2017年9月11日(月)
スクウェア・エニックスは、PS4/Wii U/Wii/3DS/Android/PC用オンラインRPG『ドラゴンクエストX オンライン』のプロジェクト“冒険者たちのきせき”の第2弾として、実写ドラマ“EPISODE2.「どの職業で戦うか迷う話」”を公開しました。
“冒険者たちのきせき”は、『ドラゴンクエストX オンライン』のサービス開始から5年間の“軌跡”の中で、実際にプレイヤーが体験した“奇跡”のエピソードをもとに映像化を行うプロジェクトです。
8月21日に公開されたオリジナルアニメ“EPISODE1.「名前の想い」”に続く第2弾は、主演に本郷奏多さんを起用した約22分の本格実写ドラマとなっています。
ドラマでは、本郷奏多さんが演じる主人公が、『ドラゴンクエストX』を通して知り合った女性とのゲームプレイやチャットでの交流を通じて、現実世界の自身について見つめなおしていく様子が、事細かな心理描写とともに表現されています。
また、特設サイトでは、実写ドラマの公開にあわせて、映像制作の基となった投稿者のエピソード原文なども公開されています。
少なからず働く意欲があるものの、定職についていない主人公は、『ドラゴンクエストX オンライン』のゲームを通じ、看護師の仕事をしている女性プレイヤーと知り合います。
主人公は、ゲームの世界では“僧侶”として仲間を強敵から救い、彼女からも頼りにされている存在でしたが、現実世界ではゲームの世界での役割とは程遠いような生活を送っていました。
そして、その女性プレイヤーとのチャットの中で、彼女が育児と両立しながら、看護師として“人助け”をしていることを知ります。
その事実を知った主人公は、自分の現実世界での生活に対して葛藤を抱き、自身について見つめなおしていきます……。
『DQX』内では“人と人”のコミュニケーションが楽しまれています。見た目はゲームキャラであっても、しゃべっているのは生の人ですから、リアル世界と同じく、思いがけない一言に励まされたり、気づかされたり、時には人生に影響を与えられることもあります。
このミニドラマで描いたのはその実際のお話ですが、生き方を大きく変えることとなった出来事なので、ユーモラスさを多少交えながらも、全体として真摯な表現であるよう努めました。
ずっと好きだった『ドラゴンクエスト』にかかわることができてうれしいです。じっくり時間をかけて撮影したので、いい作品になっていると思います。映像がとてもきれいだと思いますので注目してください。
もともと『ドラゴンクエスト』とオンラインゲームが大好きだった本郷奏多さん。
本作品が出ることを知った時は「衝撃的でした。『ドラゴンクエスト』は今までは1人でプレイするゲームでしたので、どうやってオンラインでみんなとプレイするのかとても気になりました」と、発売をワクワクしていた様子でした。
『ドラゴンクエストX』のお気に入りの遊び方について、本郷奏多さんは「釣りが好きです。釣りバトルのシステムのクオリティが高く、とてもおもしろいと思いました。ゲーム内の友人からは、いつも釣り竿を持ち歩いているため、笑われます」と答えていました。
3日間の現場で約60時間の撮影を行った本郷奏多さんは、撮影での印象に残っていることについて、「李監督とお互いのキャラクターのバックボーンも共有し、監督の細かい設定や深いこだわりなどを丁寧に演じていきました。なるべく監督のイメージを体現できるよう、ワンカット毎にキャラクターの心情を話し合い演じていくことができました」と話していました。
「ナースなんだ」とウェディ娘は言うのだった。部屋でひとりゲームに興じていた僕には、あだっぽく聞こえた。
一緒にパーティーを組んでボスモンスターと戦っている最中だった。ゲーム内では僧侶の僕はその夜、いつもより丁寧に、彼女にホイミをかけた。
『ドラゴンクエスト』は楽しいけれど、ゲームを終えればたちまち現実が押し迫ってきて、向き合わざるを得ない。
僕は無職だった。派遣のアルバイトで日銭を得て、どうにか暮らしをつないでいるが、年をとっていくことが不安だった。
年をとるということは、親が老けるということや同級生たちが立派になったり結婚したりしていくことを含んでいる。流れていく時間が、恐ろしいのだ。
ドラゴンクエストは幅広い年齢層に人気のゲームだ。
「今日は学校の授業参観日だったよ」世間話のつもりで話すウェディ娘だったが、聞いているうちに、親として参観日に臨んだらしいとわかった。僕の想像とは食い違ってきた。
「子どもが小学校に入るとたいへん」ウェディ娘の言葉が、僕の胸に刺さった。ひとつはウェディ娘が妙齢の乙女ではないことだ。それはいい。
それよりも、僕の親もこのように僕を育てたのだろうと予感させられたことだ。僕は子どもとして参加したことしかないが、参観日には当然、子ども以外の視点もあるのだ。
今まで気付かずにいたことがショックだった。さらには、小学生というものは年々と学年が上がっていくが、僕は変わらぬ今を生きている。
僕には季節がないような気がした。就職しようと考えた動機は、そんなところだった。仕事はなかなか見つからなかった。
やっと見つけた就職先は介護職だった。それでもうれしくて、介護の仕事を始めたことをウェディ娘に告げた。
慣れない仕事で疲れてしまい、ゲームができない日も増えた。つとめて9カ月くらい経ち、ほんのわずか、ボーナスが出た。
うれしくてはしゃいだ。初めてのボーナスで親にプレゼントを買った。コーヒーカップだ。
やがて職場で何か介護にかかわる資格を取ってはどうかと教えられた。無資格でいるよりも、資格があるほうがいいらしい。
介護に関係する資格は山ほどあって、取得しやすいものもあれば、学校に通わねばならないものもある。何がいいのか見当もつかなかった。
そういう話をウェディ娘にすると「じゃあ、看護師は?」とすすめられるのだった。看護師には正看護師と准看護師があり、准看護師のほうなら僕にも達成できそうに思われた。
ウェディ娘が学生時代に使った教科書やノートがあるから、送ってあげてもいいと言ってくれた。『ドラゴンクエスト』内だけの付き合いだけど、3年以上も親交があるので、僕は住所を知らせた。
果たして、荷物は届いた。古くなり紙が柔らかくなった教科書ときれいな文字のノートだった。
青春の残り香のようなものが、感じられないでもなかった。来春から僕は夜間学校に通う。この教科書やノートが、きっとくじけそうになる僕を励ましてくれるだろう。
■“冒険者たちのきせき EPISODE2.「どの職業で戦うか迷う話」”概要
【尺】21分37秒
【公開日】9月10日
【出演俳優(敬称略)】本郷奏多
【監督(敬称略)】李相日
【制作(敬称略)】AOI Pro.
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