2018年3月18日(日)
3月21日、セガゲームスが満を持して発売するPS4版『戦場のヴァルキュリア4』。4月には初代の発売から10周年を迎える今、改めてシミュレーションRPG『戦場のヴァルキュリア』のおもしろさを振り返り、最新作『4』までシリーズの魅力を紹介します。
『戦場のヴァルキュリア』が、PS3で発売されたのは2008年4月24日のこと。新機軸のバトルシステム“BLiTZ(ブリッツ)”で体験できるゲーム性と、戦争の中で生きる人々の内面を深く描いたドラマ性は、多くのプレイヤーの心に刺さり人気を博しました。
同作は、ゲームユーザーたちの抱えていた“完全新作でおもしろいゲームがほしい”という飢えを満たしてくれた点でも、インパクトのある作品だった気がします。PS3のベストゲームを聞かれたら、この作品を挙げる人もいるのではないでしょうか。
▲SLGの醍醐味を味わえるコマンドモードと、兵士視点で戦場を駆けるアクションモードの2つから成るBLiTZでは、『戦場のヴァルキュリア』独自のゲーム体験を楽しめます。 |
ゲームの舞台は征暦1935年という架空の歴史をたどるヨーロッパ大陸で、数多くの設定に支えられた世界観も魅力の1つです。近代化した文明を持つ国と国が戦争を繰り広げる戦場には、銃火器を持った歩兵や戦車が登場します。
また、CANVAS(キャンバス)という独自のグラフィック表現も特徴的で、戦争という重いテーマを扱っていながらやさしい空気感がありました。
▲水彩タッチのイラストが3Dで動くという、暖かみがありながら3DCGゲームのよさを兼ね備えたグラフィック表現。初代と『4』に採用されています。(※画像は初代リマスター版) |
記事ではまず、シリーズの土台となる“征暦1935年のヨーロッパ大陸”とバトルシステム“BLiTZ”に触れ、それから初代から最新作まで『戦場のヴァルキュリア』シリーズの魅力をつづっていきます。
征暦1935年のヨーロッパ大陸は、“東ヨーロッパ帝国連合”と“大西洋連邦機構”という大陸を二分する勢力が戦争を始め、その戦火が大陸全土を巻き込んで“第二次ヨーロッパ大戦”に発展してしまった状況にあります。
2大国が戦争を始めた目的は、ずばり資源争いです。18世紀後期に産業革命が始まって以降、急速に需要が増しているエネルギー鉱石“ラグナイト”の奪い合いが、1世紀以上を経て近代化したヨーロッパ大陸に2度の大戦を起こしています。
第一次大戦は20年前に終戦を迎え、その時は新兵器の戦車が大きな活躍を見せました。ゆえに今度の第2次大戦では多くの戦車が配備され、さらなる新兵器が投入されるに至っています。
そのような背景の中、初代『戦場のヴァルキュリア』では、帝国に侵攻された小国“ガリア公国”の戦い、ガリア戦役が描かれました。プレイヤーは、義勇軍に身を投じて小隊を率いるウェルキン・ギュンターとなり、彼の視点からガリアが勝利するまでの戦いを体験します。
▲ウェルキンの父は第一次大戦の英雄で、その時に活躍した戦車エーデルワイス号を義妹イサラが改修したものに乗り込んで戦います。 |
なお、『3』と『4』も同じ征暦1935年が背景になっていて、『3』では“歴史の裏側”的な位置づけにあるガリア戦役の別側面が、『4』では連邦による帝国への一大反攻作戦“ノーザンクロス作戦”が、それぞれ別の主人公で描かれています。『2』は1937年におけるガリア内戦がテーマで、やはり征暦の物語です。
▲最新作『4』の画像。劣勢に陥った連邦側が形勢逆転を狙って帝国首都への侵攻作戦を敢行し、それに従軍する主人公たちは非常に過酷な戦いにさらされます。 |
“征暦”という紀年法は、タイトルの“ヴァルキュリア”とも関連した世界観的に重要な意味を持っています。
ヨーロッパ大陸に語り継がれる歴史では、古代、大陸全土を荒廃させたダルクス人がいました。その“ダルクスの厄災”から大陸を救ったのがヴァルキュリア人で、同民族がダルクス人を征伐してヨーロッパ大陸を平定した年が“征暦”の紀元なのです。
▲ヴァルキュリア人は大陸を平定するだけの“力”を持つ存在。近代的な文明と異能の力、2つの混ざり合った世界観が独自の魅力を放ちます。 |
征暦1935年の現在、ヴァルキュリア人は血統がほぼ途絶えて伝説上の存在となる一方、各地に末裔を残すダルクス人は、災厄の罪を背負わされ続け、ヨーロッパ大陸に住む人々から弾圧と迫害を受けています。
この2つの民族の歴史背景は、『戦場のヴァルキュリア』のストーリーに深くかかわり、ドラマが深くなるのに一役どころか二役も三役も買っています。
▲初代『戦場のヴァルキュリア』ではウェルキンの義妹イサラがダルクス人で、仲間の1人であるロージーとことあるごとに衝突する様子が描かれていました。 |
特に初代『戦場のヴァルキュリア』の11章に至るまでのストーリーとドラマは、本気で泣ける話です。筆者は『リマスター』版で10年ぶりに物語を体験しましたが、さすがに今回は泣かないだろうと思いながら、11章の終わりは頬が濡れてました。
今から『戦場のヴァルキュリア』シリーズに手を出すなら、個人的には『4』から入るのがおすすめですが、それでもしハマることができたら、今度は初代をプレイしてみてほしいですね。きっと心に残るゲームになるはずです。
最新作『4』まで、すべてのナンバリングタイトルに採用されている“BLiTZ”は、マップを俯瞰してユニットに指示を出すコマンドモードと、ユニットを自分で操作して戦うアクションモードの2つから構築されるバトルシステムです。
指揮官として思考する醍醐味と、兵士として撃ち合う臨場感。異なる視点のおもしろさを同時に味わえるゲーム体験は、1度ハマったら忘れられません。
ある意味で『戦場のヴァルキュリア』シリーズにおける“秘伝のタレ”のような、ゲームの核となる要素でしょう。
基本となるコマンドモードは、自軍と敵軍が交互に行動するターン制で、じっくりと戦術を考えることができます。
その戦術の幅を広げるのが、ターンごとに一定量を得られる“CP”という概念で、プレイヤーはCPを使い切るまでユニットに指示を出せます。しかも、CPが残っていれば、同じユニットを同ターン内に何度も動かすことが可能です。
▲マップとユニットがシンプルに表示され、SLGの考える部分に特化したコマンドモード。CPを使って好きなユニットを動かせるので、自由度が高いです。 |
なので有利な位置を確保したユニットに連続行動させて次々と敵を倒したり、倒し損ねた敵を同じユニットでトドメを刺したり、状況やプレイヤーの考え方次第で、いろいろなユニットの運用ができます。
また、余ったCPは次ターンに持ち越せるので、次ターンに一斉攻撃を仕掛けるため今ターンはCPを温存する、といった手も使えます。さらに、特殊効果を発動する“オーダー”という指揮官コマンドにCPを割く選択肢もあります。
▲オーダーは一定のCPを消費し、ユニットの能力アップや支援などを行えます。種類によっては意外と使いどころが難しく、バトルに慣れた人向けのシステムでしょう。 |
つまりBLiTZでは、コマンドモードでCPを“いつ使うか、何に使うか”がそのまま戦術になってくるのです。
CPの使い方はプレイヤー次第なので、どんな戦術をとるかも完全にプレイヤーの自由。この自由度の高さが、“頭を使う”シミュレーションの醍醐味を体験できる楽しさになっています。
▲『4』ではコマンドモードに新たな要素が加わり、シップオーダーという特殊なオーダーも使用できるようになります。戦術の幅がさらに広がる! |
3人称視点でユニットを操作し、3Dフィールドの戦場を駆けるアクションモードは、やはり兵士視点で戦いを体験できるのが醍醐味。土のうに隠れて被弾を抑えたり、自分で照準をつけてヘッドショットを狙ったり、攻防におけるアクションを楽しめます。
ただし、アクションモードといっても“戦場の雰囲気を体験すること”に重きがあり、シューターのように忙しい操作は必要ありません。また、アクションモードの中でも戦術的な思考を多く要求されるので、SLGのおもしろさを保ちながら、兵士視点の臨場感や緊張感を楽しめます。
▲照準中は時間が停止するので、頭を撃って大ダメージを狙うか、胴を撃って確実に削るか、考えながら狙えます。基本的には、頭を狙うのがベターです。 |
例えば、移動に必要なAPという制限。各ユニットはAPゲージを持ち、1回の行動でそのAPゲージのぶんだけ移動できます。とはいえ、敵軍のターンで攻撃される危険を考えれば、あえてAPを残しても、より安全な位置に留まることが必要なケースもあります。
また、同ターン内に同じユニットを動かすと、行動開始時のAPゲージが減っていきます。何度も同じユニットを動かすほどAPゲージの上限が減って移動効率が悪くなるので、CPの消費に見合う行動ができるかは、コマンドモードの時点で考えておく必要があります。
▲少しでもユニットを動かせばAPは消費するので、APに無駄がないよう移動するにはどうすべきか、アクションモードではなかなか頭を使います。 |
なお、アクションモード中は行動ユニットだけが移動し、その他の敵味方すべては停止状態になります。ただ、敵が何もしないわけではなく、射程に入ると迎撃を受けます。
そのため敵に近づく際は、背後から近づいたり、土のうを利用したり、状況に適した立ち回りを選ばなければいけません。ただ、時には強引な突撃も有効です。
▲拠点を狙う場合などは、強引に敵を倒し、そのまま占拠してしまうのも手です。ケースバイケースで自由な戦術をとれるのが、BLiTZのおもしろさ。 |
そして敵軍のターンでは、自軍ユニットが同じように自動で迎撃を行います。なので強力な迎撃を行えるユニットであれば、行動終了時に敵の迎撃を意識した立ち位置を考えることも重要になってきます。
▲敵が来るだろうと予測できる場所に迎撃能力に優れたユニットを置いておけば、迎撃や反撃で敵を倒し、効率よく敵戦力を削れます。 |
このように、アクションモードの中でも考える場面は多く、実際のプレイではユニットの特徴や連携、索敵など、さらに多くの要素を考慮する必要が出てきます。
しかし、それだけアクションモードの行動が戦術的に重要であることも意味し、コマンドモードとの相乗効果を高め、BLiTZのおもしろさにつながっていると思います。じっくり考えるSLGを好きな人が、ドンピシャでハマれるシステムでしょう。
しかも、暖かいタッチのビジュアルに反して難易度はややからめ。シリーズ作品によっては倒されたユニットを放置するとそのまま恒久的に“死ぬ”ので、まったく気が抜けません。歯ごたえがあるゲーム性も、『戦場のヴァルキュリア』の魅力です。
▲初代と『4』は、倒れた味方を3ターン以内に助けなければ“死亡”してしまいます。「衛生兵!」の叫びは、プレイヤーの心の叫びでもありつつ……。(※画像は初代リマスター版) |
初代『戦場のヴァルキュリア』は、“BLiTZ”というバトルシステムが既に完成されていた、というのが一番大きな魅力でしょう。以降のシリーズにも継承され、ゲームの根幹を担っていると思います。
上の紹介で書き漏らした部分を補足するなら、マップごとのシチュエーションが多彩だったこともよく、そのおかげでBLiTZの自由度、自分なりの戦術でミッションを攻略する楽しさを存分に味わえました。
もちろん、最初に述べたようにドラマが心に刺さるものだったのもいいところ。戦争における死や社会における人種差別に踏み込み、それを丁寧に登場人物らのドラマとして描いていたストーリーは、最後までぐいぐいと惹きつけるものでした。
そのストーリーの見せ方も秀逸で、ゲーム内の登場人物が記した“ガリア戦線記”という本をめくる形でエピソードを鑑賞し、随所でバトルを体験していくというゲームの進め方は、戦争を扱ったゲームとして非常に没入感があります。
▲ストーリーに関しては、キャラクターを掘り下げるサイドエピソード“断章”が楽しめるのもうれしいところでした。 |
また、CANVASの暖かみのあるグラフィック表現が、戦争という重たいテーマとのギャップを生み、独特な空気感と世界観を演出していたこともポイントです。
戦争をテーマにした作品の多くがそうであるように、本作もまた戦争を題材にして戦争を描きたいわけではないでしょう。むしろ、戦争の生む悲劇をフィルターにするからこそ浮き彫りになる生の大切さ、人の温もり、そして主人公ウェルキンの語るような“共存”といったものを描きたかったのだと思います。
CANVASの暖かみのあるタッチは、その本当に描きたいものが浮き彫りになった時、より強く強調される効果があったように感じます。
もちろん、普段SLGを遊ばない人に対して敷居を下げたり、CANVASのタッチからは想像しづらい骨太なゲーム性により強く驚きを感じられたり、さまざまな効果もあったように思いますが。
2010年1月21日にPSPで発売された『戦場のヴァルキュリア2 ガリア王立士官学校』は、そのサブタイトルが示すように、ガリア国内の“ランシール王立士官学校”が物語の舞台となります。前述の通り、今作だけは時代背景が征暦1937年で、ガリアの内戦を描いた作品です。
主人公は熱血少年のアバンに変わり、いわゆる“学園モノ”のノリが入った、明るい雰囲気でストーリーが幕を開けます。しかし、ゲームが進むと別れのドラマや学校内の陰謀が描かれ、戦いも激化していくので、物語にシリアスな展開も増えていきます。
また特徴的なのは、30名もいる主人公のクラスメート全員にエピソードが用意され、サブキャラクターに光が当たったことです。
ゲーム本編でサブキャラクターのエピソードを楽しめることもシリーズの伝統の1つになった感があり、大きな追加要素だったと思います。
さらにユニットの役割を決める兵科は、兵科による派生と強化が存在。それぞれの兵科が最終的に4種の最上級兵科を目標として選べることで、バトル性能の面でもよりサブキャラクターの個性を感じやすくなっています。
ミッション数やクリア後の要素も充実していて、自分好みのキャラクターを育てていく、育成要素の楽しみが大きい作品でした。育成要素をやり込めるのは携帯機と相性がよく、ちょっとした空き時間に素材を取りに行ったのを覚えています。
他にもバトルの面では、今作と『3』はミッションのマップが複数のエリアに分割され、1つのマップで戦術を考える形ではなく、複数のマップを踏まえて侵攻ルートや戦術を考えるゲーム性に変わっています。
また、マップを特徴づける地形効果やギミックなどが増え、それに対応するため戦車のオプションパーツが充実したことも特徴です。車輌自体も、新機軸の装甲車が登場した他、さまざまな方向性にカスタマイズ可能でした。
地形効果の多様さや戦車の新要素は、以降のシリーズ作品にも継承され、最新作『戦場のヴァルキュリア4』にも、システムは違えどBLiTZのおもしろさを深める要素として落とし込まれています。
『戦場のヴァルキュリア3』は、2011年1月27日にPSPで発売され、物語の時代背景は再び征暦1935年に戻っています。先に少し触れていますが、正史に残らない“歴史の裏側”の物語、軍規違反者や犯罪者の集められた懲罰部隊“ネームレス”の戦いが描かれます。
▲主人公のクルト。ある陰謀に巻き込まれ、えん罪でネームレスに堕とされます。 |
その設定から想像できるように、『3』のストーリーは序盤から重たく、シリアスでダークな展開が続きます。ダルクス人に深く切り込んだ物語であるのも特徴です。
また、仲間同士の摩擦があり、ぶつかり合って信頼を築き上げていくドラマは、『戦場のヴァルキュリア』シリーズに欠かせないエッセンスのように筆者は思っていますが、『3』はその部分がかなり濃密に描かれています。
さらに、戦争の中で起きる裏切りや別れがストーリーを盛り上げ、『3』は特に男同士のドラマが熱い作品だったと思います。
敵側の人間関係やドラマもかなり深く描かれ、理想と現実の間に生まれる葛藤、人の弱さや不器用さ、そういったものに共感を持てる人が楽しめるドラマとストーリーでした。
他にも特徴として、シナリオにルート分岐が導入され、選んだルートによって展開が変わります。なお、クリア後は選択しなかったルートを遊ぶことも可能なので安心です。
ルート分岐は攻略にかかわるものだけでなく、ダブルヒロイン制が採用されているので、最終的なヒロインを選ぶ楽しみもありました。ちなみに筆者はイムカを選びましたよ、はい。
▲ダルクス人のイムカ(左)とヴァルキュリア人のリエラ(右)がヒロイン。 |
ゲーム性においてキャラクター育成の楽しみが深い、という点は『2』と同様。『3』だと兵科が整理され、そのぶん、兵科ごとの特徴がハッキリし、どのキャラクターも兵種変更ができるようになっています。
戦いを有利にするバトルポテンシャルの習得と兵種変更を掛け合わせることで、お気に入りのキャラクターを強化し、自分好みのキャラクターにカスタマイズしていく楽しみが味わえます。
▲複数の兵科をマスターすることで上位のポテンシャルを習得でき、育成にやりごたえがありました。 |
『戦場のヴァルキュリア4』は、人の死、裏返せば“人の生”について、さらに一歩踏み込んだ印象があり、ストーリーの中でも胸に刺さるシーンが多い作品です。
ゲーム的には、初代から『3』までのよかったところが綺麗に統合され、シリーズ中もっとも完成度の高いBLiTZを楽しめます。ドラマ性とゲーム性ともに『戦場のヴァルキュリア』らしさを強く感じられる、正統進化したナンバリングタイトルだと思います。
今作についてはプレイレポートを後日掲載するので、本記事で触れた以上に詳しく『戦場のヴァルキュリア4』のおもしろさを知りたい人は、そちらもチェックしてみてください。
最新作でプレイヤーが体験する戦いは、征暦1935年に連邦が行った帝国首都への侵攻作戦。その戦いを通じて、主人公クロード・ウォレスと、彼とは同郷の仲間であるレイリィ、ラズ、カイのドラマを柱にしたストーリーが展開します。
▲左からラズ、クロード、レイリィ、カイ。中央の犬は小隊のマスコット的存在で、隊員でもあるラグナロックです。 |
序盤の第2章までは、クロードとヒロインであるレイリィとの確執を描くドラマが物語の中心になっていて、そこまでは配信中の『序盤体験版』でも、世界観やBLiTZの基本とあわせてプレイ可能です。
それ以降は、クロードら4人の摩擦や葛藤、絆を築き上げていく過程がより深く掘り下げられ、『戦場のヴァルキュリア』らしい丁寧な人間ドラマを堪能できます。
また、戦争の極限状態に対して踏み込んだ描写もあり、綺麗事で済まされない、胸に刺さるシリアスな展開が数多く待ち受けます。
▲筆者が一番お気に入りの人物はミネルバ。胸が大きくてメガネをかけているから……ではなく、彼女の壮絶な“覚悟”ゆえ。今作のすごさを感じるキャラクターです。 |
主人公たちが、戦場を生きる人たちが、戦いに巻き込まれる市民が、どのような過酷な経験と思いをするか、実はそのドラマがもっともハードに描かれるのは今作かもしれません。とはいえ、ハードな展開だけでなく、だからこそ見出せる人の暖かみをきちんと感じられるようなドラマの作りになっています。
最新作におけるBLiTZの遊びごたえは、初代『戦場のヴァルキュリア』を彷彿とさせながら、『2』や『3』で追加された要素も綺麗に落とし込まれ、体験できるシチュエーションや戦術の幅が大きく広がっています。
特にストーリー性のあるミッションは、それぞれに異なる工夫の凝らされたシチュエーションが存在し、“そのミッションだけの戦い”を1つ1つ体験できます。
さらに、早い段階から1つの章で複数のミッションを戦うことが多く、ボリュームは十分。“戦術はプレイヤー次第”というBLiTZの自由度を、余すことなく楽しめます。
難易度の面でも十分な歯ごたえがあり、自分なりの戦術を考える醍醐味、それでクリアする達成感を強く味わえるでしょう。
また、多様なシチュエーションがあるからこそ、兵士視点の戦場体験を楽しむアクションモードでも常に新鮮さを感じ、臨場感や緊張感が薄れることなく楽しめます。むしろ戦いは激しくなる一方なので、ゲームを進めるほど、そこは強くなっていくように感じます。
さらに新要素の擲弾兵(てきだんへい)は、遮蔽物越しに敵を攻撃できる特徴が索敵の重要性を上げ、1枚で描かれる広いマップと相性が非常にいい兵科です。敵側にいる場合は優先的に倒しておきたいくらい強力なので、戦術に新しい一石を投じるおもしろい要素になっています。
他にもシップオーダー、ブレイブといった新要素があり、前者はコマンドモードに新たな一手を加え、考えるおもしさをより深く楽しめます。
後者は、歩兵の瀕死時にランダムで発生するシステム。味方が敵弾の前に倒れるも、最後の力を振り絞って敵に一矢報い、それが突破口になるなど、アクションモードに偶然のドラマを生む可能性を持っています。
▲ブレイブ時は選択肢が発生。託すは味方の能力アップとCP増加の効果があり、立ち上がるは無敵状態で1度だけ行動できます。 |
記事を書くにあたって『戦場のヴァルキュリア』シリーズを改めてプレイし、最新作の『4』もいち早く触れさせてもらいましたが、やはりBLiTZのおもしろさが際立っていると感じました。
一粒で二度おいしいゲーム体験はさることながら、やはり自由度の高さが秀逸で、いろいろなミッションを遊びたくなります。BLiTZの紹介で、SLG好きがハマれるシステムだと書きましたが、むしろBLiTZを体験するとSLGが好きになるかもしれません。戦術を考えるおもしろさは、十分に体験できるゲームなので。
とりあえず筆者は、『戦場のヴァルキュリア4』の発売日を指折り数えて待ちたいと思います。趣味ゲーとしても、改めて遊びたいと感じたゲームだったので!
(C)SEGA
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