News

2017年9月5日(火)

ルシフェル役の竹内良太氏もコラボに参戦!? 『ザ・ロストチャイルド』クリエイタートークレポート第3回

文:電撃PlayStation

 オカルト雑誌のライター伊吹隼人となり、天使と悪魔と堕天使が争う“天魔抗争”を神に選ばれた“選民”として生き抜いていくPS4/PS Vita専用ソフト『The Lost Child(ザ・ロストチャイルド)(TLC)』

『The Lost Child』

 『エルシャダイ』の系譜を受け継ぐ“神話構想RPG”である本作の発売を記念して、本作のプロデューサー、竹安佐和記氏が運営するギャラリーエルシャダイに、竹安さんに縁のあるクリエイターがひそかに集結。

 竹安氏を囲み、『エルシャダイ』にまつわる昔話から『TLC』に対する熱い想いまでざっくばらんに語る、特別な夜となりました。今回はその様子の第3弾をお届けします。

神話構想の夕べ
~『The Lost Child』発売記念スペシャルフリートーク~

【第1弾】『エルシャダイ』回顧録、そして『TLC』へ ~『TLC』生誕の秘密に迫る~

◆参加者:
角川ゲームス 竹安佐和記氏
(『TLC』プロデューサー・キャラクターデザイン)

株式会社Groove 代表 竹下和広氏
(元Ignition Entertainment Ltd.日本支店代表)

角川ゲームス 長谷川仁氏
(『TLC』開発ディレクター)

⇒第1弾の記事はこちら

【第2弾】クリエイター同志対談 ~今、新しいって何?~

◆参加者:
角川ゲームス 竹安佐和記氏
(『TLC』プロデューサー・キャラクターデザイン)

ソニー・インタラクティブエンタテインメント 外山圭一郎氏
(『GRAVITY DAZE』シリーズ ディレクター)

⇒第2弾の記事はこちら

【第3弾/本記事】0Gauge(竹内良太、寺島愛、プログラマ寺島博樹)×『The Lost Child』 ~こんなコラボで大丈夫か? 大丈夫だ、問題ない~

◆参加者:
角川ゲームス 竹安佐和記氏
(『TLC』プロデューサー・キャラクターデザイン)

0Gauge(ゼロゲージ)バンドメンバー 寺島愛氏
(竹内良太(ルシフェル役)代理。現在『TLC』プレイ中かつコラボ楽曲制作者)

『The Lost Child』
▲写真左から順に、寺島さん、竹安さん

 今回の対談では、竹内良太さんの代理として寺島愛さんが対談に参加。竹内さんは、本作の発売を祝うメッセージビデオを発売に先駆けて全世界へ公開しました。

⇒竹内良太さんの“The Lost Child応援メッセージ・コラボ楽曲のお知らせ”動画はこちら

竹内さんをイベントに慣れさせるために始まった“0Gauge”

──まずは、寺島さんと竹安さんとの出会いのきっかけから教えてください。やはり、お2人とも竹内良太さんがルシフェル役を演じられたのがきっかけとなって交流が始まったのでしょうか?

寺島:そうですね。『エルシャダイ』からの関係です。

竹安:思い返してみると飲み会で寺島さんと出会って、竹内さんから「この人が奥さんです」と紹介されたのが初めてですね。そこから、こうした場で対談することになるとは思いませんでした。

──竹安さんと出会ったころから、コラボレーションした楽曲を作る話が持ち上がっていたのでしょうか?

寺島:いえ、とくにそういった話はなかったです。そもそも、0Gauge自体が『エルシャダイ』をきっかけにして生まれたユニットなんですよ。最初は、私と弟で小さく音楽活動をしていたのですが、良太がルシフェル役になったことで一気に知名度が上がりました。

 それまで、良太自体は“声優は裏方の仕事であるべき”という意識がすごく強いタイプだったんです。今は、声優でそういう人は少なくなっていますが、もともと良太は「声優が表に出ないほうがいい。イベントにもまったく興味がない。出なくていい」というタイプでした。

 そんな彼がルシフェル役に決まって「この人は、これからイベント出演が増えるだろうな」という予感はあったのですが、いろいろなイベントに出ても、案の定全然しゃべれない(苦笑)。竹安さんたちがしゃべっているところに相槌を打っているだけの姿を見て「声優としてゲストに呼ばれているのだから、みんなその声を聴きに来ているんだよ?」という話をしました。

 このままではいけないと思って、良太をイベント慣れさせるため、私たち2人に良太を加えた3人でユニットを作ったのが0Gaugeの始まりですね。

 最初は、私たち2人がお世話になっていたライブ会場で、良太をイベント慣れさせるためにゆるく始まったのですが、彼がルシフェル役をやったことでお客さんも増え、気が付けば約7年続いています。

『The Lost Child』

竹安:0Gaugeのライブは、ボクも何度か行かせてもらいました。たぶん、ほとんど寺島さんには気づかれていないと思います。気づかれないように端っこの見えないところから見ていますので。

寺島:え、何度も来られてたんですか!? 言ってくれればいいのに!

竹安:だって、関係者が「今日来たよ」みたいに言って、堂々と見ちゃうと寒いじゃないですか。だからなるべく末席や入口からこっそり見てるんですよ。それでも、2回くらい寺島さんには見つかっていて、この前も正面の席しかなくてバレちゃいました(笑)。

寺島:全然、嫌ではないですよ(笑)。

竹安:でも、舞台の空気感が変わっちゃうじゃないですか。ボク自身、そういう状況で知っている人に来られると嫌なので、なるべくバレないようにしているんです。

寺島:竹安さんは、私たち声優の立場からすると使っていただいている側の方ではありますが、『エルシャダイ』の時からよく一緒にご飯を食べに行ってますし、変な緊張感はないですよ。逆に、こちらとしても無理に「声優として使ってください!」という気持ちはないですし、竹安さんも良いと思わないと使わないタイプの方だと思っています。

竹安:もちろん、0Gaugeのライブに行くのは単純に好きだから、という理由もあります。ボクは、何かに取り組んでいる人や活動している人を見るとワクワクするんです。そういう活動って、圧倒的にリスクを背負っていて怖いじゃないですか。そうした怖いことをやる人ってすごく好きなんですよ。

 自分の中では怖いことをやる人へは2つの気持ちがあって、1つはボク自身も同じようなことをやっているから「ざまあみろ」と思う気持ち。もう1つは、そうした道を行く人がいるとワクワクして楽しい気持ちがあります。

 OGaugeさんのようなユニットはあまりいないので見ていて楽しいですし、ライブをやる会場も大きいところを借りてやれるのはスゴいことです。物販も自分たちでやられているので感心していて……そういうところばっかり見てます(笑)。

『The Lost Child』

寺島:物販は、売れているバンドの方でも自分でやっている人たちがいますよ。それを見るとファンがすごく喜んでいるんです。私たちとは人数のケタが違いますから、2時間や3時間も物販のために待たなければいけないのに、それでもみなさん並んでいるんですよ。それくらい、うれしいことなんだという実体験からきてます。

 私はもともとバンドが好きなのですが、それに加えて私たちは声優をやっているので、一応芝居ができるのも大きいですね。“ポエトリーリーディング”という音楽に合わせて詩を読む手法があるのですが、96年くらいにBUCK-TICKさんがやっているのを聞いて「うわあ、これはいい!」と思ったんですよ。

 普通のバンドはボーカルの人が芝居をやっているわけではないのですが、リズム感と声の良さで面白いポエトリーリーディングができあがっています。ではもし、声優がポエトリーリーディングをしたら、別の良さや完成度が出るのではないか? そう思って実際行動してみるなど、基本的にやりたいことがあったら自腹を切る、という感じで活動しています。

 もともとは良太をイベント慣れさせるところから始まったはずなのですが、気が付いたらそういう方向に行っていて、ゲストにほかの声優さんを呼んでドラマをやったり、アテレコをやったりと、ライブで本当にいろいろなことをやるようになりました。……チャーハンを作ることもあるんですよ(笑)。

──え、チャーハンを作ってるんですか?

寺島:少々、グレーなラインなのですが、厨房のあるライブハウスで良太がチャーハンを作り、じゃんけん大会をして勝った人にごちそうするんです。こんな感じで、いろいろやって長いこと続いちゃいました。

 曲も自分たちで作れますし、サイトも自分たちで作れますし、そういった面では自腹を切ることで楽な部分はありますね。ちなみに、弟は数学が好きで数学科のある大学に進学したのですが、なぜか卒業したら曲が作れるようになっていました(笑)。

「もしも、アニメになったら……」というifの想像から作られたタイアップ楽曲

──今回、『TLC』のタイアップ楽曲を作られることになりましたが、どのようなきっかけでコラボが成立したのでしょうか?

竹安:じつは、昔からずっと0Gaugeとボクで何か一緒にできたらと思っていたんですよ。ただ、インディーズでこじんまりしてしまうのもアレですし、どこかメジャーな場面で関われたらいいなぁと考えていました。

 今回は角川ゲームスがボクにプロデュースを任せたいと言ってくれたので、会社に提案してみたら実現できた形ですね。タイミングが合ったということですが、じつは前からじわじわ狙ってはいました。

『The Lost Child』

寺島:ええっ、そうだったんですか!?

竹安:そうじゃなかったら、何度もライブに行かないですよ(笑)。

寺島:確かにそうかも(笑)。タイアップ楽曲に関しては現在鋭意製作中で、この間やっと歌詞と曲の1番までが完成したところです。うちは結構珍しいパターンなのですが“詩先”といって、詩を先に書くんですよ。最近の音楽は、ほとんど曲が先行なのですが、うちの弟は詩が先に合るほうが曲を作りやすいというので、詩先で作っています。

──ちなみに『TLC』は、もうクリアされましたか?

寺島:それが、まだできていないんですよ! 詩を書くのに、どうしてもゲームをクリアしてから書きたかったのですが、もうこのままじゃ締め切りに間に合わないと悟ったので、竹安さんにLINEで「テーマはこれで間違いないでしょうか?」と聞いちゃいました。竹安さんからは「間違いないです」という返事が返ってきたので、そこから急いで作詞をしています。

──寺島さんが考える『TLC』のテーマって、どういう内容だったのでしょうか?

寺島:このゲームには天使たちが出てくるのですが、彼らの言っていることって正しくなくて誰かに従っているだけのように聞こえるんですよ。天使だからって正義とは限らないのでは、といったようなことを話しました。

竹安:自分は正義って、要は先進国の屁理屈だと思ってるんですよ。結局、正義は自分たちが見てきた過去景色からしか出てこないものですよね。『TLC』では、いろいろな経緯の人たちが出てくるので、自分たちの見てきた景色が違うから正義と正義のぶつかり合いになってくるんです。

 そこで結局、誰の正義が強いかと言ったら、一番強いやつの正義が強くなってしまう。だから、言ってることはあってると思います。とはいえ、ゲームなので共感を得るのであれば、やはり主人公側の正義が一番近いと思いますよ。ラスボスの理屈で曲を作っても……ってなっちゃうので(笑)。

『The Lost Child』

寺島:でも普段の0Gaugeは、どちらかというと敵側の作詞が多いかもしれません。私が根暗なタイプなので、世への恨みつらみが詩になることが多いですね。

 今回は、基本的に主人公目線の曲なので、ルアちゃんと恋愛になるのかな、ならないのかなという部分をにおわせてみたり、「がんばるぞ!」という前向きなところをあえて入れました。意外と、これまでの0Gaugeにはない曲調かもしれません。

『The Lost Child』

──それは楽しみです。ところで、ゲームをクリアするまでは進められなかったとのことですが、現状では、どのくらいの進行度まで行ったのですか?

寺島:ダンジョンは皆神までです。私ってRPGが好きなのですが、とくにコンプリート欲をそそるタイプのRPGが大好きで……。

竹安:ああ、それだとクリアまでに時間がかかってなかなか進みませんね(笑)。

寺島:マップを全部埋めないと気が済まないですし、敵にエンカウントしようが何しようが全部のマスを埋めながら進めちゃう。ただ、もうコレは締め切りに間に合わないと思って、竹安さんにゲームのテーマを聞きました。

 竹安さんには絵でいうラフ画みたいな状態の楽曲を聞いていただいているのですが、結構壮大な感じに仕上がっていますよ。“『TLC』がアニメになった場合のオープニングテーマ”というイメージで作っていて、良太が歌うところはルシフェルっぽい言葉回しにしていたりと、聞いていて面白い楽曲になっていると思います。

『The Lost Child』

竹安:ゲームが発売した後の、いいファンサービスになってくれると思っています。

──タイアップ楽曲は、これから、どのような形でお披露目する予定なのでしょうか?

寺島:今は竹安さんがアニメーションをつけているところで、12月にCDを発売する予定です。初お披露目は、9月のニコ生かな? 曲自体は、間違いなくそこまでに間に合うと思います。

竹安:9月22日は竹内良太さんの誕生日なので、今「ギャラリーエルシャダイでニコニコ生放送の配信をしませんか?」と竹内さんを誘っているところなんです。そこで、楽曲を発表できたらいいかなと考えています。

寺島:良太が動画を作れるので、うちのチャンネルで流しても良さそうですよ。ただ、うちは絵を描ける人が欠落していてアニメーションはできませんし、うちで作る場合は写真素材を使ったPV的な動画になると思います。

──それにしても「もし『TLC』がアニメ化したら」と考えて、架空のオープニングテーマとして曲を作るという発想がユニークですね。

寺島:じつは、0Gaugeの曲作り自体がキャラクターを作って設定を立て、そのキャラクターの物語を作っていくというやり方なんです。“もしも、そのキャラクターたちがアニメ化されたら、きっとオープニングはこういう曲になる”というイメージをテーマにして作ってきたので、そういう意味では0Gaugeならではの作り方だと思います。

 今回は題材をいただいているのでやりやすかったです。今までは私が題材を考え、それをもとに“もしもアニメになったら”という妄想で曲を作ってきたのですが、今回は『TLC』というタイトルで、私は三回目の厨二病をこじらせている感じですね(笑)。

『The Lost Child』

竹安:『The Lost Child』というタイトル自体は、開発ディレクターの長谷川さんが考えたものです。ボクがいろいろとこういう設定はどうですかと話したら、じゃあ『The Lost Child』というタイトルにしましょうと言われました。子どもたちを失っていくというテーマは、ゲームの中にも少しありますね。

──知らなかったです。ちなみに、タイアップの曲に竹安さんが絵をつけられるとしたら、どんなイメージになりそうですか。

竹安:絵をつけるというよりは、ゲーム中の素材を組み合わせたPVのような動画を作ろうと考えています。ユーザーが見て妄想が膨らむようなものになったらいいと思っていて、次の2次創作が広がるきっかけになってくれるとありがたいかな、と。

懐かしく、新しい世代には新鮮に映るRPG

──寺島さんは楽曲作りのために『TLC』をプレイしていますが、遊んでみた感想はいかがでしたか?

寺島:私は大好きですよ! マップを埋める感じとか、好きなアストラルをどんどん強化していく感じが懐かしくて。ただ、私の場合は仲間になるアストラルを全部捕まえて、全員カンストさせていくタイプなので、すごく大変で(笑)。『女神転生』シリーズも好きなので、最初はそれっぽいかなと思っていたのですが、遊んでみると全然違うんですよね。

 やりこみ要素の深さや量も昔のゲームとは全然違っていて、データがいっぱい入るからこそ、いっぱいできるという楽しみもありますね。私はファミコン世代で、ここをもっと知りたいのに……という歯がゆさを感じながらも、自分で妄想して補完していく世代なのですが、そうしたやり込み要素はいっぱいあればあるほど、ハッピーじゃないですか。

 そういう意味ではまさにピッタリなんですけど、ルルイエロードにはびっくりしました。「ニャルラトテップはここで出てくるのか!」みたいな。でも、ファミコンのゲームって、ああいう残酷さがありましたよね。

 世代じゃない人たちには逆に新しいと思えるゲームだと思いますし、私たちの世代にとっては懐かしさを感じつつ、昔ではできなかったやり込み要素を楽しむ部分もあって本当にオススメできるというか、現在進行形で楽しんでおります。

 それから、私は事前にソフトを渡していただいていたので、ネットにいっさい情報がない状態で、自力で攻略方法を考えることができたので、そういう楽しみ方もできました。ただ、残念ながら良太はRPGがすごく苦手なんですよ。

──それは知りませんでした。アクションのほうが得意なんですか?

寺島:ええ。『エルシャダイ』のようなアクションやシューティングのほうが得意です。良太は弾幕シューティングが大好きなんですけど、私は全然できなくて隣で見ている感じです。

 今回はRPGなので、今のところ良太のほうが全然わかってないですね。「えっ」となっているので、逆に私がプレイして詩を書いている感じですね。どうも、良太は人の話を細かく聞いて、次を導き出すのが苦手みたいです(笑)。それより、触ってその場で倒す直感的なのが好きみたいですね。私はまだクリアできてないので、これからどうなるのか楽しみなのですが、ギャラリーエルシャダイの絵がネタバレだらけなのではないかとドキドキしてます(笑)。

竹安:ネタバレはあります(笑)。だから、今回の個展って絵にキャプションを入れてないんです。入れるとネタバレになるから。

寺島:ああ、やっぱり。『TLC』を遊んでみるとルシフェルは相変わらずルシフェルで、さすがルシフェルだって思いましたよ。個人的には近い人が中の人なので、芝居がうまくなったなあ、と(笑)。そんな思いがよぎるプレイ感想でした。

──ありがとうございます。ちなみに寺島さんから見て、竹安さんが作るゲームの印象っていかがでしたか?

寺島:『エルシャダイ』の時は、かなり新しかったですね。神話をもとにしたジャンルは私の知る限りでそんなになかったのと、ルシフェル役が決まる経緯も知っていたので「こんなに大事な役を簡単に決めちゃうんだ!」って思っていました。

 ただ、実際に良太とルシフェルはピッタリ合っていると、身内ながらに思っていた部分もあります。あとは『エルシャダイ』の独特な色感。あれが大好きなんですよ。個人的な趣味になってしまいますが、あの色合いが本当にたまらなく好きです。

 でも、私はアクションゲームが苦手なので、自分ではクリアできずに中盤くらいで諦めちゃうんですよね。『エルシャダイ』もクリアできなくて、いつも良太にプレイしてもらって、ずっと隣で眺めて「いやあ、きれいだな」って言ってました。「面白い」とか「声優さんが素敵」とかではなくて、本当に奇麗だな~と思いながら見てましたね。

竹安:それでもいいんですよ。当時は、ゲームのテーマの1つに“遊ばなくても楽しい”という、作り手からしたら一番イヤなテーマも取り上げられていました。もちろん『エルシャダイ』もそのテーマは入っています。

 だから、『エルシャダイ』はゲームをやっていなくても好きという人がいる。動画すら見ていなくて、ボクのポスターしか見てなくても好きだと言ってくれる方もいるんですよ。

 ユーザーさんというのはいい意味でも悪い意味でもそういう人たちを想定しないとダメだ、とずっと思っていたので、コントローラを持つことで楽しいゲームも大事だけど、持たなくても楽しいと言ってもらえる画面作りにはこだわりました。

 だから、当時は開発チームに「画面が止まらないように」と言ってましたね。あまり語ると『エルシャダイ』の話ばかりになっちゃいますが……(笑)。

『The Lost Child』

──最後にお互いへのメッセージをお願いします。

竹安:これからきっと『TLC』でファンになっていただける方も出てくると思うのですが、そういう方々も今回作っていただけるコラボ楽曲を楽しみにしてくれたらうれしいです。ボクは、今ずっと神話構想をやっていますが、こういうのも神話構想の一環だと思っているんですよ。

 最近も、『TLC』の発売を記念してネフィリムセブン(※『エルシャダイ』に登場するキャラクター“ネフィリム”が結成したバンドのこと)のデビュー曲『Seven Dolls』をリリースしましたし。神話構想は、そういった杓子定規じゃない広がり方ができるコンテンツだと思っています。これからも、そういう風に広げていけたらいいですね。

寺島:ここに良太がいたら絶対騒ぐと思うので、竹安さんにはぜひ、神話構想の弾幕シューティングを出してほしいです(笑)。それから、我が家にとって『エルシャダイ』と“ルシフェル”の存在はとても大きいんですよ。

 今日も、出かける前に話をしていたのですが、良太は何事にも執着しないタイプでルシフェルに似ているんです。でも、彼が珍しく「もし、ルシフェルをほかの人がやったら悔しいなぁ」という話をしたんですよ。

 いつもだったら、そういうことがあったとしても「それは、そういう業界だから仕方がない」というタイプだったのに、良太の中でもルシフェルは本当に大きな役になっていたんです。それこそ、人生も変わりましたし、声優業で食べていけるようになったのもルシフェルのおかげだと思っています。

 私たちも、ルシフェルと『エルシャダイ』にまつわる何かしらが、末永く続いていけるよう、お願いしたいです。もちろん、今は竹安さんが権利を持っていらっしゃるので、その点は全然心配してません(笑)。今日はありがとうございました!

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 ちなみに、ギャラリーエルシャダイでは、『TLC』の発売を記念して、9月26日まで“ザ・ロストチャイルド展”を開催中。本作に興味をもたれた方はぜひこちらにも足を運んでみてください。

 なお、ギャラリーエルシャダイを運営したり、同人誌で神話構想を展開したりと、幅広い創作活動に対して常に意欲的な竹安さんのクリエイティブマインドは、5月12日にTKPガーデンシティ渋谷で開催された、“TOKYO SANDBOX 2017”の公演でも感じ取ることができました。お時間のある方は、本公演のレポートもあわせて読んでみてください。

(C)2017 KADOKAWA GAMES

データ

関連サイト