
▲“マイクロビキニスキン”の設定画。ヒロインたちを布面積の小さいビキニ姿に!

 ヒロインたちが変身し戦うための特殊スーツ“デジスキン”。その電撃オリジナルバージョンとなる“マイクロビキニスキン”が手に入るプロダクトコードが付いてきます。

ナツメB2タペストリー

『塔亰クランプール』
▲タペストリーのイラスト。

 主人公である美少女総理“神貫ナツメ”の、まなみつさん描き下ろしB2タペストリー。服がはだけたちょっぴりエッチなイラストがあしらわれています。

限定版特典&予約特典

 電撃スペシャルパック(限定版)を購入すれば、コンパイルハート公式の予約特典と限定版特典の両方が、電撃スペシャルパック(通常版)を購入すれば予約特典が付いてきます。ここでは、その内容も紹介します。

【予約特典】超限定“メイドスキン”プロダクトコード付きイラストカード

『塔亰クランプール』
『塔亰クランプール』
『塔亰クランプール』
『塔亰クランプール』
▲“メイドスキン”の設定画。

 メイド服のデジスキンが手に入るプロダクトコード。電撃屋で購入すれば“マイクロビキニスキン”と合わせて2つのデジスキンがゲットできます。

【限定版特典】4大豪華特典が付属!

●まなみつさん描き下ろし特典収納BOX

 まなみつさん渾身の描き下ろしイラストをあしらった特製BOX。イラストはヒロインの4人です。

●スペシャル設定原画集

 ここでしか見ることができない秘蔵のイラストが満載。ファン必見の設定原画集です。

●ミニサウンドトラックCD

 本編のBGMから選りすぐりの楽曲を収録した、ミニサウンドトラックです。

●お風呂ポスター4枚セット

 ぎりぎりの部分が泡で隠れたイラストを使用した、ナツメたちのおふろポスター4枚組みです。

『塔亰クランプール』
『塔亰クランプール』
『塔亰クランプール』
『塔亰クランプール』
▲ナツメのおふろポスター。

⇒『塔亰Clanpool』電撃スペシャルパック(初回限定生産版)はこちら

⇒『塔亰Clanpool』電撃スペシャルパック(通常版)はこちら

※特典のデザインは変更になる可能性があります。あらかじめご了承ください。
(C)2017 COMPILE HEART

データ

▼『塔亰Clanpool』(通常版)
■メーカー:コンパイルハート
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:ダンジョンRPG
■発売日:2017年10月5日
■希望小売価格:6,800円+税
▼『塔亰Clanpool』(限定版)
■メーカー:コンパイルハート
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:ダンジョンRPG
■発売日:2017年10月5日
■希望小売価格:8,800円+税
▼『塔亰Clanpool』(ダウンロード版)
■メーカー:コンパイルハート
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:ダンジョンRPG
■発売日:2017年10月5日
■希望小売価格:6,000円+税

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