2018年3月14日(水)
ダウンロード用ゲームから佳作・良作を紹介する“おすすめDLゲーム”連載。今回は『Papers, Please(ペーパーズプリーズ)』をお届けします。
『Papers, please』は、2013年8月にPCで発売された、ドットテイストのアドベンチャーゲームです。現在は日本語にも対応しているうえに、アプリ版も発売されています。海外では昨年12月にPS Vita版が発売されており、未だ高い人気のタイトルとなっています。
舞台は、共産主義国家“アルストツカ”。主人公は労働抽選によって、入国審査官に任命され、家族を連れて国境の街“東グレスティン”へと移り住んできます。
隣国との戦争が終わり、国交が再開したアルストツカには、仕事や観光のためにたくさんの人々が訪れます。中には、密輸やテロを企む危険人物も……。
次々とやってくる入国希望者の提出する数々の書類を審査して、入国の可否を決めていくことになります。
ストーリーは、1日ずつ進行していきます。毎日検問所に出勤し、検問所の前に並ぶたくさんの入国希望者を審査していきます。1日に労働できる時間は限られており、チェックした人数に応じた給料が支払われるので、素早くチェックして通していきましょう。
入国審査では、パスポートをはじめとするさまざまな書類を確認します。必要書類や確認事項は毎日変わるので、毎朝届く公報と確認事項などが詳しく記載されている規則書を見ながらチェックする必要があります。
必要書類が揃っているのか、記載内容に間違いがないかなどを、事細かにチェックしていきます。書類などに矛盾を見つけたら、調査モードで矛盾を指摘し、入国希望者を審問します。
審問で矛盾が解決しない場合は、指紋確認やスキャナを使って詳しく調査します。もし、パスポートや提出書類の偽造が証明された場合は、相手を拘束することができます。
矛盾が解決できない場合は、“DENIED”と記載された赤色のスタンプを押して入国を拒否します。特に問題なければ、“APPROVED”と記載された緑色のスタンプを押し、入国を許可します。
入国審査にミスがあった場合は、間違って通した人の給料は支払われません。3回以上間違うと、罰金を払うことになるので注意深く労働しなければなりません。
1日の労働が終わると、給料が支払われます。このお金で住居費や食費などを支払って、家族を養いつつ、次の日の労働に赴きます。
とにかく、本作はお金が重要です。家族を養うために払う暖房費や食費は、削ってしまうと家族が病気になり、最悪死んでしまいます。検問所内を改造してショートカットキーなどの便利機能を増やせますが、それも自費で取り付けなければなりません。入国審査に慣れていないと基本は赤字になるので、働いているはずなのにどんどん貧乏になっていきます。
では、どうやって切り抜けていくのかというと、賄賂を活用していきます(本来はいけないことですが!)。入国希望者の中には、お金を出すから通してくれという人がたびたび現れます。この人を通せばミスにはなるのですが、3回目までは罰金が発生しません。
裏を返せば、2回までは自分の裁量で通すことができるので、うまく活用していきましょう。「そういうことはやりたくない!」という場合には、ストイックなプレイも可能です。
この2回通せるというシステムは、夫婦の一方だけ必要書類が足りなくて通せない時や、手術のために来たが書類に不備が見つかってしまった時など、本来入国できない人を人助けで通したい時にも使えます。入国希望者をどう扱うのかを自由に選択できるのも、本作の魅力のひとつです。
入国審査のチェックはパズル性が高く、非常にやり応えがあります。最初はパスポートのチェックのみですが、国家からの理不尽な要求によって、必要書類や確認事項が毎日変化します。単純に増えていくだけでなく、今までやってきた確認事項の一部が変化したり、なくなったりするなど、人間の慣れを逆手に取った難易度調整が秀逸です。
「今日から、この券使えないんだった!」とか「いろいろチェックしてたら、性別確認し忘れてた……」とかしっかりやったつもりだったのにやられた感と、その悔しさをバネに完璧にできたときの達成感が堪らない作品となっています。
本作はプレイヤーの行動次第でストーリーが分岐するマルチエンドとなっており、バッドエンドも含め20種類ものエンディングが用意されています。検問所で入国審査をしているだけのはずが、人助けをしたり、密かに革命軍をバックアップしたり、国家の策略に加担したりすることで、非常にドラマチックなストーリー展開が楽しめます。あなたの選択次第で国家が大きく変わるかもしれません。ぜひ、アルストツカの国境審査官になって、映画のような重厚なストーリーを楽しんでみてはいかがでしょうか?
そして先日から本作をもとにした実写短編映画がYouTubeとSteamにて公開されています。日本語の字幕に対応しているので、気になる方は各サイトにてチェックしてみてください!
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