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2017年9月3日(日)

『モンスターハンター:ワールド』では究極の映像美を実現。レンダリング技術とGPU最適化

文:電撃PlayStation

 8月30日~9月1日にかけてパシフィコ横浜で開催されたゲーム開発者向けカンファレンス“CEDEC 2017”。このイベントでは、2018年初頭に発売予定のPS4用ソフト『MONSTER HUNTER: WORLD』についての講演が行われました。

 講演のテーマは“『MONSTER HUNTER:WORLD』のレンダリング技術とGPU最適化の紹介”。ここではそんな講演の内容についてのレポートをお届けします。

自然界の美しさをとことん追求

 本講演の前半は『MONSTER HUNTER:WORLD』の描画システム開発を担当する岩崎秀介氏が、本作の制作に使用している描画技術について紹介しています。

『CEDEC 2017』
▲講義の前半を担当する岩崎秀介氏。
『CEDEC 2017』
『CEDEC 2017』

 本作の描画でとくに気をつけていることは、“自然界を美しく表現”、“キャラクターをかわいく表現”、“密度感(情報量の多さ)や透明感を重視”であると話す岩崎氏。

 自然界を美しく表現することにについては、草木、空、星、水、海など、グラフィックの制作過程や方法を画像や動画とあわせて説明しています。

『CEDEC 2017』
『CEDEC 2017』
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▲草木は風やキャラクターの草の掻きわけの動きなど、リアルな動きにこだわって制作したと解説。
『CEDEC 2017』
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▲4層構造で制作されている空の制作過程を解説するとともに、実際に雲が流れ時間が経過していく例を紹介していました。
『CEDEC 2017』
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▲夜空に浮かぶ星の制作では、乱数で時間に応じた煌きを与えるなどの工夫がなされている模様です。
『CEDEC 2017』
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▲キャラクターが水面に入った時にしっかり動きに反映されるなどリアルさにこだわった設計になっているようです。
『CEDEC 2017』
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▲さまざまな技術を合成して作られている海。その制作の流れを画像と合わせて解説。

 キャラクターのかわいさについては、キャラクターの顔の造形やアイルーなどの毛(ファー)の表現に使用されている技術について紹介していました。

『CEDEC 2017』
『CEDEC 2017』
▲キャラクター造形についても、細かいところまでこだわりぬいて制作されているということが伝わってきました。

 続いて、透明感を表現するために使われている、半透明を不透明で疑似的に表現する手法であるアルファディザについて解説。

『CEDEC 2017』
『CEDEC 2017』
『CEDEC 2017』
▲アルファディザを使うことのメリットとデメリットを紹介。
『CEDEC 2017』
『CEDEC 2017』
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▲木を透明に表現することでカメラワークの問題が劇的に改善されたとのこと。

 そのほか、HDRディスプレイに対応するために行われている、チェッカーボードレンダリングなどのさまざまな描画技術や工夫について解説。その確立に至るまでに行ったさまざまな試行錯誤を語っていました。

『CEDEC 2017』
『CEDEC 2017』
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▲前述したアルファディザとチェッカーボードレンダリングの相性の悪さをどう克服したのか、その解決策について解説。

幾重もの工程を経て制作されるグラフィック

 講演の後半では、『MONSTER HUNTER:WORLD』の描画プログラムを担当しているヴォングサイ キティ氏が、グラフィック表現に用いられている各種技術やGPGPUの基本アルゴリズム、統合の最適化などをテーマにお話ししていました。

『CEDEC 2017』
▲講演の後半を担当するヴォングサイ キティ氏。
『CEDEC 2017』

 光の表現などさまざまなこだわりぬかれたグラフィック表現の追求により、リアルで美しい世界を実現した本作、その制作過程をフローチャートにしてひとつずつ丁寧に解説。

『CEDEC 2017』
『CEDEC 2017』
『CEDEC 2017』
『CEDEC 2017』
『CEDEC 2017』
▲10以上に及ぶ制作の工程をフローチャートにして公開。それぞれに例の画像などとあわせて丁寧に説明。

 さらに、処理の最適化を図るために用いられる手法であるGPGPUの基本アルゴリズムや、高速化の手法について語り、講演を締めくくりました。

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