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2017年9月22日(金)

『塔亰Clanpool』電撃SPパック3次予約を受付中。連載小説第1~5話も無料公開

文:電撃PlayStation

 PS Vita用ソフト『塔亰Clanpool(トウキョウ クランプール)』の小説が電撃PSで連載中。ここでは、ショートストーリー第5回の全文掲載をお届けする。

⇒『塔亰Clanpool』の物語、キャラクターの紹介はこちら

⇒『塔亰Clanpool』小説連載第1回はこちら

⇒『塔亰Clanpool』小説連載第2回はこちら

⇒『塔亰Clanpool』小説連載第3回はこちら

⇒『塔亰Clanpool』小説連載第4回はこちら

 また、好評につき、プロダクトコード2アイテムとB2タペストリーが付属するの電撃スペシャルパック(限定版)の3次予約を受付中。数に限りのある本商品のご予約もお忘れなく!

⇒『塔亰Clanpool』電撃スペシャルパック(初回限定生産版)はこちら

⇒『塔亰Clanpool』電撃スペシャルパック紹介はこちら(2次予約時の記事)

【電撃スペシャルパック 3大特典】

●プロダクトコード“マイクロビキニスキン”

●プロダクトコード“エーテル感応【艶】”

●ナツメB2タペストリー

電脳戦術内閣ショートストーリーズ第5回 正義の忍者

「ええーっ?!」

 突然聞こえてきた声に「ホ、ホタル?!」と声の主の名前を呼びながら、ナツメは慌てて振り返った。
 すぐ後ろにいるはずのホタルの姿が消えていた。

「あれ? いない。チヨ、ホタルが―」

「きゃああああ―?!」

 不審を覚えたナツメは、同行しているチヨに声をかけようとしたが、視線を向けるよりも早く今度はチヨの悲鳴が聞こえてきた。

「チ、チヨ? どうしたの?! って、チヨまで??」

 消えていた。ホタル同様にすぐそばにいるはずのチヨの姿も、ナツメの視界から忽然と消えた。

「嘘、でしょ」ナツメはごくりと唾を飲み込んだ。

 不安と、それを上回る恐怖がナツメに襲いかかっていた。冷たい汗が、首筋を通って背中を伝っていく。
 もともとこの地区にきたのは、ナツメの提案だった。

「またレーダーに映ったはずの魔物がすぐに消えたらしい」

 科技葉原Q-BOXでその話を聞いたとき、もしかしたらまたそこに《政痕》の持ち主がいるかもしれない。ナツメは直感的にそう思った。
 そうしたわけで、チヨとホタルの3人でスカウトを兼ね、様子を見に来たのだが……。

「……ナツメ……ナツメちゃあん……」

「ホタル? どこ?」

「こっち……ここだよぉー」

「こっちって……ホタル!! って、ええ?」

 いた。よく見ると、ホタルがさっきまでいたはずの場所に大きな穴が空いていて、その中で尻餅をついているホタルの姿があった。

「どうして、そんなところに、落とし穴が?」

「そんなの、ホタルが知りたいよ~」

「ってことは、チヨも……?」

「……ナツメ。上」

 その声を追って、ナツメは視線を上げた。
 そこにチヨがいた。天地が逆の姿になって。すぐそばの電信柱から吊るされた網の中で、罠にかかった獣のようにチヨが宙づりになっていた。

「どうしてそんなとこに……」

「私が聞きたいわよ。足下で音がしたと思ったら次の瞬間……誰かが罠を仕掛けてるんだわ。ナツメ、あなたも、気をつけて」

 憤懣(ふんまん)やるかたないといったチヨの言葉に、ナツメは慌てて周囲を見回した。そして警戒しながらおそるおそる1歩足を踏み出して――カチッ。

「え? カチッて、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 何かが足首に絡みついたかと思うと、ものすごい上昇感がナツメの全身を襲った。気がつくと、目に映る世界が逆さまになっていた。

『塔亰クランプール』

「だから言ったでしょ……。もう、ナツメったら」

「み、身動きが取れない……」

「ちょっと?! どうしたの?! ホタル怖いよー」

 ナツメたちが三者三様に声をあげていると、強く地面を踏みしめる音が響いた。

「魔物たちよ、観念しナサイ! 人に隠れて悪を斬る、正義の忍者――って、あら?」

 ナツメたちの目には、白い忍者のような衣装に身を包んだ、金髪碧眼の少女が映っていた。
 少女は、困ったように眉根を寄せた。

「……あのー、アナタたち、どなたデスか?」

 ナツメは「あなたこそ、誰?」と返した。

「ワタシの名前は霧隠ミクリといいマス」

 4人はすでに場所を移動していた。ミクリと名乗った少女は、ナツメたちを仕掛けから解放した後、近くにある神社に3人を案内したのだった。
 とはいえ、すでに神主をはじめ神社の人々はシェルターに避難し無人となっていた。

「で、あれはどういうことなの?」

 チヨが少しむすっとした声でミクリに訊ねた。

「もちろん、魔物を捕らえるタメの罠デスよ」

「……ってことは、あなたが魔物退治を?」

「ハイ。これまでに2匹捕まえて倒しマシタ」

「いったい、どうやって、あんな罠を」

「ワタシ、たくさんニンジャの本を読みマシタから。ニンジャの本にはたくさん仕掛けが載っていマス。あれぐらいは簡単デスよ」

 チヨの質問に、誇らしげに胸を張ったミクリが答える。ナツメたちは顔を見合わせた。

「……《政痕》関係なかったみたいだね」

「やれやれ。まさかこんな原始的な方法で魔物を倒す人がいるなんて……」

「……あら、みなさん、お帰りデスか?」

「ええ、ちょっと当てが外れたので……ああ、そうそう、ミクリさん?」

「なんでしょう、ええと……チヨさん?」

「あなた、自分の力で魔物と戦うという意思は立派だと思うけど、ちゃんと政府の指示に従って避難してくださいね。あんな罠で、いつまでも魔物に対抗できるとは思えないわ」

「わたしたちは引っかかっちゃったけどね……」

 思わずつっこんでしまったナツメだったが、チヨに鋭い視線を向けられ慌てて俯いた。
 と、ふと自分と同じようにミクリも俯いた。

「それはできマセン」俯いたままミクリが言った。

「できないって、どうして?」とナツメ。

「シェルターに行けば、命は安全デス……でも、命は守れても、文化は守れマセン」

 ミクリは顔を上げてナツメにそう答えた。そして言葉を続ける。

「二ホンには素晴らしい文化がありマス。この神社のように、他にも、たくさん。ニンジャだって……でも、魔物はそうした文化を破壊しマス。あの国会議事堂のように。政府のみなさんは、国民は守っても、文化までは守ってくれマセンから」

「それで、自分で守ろうとしたってこと?」

 ナツメの言葉に、ミクリはこくりと頷づいた。
 ナツメたちは顔を見合わせた。これからナツメたちが、ミクリの言う政府となる。ナツメたちは二ホンを守るため、全力を尽くす覚悟がある。でも、文化を守るという意識まであっただろうか。

「そういえば、みなさんはどうして、自由に外を歩きまわっていられるのデスか?」

 その質問に、一瞬どう答えるかナツメは迷った。しかしミクリは信用できる相手だと判断して、正直に自分たちの正体と目的を明かすことにした。

 ミクリに対し、わたしたちが文化を守るとは簡単に約束はできない。わたしたちはまず、国を、国民の命を優先しなくてはいけない。でもそのうえで、どうか自分たちを信じて、期待して欲しい。ナツメは、そうお願いするつもりだったのだが……。

「アナタたちが、新しい内閣になるんデスか? だったらワタシも連れていってクダサイ」

 ミクリが強い口調でそう言い出した。想定外の反応に、ナツメは驚いた。

「ううん、ごめんねミクリ。誰でも連れていくってわけにはいかないんだよ」

「さっきも説明したように、内閣に参加できるのは《政痕》を宿している者だけなの」

 よくわからないと、ミクリが首を傾げる。ナツメはチヨとホタルと視線を交わし、頷き合った。そして互いに手を触れ合う。
 じんわりと、額に熱いものを感じ、自身の、そしてチヨやホタルの呼吸が荒くなる。

「ほら、これが《政痕》だよ」

 自身の額を向けながらナツメは言った。
 ミクリはその様子を見て、微笑んでいる。そして「だったら、大丈夫デスよ」と一言。

「え? どういうこと?」

「ワタシにもありマスから」

 そう言うと、ミクリはおもむろに手を伸ばし、ナツメとホタルの手に触れた。

「…………ほら、ネ」

 彼女の額で、紋様が輝き出した。

『塔亰クランプール』

「でも、どうして忍者なの?」

 ナツメたちはミクリを受け入れた。というより、彼女が《政痕》の持ち主である以上、拒む理由はどこにもなかった。
 ミクリを伴って科技葉原Q-BOXへの帰り道、なんとなくナツメは訊ねてみた。

「もちろん、カッコ良いからデス」

 迷いのない答えが返ってきた。

「それにニンジャはスゴイんデスよ? 素手で首を跳ね飛ばしマスし、ACもどんどん下がりマス」

「……素手でなに? ってか、ACってなに?」

「ウフフ、こちらの話デス」

 ほくそ笑みつつそう言ってごまかした後、ミクリは少し真剣な表情を浮かべ、

「それに、実はワタシは―」

「え?」

「―いえ、なんでもありマセン」

 その後ミクリは微笑を浮かべるだけで、それ以上は何も話してくれなかった。

※特典のデザインは変更になる可能性があります。あらかじめご了承ください。
(C)2017 COMPILE HEART

データ

▼『塔亰Clanpool』(通常版)
■メーカー:コンパイルハート
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:ダンジョンRPG
■発売日:2017年10月5日
■希望小売価格:6,800円+税
▼『塔亰Clanpool』(限定版)
■メーカー:コンパイルハート
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:ダンジョンRPG
■発売日:2017年10月5日
■希望小売価格:8,800円+税
▼『塔亰Clanpool』(ダウンロード版)
■メーカー:コンパイルハート
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:ダンジョンRPG
■発売日:2017年10月5日
■希望小売価格:6,000円+税

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