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2017年12月15日(金)

【FFRKインタビュー】3周年を迎え、新たにリリースされるレコードダンジョンについて聞く!

文:スズタク

 スクウェア・エニックスとDeNAがサービス中のiOS/Android用RPG『ファイナルファンタジー レコードキーパー(FFRK)』の開発者インタビューをお届けします。

 お話を聞くのは、スクウェア・エニックスの間一朗プロデューサーとDeNAの佐々木悠プロデューサー。まもなくリリースされる“レコードダンジョン”の話や、ここでしか聞けない制作エピソードなどを盛りだくさんでお届けします!

『ファイナルファンタジー レコードキーパー』
▲左から間一朗氏、佐々木悠氏。

“デシの成長”がテーマとなるレコードダンジョン

――2017年9月で『FFRK』は3周年を迎えましたが、率直な感想をお聞かせください。

間一朗さん(以下、敬称略):やっぱりこの手のタイトルは、続けていくのがとても難しいなと思いました。でも、そんな中でもDeNAさんと一緒にここまで続けられ、今でも新しいコンテンツをお届けできているのがありがたいですね。

佐々木悠さん(以下、敬称略):何はともあれ、プレイヤーがついてきてくれたのが一番です。リリース当初は今に比べるとゲームのコンテンツ量が少なかったですが、それでもプレイヤーは応援し続けてくれました。そのおかげで、今では『ファイナルファンタジー』シリーズからかなりのキャラクターが登場しています。

――新たにリリースされるレコードダンジョンは、どのような経緯で生まれたのでしょうか?

:これまでの『FFRK』はバトルに重きを置いた内容で、“戦いの記憶”を中心に『ファイナルファンタジー』の追体験を提供してきました。これに対し、今回開発したレコードダンジョンは“物語の記憶”を呼び起こすものとして開発しました。

 『ファイナルファンタジー』というゲームを構成する要素として、バトル、音楽、キャラクター、召喚獣などさまざまな要素があると思うのですが、今回はその中でも大きな影響力をもつストーリー部分を再現したつもりです。

 『FFRK』の運営も3年を越え、最新作の『ファイナルファンタジーXV』まで登場していますが、すべてのタイトルをプレイしたという方は少ないのではないかなと思っています。

 そんな方に、気軽に自分の知らない『ファイナルファンタジー』の物語を体験していただくことで、そのタイトルに興味を持っていただき、より『ファイナルファンタジー』自体を好きになってもらえればうれしいですね。

『ファイナルファンタジー レコードキーパー』

――レコードダンジョンではオリジナルストーリーも描かれますが、この構想は最初からあったのですか?

佐々木:はい。オリジナルストーリーを描きたいという考えはリリース前からあったので、正確には3年以上前からですね(笑)。

:これまで、事あるごとにオリジナルストーリーについて語ってきたのですが、やっとこれの全体設計が整い、皆さまにお披露目できる形になりました。

 歴史省に保存された偉大なる絵画の記憶を取り戻してきたデシですが、記憶が失われていく原因についてはいまだに判明していません。

 レコードダンジョンでは、新たに加わったウララやシャドウスミスとともに、いよいよ真相を解明していく旅に出ることになります。シナリオは『ファイナルファンタジー』の名に恥じない重厚な物語になっていますので、『FFRK』自体が『ファイナルファンタジー』の歴史の1ページになると思っています。

佐々木:“『ファイナルファンタジー』を気軽に追体験する”という『FFRK』のコンセプトをより深めたのがレコードダンジョンなので、ぜひ1人でも多くのプレイヤーに遊んでもらいたいですね。

――オリジナルストーリーのテーマをお教えいただけますか?

:ひと言で表すなら、“デシの成長”です。絵画を巡る事件の真相はもちろんのこと、デシ自身が背負った使命、ウララの秘密、Dr.モグの過去など今まで語られなかった『FFRK』の世界の真実が語られていきます。

 デシは今まで知識としてしか知らなかった英雄たちの物語を実際に体験していくことによって、あこがれであった彼らの悲劇や苦悩を目の当たりにします。

 そして、歴史の本当の重みを知ることによってデシ自身も成長を遂げていき、やがては自身も乗り越えなければならない宿命と対峙していくことになります。

 皆さまにもその成長を見届けていただき、ドットで描かれる新たな『ファイナルファンタジー』の世界をデシたちとともに冒険していただければと!

『ファイナルファンタジー レコードキーパー』

佐々木:デシが普通にしゃべって物語が進行していくというのが、プレイヤーにとっては新鮮なのではと思います。レコードダンジョンを通じて、オリジナルキャラとしてのデシがどんどん掘り下げられていくので、楽しみにしていてください。

――ストーリーなので、終着点(エンディング)のようなものはお考えですか?

佐々木:ゲームのシナリオなので、当然エンディングはある程度考えています。ただ、まだぼんやり構想があるというレベルなので、どのように描いていくか含めて今後次第といったところです。

『ファイナルファンタジーVI』までの原作が、より細かい情景で再現! 新キービジュアルも公開

――レコードダンジョンを既存のコンテンツから切り離した理由はなんでしょうか?

佐々木:ここは何度も議論を重ねた部分ですが、最終的にはお伝えしているとおり既存のコンテンツとは別軸で、英雄や装備やアビリティなどこれまでのバトルで培った力を使わない形のコンテンツとしてのリリースに決めました。

 その一番の理由は、レコードダンジョンは『ファイナルファンタジー』を好きなすべての方に楽しんでいただきたかったからです。

 既存のコンテンツの一環としてリリースする場合、『FFRK』を長く遊んでいるプレイヤー向けにしてしまうと、最近始めていただいた方やこれから始めていただく方には手が届かないコンテンツになってしまいます。

『ファイナルファンタジー レコードキーパー』

 逆に全員が遊べるような難易度だと、例えば魔石ダンジョンを楽しんでいただいてるようなレベルの方には非常に物足りないコンテンツになってしまいます。

 原作の追体験が一番重要なのに、ガードスコーピオンが一撃で倒せてしまっては中々ストーリーに没入できませんよね。

 そこで、今の形であれば、『FFRK』のプレイ進捗にかかわらず、すべての『ファイナルファンタジー』ファンの方に楽しんでいただけるのではないかと思い、既存コンテンツから切り離すことにしました。

――間さんはレコードダンジョンの仕様を初めて聞いたとき、どう思われましたか?

:ゲームの定石としては、それまで育てたものが使えてしかるべきだと思います。でも、今以上に多くの方に遊んでほしいという思いは僕もあり、最終的には佐々木さんの考えに納得しました。

佐々木:もちろん、レコードダンジョンだけでなく既存のコンテンツも遊んでもらいたいので、レコードダンジョンの解放条件を既存のコンテンツに紐づけたりといったことも予定しています。

 序盤はすぐに解放できますが、先のストーリーを楽しむには既存コンテンツもしっかりクリアしないといけない設計です。既存コンテンツをプレイする中でも、ちゃんと成長実感が持てるような作りに変えていきます。

――まもなくリリースされるレコードダンジョンですが、注目してほしいポイントはどこでしょうか?

:『FFRK』のドットでフルリメイクした原作シーンの数々ですね。初代『ファイナルファンタジー』から『ファイナルファンタジーVI』までの原作がドットの作品は、より細かい情景まで再現されています。

 『ファイナルファンタジーVII』以降の3D作品のシーンは、ドットでこんな風に再現されるのかと驚いていただけると思います。『FFRK』を制作するうえで大切にしている、当時のプレイヤーが刺さったポイントはキッチリおさえているので、目新しくも懐かしさを感じてもらえるハズです。

『ファイナルファンタジー レコードキーパー』

佐々木:今までなかった原作ダンジョンの探索は、新しい遊びのひとつです。ただ目的地に進むだけでなく、隠しダンジョンや隠し部屋、隠しボスなど探索する楽しみが手軽に体験できます。

 あとは、パーティ固定のバトルにも注目していただけますと。現状のバトルは、所持している装備によってバトルの難易度がバラバラだったと思うのですが、これが制限されることによって、よりプレイスキルが試される遊びを提供できるようになりました。

 これでもかと凝ったレベルデザインで、やりごたえのあるボスをたくさん出していくので、楽しみにしていてください!

――リニューアルにあたって新キービジュアルが発表されましたが、そこには見たことがないキャラクターがいますね。

:彼らはシャドウスミスが所属する魔法省の役人で、『FFRK』のビッグスとウェッジになります。今までゲーム内にはいなかった個性を持つキャラクターたちで、彼らと接することによってデシの新たな一面を垣間見ることができると思います。

『ファイナルファンタジー レコードキーパー』
▲前列一番右がビッグス、その隣がウェッジです。

――大柄のほうがビッグス、少年のほうがウェッジですか?

:はい。ビッグスとウェッジはまだ多くを語ることができないキャラクターですが、彼らが登場することによって『FFRK』の物語は大きく動き始めます。なにげに帽子を外したデシをお見せするのもこれが初めてですかね。

――リニューアルで大きく変わる部分はどこでしょうか?

佐々木:レコードダンジョンの追加以外に、ホーム画面の改修と“導きの書庫”という2つの機能も入ります。現状のホーム画面は完全に一新されて、横にスクロールすることで遊ぶコンテンツを選択する形になります。

 パワーアップダンジョンなどの育成ダンジョンも、ホーム画面にアイコンで表示されるようになりますね。

 “導きの書庫”は、シドのミッションを完全リニューアルした新しいミッション要素になります。ゲームを新しく始めたプレイヤーが、魔石ダンジョンなどの高難易度コンテンツにたどり着くためのプロセスをミッションとして設計しました。

 ミッションをこなすことで、アビリティや素材のほか、有用な武器が手に入る特別な装備召喚の権利などが手に入ります。

――プレイヤーからは常日頃バトルについてさまざまな意見が送られていると思いますが、最近のバトル環境を見て感じることや、調整しようと考えている部分はありますか? 可能な範囲でお聞かせください。

佐々木:特に最高難易度に挑んでもらっているプレイヤーの方にとって、現在は属性がメインのバトルになってしまっています。属性パーティでももちろん挑んでもらいたいですが、『FFRK』はもともと各ナンバリングのパーティで挑んでもらっていたタイトルです。

 レコードダンジョンも近しいものがありますが、これとは別に、シリーズのパーティで強敵に挑む楽しさを再度提供したいと思っています。

 また、オールFFであることが『FFRK』の魅力のひとつなので、何にも縛られず自由に挑めるダンジョンというのもお届けしたいです。

『ファイナルファンタジー レコードキーパー』

――3年間の運営の中で、特に印象に残っている制作エピソードやゲーム内イベントはありますか?

:個人的にはマルチプレイですね。ひとりでニヤニヤ遊ぶコンセプトで制作していたゲームの中に、マルチプレイ要素を入れるのには本当に苦労しました。

 予想どおり、プレイヤーの皆さんからの反応も、最初はほぼネガティブなものでした。

 そういった逆境の中で、インタビューやニコ生などからいただく皆さんの声を反映して、リリースまでたどり着くことができたのは、本当によかったなと思います。

 もちろん開発自体も大変でしたが、コミュニケーションを図る中で皆さんに「それなら、マルチプレイもいいよ」と受け入れられたことは、3年間の運営でもっとも印象に残っています。

佐々木:『ファイナルファンタジー』30周年を記念して行われた“30連無料装備召喚”ですね。これは本当に申し訳なかったなと思っているのですが、ゴールデンウィークに実施したあの装備召喚はヒヤヒヤしました。

 “クリスタル東京タワー”という施策で、東京タワーを青く染めるのと同時に、この30連装備召喚をオープンしたのですが、まさかの障害。点灯の瞬間を現地で迎えた開発スタッフを速攻呼び戻して修正対応させました。

 そんな中、僕はTwitterなどでプレイヤーの方々の反応を確認していたのですが、障害中にもかかわらず「がんばれ」など温かい言葉をお寄せいただき、涙したことを覚えています。

――30連装備召喚はプレイヤーの中でもインパクトが大きかったと思います。

佐々木:当初、僕は10連装備召喚×3回でいいのではと思ったのですが、スタッフがどうしても30連専用の演出を入れたいと譲りませんでした。そこまで熱い思いがあるならと苦労して実装しましたが、本番に障害が発生してしまって二重三重の意味で思い出深いです(苦笑)。

『ファイナルファンタジー レコードキーパー』
▲大好評だった30連装備召喚を受け、3周年記念にはパワーアップした“33連装備召喚”も行われた!

――最後に、プレイヤーにメッセージをお願いします。

:このタイトルを3年続けてこれたことが、自分の中でひとつの名誉だと思っています。ただただうれしく、純粋にプレイヤーの皆さんのおかげです。

 つねに皆さんから何かいただき、皆さんに我々からお返ししてきた3年間だったので、これからもこの関係を築いたままサービスを続けていきたいです。

佐々木:これまで続けてきたことはもちろん大事ですが、この先も続けていくというのも大事だと感じています。

 新たに仲間入りするレコードダンジョンだけでなく、既存コンテンツもしっかりアップデートしていきます。運営一同、4年目もフルスロットルで活動していくので、今後もよろしくお願いします!

『ファイナルファンタジー レコードキーパー』

※今回使用している画像は全て開発中のものとなります点、ご了承ください。
(C)SQUARE ENIX CO., LTD. (C)DeNA Co., Ltd.

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