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2017年10月31日(火)

【おすすめDLゲーム】『返校 -Detention-』はストーリーが衝撃。プレイした意味を感じるアドベンチャー

文:キャナ☆メン

 ダウンロード用ゲームから佳作・良作を紹介する“おすすめDLゲーム”連載。本記事では、日本向けにはPC版が配信されている『返校 -Detention-』のレビューをお届けします。

『返校 -Detention-』

『返校 -Detention-』とは

 『返校 -Detention-』は、1960年代の台湾を背景に、架空の舞台・翠華高校で起きた暗く悲しい出来事を描くホラーアドベンチャーゲームです。

『返校 -Detention-』

 主人公は学校に閉じ込められた生徒で、謎と怪奇に満ちた校内を探索し、その真相を突き止めていきます。操作性はシンプルで、マウスクリックでキャラを移動させ、怪しいところを調べていくオーソドックスな形です。敵となる悪霊も出ますが、戦う術はなく、息を止めてやり過ごすしかありません。

『返校 -Detention-』

 特徴的なのは、ゲームの演出がとても丁寧に作られているところです。1つ1つの演出には一抹のもの悲しさが漂い、色あせた写真のようなビジュアルとも相まって、取り残されたような寂寥(せきりょう)をゲーム全体から感じることができます。

 これがプレイヤーの孤独感をあおると同時に、人のいない学校の空気感をよく表現していると思います。

 そしてホラー演出については、プレイヤーの心理状態を水面に例えるならば、演出のほとんどは、滴のように小さな変化だけで表現されています。何かを予感させるサウンドや、ライトやビジュアルの微妙な違い。その違和感が、静かな波紋を広げるように、じわじわ恐怖と緊張を刺激してくるのです。

『返校 -Detention-』
▲やり過ごすしかない悪霊の存在もまた、恐怖と緊張をあおります。

 そうしていつの間にか、恐怖や緊張が高まるほど前のめりに画面を凝視し、ぐいぐいと世界に引き込まれている自分。セーブポイントにたどり着いた時の安堵感には、本作がホラーゲームとしてよくできていることを気づかされます。

 さらにゲームが進むにつれ、最初は謎に満ちていた物語の断片が明らかになっていくと、今度はストーリーから目が離せなくなるのです。

『返校 -Detention-』
▲ゲームが進むと、ストーリーを追うことがメインになってきます。

奥深く衝撃的なストーリー

 本作は、最終的にストーリーこそが一番恐ろしく、それと同時に惹かれ、心揺さぶられる要素になっていきます。ゲームをクリアした時は、描かれたドラマと現実の繋がりについて深く考えさせられ、当時の台湾のことを調べずにはいられませんでした。

 それは本作が、かつて戒厳令により権利や自由を奪われていた台湾の歴史を背景に、モニターの中だけの出来事と切り捨てられない、生きた人間の物語を描いているからでしょう。

『返校 -Detention-』
▲行き着く先は密告の奨励。台湾では戒厳令が常時発令され、軍に抑圧された暗い時代が長く続きました。

 戒厳令などの難しい言葉を並べましたが、予備知識を入れずとも必要なことはゲーム中ですべて描かれますし、構える必要はありません。誤解のないように書いておくと、本作はまずゲームとしておもしろいです。

 ストーリー的にも、1人の少女の目線から個人のドラマをしっかりと描いています。その背景に戒厳令で弾圧のあった事実があることで、人間関係をより深くリアルにし、ホラーゲームとしての世界観やオリジナリティに説得力を与えているゲームだと思います。

『返校 -Detention-』

 また、プレイヤーが想像する余地を残した見せ方もうまく、メッセージを押しつけられるのではなく、自分から深く考えたくなるストーリー描写になっているのが、本作の秀逸なところです。そして展開は衝撃的。

 具体的なストーリーについて触れるのは避けますが、人によってそれぞれの受け止め方ができるような、奥の深い物語になっています。映画などと同じで、クリア後に語り合いたくなること請け合いなので、友だちと一緒にプレイしてみるのもいいかもしれません。

『返校 -Detention-』

プレイした意味を感じられるゲーム

 『返校 -Detention-』は、台湾のRed Candle Gamesというインディーデベロッパーが開発したゲームで、台湾だと映画化やTVドラマ化などが企画されるほど大きな作品になっているようです。日本でもストーリー内容が反響を呼び、少しずつ人気が広がっています。

 プレイ自体は3時間くらいで終わるため、さっくりクリアできると思います。ただし、エンディングは2つあるので、ぜひとも両方見ることをおすすめします。

 正直、テーマが重いことは否めないので、単純にストレス発散やヒマつぶしを求めてゲームをプレイしたい気分の時は、あまりおすすめできません。その代わり、プレイ後の余韻や心に残るストーリー体験などを求めている場合、まさにうってつけのゲームだと思います。プレイした意味を感じられるゲームですよ。

(C) 2017 by RED CANDLE GAMES CO.,LTD
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※PLAYISM のロゴおよびシンボルマークは、Active Gaming Media Inc.の商標登録です。
※画面はすべて開発中のものです。

データ

▼『返校 -Detention-』日本語版
■メーカー:PLAYISM
■対応機種:PC
■ジャンル:アドベンチャー
■配信日:2017年10月27日
■価格:1,180円(税込)
※開発:Red Candle Games
※Steamでは2017年11月2日2:00まで50%オフ。
※PLAYISMでは2017年11月4日2:00まで50%オフ。

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