2017年11月30日(木)
『バイオハザード7 レジデント イービル ゴールド エディション グロテスクバージョン』は、CERO Z(18歳以上のみ対象)のソフトです。
※18歳未満の方は購入できません。
カプコンから発売される『バイオハザード』シリーズを手がける、開発スタッフへのインタビューを掲載する。
今回お話を伺ったのは、12月14日に発売される『バイオハザード7 レジデント イービル』を手がけた川田将央シリーズプロデューサー、中西晃史ディレクター、神田剛プロモーションプロデューサーと、11月30日に発売されるNintendo Switch版『バイオハザード リベレーションズ アンベールド エディション』、『バイオハザード リベレーションズ2』の新妻良太プロデューサー。なお、中西さんはオリジナル版『バイオハザード リベレーションズ』のディレクションも担当している。
▲左から新妻さん、川田さん、中西さん、神田さん。 |
『バイオハザード7』は“Not A Hero”、“END OF ZOE”を中心に、サウンド面のアップデートViReal(バイリアル)の導入についてお聞きした。『リベレーションズ』シリーズは特徴や移植で心がけたことなどをコメントしてもらった。
なお、インタビュー中は敬称略。
――“Not A Hero”はどのような内容なのか、お話いただけますか?
中西:『バイオハザード7』本編の最後にクリスが登場しました。「なぜここに?」「ヘリのマークはなぜ?」とか「そもそも本当にクリスなの?」などといった疑問を残す形でしたが、それらを回収しつつ、クリスを主人公とし『バイオハザード7』と直につながっている物語が展開します。
神田:“Not A Hero”でクリスが担うのは、ベイカー事件の収束を測るという役割です。テーマは“クリス vs ルーカス”で、ルーカスを確保することがメインミッションとなっています。
中西:常軌を逸したルーカスと、厳しい任務を戦い抜いてきたクリスを戦わせたらどうなるのか?また、クリスが主人公ということで、ゲーム的にも、プレイヤーのスペックがあがっているので、本編とは違った感覚で遊べます。
――『バイオハザード7』エンディング後の物語が描かれるということですが、クリアしていない人は遊べないのでしょうか?
中西:クリアしていなくとも遊べます。ただ、順番に遊んだほうが楽しめるので、本編からプレイしていただくことをオススメします。
川田:本編での出来事を前提にした要素が含まれていますし、アクション的に難しいところもあるので、操作に慣れてから、といった意味でも本編から遊んでいただくのがいいのではないでしょうか。
――4月に配信の延期がアナウンスされましたが、こちらの理由は?
川田:大幅な作り直しをしたことが原因です。
中西:もともと春に出せるように、本編開発がひと段落したあと、 DLC“BANNED FOOTAGE”と並行して作っていました通して遊べる状態まで出来ていました。いたのですが、本編が発売直後だったか、開発を統括する竹内に呼ばれて「本編を評価してくれたユーザーの期待に答えられるのか?」と、DLCだからとやすく考えてないかと。当時、並行開発がキツかったこともあって、思い切ってリスケすることになりました。なので、延長した期間のすべてを“Not A Hero”開発に使ったわけではありません。
※開発を統括する竹内潤さん。本作の開発総責任者。“狭く、深く”というコンセプトを掲げ、開発を動かした中心人物。
――具体的にはどのようなところを作りなおしたのでしょうか?
中西:ベースのコンセプトは当初から変えていません。やりきれてなかったところを作りきったのと、あとは、要所に“『バイオ7』らしさ”を注入した感じです。
――ゴールが見えている段階で戻されるとメンバーのモチベーションにも影響すると思うのですが、いかがでしたか?
中西:むしろ、やりきったほうが気持ちいいことはわかってるし、本編もそうやって何度もイテレーションを繰り返して作ったので、問題はなかったです。それより、リスケして、個々のコンテンツを集中して作れたので、結果としていいものになりました。
神田:“Not A Hero”は無料DLCです。我々は「無料だから手を抜いているのではないか?」とファンの方に考えられたくありませんでした。いい形で再スタートを切れて、今の形に仕上がったのでよかったです。
中西:また、ソフト発売以降になると、ノウハウの蓄積に加えて、ユーザーの意見や評価が聞こえてきます。そのようなリアクションはチームにモチベーションを与えるので、期待にこたえようとさらに頑張れました。
――コンテンツ名が“Not A Hero”……クリスは“ヒーロー”だと思うのですが、なぜこのタイトルになっているのでしょう?
神田:今回クリスはアンブレラの隊員として登場したので。これまでのシリーズを遊ばれてきた人は「ヒーローであるべきクリスがなぜアンブレラに? 彼は寝返って、ヒーローではないのか?」と驚かれていました。我々としてはそこを考察してもらうような狙いもあり、このタイトルにさせていただきました。
――クリスについてはセリフに加えて、見た目もユーザーの中で話題になったのを記憶しています。
中西:『7』からは、フォトグラメトリを使っていることや、従来と比べて、人間のディフォルメをしてないことなど、事情は、技術的なことから『7』の世界観によるものまでいろいろあります。
神田:ユーザーの中でも、『1』のクリスが年齢を重ねたイメージととらえている方もいましたね。
中西:いろいろな反響がありましたが、ぼくらと印象が違うのは、本編では最後のカットシーンのみなので、ほとんどしゃべったり、動いてないのも大きいのかなと思いました。というのも、先日公開した『GOLD EDITION』のトレーラーで、豪快に暴れるクリスを見て、「ああ、やっぱりクリスだ」と感じてもらえる方も多かったようです。“Not A Hero”を遊んでもらえば、“らしさ”に加えての、『7』ならではのクリスを味わってもらえると思います。
川田:遊んでいただくと、本編とは違ってかなりシューター、バトルに寄っていることを感じていただけると思います。
――DLCで配信された“ナイトメア”とは違う方向でアクションにふられていると感じました。
中西:そうですね。“ナイトメア”はアクション性こそ強いのですが、プレイヤーシステムは変えてません。クリスは移動速度やリロードだけでなく、武器を構えるのも速いですし、さらに体術を使えます。また、タイミングよく攻撃を受けることで敵の体勢を崩す、ジャストガード的な要素も入っています。
――“Not A Hero”で『バイオハザード7』の事件は完結するのですか?
中西:クリスとルーカスについては完結します。後ほどお話しする“END OF ZOE”で「物語の後、ゾイがどうなったのか?」という部分が回収されます。
――ベイカー一家はユニークなメンバーですが、ここまで人気が出るとは正直思っていませんでした。開発メンバーはどのようにとらえていますか?
中西:自分としては、当初から狙っていたので、驚きというか、うまくいってよかったという気持ちです。企画当初から、没入感のために主人公は薄く、その分、敵側のキャラを立てたいと考えてました。個人的にも、愛着の持てる敵を作るのは昔から好きでしたし。体験版での“ファミパン”がきっかけになったたことは予想外でしたが、気に入ってもらえたことは、素直にうれしいです。
川田:もともとベイカー家は本作で大事なキャラ、柱だと考えていました。それでも2016年のE3で発表し、体験版をプレイしていただいた際にああいった形で“ファミパン”があそこまではやるとはまったく思わなかったです。中西はああ言っていましたが、乗っかっていった部分もあると思います(笑)。
(一同笑)
神田:本作は、“館の『バイオハザード』”なので、プロモーションとしても家族を押していく意図はありました。皆さまに恐れられつつも愛されていることはありがたい限りです。
中西:“END OF ZOE”はその“ありがたい部分”に対して、僕らからのおかえしという気持ちもあります。ある意味で、カウンターファミリーパンチ的な。
川田:新しい表現やけど、わからんな(笑)。
――その“END OF ZOE”について説明してください。
中西:タイトルの通り、ゾイの結末を描いてます。ユーザーからも「ゾイを救ってほしい」という声があり、我々としても、最後に「ゾイを救いたい」、という思いで生まれたコンテンツです。これを含めて、トータルで『バイオハザード7』のキャラについてオチがつく形になります。
――ユーザーの意見を受けて作ったのでしょうか? もともと開発内に描きたいという気持ちがあったのしょうか?
中西:開発当初から、ミステリアスな女性成分として期待値が高かったものの、結果的に意外と出番が少なくなってしまいました。
DLCの“ドウターズ”もその経緯からゾイの過去を描います。そういう経緯もあって、ゾイを主人公にした“ドウターズ”を作ったのですが、結果として、彼女の救われなさが強調されることになりました。ホラーの構造上、なかなか難しいところです。
神田:今回、ゾイの運命がどうなるのかが、このシナリオのキモになります。
――遊びとしてはどのようなものになっているのでしょうか?
中西:新主人公・ジョーがプレイヤーキャラです。最後のDLCにして新キャラが主人公というのがポイントです。
“Not A Hero“がクリスを主人公にして、新しい感覚で遊べるようになったように、“END OF ZOE”でも、新しいベクトルの主人公で、クリスともイーサンともまた違った体験を作っています。
――そのジョーとはどういった人物なのでしょうか?
中西:『バイオハザード7』はルイジアナの片田舎を舞台にしているのですが、そこから少し離れた湿地帯で暮らしている、いわゆる“スワンプピープル” をモチーフにしています。ワイルドでサバイバルスキルに長けた、イケイケの親父です。攻撃は“素手の格闘”、さらに沼地にあるさまざまなものを使ってサバイバルします。
格闘については、R2で右手攻撃と、L2で左手攻撃を自由に出せるようになっていて、これがまた一体感があって気持ちよく、カプコンのアクションらしい感じになってます。総じて、激しく爽快感のあるサバイバルが楽しめます。クリスの体術をさらに発展させていき、最終的に銃を捨て、素手やその場にあるものでアクションするキャラを作ったところ、ハマって伸びました。
神田:ゲーム的には“野生っぽさ”がとにかく入っているキャラです。舞台も、本編と違って野外が多く、新鮮な印象ですよね。
中西:沼地が多い場所がフィールドなので、ビジュアルも新鮮な印象を受ける見た目になっています。
――野性味あふれる生物も出てくるのでしょうか?
中西:沼地に生息する大きな口を持つ生物などが出てきます。
――物語については聞きにくいのですが、最後までプレイすると先ほどの“カウンターファミリーパンチ”という意味がわかるのでしょうか?
中西:そうですね。……先ほど言いそびれたのですが、“Not A Hero”についても最後までやっていただくと感じる場所があると思われます。最終的な解釈はゆだねているのですが……。
――なるほど。サウンドについても注力しているとのことですが、具体的には何が変わっているのでしょうか?
川田:ヤマハ様の立体音響の総合技術・ViReal(バイリアル)を採用しています。弊社の『モンスターハンター:ワールド』も同時期に採用していますが、こちらが先にリリースされます。普通のヘッドホンでも立体的に音を聞けるシステムで、臨場感が格段にアップします!
――そちらは『GOLD EDITION』だけでなく、オリジナル版でも楽しめるのでしょうか?
中西:アップデートで対応します。もともと、バーチャルサラウンドには対応していたのですが、ViRealでは、より音の定位が明確になった印象で、普通のヘッドホンであっても、背後からの物音や、天井裏の物音などが、よりその方向から聞こえる感じでしょうか。……あくまで個人の感想ですが。
川田:音の位置の切り替わりが滑らかになった印象です。いままでのバーチャルサラウンドも立体的で臨場感を高めてくれていたのですがViRealは前後左右の音の切り替わりが自然なので、より臨場感が増したように感じられると思います。
神田:そのため、これまで以上にヘッドホンで遊ぶことを推奨いたします。
――普通のヘッドホンでもそれを体感できるということは、PS VRでももちろん楽しめると。
中西:はい! 頭の角度と映像が連動するヘッドトラッキングとともなって、館などを探索している臨場感はさらに上がっています。
――『バイオハザード7』のすべてのコンテンツが出そろった感想をいただけますか?
中西:このインタビュー時点で作業はほぼ終わっているのですが、いままさに『GOLD EDITION』をチェックしているところ。『7』本編があり、“Madhouse”があり、“BANNED FOOTGE”では“ベッドルーム”や“イーサン マスト ダイ”、“ジャック 55th バースデイ”などがあり、そして“Not A Hero”と“END OF ZOE”……いろんなもの作ったなぁと感慨深いです。
ホラー、脱出パズル、アーケードライクシューター、死にゲー、カードゲーム、さらに主観視点格闘と、1つのタイトルでここまで方向性の違う遊びが詰まっているのはなかなか珍しいと思います。『GOLD EDITION』をすべて遊ぶと、おそらく30時間近く、やり込んだらさらに何十時間かかるかわからない。開発は3年半になるのですが、まとめてみると豪華なパッケージになったと思ってます。
川田:今回の企画が固まってからは、順調に開発は進んでいたように思いますけどね。このタイトルはチャレンジしている内容と比較すると開発期間は短くできていたと思います。“深く、狭く”が達成できていたからじゃないでしょうか。あとチームの勢いもあったからあれだけのコンテンツを作れたのだと思います。
ただ、そこに至るまでには、ここでは言えないようなことが山ほどありましたが(苦笑)。
――開発中の思い出で何が一番よくて、何がもっとも大変でしたか?
川田:一番よかったのは、皆がテーマを理解して、何を作るのかを把握して一丸となって向かっていったことです。大変だったのは、開発時には、パワーがあらぬ方向に出て、いろいろな考えを中西がまとめていることでしょうか。ゲーム作りではよくあることですが、綺麗事ではないところも多数あります。
ただ、すぐそばから見ていて、順調にいったタイトルの1つだったと思います。
神田:『バイオハザード』というフラグシップをフルモデルチェンジして、本編をPS VRにフル対応ということは並大抵の努力では乗り切れなかったと思います。ホラーというコンセプトだけでなく、おもしろいものを作れたのは大きいこと。チャレンジタイトルを皆でやりきったのは、プロジェクトとしてだけでなくカプコンとしても価値がある経験だと思います。
川田:よく「ここまで変えて、会社的に大丈夫だったの?」と聞かれることも多かったのですが、むしろ会社は全面的にバックアップしてくれました。そこは作り手としてもうれしかったですし、カプコンのいいところだと思っています。ただ、“Not A Hero”が遅れた時にはとにかく怒られましたが!(苦笑)
中西:クリエイティブな部分を大事にしてくれる社風は、作るうえで助けられました。それと、『バイオ7』の発売後のユーザーリサーチデータがまとまってきているのですが、うれしかったのは、「『7』を遊ぶ前と、遊んだ後で、『バイオハザード』のブランドイメージが変わった?」という問いに対して、圧倒的に多くのユーザーが「イメージがよくなった。今後に期待できる」と言ってくれていることです。開発者としても、次に繋げられたことに安堵しています。そこはやりたかったことなので、成果が出て安心しています。
川田:まだお買い求めいただいていない人には『GOLD EDITION』はすごくお買い得なセットになっているのでぜひチェックしてみてください。
――まず、『バイオハザード』シリーズにおける新妻さんの立場をお話いただけますか?
新妻:メインの『バイオハザードシリーズ』の全体展開に合わせて、発売スケジュールの合間などに過去の作品を提供するなど、タイトルブランド展開の間をつなぐ役割を担当しています。
ちなみに『バイオハザード リベレーションズ アンベールド エディション』の前に、PS4で『4』、『5』、『6』の移植を担当していました。『バイオハザード7』が挑戦的な側面が強いことに対して、こちらは『7』が出るまでに再度バイオシリーズをユーザーへのアピールするという側面がありましたね。
――これまで別のチームから見ていて『バイオハザード』へのイメージはどのようなものでしたか?
新妻:個々の馬力がすごいメンバーが集まるチームだと見ていました。そんな人たちが自由にゲームを作るのですが、それをしっかりまとめて1つの作品にするのが上手な部署だなあという印象でしたね。
ゲーム的にはホラーとして確立している人気シリーズというイメージがありました。個人的にはプレイはへたなので、ドキドキしながらやって、何度もやられてました(笑)。あと入社した時にオリジナル版の『バイオハザード0』を映像に撮りながら最後までクリアしてデータをとるという仕事があったのですが、何度も何度も失敗しました。さらに成功したのに録画を忘れてやり直した、なんてこともありましたね……。
――担当された『4』、『5』、『6』はワールドワイドで順調なセールスを記録していると伺っています。
新妻:移植タイトルなのであまり情報が出ないのですが、今回取材を受けるにあたって調べてみたところ、3作品とも100万本を超えているんですね。地味だけど沢山のユーザーさんに遊んでもらえた成功事例だと思っています。
――移植に際してはどのようなことを心がけたのでしょう?
新妻:やみくもに新要素を足すのではなく、ユーザビリティ部分の改善を優先しました。例えばハードの進化にあわせて、コントローラは形状が変わっています。入力方法のトレンドも変わっているのでそこを変えたり。もともとR1だった操作をR2にするなどですね。
ちなみに移植タイトルは、何もないところから作る新作と違って、オリジナルタイトルのいろいろなことを探偵のように調べます。以前のタイトル担当者がしたことや考え方、ゲームのプログラムに使っていたミドルウェアのソフト、契約周りはどうなっているのか、ユーザーの評判など……それらを洗い出して、修正する場所を決めて開発コストやスケジュールを出していきます。
中西:昔のタイトルなので、「今そのまま出すとどうかな?」というところもあるんですよ。特に操作系とかは時代とともに変わりますし。体験を損ねずに現代的に調整するのは気を使う作業ですよね。
――遊んでいて、公式サイトなどに情報として出ていない場所にもいろいろと手が加わっていることに驚きました。
新妻:「かゆいところに手が届く」という方向性の修正が多いのであんまり情報出てないですね。移植と聞くと簡単に思われるかもしれませんが、先ほどのような細かな変更をリストアップして、管理していくのは地味に苦労した点です。
一方でやりがいがあったのは、すでに出ているユーザーの意見・評価されている部分に調整をかけられるところです。以前に至らなかったところ、要望が多かったところを修正して、もう一度ユーザーさんに判断していただけるのは、大変ありがたいことです。
――Switch版『アンベールド エディション』ではどのようなことを意識しましたか?
新妻:中西が作った『リベレーションズ』は3DSでスタートしたため、携帯機の画面の密度感で遊ぶことを意識していました。SwitchはTVモードもありますが、携帯モードやテーブルモードは密度感的には携帯機に近い印象があります。
また、以前に発売された『バイオハザード4 Wii edition』に搭載されていたコントローラを振るとナイフで攻撃するというシステムは、国内外で受けた要素。こちらの発展版というか、“Switchというハードに特化した要素を入れる”という所は、プロデューサーとして意識してやりたいと思いました。
――『4 Wii edition』はガンSTGのようなサーチも印象的でした。
新妻:その意見は多かったですね。実際に狙って撃ちたいという人もいますし、ハード的にやれるのでその要素を入れていったらおもしろいと考えて用意しています。
――他にどのようなところにこだわっているのでしょう?
新妻:とにかく細かくいろいろ調整、追加を行っています。『リベレーションズ』シリーズのユーザーはハックアンドスラッシュ(ハクスラ)のレイドモードを長く遊ばれているというデータもあったので、何度も遊ぶものだからこそ、少しの調整で利便性がグッとあがるかなと思いそのあたりは割と直しています。
――具体的には?
新妻:ユーザーからは「ソートを便利にしてほしい」、「パーツをスムーズに付け替えしたい」などの意見がありました。それらを踏まえて具体的にだと、『リベUE』では重複できないパーツが一目でわかるように表示するようになったり、『リベ2』ではそもそもリスクなくパーツが外せるようになったりとかですかね。
――この弾丸リロードとはなんでしょうか?
新妻:ナイフとサーチ以外にも何か要素を入れたいと思っていました。「『バイオハザード』シリーズで動きとして多いのは弾薬のリロードだ!」と目を付け、ジャイロセンサーを使って何をできるのかを考えたところ、チームがいい落とし所に仕上げてくれました。アクションをしている感、ごっこ遊び感は予想以上に感じることができて、東京ゲームショウ2017で遊んだ人からもかなり評判はよかったです。
――レイドモードの“THE GHOST SHIP HELL”はどれくらいの難易度になっているのか、教えてください。
新妻:いままでのレイドモードをやっていた人に対して、さらに上の難易度を作りたいという狙いで用意しているので、オリジナル版最高難易度“THE GHOST SHIP”よりもレベル的には20ぐらい違います。当時担当ではなかったのですが、オリジナル版『リベレーションズ2』の時にイベント用に難しくしたレイドモードを作っているのを見たことがあり、ユーザーが高難易度を求めていることをうっすらと把握していたので、それを調整して落とし込みました。
そこでしか手に入らないレベルの武器やパーツがあるので、エンドコンテンツとして、また楽しんでもらえると思います。
中西:パーツも増えているんですよね。カプコン風にわかりやすく言えば“G級が追加された”というイメージです。
――中西さんにとっては『リベレーションズ』はどういうタイトルでしょうか?
中西:当時を振り返ると……『リベレーションズ』は3DSという新しいハードで出す『バイオハザード』なので、シリーズを遊んだことがない人も多いはず。“入門編”みたいなものが作れたらと考えました。当時は『5』までが出ていたのですが、そこまでのシリーズの魅力である、物語、アクション、ホラー、キャラといったいろいろな要素をぎゅっと詰めて楽しめるものにしようとしたのを覚えています。
今回のSwitch版は、新しいハードで出す初めての『バイオハザード』になるので、やはりシリーズを遊んだことがない方も多いと思います。なので、シリーズの要素をおいしく楽しめる入門編としていいと思いますね。
――Switch版を遊ばれてみていかがでしたか?
中西:オリジナル版は、3DSのスペックや画面サイズなどを踏まえた、ゲームの設計やデザインにしていました。なので、据え置き機で出た『リベレーションズ アンベールド エディション』を見た時に、正直ちょっと違和感はあったんですよ。よその家の布団で寝るみたいな? だから、Switich版を携帯モードで遊んだ時は、「ああ、これこれ!」って感じました。
さらにSwitchは自由なスタイルでプレイできるのがすごくいいところ。ジャイロセンサーで遊ぶのもおもしろいですし、携帯モードで楽な体勢で遊ぶこともできる。さらにネットワークでも遊べるので、『リベレーションズ』を遊ぶうえで理想に近いと思います。
新妻:エピソードによって、ステージは異なるのですが基本は船内のいろいろな場所を移動させる作りになっていて、ナンバリングの『バイオハザード』と共通する遊びがあります。ナンバリングの間をつなぐシナリオですが、知らなくても遊べるので初めて遊ぶ人でも安心です。
中西:シリーズを知らなくても問題ないようにすることは、シナリオを作る時に気を使ったところです。その点は『7』と同様ですね。そういえば、ずっと『7』を作ってたので、Switch版を遊んだ時に、画面に自キャラがいるのがとても新鮮でした(笑)。
(一同笑)
――『リベレーションズ2』はどういった経緯で移植することになったのですか?
新妻:単純に『リベレーションズ』シリーズとして両方とも出したかったので、『リベレーションズ2』も特に考えず移植しました(笑)。『リベレーションズ2』はボリュームが多いうえに、実験的なことをやっている作品。そこに先ほど説明したようなSwitch特有の要素を加えたらおもしろいと思い、作りました。
――ダウンロード版のみで発売するのは、もともとが配信タイトルであることを引き継いでいるためですか?
新妻:『リベレーションズ2』はデジタル版をメインにして、定期的に配信していくスタイルでした。今回、Switch版の発売にあたって、いろいろな選択肢はあったのですが、ダウンロードする形式での発売とすることにしました。
――『リベレーションズ2』は“おすそわけプレイ”によってオフラインでの2人プレイが可能ですね。
新妻:はい、ソフト1つで2人で遊べます。力技で入れた要素ですが(笑)、試しに遊んでみたい人やリアルに知っている人を誘う時に重宝すると思います。
――“おすそわけプレイ”でボタンの数は足りるのでしょうか?
新妻:正直無理やり感もちょっとあるのですが(笑)、プレイするには全然大丈夫だと思いますので、ある意味縛りプレイという意味で遊んでみるのもおもしろいかと思います。
――“GHOSTSHIP PANIC”と“GHOULS’N HOMUNCULI”のこだわりポイントはどこでしょう?
新妻:実は当初はこだわりとかもなく「ロード時間用に何か遊び入れたいよね! スケジュールとコストに見合うレベルなら自由にやっていいよ」と指示したら、これができました(笑)。特に“GHOULS’N HOMUNCULI”オリジナルの『魔界村』に負けないクオリティだと思ってます。このために新しく作曲もしたぐらいです。
――なぜ追加要素を、このような8bitテイストにしたのですか?
新妻:毛色が違うもののほうがいいと思っていたところ、担当がたまたまドットが打てる人で、ミニゲームのネタを考えている最中に、“バリー→ヒゲのおっさん→アーサー→魔界村→ドット打てる→作りたい!”となったらしく、それをそのままOKしたからですね(笑)。
――Nintendo Switchはどのようなハードだと感じましたか?
新妻:非常におもしろいハードですね。作り始めていくうちに当初の想像を軽く超えるハードであったと認識を改めました。個人的にも購入していろいろなタイトルを遊んでいるのですが、本当によくできたハードですね。
高度な技術的部分がハード側に詰まっていて、ソフトの遊びの幅を作ることができるため、個人的には「やはり任天堂さんはすごい」と素直に思ってしまいます。
――『7』や『リベレーションズ』シリーズが発売となります。また、ハリウッド映画が完結し、フルCG映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』も公開されました。今後『バイオハザード』シリーズではどんな展開が待っているのですか?
川田:この先の展開が気になる方も多いかと思いますが、まずは本日お話させていただいた2タイトルを、がっつり遊んでもらいたいですね。
中西:『リベレーションズ』の『1』『2』から『7 GOLD EDITION』まで全部遊ぶと、軽く年越せそうなボリュームですよね。
川田:DLCやレイドモードもあるので、『モンスターハンター:ワールド』発売まで楽しめるかと。さらに遊び足りない方は、『大神 絶景版』や『デッドライジング』シリーズもあります!
(一同笑)
中西:なにはともあれ、ユーザーの期待に答えるものを作らなければという意識はチーム内に強くあります。
――最後に言い残したことがあれば、お願いします。
川田:わりと誤解されていることをひとつ。“END OF ZOE”は、北米や欧州ではシーズンパスに含まれているのですが、国内版のシーズンパスには含まれていないことにお叱りをいただくことがあります。当初から国内のシーズンパスは2コンテンツ入り、海外のシーズンパスは3コンテンツ入りと表示されていてその分、値段も高く設定されています。“海外だけ無料で追加”されたわけではありません。
神田:“Not A Hero”と“END OF ZOE”の配信まであと少しです。これで『バイオハザード7』が完結するので、買い控えていた人、評価されているストーリーやアクションに興味を持たれている方はぜひ購入いただきたいです。ぜひ『バイオハザード7』の世界を堪能してください。
新妻:PS4版『リベレーションズ アンベールド エディション』は夏に発売されて、無料Webサービスの“RESIDENT EVIL.NET”にもたくさんのユーザーさんにアクセスいただいています。『リベレーションズ』は『バイオハザード』入門にも適しているので、シリーズを知らない人にも遊んでいただきたいです。ボリューム、クオリティにも自信がありますので時期的にはNintendo Switchで“『スーパーマリオ オデッセイ』の次に遊ぶソフト”を探している人にもオススメとなっています(笑)。
(C)CAPCOM CO., LTD. 2017 ALL RIGHTS RESERVED.
データ