2018年2月24日(土)
引き継ぎ可能な『戦場のヴァルキュリア4』PS4版体験版が26日配信。擲弾兵や兵科バランス、DLCについて質問
セガゲームスは、3月21日に発売するPS4版シミュレーションRPG『戦場のヴァルキュリア4』のメディア向け先行体験会を、秋葉原 UDX ギャラリー ネクストにて本日2月24日に行った。
本作は、シミュレーションRPG『戦場のヴァルキュリア』シリーズ最新作。新たなストーリー、新たな登場人物で、架空のヨーロッパを舞台に繰り広げられる戦争を通した人間ドラマが描かれる。
先行体験会会場には、三神桂プロデューサーと山下浩平ディレクターが登場。集まった報道陣と抽選で招待されたユーザーにあいさつを行った。続いて、製品版に引き継ぎ可能な序盤体験版が、2月26日に配信されることを発表。この体験版は2章まで遊べるうえに、専用のミッションもあるという。
▲三神プロデューサー(左)と山下ディレクター(右)。 |
兵科のバランスやDLCに迫る
先行体験会でのプレイ後には、開発陣への質疑応答の時間が用意されていた。するどい質問が飛び出し、開発陣が苦笑いする場面も見られたので、そちらをお届けする。なお、コメント中は敬称略。
――発売まで1カ月をきりました。ナンバリングタイトルとして7年ぶり新作ですが、現在の心境は?
三神:すでにできあがっているので、できるだけ多くの人に楽しんでほしいという気持ちでいっぱいです。さわってもらえれば、楽しんでもらえるだろうと思っています。
山下:「お待たせしました」としか言いようがありません。ファンの方の声がずっと続いていたため、その声に応えたいという思いを抱えていました。本作の主人公・クロードのセリフではないのですが、“必ず風が吹いて新作を出せる”と信じて、企画書を出していました。やっと形として届けられて、私としてもうれしいです。スタッフ一同、出せるからには最高のものにしようという気持ちを込めました。
――映像表現“CANVAS(キャンバス)”について、本作でこだわったところは?
山下:キャンバスはあえて細かいところを省略することで、手書きっぽさ、柔らかさを出しています。PS4だから密度をあげるのではなく、できる表現をどうキャンバスにするか、試行錯誤した部分です。密度はあげて書き込みすぎると、『ヴァルキュリア』らしくなくなるんですね。
本作では、影を深くつけたり、ものの下にだけ線を出すようにしたりしています。よく見ると、戦車の後ろ側の青い光がゆらゆらしているのですが、これは1作目ではできなかったPS4ならではの表現です。
三神:あえて抜いたような表現をするためには、ハイスペックのマシンが必要。そのため、携帯機では満足いくキャンバスの表現ができず実現できませんでした。1作目のPS3からPS4になることで、ちゃんと進化した形にしています。
わかりやすくないが、PS4のスペックは存分に使っています。緻密に表現するだけがスペックの使い方ではない……それが今回の表現でこだわったところです。
――いつごろからソフトを開発していたのでしょうか?
山下:……2年くらい前からでしょうか。ただ、その前から準備期間があり、いろいろなプロジェクトを動かしながら、企画書を用意したり、キャラを考えたりしていました。スタッフを集めて動いていた期間は2年間くらいです。
――本作では、新たに擲弾兵(てきだんへい)が加わりました。過去のシリーズで兵科のバランスはできあがっていたと思うのですが、新たな兵科を入れた理由を教えてください。
山下:『1』では、銃による迎撃しかありませんでした。ただ、戦場で飛んでいるのは銃弾だけではない。爆発の中、走り抜けていくのも戦場らしさだと思っていたので、実は『1』からやりたかったんです。
シリーズの“BLiTZ(ブリッツ)”システムは、戦場らしさを表現したいという気持ちで作っていました。私は“BLiTZ(ブリッツ)”を担当していて、開発中にバグで爆発がおきたのを見て、「これをいれたい!」と思ったのですが、開発終盤で皆から止められました(苦笑)。
ただ、砲撃支援は第2次世界大戦などの戦場ではよくあるシチュエーションで、いつかやりたいと思っていました。いろいろな兵科同士の連動感があって、ゲーム的にも深くなるので今回入れさせてもらいました。
――トレーラーやメインビジュアルでは、雪景色が多く見られます。なぜこのような世界観にしたのでしょうか?
山下:本作のモチーフは、第二次世界大戦の“東部戦線”。それが雪の中で戦っていくものでした。また本作では、“成し遂げる意思”を表現したいと思っていました。仲間が倒れて、寒さに震えるなか、前に進むを強さを描きたいと思い、採用しました。雪の中を進むだけではなく、見た目の雰囲気が変わる工夫をしているので、飽きることはないと思います。
――雪の中でのプレイは演出だけでなく、ゲームシステムにも影響するのですか?
山下:吹雪の中だと見えていた敵が見えなくなります。ただ、足跡があって敵兵の場所を予想できるようになるため、きついことだけではないです。雪のシチュエーションをいかせるようにしています。
――訓練開発でサロンがありました。キャラの掘り下げはサロンなどで行うのでしょうか?
山下:『2』や『3』ではキャラ同士の断章が好評でした。『4』でも各キャラのエピソードが出るようになっています。キャラの過去や思っていることがわかります。
――『2』や『3』では兵科が細かくなっていました。『4』での兵科はどのようになっているのでしょうか? 個人的には剣甲兵が気になります。
山下:『2』や『3』は携帯機なので、据え置き機とは作る思想が違いました。遊びやすく、でも長く遊べるようにやりこんでもらえる成長要素を用意しました。本作では『1』にあった5兵科に、1つ加えて6兵科になっています。
ただ、携帯機にあった機能をいろいろな兵科に振っています。例えば、対戦車兵が迫撃砲を持ったりというように、兵科のなかでの武器選択としています。やれることが単純に減ったのではなく、据え置き機の遊びにカスタマイズされたと思ってください。ただ、剣甲兵など出ないものもあります。あれは携帯機向けの進化としてあったものという位置づけです。
――擲弾兵に対応するような敵、動きを制限するような敵はいるのでしょうか?
山下:擲弾兵は移動が遅く、ターゲットモードに入るまでの時間が長いです。迎撃全体が苦手なので、前線には出せないため、後ろで守りつつ、支援するタイプです。特性があるため、敵に合わせて進軍や立ち位置などを調整をする必要があると思っています。
――擲弾兵の迎撃は、移動している敵にまず当たらないと感じました。兵器開発で速度が上がるとかあるのでしょうか?
山下:発射速度の関係で一直線に来る敵には当たりません。特に序盤はシンプルなマップになっているのですが、後半のマップには土嚢を多数あり、そこを越えてきます。マップによって、当てやすいところに配置するのがポイントかと。
また、迫撃砲の攻撃にもブレがあるのですが、後半はブレの範囲が狭くなります。
――戦車が1コストになった理由は?
山下:使ってほしかったからです。『1』は敗北条件にもなっていたので、ウェルキンを前に出すとやられてしまう可能性がありました。ただ、ハードルを下げるために『2』以降で改善しました。
そのままだと強いユニットを手軽に使えるだけになってしまうため、徹甲弾の数を制限することで、バランスブレイカーにならないところを意識しました。敗北条件にもなっていないので、自由に使ってください。
――マップが広くなった分、突撃兵は移動しにくいと感じました。移動を補助する装備やシステムはありますか?
山下:マップが広くなったぶん、確かに偵察兵に比べると狙撃兵などは運用しにくいです。序盤にはないのですが、装甲車が出てくるので歩兵を載せて移動可能です。
また、『3』にあったリーダーユニットが他のキャラを運ぶ“直接指揮”があります。偵察兵がリーダーになることで、狙撃兵が偵察兵並みの移動力になります。それらをうまく活用していただき、APの少ないユニットをいかに早く前線に出すかを考えていただければと思います。
――狙撃兵が反撃できるようになっています。対戦車狙撃銃を持った狙撃兵が迎撃してきた場合、戦車は大ダメージを受けるのでしょうか?
山下:敵が対戦車狙撃銃をもって、こちらに反撃をしてくるシチュエーションはなかったと思います。ただ、速射対戦車砲を持っているユニットがいる場合はあるので、そのような危ないシチュエーションでは排除してから安全に進んでください。
――鉄仮面の突撃兵がいたのですが、なぜあのキャラは決まったのでしょうか?
山下:魅力的なキャラをいろいろ出したいと思った際に、自分たちのチームだけでなく、部署全体にアイデア募集を呼びかけました。すると、200~300のキャラが集まりました。その中にはロボットのキャラなどもあったのですが、仮面を見て、手が止まりました(笑)。
ギャグっぽく見えるのですが悲しい過去があることで、仮面をかぶっています。決して出オチではないのでさわっていただきたいです。ちなみに声優さんは驚きの人です。
三神:応募の用紙にものすごい太字で「この人をボイスにしないなら、このアイデアを使わせない!」とあったので、そのままお願いしました。とても有名な方です。
山下:現在、“ニコラとキアラの潜入日誌”というTwitterでサブキャラを紹介しています。いろいろなキャラがいる中でも、仮面のキャラは目を引きますし、とがっていると思います。
▲さまざまなキャラが登場する。 |
――SHAREボタンでのシェアへの対応は、どのようになっているのでしょうか? メーカーとしては実況を推奨していますか?
三神:一部、権利関係のために難しいところ以外は、シェアに制限はないので楽しんでいただけます。我々で遊び方を推奨するのは違うと思うので、制限はかけません。『戦場のヴァルキュリア』は物語を見たいだけでしたら配信でもいいのですが、ブリッツについては見ているだけだと物足りない部分があると思います。見ていただいて、興味を持っていただいたらぜひ遊んでいただき、操作してもらいたいです。
――本作で特に注力したところを教えてください。
山下:いろいろなところを見てほしいので絞るのが難しいのですが、ストーリー全体を通して、戦場ドラマを体感してほしいです。シリーズごとに違いはあって、『1』は舞台が家族のような雰囲気でした。今回は青春っぽい仲間のような雰囲気にしています。
若い時間を共有し、皆が一体となって何かを成し遂げるところを感じてほしいです。ただ、戦争なので明日には仲間がいなくなるかもしれない。普通の若者たちがこういう青春を過ごしたというところは、物語、システムに入れているのでそこを体験してほしいです。
――シリーズ4作目になりますが、新規ユーザーの獲得は狙っているのでしょうか?
三神:当然新規層に遊んでほしいとは思っています。ただ、まずは7年待ってもらっていた人にお届けしたいと思っています。7年経っても好きでいてくれた人に、もう一度好きになってほしいということが前提にあります。
そのうえで、初心者への認知を広げるためにも、配信の制限はしないでいます。
――早期特典でイーディは参戦します。前作との繋がりはあるのでしょうか?
三神:イーディはあくまでゲスト参戦です。突撃兵が増えると考えていただけるのがいいかと。過去キャラとの絡みは限定版『10th アニバーサリー メモリアルパック』についている“第7小隊との共同戦線”に入っているので、『1』と『4』のキャラの絡みを楽しみたい人はそちらを遊んでいただければと思います。なお、ボイスはすべて新たに録っています。
クルトをはじめとする『3』のキャラはいません。『1』の裏側が舞台になっている『3』まで描くと、かなり複雑になってしまうので、『1』までとしています。
山下:『2』や『3』を知っている人だとニヤっとする名前などはたまに出てきます。ただ、初心者でも楽しめる作品として描いています。
――限定版についているストーリーDLCの単品販売は行われますか?
三神:単品での販売はしません。そのため、楽しんでいただきたい人は限定版をお買い求めいただければと。
――序盤のテキストでマクシミリアンという名前が出てきました。DLCで敵として出てくる可能性はあるのでしょうか?
三神:……(苦笑いしつつ)「今後の発表にご期待ください」と言えと書いてありました。限定版に向けてDLCを入れられる機能を作ったので、DLCについては何かを用意しています。
――DLCで剣甲兵は出ないのでしょうか?
山下:剣甲兵が好きな人が多いですね(笑)。
三神:もう少し進めると『1』以上に広いマップが出てきます。APもなく、遠距離攻撃をできない兵科でそのようなマップを駆けていくのはちょっと難しい(笑)。そんなこともあって、近接兵科は入れていません。
――最後にメッセージをお願いします。
三神:『戦場のヴァルキュリア3 EXTRA EDITION』があり、NHN Japan様との取り組み『戦場のヴァルキュリア DUEL』もありましたが、ナンバリングタイトルとしては7年ぶりの新作になります。お待たせしましたという気持ちでいっぱいです。
期待にこたえられるタイトルになったと思います。このあとの物語を含めて、ぜひ製品版で確かめてください。配信される体験版についてはじっくり楽しんで、いろいろなところに気付いてほしいです。3月21日の発売をよろしくお願いいたします。
山下:自分が作ったものを、楽しんでもらっている様子を見るのは開発冥利につきます。正直、泣きそうでした。おそらく、この会場でいちばんうれしかったのは私だったと思います(笑)。
本当にひさしぶりにタイトルを出せたのはファンの皆さんの声が途切れずにあったことが一番大きいです。ファンの方に感謝の言葉を伝えたいです。本日はありがとうございました。
新たな兵科・擲弾兵(てきだんへい)の使い勝手とは!?
会場では、発売前のタイトルの序盤をプレイできた。
端的に言ってしまうと、『1』の雰囲気、操作性を存分に楽しめる新作という仕上がりであった。先に断っておくと個人的に、『2』や『3』のシステムは嫌いではない。携帯機であることを意識したうえで、遊びやすく、楽しめるシステムになっていたと思う。
一方で『1』のような世界観、操作性をもっと楽しみたいという声があるのもわかる。本作は特にそのような声にこたえる作品になっていると感じた。
まずコントローラを握って感じたのは、キャンバスでの描写だ。花がゆれ、キャラが動きまわる様子を見て、思わず声が出そうになってしまった。
遊びの部分についてだが、ブリッツを知っている人ならすんなり、遊んでいない人でも最初のチュートリアルで学びつつ理解していけるものになっていた。特に『1』を遊んでいた人であれば、違和感はまったくないと思われる。
行動時間内で移動して、攻撃して、敵を撃破していく。同じユニットでも複数回行動できたり、戦車の後ろからついていったり、操作していて懐かしさを感じながらのプレイであった。
変わらずいい部分はこれくらいにしておき、今回特に書いておきたいのは、新兵科・擲弾兵について。
この兵科は、擲弾砲(迫撃砲)を装備し、曲射による榴弾攻撃を行えるのが特徴。他の兵科が集めた情報をもとに、視線が通らない遮蔽物ごしに攻撃できるのはわかりやすく強力だ。本作の物語でもカギとなりそうな、レイリィがこちらの兵科であった。
また、擲弾は高所を攻撃できるため、高い位置に設置された銃座を使う敵兵も攻撃可能。さらに爆風で土嚢を破壊する使い方もできるという。
個人的には、偵察兵や突撃兵などが先を行きつつ、狙撃兵とともに遠距離から攻撃するやり方がかなり強力であると感じた。
一方で、移動や武器の展開速度はかなり遅め。迎撃が苦手ということもあって、単独で進んでいこうものなら、狙撃兵以上にやられやすい兵科であろう。そのため、他の兵科との連動は不可欠だと思われる。
長所短所がはっきりしているため、わかりやすく使いやすい兵科だと感じた。何より、レイリィがカワイイため、個人的にはスタメン確定という印象だ。
週明け2月26日に配信されるという体験版は2章までプレイ可能。その中でも擲弾兵は操作できるので、本作の操作性、世界観とあわせて、ぜひ体験してほしい。
(C)SEGA
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