2018年2月23日(金)
3月6日に『ロイヤルエディション』が発売され、さらなる盛り上がりを見せる『ファイナルファンタジーXV(FFXV)』についてのインタビューをお届けします。
インタビューにお答えいただいたのは、『FFXV』ディレクターの田畑端氏、『FFXV』ゲームデザイナーの黒田洋一氏、寺田武史氏です。
▲左から田畑氏、寺田氏、黒田氏。 |
――昨年はキャラクターの追加エピソードを含めて、多岐にわたりアップデートをしてきた『ファイナルファンタジーXV(FFXV)』ですが、今回の『ロイヤルエディション』で一区切りという感じでしょうか?
田畑端氏(以下、敬称略):『ロイヤルエディション』についてはもともと計画していて、大きな区切りのつもりではありましたね、当初は。ただ、その先の計画もアップデートしたので、一区切りという感じにはなりました。
――こちらは完全版というわけではないんですよね?
田畑:完全版ではありませんね。当初は「これを最後に」というつもりで突っ走っていたのですが、そこがゴールではなくなりまして(笑)。ユーザーさんの受け取り方、とくにコアなファンの方が自分のなかで『エピソード イグニス(EPイグニス)』で、「いやー、『FFXV』は終われた」と思えているのかなと思いまして。
それはじつは作っている側もあり、余計に感じていたんです。そこで、続けられるのであれば続けようとなりました。ただ、一度ここまでと引いた計画を続けるのは大変だったので、正式にどんなコンテンツをどういう形でリリースするのかという会社的な承認を、じつは今朝(1月31日)終えました(笑)。
――え、そうなんですか?(笑)
田畑:まあ、全体的な計画はすでにお話ししていましたが、それを実際にどんな新しい体制でどういうコンテンツをどういう開発をしていくのか、すべて最後事業計画にまとめるんです。それが最終的に今日承認されたので、正式になりました。だから、電撃さんが世界で一番早いインタビューになるんですよ。
――すごいタイミングでインタビューに来たんですね(笑)。
田畑:ええ(笑)。我々としては継続することに意味を見出していて、継続してバチッと終わるというのが今回新しく計画を重ねた部分になります。ですが『ロイヤルエディション』はもともと予定していた1回目の締めなので、そのまま発売するにしました。
――そんな驚きの情報をいただきましたが、まずは『FFXV』全体として昨年の振り返りからうかがいたいと思います。エピソードとしては3つ発表され、その間もちょいちょいアップデートを重ねてきたという感じですが。
田畑:そうですね……って“ちょいちょい”じゃないですよ、毎月ですよ(笑)。去年マスターアップした回数でいえば、20回を超えているかもしれませんし。
寺田武史氏(以下、敬称略):リージョンやプラットフォームの違いも含めると、もっと回数は多いでしょうね。
田畑:なので、我々が手に入れたのは、HDゲームをものすごいスピードで開発する技術ですね。バグをなくして一定の品質で世に出せるというのを、1カ月に1回は絶対やっていましたので。すごくないですか? モバイルのアプリでもけっこう大変だと思うんですけど。
黒田洋一氏(以下、敬称略):月間マスターアップ、みたいな感じでした(笑)。
田畑:おかげで、みんな強靭になったというか、高速、かつタフになったと思います。
――ギネスに申請できるくらいじゃないですか?
田畑:1年間のマスターアップ回数という部門があったら、そうかもしれませんね(笑)。
――ちなみに、開発の体制というのはどういう感じだったのでしょうか?
田畑:DLCをそれぞれ担当するチームと、本編のアップデートを担当するチームという形で動いていました。
――1つ1つのエピソードはゲーム性がガラッと違っていたので、やはりそういう形で開発されていたんですね。
田畑:それでも思ったより重い開発でしたね。しかも、重い開発中にもう1回計画を更新することになりまして。だから開発の後半へ走れば走るほど、ハードルが上がっていった感じです。
――そんな大変な開発状況でしたが、実際に異なるゲーム体験の追加エピソードを配信し、ユーザーの反響を見てみていかがでしたか?
田畑:まずはあの4人を、等しくすべてがメインキャラクターとして扱っていたんですよ。本編はもちろんノクティスが主人公で、彼の物語を体験するために作られているんですけど、仲間のエピソードについては“仲間それぞれの個性をプレイヤーがダイレクトに体験できるべきだ”をコンセプトに作られています。
結果、ゲームシステムもそれぞれが異なり、ユニークなものになりました。もちろん制作するのは大変ですけど、実際にそれを遊んでくださったキャラクターのファンの方たちからは「物語だけではなくて、よりキャラクターの深いところまで伝わってくるダウンロードコンテンツ(DLC)だった」という評価が多かったので、よかったと思います。我々が意図したことがしっかり伝わったのではないでしょうか。
――DLCは配信期間の予定が先に発表され、制作期間も短くてプレッシャーもあったと思います。こちら制作を終えてみていかがですか?
寺田:『EPグラディオラス』『EPプロンプト』『EPイグニス』の各エピソードは、わりと1つのチームを母体にしながら、内容に合わせて人員を調整しながら開発ができました。どちらかといえば、ノウハウがたまってきて、後半になるほどコンテンツの底上げができたということが、自分は印象にありますね。
田畑:だんだんとみんながうまく作れるようになって……。
寺田:ええ。それで最初は実現できなかったことも、次のエピソードでは実現できるようになりました。チームが進化していった過程が、自分は1年間見ていてよかったなと。
田畑:もともとテーマにしていたのが、開発スピードを上げることだったんですね。
寺田:そうですね。
田畑:開発スピードが遅くなると、世の中とのギャップが計り知れないので。スマホのアプリの運営がスゴイなと思うのが、世の中の変化のスピードとともにあるじゃないですか。つまり“ライブ”ですよね。
我々も限りなくライブな関係性でやったわけですが、やればできるんですよ(笑)。どれくらい大変で、何をやったらいけないのかなど、どこだったらユーザーのニーズと同期しながら進められるのかということを、すごくよく見えてきたと思います。とくにスタッフの得たノウハウは計り知れないですね。今後の開発にすごく生きますよ。
――HDのタイトルをこのスピードでやりきったのがスゴイですよね。
田畑:物事を決める速度も、やっぱりみなすごく早くなっています。迷うくらいならば止めるとか、こちらと決めたらこちらはしないとか、決めるということをより高速にできるようになると、よりスピーディーにものを作れるようになる。
そうなればユーザーに多くのコンテンツを提供できます。当たり前だけど、やってみるとこういうことを提供できるというのがわかってきました。ちなみにそれは『ロイヤルエディション』のためではなく、今後につながることだと思ってやっていることですね。
――『EPイグニス』はifエンディングが相当話題になりましたが、これをユーザーの二次創作的なものではなく、公式で用意したのはチャレンジングだと思います。こちらをやろうとした狙いをぜひ教えてください。
田畑:それはもうイグニスだからだよね。
寺田:そうですね。
田畑:本編ではイグニスが失明した瞬間ってわからないじゃないですか。それで、実際にイグニスのエピソードを物語として体験するときに、裏ではこうでしたという追体験だけだとなぞるだけになると思います。
ただ、やはりゲームはもっともっとお客さんとライブである部分も、僕らも興味がありまして。ユーザーがなぞって遊ぶだけではなく、自分が遊んだからこそ得られる違いもあったほうがいいんじゃないという話をしていました。
――ライブという部分では、本編でラストを体験したユーザーの反応を見て”幸せな展開も”ということでこのifが生まれたのでしょうか?
田畑:そうではなかったですね。ローンチ後のプランは、本編発売後すぐに決めていたんですけど、『EPイグニス』は最初からマルチエンディングにする案でした。プレイヤーが彼の未来を決められるような形にと。
寺田:ただ、ハッピーエンドという結果ではなくて、どちらかといえばイグニスを使って“プレイヤーに運命に対して抗う”というところを、一番作りたかったんです。
本編ではノクティスは運命に従って王になり世界を救い、たぶん満足して悲しかったけど世界は救われました……というエピソードでした。『EPイグニス』はそれに抗いたいと、最初から話していました。それでゲームとして終わりは何がいいのだろうと考え、このifを用意したんです。
――実際ユーザーの反応を見ていかがでしたか?
寺田:僕はメチャクチャビビッていたんですよ(笑)。その抗うという部分はサクっと作れましたが、その結果ユーザーにどこまで何を想像させて、どこまで実際に見せるのかという線引きがメチャクチャ難しくて、最後の最後までそこを調整したんです。だから、僕はマスター前には熱が出てしまって(苦笑)。
――知恵熱ですか(笑)。
寺田:そうしたら、自分が想像した以上の反響が返ってきて驚きました。
田畑:賛否含めて、反響があったことはよかったですね。
――公式がifを提示したという部分も大きかったのでは?
田畑:そうなんですね。僕は公式がやっている、という発想は全然なかったですね。
――それをやるんだと驚きました。最初からこれが入っているならば、そういうものなのかなとなりますが、あとからこれが入るのはビックリしましたね。
田畑:でも、おそらくさっき言ったように、そのまま追体験するだけでしたら意味がないなと。
黒田:公式だからこそのインパクトを与えられたと思います。
――そうですね。驚きという部分では十分だったと思います。そのまま追体験するだけでは、失明した理由がわかって腑には落ちるけれども、少し物足りないなというところもたしかにあると思います。
田畑:今その瞬間を遊んでいるゲームとしては、ちょっと物足りないですよね。
――サプライズはホント素晴らしかったと思います。
田畑:すでに多くのけっこうな温度の高いファンがいるというのは、おそらく寺田たちは想像してなかったと思うんです。なんとなく想像ができるDLCを自分の責任で制作できる、この範囲は自分でやれるという気持ちしかなかった。そこにファンからいろいろな意見が届きまくるとは、思ってはいなかったんじゃないかな(笑)。
寺田:手紙などをいただくんですよね(笑)。
田畑:だから超ブレるんですよね(笑)。作ることについてはブレないんだけど、気持ちがブレるというか弱るんですよね。「あれ、これってもしかして俺がやっていることって……」みたいな。そういうのが、すごくわかりやすくてよかった。
寺田:賛否含めていろいろ感じられました。
田畑:遊んで好きでいろいろと言ってくださる方はファンだし、その声を聞いている側も人間ですから。すごくそのあたりはリアルだったかなと。
――発売から1年たって賛否が起こるのは、それだけユーザーがいる証ですよね。感心を持たれ続けるのはなかなかありませんし。最近は1年も経つと、なかなか話題になりません。
田畑:そうですよね。1年ももたないことが多いですよね。大体2カ月くらいでしょうか。そこは本当にありがたいです。寿命を長く楽しんでもらうのは目標にしていましたが、実際にそう遊んでくださっているのはメチャメチャありがたいです。今もアクティブユーザーがまた増えているんですよ。
『戦友』のDLCを出したことで日本も増えましたが、日本以外の地域がけっこう増えまして、その次の『EPイグニス』で、しばらく離れていた方も戻ってきてくれたんです。
ただ、すでに遊ばなくなった方たちに、DLCが出ていることをいかに伝えるかという部分での技術が、我々まだまだ足りないと感じています。「あれ、出ていたの?」と言われることもありましたし。課題も見えてきましたけど、やはり「それがあるならば遊ぼう」という方がいることもたしかめられたので、エピソードの配信をやってよかったです。
――キャラクターのDLCと『戦友』は、コンセプトも作り方もまるっきり方向性が違います。『戦友』を作ってみて、みなさんがやりたかったこと、やってみて得られたことはありましたか?
田畑:『戦友』をあの形にしたかった理由は、プレイヤー同士で遊べるコンテンツが純粋に出したいと思っていたことと、『FFXV』の世界のなかで、プレイヤーが自分として遊べるコンテンツがほしかった2点です。
それを2つ合わせて出せないかというなかで、ディレクターを担当した高橋(和也氏)のチームから、“『戦友』をあの設定を使ったコンテンツにしてみたい”という話がありました。
その案は全体のプランのなかでも重要な役割を担いつつ、体験としてもプレイヤーが自分のアバターだからこそできる、メインキャラクターではないからこそできる遊び方なので「よし、それじゃあやってみよう!」となりました。結果として、チームが得られたことはたくさんあったと思います。
黒田:オンラインの技術なので1人での遊びとは違いますし、最近はオンラインにつながるのがPS4では当たり前です。『戦友』はリアルタイムにフィードバックが得られますし、そこでどんなユーザーが遊んでいるのかという分析も、そのなかでできるようになったんです。
『ロイヤルエディション』での追加要素もストーリーの時間的につながりますし、オンラインのユーザーのデータをゲームへフィードバックすることもできました。それらを含めて、いろいろな方の声だけでなくて、実際のプレイデータやどんな遊びをユーザー側で作っているのかを参照し、もっとリアルタイムに作っていくという技術を検証&勉強できたと思います。
田畑:小さいチームがそれぞれのDLCに取り組んでいますが、先ほど寺田が言ったように、マスターアップ前は各チームが協力していたので、多くのスタッフがオンラインのマッチングを使って遊ぶと開発ノウハウも得られました。
遊びの幅として1つのいわゆるストーリーメインのRPGなのに、これくらいの幅が持てるんだという意味では、サービスの幅がすごく出せたと感じています。僕らの今後にとってはいい経験ですよ。
黒田:技術的にもオンラインというまったく別のものを作るわけではなく、コアはリリースされているもの、クライアントオンリーで作ったものの延長線上で作られているのが大きいですね。
本作はオフライン部分がオフラインで完結、という形で設計されていますが、じつは今使っているエンジン自体がすごく可能性があるというところの検証にもなりました。
田畑:『戦友』が出たタイミングは、ユーザーも遊びやすかったと思います。ゲームをまずシングルプレイで遊んでいたうえで、マルチプレイを遊ぶわけですから最初の敷居は下がると思います。ただ、βテストの最初は難易度が高くて難しく、脱落しまくりでしたね(苦笑)。
――『戦友』はノクティスたち4人がいないタイミングの本編で語られていない、想像でしかなかった部分にスポットが当たっていたのがよかったです。電力が足りないから全員でがんばっていたんだって。本編で後半会えなかったシドニーたちに出会えたことも、サプライズでうれしかったですね。とくに映画の『KINGSGLAIVE』から『FFXV』に入った身としては、あの世界に入れるんだというのはものすごくよかったなと。
田畑:そう言っていただけるとうれしいですね。
――『ファイナルファンタジーXV ロイヤル エディション』が発表されましたが、一番の注目はインソムニアのエクストラマップだと思いますが、こちらについて教えてください。
黒田:追加されるエリアとしては、だいたい1拠点分くらいでしょうか。ストーリーを拡充する目的で入っています。ストーリー的には、ルシス王国の首都・インソムニアに到着したところから、ワッと話が広がるような作りになっています。そのなかで乗り物に乗ることも可能です。
――流れとしては、ノクティスたちがレガリアでインソムニアに乗り込んだ直後から遊べるという感じでしょうか?
黒田:そうですね。先ほどの『戦友』で王の剣が10年がんばってきた拠点が出てくるんです。
田畑:『戦友』からつながるストーリーなんですよ。
黒田:そこにノクティスたちが帰って来た、という話なんですよ。「がんばったな、お前たち」とつながります。本編の間に『EPグラディオ』『EPプロンプト』『EPイグニス』と物語があり、10年間の空白の間に『戦友』が入り、『ロイヤルエディション』はノクティスたちが戻って来た最後の部分の拡張になります。夜が続く10年が終わり、エンディングの夜が明ける手前の部分をガッと埋める形になっています。
田畑:じつは拡充する候補はほかにもありました。ここを選んだのは、今まで遊んでくれた方たちが全員楽しめる場所を拡充したかったからです。どこもかしこもできるわけではありませんし。
例えば列車の途中という候補もありました。でも、やはり『戦友』を気に入ってくれている方もいるし、ほかのエピソードを遊んでくださっている方もいるから、最後を拡充しようとなりました。
――たしかに列車の途中ですと、どうしても4人を中心とした話になってしまいますね。
田畑:あと、すでに『FFXV』は1年間進化した形になっており、初めて遊ぶ方はより充実した内容で遊べます。そういった意味で、最後のコンテンツが拡充しているのは、その方たちの満足度にちゃんと反映するのではと考えました。
――こちらの遊び方としては、ほかのDLCと同じくタイトルメニューから選ぶ形ですか?
黒田:いえ、Chapter14がスタートしたところからシームレスに遊べます。
田畑:本編に組み込まれている形ですね。
黒田:インソムニアに入った瞬間から「あれ、これって新しいシーンでは?」と、すでにプレイされている方は差異に気づかれると思います。普通に話が続いているので、そこも楽しんでいただきたいです。
こちらは『ロイヤルエディション』から遊ぶ方への話になりますが、最初から全部のエピソードがインストールされていますので、グラディオが修業しに行ったら『EPグラディオ』を起動して、話を追うように、時系列ごとにプレイしていただけるとうれしいですね。
――たしかに流れを追えるのはいいですよね。本編内では『ロイヤルエディション』から始めた方向けに、ここで『EPグラディオ』を遊ぶといいですよ、的な誘導はあったりするのでしょうか?
黒田:誘導のような要素はありませんが、すでにEPの内容も出ていますので、プレイ中にここでこのエピソードを遊べば、というのはわかっていただけるかなと。
もちろん、そのまま本編を遊んでいただいてもいいですが、オススメの遊び方は一旦エピソードを見ていただいて変化を感じつつ、また本編に戻っていただくという形です。10年間の部分も『戦友』を遊んでノクティスを待ちつつ、最後まで進めたら本編に戻って遊んでいただければ。
――DLCをクリアすれば本編でアイテムがもらえるなどのリンク要素もありますし、その遊び方は贅沢な楽しみ方ですね。あとは主観視点で遊べる“ファーストパーソンモード”も『ロイヤルエディション』の追加要素ですが、こちらを用意した理由とは?
田畑:このモードはPC版にあったもので、PC版のチームに協力してもらって入れたんですよ。
――やはり海外でこのモードは求められる感じでしょうか?
田畑:“ファーストパーソンモード”が欲しいといわれるのは、たしかに海外が多いですね。だけど、このモードがあれば「ちょっと遊んでみるか」という日本の方も多いと思います。実際に遊んでみると景色が広く見えるんですよ。仲間がそばにいる感覚をダイレクトに味わえますし。VRに近い体験が入っています。
――モードはオプションで自由に切り替えられるのでしょうか?
田畑:そうですね。ただ、本編は操作キャラをノクティス以外にも切り替えられますが、対応するのはノクティスを操作しているときだけです。
――シフトで移動するときの見え方が気になりますね、ものすごい速さでしょうし。「これが王の剣の力か」と実感できそうです(笑)。
田畑:意外と僕はこのモードが好きですね。
黒田:チョコボに乗っているときなどは、風景が広く見えるのでオススメです。
――たしかに乗り物系はよさそうです。
黒田:一度クリアされている方も、“ファーストパーソンモード”でプレイされればより違うゲーム体験が味わえます。あとは『ロイヤルエディション』の特徴として、遊びの幅を広げたいというコンセプトで作られています。具体的には乗り物ですね。オルティシエに向かうときに使ったクルーザーを、フリーに走れるようにしています。
田畑:これがまた好評なんですよ。クルーザードライブが楽しくて(笑)。
黒田:魚群レーダーもあって、海釣りができるようになっています。運転できる範囲はオルティシエの外海になります。
――それってものすごい広さがありますよね?(笑)
黒田:はい(笑)。ノクティスが目覚める御影島にも行けますね。海釣りでしか釣れない魚もいますし、クエストもいろいろ追加されます。特定のポイントでのみ釣れるという魚や、時間限定の魚もいます。ちょっとしたクエストで、爆釣れになることもあるんです。
田畑:海釣りだから魚群レーダーもあるんですよ。
――『FFXV』の話なのに、その単語だけ聞くとわけがわからないですね(笑)。
黒田:クルーザーではショップで釣り関係のアイテムを購入することもできます。あと、休んで時間を自由に経過させられるようにもなっています。ファストトラベルもできるので“泊まれるレガリア”みたいな感じでしょうか。
――目的地に向かうのを忘れちゃうくらい、いろいろ充実していますね。
田畑:海釣りだったこうだよねっていうロマンがちゃんと入っています。海釣りは1年前から「入れるぞ」ってなっていましたから(笑)。
――たしかに本編でのクルーザーはオートでの移動で、海釣りがしたいなって思っていました。
田畑:既存のファンの方々も、『ロイヤルエディション』から始められる方も、オルティシエから先の展開というのは等しく楽しんでもらえると思いますし、その内容はかなり期待に応えられるものになると、今朝承認されたときにも感じましたね。宿題もたくさんもらいましたけど。
黒田:乗り物についてはもう1つ、レガリアTYPE-D入手クエストの変更があります。それに合わせて、ダートレース場も作りまして。
――そうなるとタイムアタック的な要素もありますか?
黒田:もちろんあります。こちらは自分との戦いになりますが、レガリアTYPE-Dなのでジャンプも可能で、ジャンプを使った遊びも入っています。これでTYPE-Fで空を飛んで、クルーザーで海に行って、TYPE-Dで地上をと、すべて制覇できることになります(笑)。
――そう聞くと、ノクティスはバカンスを満喫している感じですね(笑)。
田畑:レガリアTYPE-Dは自然にもらえるように調整したんですよ。
黒田:シドニー絡みのシーンをいろいろ追加して、より自然に入手できるようになっています。また、バトル方面もファントムソードを使ったテコ入れがされています。本編では全部そろえると強いということはありましたが、そこから先の新しいバトルを強化する遊びというのを用意しています。
田畑:今まで『FFXV』には全然なかったアクションのシステムが入っているんですよ。タイミングを計りながらコンボをつなげていくみたいな。
黒田:地上から空中につなげて、空中からジャスト入力でというテクニカルな遊びですね。
――それは通常のバトルシステムとしての追加ですか?
田畑:いえ、ファントムソード絡みで入手するアイテムがあり、それを手に入れるとそのシステムを使えるようになります。
――そういったコンボができるのはノクティスだけですか?
黒田:そうですね。ノクティスが特殊な状態になり、コンボを使えるようになります。条件についてはファントムソードを13本集めたあと、特殊な条件でアクセサリーを手に入れてそれを装備することです。
装備すると今あるシステムがガラッと変わります。通常に戻したい場合はアクセサリーをはずせばOKです。操作は難しいですが、これを使いこなすとものすごく強いですよ。なお、新システムを使用している場合は、周りの味方もあまりバトルに絡まなくなるよう、AI周りも調整しています。だからノクティスが1人で無双ができるわけです。
――『ディシディア FF』みたいな感じですね。
黒田:ものすごい派手な技でせん滅していく遊びができます。レベルもカンストして、シナリオを終えてもう育てるものがないな、という人にはぜひ。
――この新アクションを使って戦うような、腕試し的な敵は追加されるのでしょうか?
黒田:歴代の王やさらなる強敵と戦えますので、どうにか倒していただきたいです。まずは新システムがない状態で挑んでいただいて、そのボスがいかに強いかを先に体験いただければ(笑)。
――発売後は動画や配信が盛り上がりそうですね。
黒田:かっこいいコンボは絵になるので“俺のカッコイイコンボ集”みたいなのを配信して、「これ、俺は出せないんだけど」とか、みなさんで話してみてほしいですね。
――歴代の王の数はどれくらいでしょうか?
田畑:3体くらいですね。
――やはり巨大なのでしょうか? 映画くらいの巨大さをイメージしているのですが。
黒田:さすがにあそこまでは大きくないです(笑)。シチュエーション的には新しいところで戦って、それぞれのボスごとにコンセプトの違う遊びが連続的に入っています。ぜひ盛り上がっていただきたいです。
田畑:進化がテーマなので、すでに遊んだファンの人たちは、その進化ぶり、違いを体験してもらえるんじゃないかなと。
――すでに製品版、シーズンパスを購入しているユーザーは、『ロイヤルエディション』の追加要素だけを遊ぶことはできますか?
田畑:追加要素をまとめた『ロイヤルパック』(2,000円+税)を発売しますので、そちらをご購入いただければ大丈夫です。トロフィーの記録も引き継がれますし、セーブデータもそのまま使えますので、やり込んでいる方もご安心ください。
――昨年のアクティブタイムレポート(ATR)では、年内に今後の詳細をお伝えしますとありましたが、こちらについてはいかがでしょうか? 1本目は『EPアーデン』ですか?
田畑:そうですね。1本目は『EPアーデン』になります。あとは計画が承認されたということで、正式に決まったということになりますので、残りについてもどういったコンテンツで、どういった時期にというのはしっかりとお伝えすると思います。ただ、3本ではなかったですね、最終的には。
寺田:そうですね。
田畑:これもATRでお伝えしたのですが、当初は2018年の間に3本だして1年やろうと思っていたのですが、ちょっと計画を変えました。それはどんなコンテンツを出してこのゲームをフィニッシュさせるべきかをチームのみんなで考えた結果、本数も4本にしました。
――まさかの増えた!?(笑)
田畑:制作自体も当初は1年以内に3本出そうと思っていましたが、それよりももう少ししっかり作りたいということで、そこの折り合いを今つけているところです。だから急いで出すというよりは、今年はもう少しちゃんと作ってから出すことになると思います。あとはどの段階でリリースするかという発表は、もう少し精度を上げてからにしようと考えています。
――ひと通りまとまった形で発表されるのでしょうか?
田畑:はい。どんなコンテンツを提供するのか、すべてまとめてお伝えします。まず1つは『EPアーデン』ですね。
――ファンの間では「あとはルナフレーナじゃない?」と言われていますが。
田畑:『ロイヤルエディション』のパッケージにルナフレーナがいますからね。
――ここまできて彼女が描かれないわけがないですよね?(笑)
寺田:でも、タイタンも描かれていますよ?(笑)
――そこはまさかの『EPタイタン』ですか(笑)。
田畑:でも、アンケートの結果を大事にすることは明言していますから、そこはご期待いただければ。
黒田:みなさんが望んでいるものがきっとあると思います。
――それでは最後にファンに向けてメッセージをお願いします。
黒田:『ロイヤルエディション』ですが、最初から通して遊んでいただけるように、細かいバランス調整を含めて1つの集大成として作っています。
もちろんすでに遊んでくださっている方も遊べますし、初めて手に取っていただくお客様も、頭から充実して遊べるようになっていますので、今まで興味があったけれども遊んでいなかった方も、ぜひ遊んで頂きたいと思います。よろしくお願いします。
寺田:自分はやはり今後の『FFXV』で重要だと思っているのは、アーデンやルーナ、ノクティスなどのキャラクターたちを、いかにみんなにもっと愛してもらえるのかということです。
そして、キャラクターをもっと好きになってほしいというのが、自分のなかで一番の願いとしてあります。このキャラクターたちを今も応援してくれる方たちのために、全力でそこに応えたいと思っていますので、よろしくお願いします。
田畑:すでにファンでいてくれる方も大勢いますし、『ロイヤルエディション』でこれから『FFXV』に触れてくれる方もたくさんいると思います。その方たちとともに『FFXV』を完結させるために、ここから進んでいきたいと思いますので、引き続きとそしてこれからどうぞよろしくお願いします。
惰性で続けるようなことはせず、やるからにはユーザー体験的に意味のある、そして価値のあるものを提供しますのでご期待ください。
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