2017年12月25日(月)

藤ちょこさんの色鮮やかな作品を“CG-i”初のフルスペックで商品化。制作にこめられた想いとは?【前編】

文:スズタク

 バンプレストが独自開発した、新たな印刷技術・CG-i(シージーアイ)。この技術を使った額装品『神饌神輿(しんせんみこし)』が、300枚限定の受注生産で2018年1月20日12時から予約を開始します。

CG-i藤ちょこ『神饌神輿』
▲イラストレーター・藤ちょこさんの作品『神饌神輿』が額に収められて商品化。今回のために描き下ろされた特別なイラストです。

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※予約期間は2018年1月20日12:00~2月19日23:59です。

CG-i藤ちょこ『神饌神輿』
▲こちらは抽選で1名に当たる、特別な金の額縁バージョン。通常版も特別版も、額装は老舗画材店・文房堂のフレームマイスターがプロデュースしています。

 過去に『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』や〈物語〉シリーズのビジュアルもCG-iで商品化されていますが、今回はCG-iで出力することを前提に制作された描き下ろしイラストとなっています。しかも、イラストを担当した藤ちょこ氏が、額選びも自ら行うという特別企画です。

CG-i藤ちょこ『神饌神輿』
CG-i藤ちょこ『神饌神輿』
▲文房堂のフレームマイスター・玉木久也さんとともに額を選んでいるところ。藤ちょこさんは、玉木さんの助言などを受けながら、じっくりと時間をかけて額を選定していました。

 そこで、額の選定が行われた文房堂にお邪魔し、藤ちょこさんはじめ関係者にお話を聞いてきましたので、その模様を2回にわたってお届けしたいと思います。

そもそもCG-iってどんな技術なのかをおさらい

 インタビューをお届けする前に、まずはCG-iを知らない人のために説明したいと思います。CG-iとは、バンプレストが2016年9月に発表した“CGイラストのために設計・開発された独自出力規格”です。

 既存の技術でCGイラストを印刷する場合、RGBカラー(赤・緑・青)で塗られた色をCMYKカラー(シアン・マゼンダ・イエロー・キープレート(≒黒))に変換して、印刷します。これは、通常の印刷で使用されるインクではRGBカラーを表現できないからです。

CG-i藤ちょこ『神饌神輿』
▲RGBとCMYKで表現できる色域のイメージ。

 RGBからCMYKに変換する際、どうしても“表現できない色”が出てしまいます。そんなモニター上で見るイラストの“色”や“質感”を再現できないかと追求した結果、生み出された新規格がCG-iなのです。

 では、実際にCG-iで印刷されたイラストと、CMYKで印刷されたイラストを見比べてみましょう。

CG-i藤ちょこ『神饌神輿』
▲こちらはイラストのオリジナルデータ。
CG-i藤ちょこ『神饌神輿』
▲こちらがCMYK規格でイラストを印刷したもの。
CG-i藤ちょこ『神饌神輿』
▲そしてこちらがCG-i規格でイラストを印刷したもの。

 CMYK規格と比べると、CG-iのほうがかなりCGの色合いに近づいているのが分かるかと思います。

 そんなCG-iで出力されたイラストを見て、藤ちょこさんはどのように感じたのか? CG-i開発を担当した鷹尾充輝さん(バンプレスト)にお話を聞いていきたいと思います。

CMYKでは再現が難しい“青”をあえてテーマカラーに!

――CG-i出力のイラストを見ていかがでしたか? 率直なご感想をお聞かせください。

藤ちょこさん:以前にCG-iで『天の御川に金魚を流し』というイラストを作品化していただいた時も思ったのですが、発色がとにかくすごいキレイですね。デジタル作品の鮮やかをそのままに紙に写し出せている印象があります。あと、細部までシャープに出力できているので、細かいところまでじっくりと眺められます。

CG-i藤ちょこ『神饌神輿』 CG-i藤ちょこ『神饌神輿』
▲左がCG-i出力、右がCMYK出力のものです。画像右上を比べてみると、違いがよくわかります。

――今回描いた『神饌神輿』と合わせ、藤ちょこさんの作品がCG-i化されるのは2回目ですね。

藤ちょこさん:ありがたいお話です(笑)。私の作品はCGならではの色味をたくさん使っているのが特徴で、普通の印刷だとやはり再現しきれない部分があります。そのあたりCG-i出力は素晴らしい再現度で印刷できるので、自分の作品が携われて純粋に嬉しいです。

――鷹尾さんに伺いますが、そもそも藤ちょこさんの作品をCG-i化することになったきっかけは?

鷹尾さん:1年前のCG-i発表時に、Tokyo Otaku ModeさんにCG-iに協力できるクリエイターさんがいないかご相談したところ、藤ちょこさんの名前が挙がりました。藤ちょこさんの絵は多彩な色が使われていて、この発色をCG-iで出せたらきっとすごいものになると確信し、『天の御川に金魚を流し』をCG-i化させていただきました。

その後、今度はCG-i化させていただいたクリエイターさんのなかからCG-i用の描き下ろしイラストをお願いしたいとなり、再び藤ちょこさんにお声がけしたんです。

――鷹尾さんから見て、『神饌神輿』ではCG-iのどんな強みが出せましたか?

鷹尾さん:イラストは途中経過の段階から見せていただいていて、その時点で透明感ははっきり出せると思っていました。特に注目してもらいたいのがイラスト全体に散っている紙吹雪で、この色合いはおそらく普通の出力では出せませんね。

キャラクターの頭の飾りも注目ポイントで、黒地の中にある金色の模様が1本1本くっきり見えたり、反射している色がしっかり識別できたりといった点はCG-iならではだと思います。傘まわりの淡い色の使い方や、着物の袖のピンクと青が混ざったような色も、普通の印刷では難しいところかと。

藤ちょこさん:そうですね。微妙な色の重なりって、CMYKだと良さが損なわれてしまいがちなんですよ。特に、青や紫はCMYKだと再現が難しいです。

CG-i藤ちょこ『神饌神輿』 CG-i藤ちょこ『神饌神輿』
▲左がCG-i出力、右がCMYK出力のものです。キャラクターの顔色や、着物の袖の黄色い部分などが、周囲の青に引きずられずきれいな発色になっています。

――CMYK出力とCG-i出力を比べて見ていかがですか?

藤ちょこさん:全体的な色味もそうですし、傘から出ている布の部分とかも違いがはっきり出ていますね。従来の出力だと、CGと比べてどうしても暗い色合いになりがちなところが、透明感をちゃんと保って印刷できています。

――CMYKだと再現が難しいと言っていた青や紫を多用したのは、わざとでしょうか?

藤ちょこさん:はい。今回はCG-i用の描き下ろしと聞いていたので、従来だと難しい色をあえてふんだんに使いました(笑)。ご覧の通り、青がテーマカラーになっています。

――他にイラストの中で、よく写し出されていると思う部分はありますか?

藤ちょこさん:かなり細かく描き込んだキャラクターの瞳や着物の柄、街並みなどはキレイに出力されているなと思います。傘の部分の彩度の高い赤と青のコントラストも鮮やかですね。

――デジタルで絵を制作するうえで、難しい点や心掛けている点はありますか?

藤ちょこさん:デジタルの場合は決まった画面の中での作業になるので、紙に出力する際の想定が難しいですね。色合いもそうですし、どこまで描き込めば見栄えがするのかどうかが、モニターで作業している時はなかなかわかりづらいです。

――ちなみに『神饌神輿』はどのくらいの期間で描き上げたのでしょうか?

藤ちょこさん:一気に描き上げたわけではないので、細かい制作時間ははっきりしないのですが、だいたい4、5日ぶんくらいの作業時間でしょうか。最近描いたイラストの中では、かなり時間をかけたほうですね。

――これだけの力作ですと、レイヤー数もすごそうですね……。

藤ちょこさん:たぶんのお話になってしまうのですが、レイヤーは100以上あります。私が絵を制作する場合、まず線画を描いて、下塗りをしたら、線画の上から厚塗り的に色を重ねていきます。ある程度の段階でレイヤーを統合してしまいますので、正確な合計レイヤー数は把握できないんですよ。

CG-i 藤ちょこ『神饌神輿』メイキング画像

後半に続く

 インタビューの後半では、引き続き藤ちょこさんに作品についてのお話を伺いつつ、、額装の選定を担当した玉木久也さん(文房堂)にも少しお話を伺う予定です。藤ちょこさんが制作した絵がひとつのアイテムになるまでどのような経緯を経ているのか? 掲載は2018年1月上旬を予定しています。こちらもお楽しみに。

CG-i藤ちょこ『神饌神輿』

商品詳細・購入はこちら

※予約期間は2018年1月20日12:00~2月19日23:59です。

■CG-i藤ちょこ『神饌神輿』受注概要
開始日:2018年1月20日(土)12:00
終了日:2018年2月19日(月)23:59(※受注期間中に上限数に達し次第、販売終了となります)
商品受渡:2018年5月中旬より順次発送予定
価格:税別38,000円(税込41,040円)+送料 税別2,000円(税込2,160円)
製品サイズ:約454㎜×605㎜×21.5㎜
重量:約2.5kg
対象年齢:15歳以上
CG-i正規出力認定証:紙製 限定300枚シリアルナンバー入り
※受注頂いた全ての製品の認定証に藤ちょこ氏の直筆サインが入ります。
※001を除くシリアルナンバーの割り当てはランダムであり、購入順ではありません。

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